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一難さって…

「きゃあぁああーっ!」

突然大声をあけながら倒れた存在──ピンク髪の巨乳が、わざとらしい怯え顔でこっち見てきた。


「ひ、酷いですぅう。ううっ、ぐすんぐすん、えーんえーん(棒」

えーんえーんておま…

毎日のように同じ流れとセリフを発してるくせに、一向に向上が見られないとはこれ如何に。雑魚だからかな。



「どうした我が愛しき最愛ハニカ!」

出た。

艶やかな紫の髪と知性溢れてそうな瞳──あくまでであって、悲しいかな、知性と無縁というのが現実。第三王子は絶対スタンバってましたよね?というタイミングで雑魚ピンク居る所どこでも沸いてくる。

雑魚ハニカを抱き起こし、見た目詐欺男こと第三王子が喚き出す。


「貴様ぁ!あれほど我が愛しき最愛ハニカに、近づくなと言ったのに何故近くに居るんだ!」

「怒鳴らなくても聞こえます。そちらの雑──お方が勝手に近づいて来たのに責められても困ります。」

危うく雑魚って言いそうに。


「ぐすんぐすん、えーんえーん(棒)ジュド様ぁ、ぐすん、ハニカはぁジュド様とぉ、お話しちゃダメなのですかぁ?」

「急にどうしたんだい。我が愛しき最愛ハニカ。今まで同様可愛い声でいっぱい囀ずって俺を癒してくれ。」

「えへへっ。ハニカいーっぱいいっぱいジュド様癒しちゃうぞぅ!」

「ああ、これからも頼むぞ、我が愛しき最愛ハニカ。」

「ハニカ任されましたぁあ!ねぇねぇ、ジュド様ぁ~、ハニカはぁジュド様のお側にずっとず~っと居ても?」

「我が愛しき最愛ハニカ、ずっとずっと俺の側に居てくれ。」


我が愛しき最愛って入れないと死んじゃう病なのかな。


「でもでもぉ、ぐすん、ハニカにはぁ、そんな資格ないって…えーんえーん(棒」

意味ありげにこっち見んな。


「き、貴様ぁあ!我が愛しき最愛ハニカに資格がないだと!?」


「そんなこと言ってな──」
「我が愛しき最愛ハニカに資格がないならば、俺から愛の一欠片すら恵まれない貴様はなんだ!」

いや聞けよ人の話。あとお前の愛とかいらん。


「貴様など資格以前の問題ではないか!そんな分際がハニカを侮辱するとはな!恥を知れ!ああ、ハニカ、可哀想に。俺がもっと早く駆けつけていれば、こんな惨めな思いをハニカにさせずにすんだのに。許してくれハニカ。」

「ジュド様ぁ…」
「我が愛しき最愛ハニカ…」

うん、やっぱり我が愛しき最愛を入れないと死んじゃう病だな。




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