ゲスいお嬢様的日常(仮)

胸の轟

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ワンワンッワンッ


走り回ってた犬達が私に向かって走ってきた。

フリスビーを投げてやれば、競い合うように追いかけて行く。


キャッチして戻って来た犬を撫でてやれば、大喜びでのし掛かり、顔をベロンベロンされる。


「調子乗ってんじゃねぇぞ。」

灘流が犬の髪を掴み引き剥がした。

「ちょっ、ハゲるハゲるっ」

「禿げればいい。」

「ちょっとくらい舐めたって良いだろ。ベロベロしたい年頃なんだよ!ベロベロ大好きなんだよ!出来れば主の至るところをくまなく舐め回したいんだよ!その衝動を抑え、顔だけ舐めてるんだから責められる謂れはないぞ!」

「ズルいよ、すずな!僕だってベロベロしたいんだぞ!」

「なずなはフリスビー取れなかったんだから、ダメだよ。ベロベロはフリスビーを取れた犬の特権なんだからな!」


「そんな特権ねーよ!姉ちゃんも、何黙って舐められてんの!?驚愕したわ!」


犬なんて人間を舐め回すのが仕事だし、別にいいかなと思ってやらせたが、どうやら灘流的に駄目らしい。

おそらく舐め回されて犬臭い顔になることを心配してるんだね。


「灘流、安心して。舐められた後はラベンダーの香りだから。」

「匂いはリラックス効果なのに、全然リラックス効果が得られないという矛盾!俺が気にしてるのはそんなとこじゃないからね!?コイツ等が確実に、犬以上の気持ちで姉ちゃんを舐めてるということが嫌なんだよ!」

「「主~、灘流が怖いよぅ。」」


双子が私の後ろに隠れる。
これっぽっちも怖いと思ってないのに、プルプルする芸の細かさ。


「さっきから犬が喋ってる気がするけど、私の気のせいかな。」


チラッと視線を双子に向ければあら不思議。顔色が悪くなってらっしゃる。


「「きゅーんきゅーん。」」

すかさず服従のポーズ披露。


ケモ耳装着時に喋るとか許さないよ。


完璧に成りきってこそ、真価が発揮されるのだ。


私の人形は、人間と見分けがつかないように造られている。


一定の負荷を感じた時、神経の代わりに張り巡らされた物が、ちゃんとそれらしい反応が出るように設定されている。

汗とか息切れとか。


人間の痛覚と同じ痛みは感じないけど、痛覚っぽいものもある。だって腕もげてるのに気付かないとか困るし。


私は完成度の高い、完璧な物を造りたい派なので、人形は食事だって出来る。


ただ、消化はされないのでそのままの形で穴から排出されちゃうけど。

どこの穴かはハッキリ言わないでおく。


消化出来ないなんて完成度高いとは言えないんじゃないの?と思ったそこのあなた、これにはちゃんと理由があるのです。


食料を確保するのが困難になった時の非常食として活用するためだ。


さすがに穴から出た物を食せるほどの強者ではないので、ちゃんと他からである。


人形の体内の物を食べたい時はどうするかというと、察しの良い方ならお分かりだろう。




そう、乳首を押すのだ。


人形作成中、天恵のように私に舞い降りた乳首を押すという思い。


乳首を押すという崇高な志のもと、躊躇も羞恥もなく、またはうっかり第三者に目撃された場合、『違うの、これはそういうんじゃないの。エロい目的じゃないの』等、慌てて言い訳めいた台詞を口走る立場にならぬよう、正当な行いだと胸をはって乳首を押す為にはどうすべきか?


考えても良い案が浮かばず、このままでは崇高な行いを出来ぬまま、志半ばで果てることになりかねない。それだけは避けたい。



思い悩み時間だけが過ぎ行く中、ふと閃いた。



中に食べ物が蓄積される作りにし、あたかも食べ物を食べたいから乳首押すんだぜ的な振りをしようと。


その案の為、無駄に高度で最先端な魔法を胃袋に施し、大量蓄積出来るようにしたのだった。


だって一応非常食という設定だし、少ししか蓄えられないなんて言語道断である。


こうして私は無事、乳首を押す大義名分を手に入れたのだった。


消化云々て話じゃなかったのかって?


人間には建前と本音というものがあることを肝に銘じてほしい。



大分本題から逸れた気もするが、何が言いたいかというと、乳首とは押す為に存在するということです。


違った。


人間ごっこなら完璧に人間を、犬ごっこなら完璧に犬を演じてもらいたいということです。



中途半端、駄目。絶対。




因みに双子は、本人達の性癖的なことで犬になってるのであって、私が『お前ら私の犬な』などと命令してやらせてるわけではない。




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