ゲスいお嬢様的日常(仮)

胸の轟

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授業を無の境地で受けたお陰で、悟り的なものに辿り着けた。──そうだ、敷地内に植えてあるブルーベリー食べに行こう。

暫く見に行ってないが、植物担当の人が甲斐甲斐しく世話をし、私のブルーベリーを立派に育ててくれているに違いない。

他力本願万歳。


甘酸っぱくて美味しいブルーベリーに思いを馳せながらやって来てみたら、人の気配。


この時間は既に授業中だというのに何故人が──もしやブルーベリー盗人が?──私のブルーベリーは無事だろうか。注)学校所有

私のブルーベリーが食べられていたらと思うと胸が張り裂けそう。注)学校所有

良く考えたら他人に食べられないように、ブルーベリー以外に見える仕掛けを施してあったんだった。


ブルーベリー側のベンチに設楽と女子が──またお前か。


「私、初めて授業サボってすごいドキドキだよぉ。」

「真面目なんだ?」

「そうだよぉ!私、すっごく真面目なんだからね!設楽くんのせいで悪の道に目覚めたらどうしてくれるの?」

「その時は責任持って正しい道に導くよ。……なぁ、ドキドキはサボったことに対してだけ?俺にはドキドキしてくれないのか?」

「なっ、何言ってんの、もう!」

「……俺はドキドキしてるんだけどな。」

「え…」
「あのさ──」


大粒ブルーベリー発見。一粒取って食べる。うむ、甘くて美味しい。

プチプチと取っては口に運ぶ。うまうま。


「…」
「…」

「あ、あのさ」
「な、何?」


こうして生で食べるのも美味しいが、手間をかけたヤツも食べたい。

「おい、お前」

ベーグル、スコーン、シフォンにタルト──そう言えば暫くブルーベリーアイス食べてないかも。帰ったら作らせようかな。


「おい!」
「ちょっ、設楽くん!?」


掴まれた肩側の腕を真上に伸ばして大きくターンしながら手刀──あ、ヴァイオリン──折れない程度に加減して腕に叩き込む。

断りもなく乙女に触れたハレンチ野郎に対し、なんという慈悲深さ。

私だから良かったが、これが私以外の乙女だったら四肢をボッキボキにされてるところだよ。


「あ゛だっ!?」

慈悲深き対応に感謝して、どうぞと頭を前のめりで差し出して来たので、お言葉に甘え拳ハンマーで沈めてみた。


「ッぶご!!」
「設楽くーん!?」


次の授業何だったかな。
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