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しおりを挟む「ジャンクフードが食べたいです…」
ヒソヒソ
「ご覧になって。また独り言を…」
「もしかしてあれが噂の?──わたくし初めて実物を見ましたわ。闇色の髪と瞳で、皆さんの仰る通り本当に薄気味悪いですわね。」
「確か──男爵が娼婦に産ませたのだったかしら?」
「あら、メイドを孕ませたって聞きましたわ。」
「わたくしは偶々見かけた美しい町娘を無理矢理…と聞きましたわ。」
「どの噂が本当だったとしても、ろくなものじゃありませんわね。なのにご自分がご立派な存在だとでも勘違いなさってるのかしら。図々しくも殿下の婚約者に収まったまま、辞退もなさらないなんて。」
「本当に図々しいったらありませんわね。」
「まぁ、どうしても結婚したい気持ちは分かりますけど。」
「第三殿下はあのように麗しいお方ですもの、わたくしなら、毎日お側で殿下のご尊顔を拝めたら、天にも登る気持ち──いいえ、天に召されてしまいますわ!」
「あら、いやだわ。天に召されるだなんて。天に召されてしまったら、後妻に盗られてしまいますわよ。そこはグッと地に留まりませんと!」
「うふふ、そうですわね。折角殿下のお側に居られる権利を勝ち取ったというのに、天に召されてる場合じゃありませんわね。わたくし────」
いやいや、貴女たち何も勝ち取ってませんよね。
いつの間にか話の内容が、他人の婚約者を褒め称える内容になり、姦しい貴族子女たちは去っていった。
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