ゲスいお嬢様的日常(仮)

胸の轟

文字の大きさ
上 下
74 / 162

知らない天井だ

しおりを挟む

どうやらお姉さんは人形を使ったようだね。


それは別にいい。お姉さんのピンチとか、面白エピソードの予感…、違った、メロンパンのお礼だった、お礼。


「翔たぁん、コイツ死んだんじゃない?すっごい勢いで倒れたし。」

足をガシガシ蹴られた。


「ああ?大丈夫だろ。クッソ頑丈そうだし。」

横っ腹に衝撃。


「それは言えてる~!あっ、目開いてる。」

「ほらな、死んでねぇだろ。」


なんで天井見てるのかと思ったら、ぶっ倒れたせいだった。ん?ぶっ倒れた?なんでだろう。アレ使うと意識飛ぶなんて危険なことにはならないはずなんだが。

掲げて台詞言うと人形の頭が四つに割れ、クリオネの捕食時のごとく六本の触手が、使用者の精神を引きずり込むという、サービス幻影仕様で対象者の精神と入れ替えるだけだし。

完成したと思ったが、使うと意識を失うような危ない欠陥品だったようだ。後で何が駄目だったか検証しよう。

因みに台詞はその場の気分なので、決め台詞がある訳ではない。


「ちょっと、ちゃんとこっち見なよ。見て、現実を思い知らなきゃ駄目だよぉ。」

喋りながらまた蹴ってきた。蹴りながらじゃないと喋れない病気か。

「愛たんが話してんだからコッチ見ろや、立夏。」


顔を踏まれたせいで、鼻血が出た模様。口の中に血の味がする。


目だけでグルリと見回せば、独り暮らしのアパートの一室ぽい。


「好きな男の部屋に来れて嬉しい?ね、ね、嬉しい?でも残念。もう二度と来ることないけどね!」

「あんま人ん家ジロジロ見ないでくれますか~。網膜に焼き付けてそうですげぇキメェ~。」


今度はお腹を踏まれ、圧迫される。


「翔たん。」
「なに?愛たん。」

「愛たんね、すっごく寂しかったんだぞ。」

「…愛たん、ごめんね。俺がゲームで勝ちさえすれば良かったのに、負けちゃってマジごめん。」

「翔たん。翔たんはもう、愛たんだけの翔たんに戻れるんだよね?」

「そうだよ、愛たん。今日で終わりだよ!…すげぇ長かったし辛かった!こんなのを好きな振りとか死にたくなったぜ!」

「翔たん死んじゃダメーッ」

「愛たんを置いて死なないから!」



お姉さんが、やっちゃ駄目なタイミングで人形使うから、夕飯食べ損なったし何か食べたい。



お腹に乗った足を掴んで引いたら、私に覆い被さりそうになった。

初対面なのにいきなり乙女に覆い被さろうとするとは、さては痴漢ですね。


「うわっ」

乙女の柔肌に断りもなく触ろうとする不届きものの身体を、やんわり蹴り上げた。

痴漢にすら気配りして、怪我などしないよう、やんわり蹴り上げるに留めるとか、私優し過ぎる。


「おごぶっ」


軽く天井に当たり、ベシャっとーーいや、フワッと床に着地で強打、違った、軽く身体を打ち付けた模様。

やんわり蹴っただけなのに、何という大袈裟なリアクション。あれかな、態々当たりに来て痛くもないのに金銭要求するあれかな。

優しさを見せたらそこに付け入ってくるパターンですね分かります。優しい人が悲しい思いをする嫌な世の中です。



「≠×÷£!!」
「翔たーん!?」


何語か解らないことを言いつつ、ゴロゴロしてる物体を放置し冷蔵庫を漁る。

何かあるかな。


期待したのに冷蔵庫の中には飲み物と魚肉ソーセージしかなかった。こんな充実感のカケラもない冷蔵庫で、不意のお客様にどう対応する気なのか問い詰めたいところだ。


近くにコンビニあるかな?なかったらどうやって食料調達しよう?


魚肉ソーセージを食べながら、ヤる時くらいしか役立たない大人の玩具の髪を掴み、引きずって移動。


「ちょっ、やめっい゛だい゛い゛だい゛い゛いーっ」

「てめぇっ、愛たんを離せっ」


ゴミを捨ててあげようとしたら、理不尽な暴力に晒されそうになったので、壁ドンではなく腹ドン(別名腹パンチ)

「ぐふおっ」


ぐふおさん、呼ばれてますよ。


ドア開けて、使い古しの玩具を外に捨てて鍵をかけた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

このやってられない世界で

みなせ
ファンタジー
筋肉馬鹿にビンタをくらって、前世を思い出した。 悪役令嬢・キーラになったらしいけど、 そのフラグは初っ端に折れてしまった。 主人公のヒロインをそっちのけの、 よく分からなくなった乙女ゲームの世界で、 王子様に捕まってしまったキーラは 楽しく生き残ることができるのか。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

全能で楽しく公爵家!!

山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。 未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう! 転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。 スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。 ※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。 ※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。

美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。 飲めないお酒を飲んでぶったおれた。 気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。 その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

処理中です...