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6.紗雪

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私にはイケメンのいとこがいる。名前は爽くん。彼は5歳上だから、私なんてどうせ妹ポジなんだろうなって思ってる。

そんな相手の気持ちを利用して、構ってオーラ全開にしたり、無邪気な子どもを装って抱きついたり。

小さい頃はそんな私を普通に抱きしめてくれてたのに、年々嫌そうな表情をするようになった。ヤバい。私ウザい?

アポ無しで爽くんが一人暮らしするアパートに突撃するのも、止めるように言われた。やっぱ私ウザい?

ある時、その理由が分かった。恋人のせい。


爽くんはクールイケメンですごくモテる。大抵恋人が居るし、付き合う相手はいつも色気たっぷりの大人女子で、私と正反対でかなり傷付く。お前なんて無理って言われてるみたいに感じるから。

妹ポジを死守すれば、対象外の私も側に置いといてくれるかなって、浅ましい考えで妹ポジを辞められない。


「はぁあ~…」

「ははっ。大きなため息だねぇ。」

「うわびっくりした。」


誰も居ないからため息吐いたのに、なんか人が居た。しかも露店が。こんなとこに店あった?チラッと商品に目をやると、何に使うのか分からないような変な物ばっか並んでる。


「ほぉら、こうすると、とっても良い感じ。ハハハ」


スイッチらしきものを押したらうねった。それの何が良い感じなの。

商品が怪しいうえ、売ってるオッサン?も長髪髭面で変なサングラスしてて怪しい。


よし、スルーだ。

「ちょ、ちょ、お待ちよお嬢さん。大きなため息をこれみよがしにここで吐いたってことは、聞いてほしかったんでしょ。悩み。」

「え、ウザ。違うし。勝手に人のため息聞いただけの分際で話しかけないで。なんでお前に悩み教えなきゃいけないの。死ねクソジジイ。」

「おぉう、見かけによらず辛辣ぅ。気に入った!」

「死ね変態。」

「お嬢さんにはこれをあげよう。」

「は?いらない。」

「これはね、魔法の鈴と言って、鳴らして願いを言うとそれが叶うんだよ。」

「いらない。」

「お嬢さんにはこれをあげよう。」

「いらんて言ってんだろ。」

「これはね、魔法の鈴と言って、鳴らして願いを言うとそれが叶うんだよ。」

「お嬢さんにはこれをあげよう。」

「これはね、魔法の鈴と言って、鳴らして願いを言うとそれが叶うんだよ。」

NPCかよ。







「──てことがあったんだよ。」

屋上にサボりに行ったらみーたんが居た。


「NPCかよ。で、その魔法の鈴?どしたん?」


「知らぬ間にポケットに…」

「こわ」

「それがこれ。怪しいオッサンだったから、実は呪いのアイテムとみた。」

「何故捨てない。」


「戻ってきたら怖いから捨てられない。」

「で、使うん?」

「…みーたん。ずっと黙ってたけど、私には絶対叶えたい夢が。」

「どんな。」

「セックスしたいの!」

「したらいい。」

「好きな人とセックスしたいの!」

「したらいい。」

「出来る気がしないから、私はこれで願うの!好きな人とのセックスを!これは呪いのアイテムかもしれない。使ったら死ぬかもしれない!もしかしたらオッサンは悪魔で、死後、魂をドン引きするようなアレコレに永遠と使われて地獄かもしれない!でも私は願う!好きな人とのセックスを!」


「熱量」








別に魔法の鈴とかいうやつを信じてない。きっかけにしただけ。


居るのは分かってるから処女用ピーチキャンディ食べた。さすがキャンディ中毒みーたん、いろんなキャンディ持ってるね!

こっそり作った合鍵で中に入ると、爽くんが横になってた。


ふぅ。鈴よ、我に力を!


チリン…

「爽くん。」

「うぉおう!!びっくりしたぁ!え、あれ?今日って約束してた?」


身体を起こしてこっち見てる爽くんに、思いきって言った。笑顔で。



「爽くん、セックスしたい!」

冗談だろって言われたら、冗談だよって笑って誤魔化せる感じで言った。私は保険を忘れない女なのだ。


「………………………………………………………………………………………………え?」
 

きょとん顔可愛い。好き。

一瞬時間が止まったっぽい爽くんが再起動し、キスしてくれた。


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