ゲスいお嬢様的日常(仮)

胸の轟

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その頃灘流さんは・・・【1】

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課題を一緒にやろうと誘われ、アンリの家に来たわけだけど・・・


「はぁ・・・」


溜息ばっか吐いてちっとも課題に手をつけないアンリ。時折、溜息の訳を聞けとばかりにチラッチラッ俺を見てくる。


これは聞かないと先に進まないってやつか。だが、面倒な予感しかしないから聞きたくない。──気づかないってことにしよう。


俺はアンリに構わず課題をやることにした──のだが、課題を取り上げられた。


「ちょっと!親友が悩ましげな溜息吐いてるのに知らん顔って冷たいんじゃないの!?」

「いやだって、絶対くだらないこと言い出すだろ?」

「くだらないことなんかじゃないよ!すごく重大な悩みを僕は抱えてるんだよ!今にも胸が張り裂けそうなんだから!」


面倒くさい。実に面倒くさい。──絶対くだらないって分かってるのに、聞かなきゃいけない立場に追いやられる俺の立場にお前もなってみろ!

親友が悩んでるのに冷たい?──今みたいに溜息吐いて僕悩んでますって顔されて、心配になって話を聞けば、ものっすごくどうでも良いことでしたって流れが何度も訪れてたら、そりゃ冷たい態度にもなるわ!


どうせアレだろ。桐人がどうこうってやつだろ?もしくは筋肉だろ。

課題を返してほしかったので聞いた。さっさと終わらせたくて仕方なく。

「僕ね、自分で言うのもなんだけど、すごく努力家で、それはもう血の滲むような頑張りで桐人君の───」


案の定くだらないことだった件。

・・・・・

・・・

・・


「それでね、僕は思ったんだよね。もうちょっとこう───」

・・・・・

・・・

・・


かれこれ一時間は経ってる気がする。これ何時まで続くんだよ・・・

気分は先生の説教を聞き流してる時と変わらない。


早く終わらないかと思ってたら、良いタイミングで魔法具に通信が入った。


「悪い、アンリ。通信入った。──あれ、滝本さん?」

俺、ナンバー教えたかな?

『あっ、あのっ、お久しぶりです!』

「久しぶり。何かあった?」

『えっと、その、今って暇かな~・・・なんて思って。』


なんかきゃあきゃあ周りが騒がしいな。どうやら滝本さんは独りじゃないらしい。

「うん、暇だよ。」
「ちょっ、灘流!?」


いい加減ウンザリしてたから、お誘いの予感な滝本さんに乗っかろう。


『あの、です、ね、良かったらなんですけど、あっ、嫌だったら断ってくれて全然構わないんですけど!理香ちゃ──えっと今井さんのお姉さんが、〈ナッシュカッツェ〉でバイトしてるんですけど、割引券くれて、だから、あの、先輩もどうかなって。』


ナッシュカッツェ?なんか聞いたことある気が──って、ああ、姉ちゃんがここのチョコ食べたいとか言ってたお店か。


『あっ、ふ、二人きりとかじゃないんで!──ホントは二人だったら最高、なんて。えへ。』


姉ちゃんにチョコ買っていってあげたらきっと喜んでもらえるに違いない。

灘流大好き(ハート)とか言ってギュッて抱きついてくるかも!

チョコに喜んで抱きついてくるとか、めっちゃ、か、可愛い。

姉ちゃんのことで頭がいっぱいで、滝本さんが言ってること聞き逃した。

「ごめん、何?」
『う、ううん!何でもないです!』

「友達も一緒だけどいい?」

『あ、うん。良いですよ。こっちも今井さんと倖田さんが居るし。』

「滝本さんたちは昼めし食べたのかな?」

『まだです。』

「ナッシュカッツェの近くって食べるとこある?」

『はい。』
「じゃあ、昼めし一緒する?」

『はい!なら待ち合わせは──』


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