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【3】
しおりを挟む「行かせねぇぞ。」
相手の態度がお気に召さなかった男が、移動しようとした女の子の肩を掴む。
そしてその手に重ねられる女の子の手。見つめ合う瞳と瞳──なんで急に親しげ!?
高飛車男は小学生に腕を組まれてデレデレと会場から出ていった。
ロリコンですね分かります。
ないわー。ロリコンはないわー。
暫し呆然と見送り、ハッとなった女子たちが後を追って出ていった。
場所を変え、人目のないところでまたイビり始める気かも。
ここは人目があって、イビりも周りに聞こえない感じの音量でやってたけど、人目がなくなった場所だと本格的な罵倒を受ける可能性も。
大丈夫かなあの子。──とは思うけど、特に何かしようとは思わない。
さてと、面白い見世物もなくなったし、料理食べようっと。
なんて思ってたのがダメだったんですかね・・・。
うちより格上の家から別室的な場所に呼び出しされたけど、用件はアレの気がする。
あのイビり女子たちから女の子を助けるかどうかをテストされてて、助けたら合格。我が家の息子の婚約者候補に──だったらマシだけど、これ、あの女の子の家からの呼び出しかもしれないよね。
イジメの現場見てたのに見て見ぬふりしてましたねって言われるのかもしれない。どうしよう。完全に怒られる流れ・・・。
怒られるだけならいいけど──よくないけど、万が一取引先だった場合最悪切られる可能性が。
こっちは内心焦ってるっていうのに、一緒に呼ばれてる親父は、お前見初められたんじゃねーのとか頭沸いてるとしか思えない発想で浮かれてるけど、お前の娘は見初められるような容姿してないってことに気がついてほしい。
コンコンコンー
「どうぞ。」
ガチャー
「失礼します。」
ドアの向こうに広がっていたのは、どこまでも空気の重い部屋だった。
ビクビクした気持ちで親父とソファに座り、向かいの上品な紳士を見る。
「・・・何故お呼びしたのか、分かりますね?」
「ええと・・・申し訳ないですが、見当もつかないです。」
「私もね、子ども同士のやり取りに親がでしゃばるのもどうかと思うのですよ。──思うのですが、家の息子が醜態を晒す羽目になった原因と、私たち親を交えて話し合った方がお互いの為かと思いましてね。」
「はぁ・・・?」
言ってる意味がまるで分からないって顔で、親父が私を見る。もちろん私だって言ってる意味がまるで分からない。
醜態って何ぞ?である。自慢じゃないが、パーティ出席者の女子とも男子とも差し障りのない話題をチラッとしただけで特に深く関わってもないのに、醜態を晒す羽目になった原因とか言われましても・・・。
私たちの態度をすっとぼけてると思ったのか、息子を呼ぶ。
何故か若干赤らんだ顔で現れた息子とやらは、あの女子たちに混ざっていたロリコン野郎だった。
「おい橋本!よくもお前──って誰だよ!?」
「橋本だよ!」
これなんてデジャ・ビュ?
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