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しおりを挟む何かを生やしたサムが猛スピードでショーンに飛び、二人は転げながら壁にぶつかった。
「おいサム。何をふざけ─」
仰向けで倒れたサムは何かで穴が開いた喉と、胸から血を吹き出しながら絶命していた。
「「…は?」」
「ヒイッ!!」
ショーンが真っ青になりながら、慌ててサムを退かし離れた。
ちょっと意味分かんない──侵入者!?──あたしとジュドがベッドの方を見ると、侵入者なんか居なかった。そこには立ち上がった状態で、禍々しいまでの黒い刃をした剣を持ち、制服で手の汚れを拭くジュドの元婚約者が居るだけだった。
サムはおふざけで飛んだんじゃなく、女に投げ捨てられたんだった。
「な、お、おま、な、」
ジュドは何か問いたいんだろうけど、混乱で上手く言葉が出ないみたい。
ベッドから降りゆっくり歩いてくる人殺し
一足先に我に返ったショーンが呪文を唱え──るのは許されなかった。女の投げた剣がショーンの腕を裂く。
「痛い痛い痛いぃい!」
剣は黒い粒子になり、いつの間にか女の手元で剣に。
「早く魔法撃たなくていいんですか?撃たないと──」
素早くショーンの側に行ったかと思えば、ショーンの片腕と片足が飛んだ。
満面の笑みを浮かべ心底楽しそう。人格変わり過ぎじゃない?──よく考えたら隠してた本性出しただけってやつか。
「あんなに偉そうに魔法自慢してたくせに、この程度で集中出来なくなって魔法使えないとか。」
他人の空似なんかじゃなかったわ。いやだって普通こんなとこに居るって思わないよ!?
「うわぁあー!うわぁあー!」
おおう…大パニック。ジュドが形振り構わずドアに駆けて行く。
え~…カッコ悪。なんか一気に冷めるわ~
「凪沙 晴臣。」
あたしの呟きに玩具で遊んでた奴がこっちを見た。
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