怠惰な蟲使い(仮)

胸の轟

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「おげぇッー」


アロイスが急に吐いた。

吐く要素なんてあった?ーーああ、媚薬香のせいか。あんなもの長いこと吸ってたら気分も悪くなるね。


スカスカになったケイトを折り畳んでしまう。


「…殺す必要あったのかよ。」


青ざめた顔で、責めるようなことを言い出すから若干イラッとした。

出来ることなら今すぐ暴力に訴えたい。でも、やったら絶対偉い人に怒られるからやらないけど!


殺す必要あったのか?あったよ。

アロイスの種で妊娠なんてされちゃ困るんだよね。だってコイツ、某高貴な御方の息子だから。ーー本人知らないけど。


跡取りとしての権利は今のところ無いが、高貴な御方の息子に何かあったらどうなるか分からない。

そういうとこ踏まえて、アロイスにはホイホイ子ども作られちゃ困るわけ。


アロイスの恋人から一夜のお遊びまで、ちゃんと避妊薬で妊娠しないようになってる女が密かにあてがわれてる。

そうしてこっそり斡旋してやらないと、どこの馬の骨か分からない女に種仕込みまくって孕ませちゃうでしょ?

ケイトも一線越えてなきゃ死なずにすんだのにね。


因みに弟として側に居るユリウスは、弟ではない。ーーアロイスは弟だと思ってるけど。



「ケイトは悪い娘じゃない。ちゃんと言って聞かせれば」

「忠告はしたよ。」

 「ちょっと痛い目でもみせれば、気も変わったかもしれないだろ。」

「自分の立場分かってる?お前はただの冒険者で、向こうはお嬢様。力関係で言えば向こうが上なの。ケイトが親父に『アロイスに傷物にされた』って言ったら、怒った親父は何するんだろうね?多分お前殺されるんじゃない?」

「そんなことッ」

「無いとは言えないよ。ーーまぁ、ケイトのお気に入りだから、上手いこと言って取りなしてくれるだろうけど、その場合、死んだことにされて一生監禁される人生ってやつかもね。」



もちろんそんなことにはならない。アロイスの背後の人の方が、ケイトのとこより全てが遥かに上だから。


「・・・」


俺の言ったことを想像してるのか、別のことを考えてるのか知らないが、静かになったから良しとしよう。




◆◆


お兄さんから産まれる子たちの回収ついでに、ケイトを届けてあげたら親父が何故か発狂した。


お偉いさんの部屋のオブジェにしようと思ったら、返して来なさいって言われたため、態々送り届けてあげたのに殺そうとするって頭おかしいと思う。ーーそれをお偉いさんに言ったら『そうだな』って同意してくれた。棒読みで。



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