ゲスいお嬢様的日常(仮)

胸の轟

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【2】

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「指先が冷たくなってるね。」
「そ、そう?」


私が三原君の寿命を心配している横で、ゴリラの指先の心配をする三原君。そんな呑気なことでどうするんだ。もっと自分の命についてしっかり考えてほしい。

ここはひとつ、私がちゃんと注意してあげなくては。


肩に手を置く。


「ふぉあっ!?」
「お楽しみのところ失礼します。」


指が三原君の頬に当たる仕様も忘れない。


じっと私の顔を見てくるが何かついてるのだろうか。フィナンシュでもついてますか。それとも『俺の美しい顔に傷付ける気かこのヤロウ、いい度胸だな』の意ですか?


三原君がゴリラを見た。ーーそう言えば知ってる香りがする。

ゴリラをキュッと絞めて意識を刈り取った。声をかけるタイミングがあと少し遅れていたら危なかった。焼き菓子が。ーー違った、三原君の唇が危なかった。万が一唇を奪われていたら、ゴリラに欲情する男として名を馳せることになってたね。


こうして愛すべき焼き菓子をゴリラの魔の手から救い、めちゃうま焼き菓子の全ては我が手中に収められ満足ーー違うな、三原君の唇を守ることが出来て良かったです。





「つまり、その香水をつけると別人に見えるようになると。」

「うん。それにつけてる人の側に居るとちょっとムラムラする。」


いくら破られること前提とはいえ、ここは一般人に安易に破られるようなセキュリティレベルではなく、かなり高いレベルの三原君の部屋にゴリラが居たのは、飼育しているためかと思ったが、単に香水でゴリラをゴリラと認識していないだけだった。


「ゴリラにムラムラした?」
「おい言い方。まるで俺がゴリラに欲情する男みたいに聴こえるから。」

「違うの?」
「違います。」

「ふーん。」


焼き菓子を堪能し、ゴリラにピアスをつけた後、足首を掴む。


夕食食べていくかと聞かれたが遠慮した。私は気遣いの出来る乙女なのである。



ソロ活動頑張ってください。


三原君のクローゼットから我が家へゴリラ連れで帰り、待っていた相手に渡す。


「これ捨てといて慈狼。」
「了解。」



ゴリラさんの行動を記録したクリスタルを親宛に送っておいたから、親が何かしらの行動をしてくれることに期待しておこう。

もし親も人様に迷惑をかけても平気なタイプだったら、また何か考えなくてはいけないけど。


親はまともだといいな。ーーいい加減三原君のストレスも頭皮が心配なレベルだから。
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