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しおりを挟むおかしい。セックス終わったのに全然夢から醒めない。これはもっとセックスしなさいということか。じゃあまだし足りないからもっとヤろう──うん、嘘。もうヤラない。本当は分かってた。最初から現実だって。
紗雪が俺を誘うようなこと言ったのは、冗談とか俺の何かを試すとか、そんな感じのことだったんだろうと思う。なのに俺が真に受けたから、引っ込みがつかなくなったんだろうな。
途中で拒否ったのがいい証拠だ。
分かってたくせに、俺は狡いから、知らぬふりで紗雪を犯した。
好きなヤツが今居るかは知らんけど、いつか好きな相手と最初にするべき行為を、俺なんかに奪われたんだ。紗雪に責められても、罵られても仕方ない。
「あのね、知ってるかもだけど、爽くんが好き。」
好きだったとは言わないんだ?こんなことやらかした相手に、優し過ぎやしないか。
「うん?…知ってるよ。……お兄ちゃんみたいって、家族みたいなものでって意味でだろ。」
まぁ、それもこの先どうよ?過去形で気持ち言わなかったってことは、セックスしたけど、これからもお兄ちゃんとして宜しくとか言う気か。紗雪さん、それはどうかと思うぞ。気まずくないんかお前。子どもだからそういうの気にしないの?お兄ちゃんちょっと気まず過ぎて君とどう顔合わせていけばいいのか分からんぞ。
「爽くん!」
「うぉ!?」
紗雪が急に抱きついてきた。おい、止めろ。普段からそういうことしてきてるから、うっかり抱きついてきたんだろうけど、この状態で年頃の男女がしていいことじゃねぇぞ。いや、セックスした後に何言ってんだって言われそうだが。忘れてるかもしれないが今俺たち全裸だぞ。なんなの、俺の理性を試そうっていうの?恐ろしい子!
「ホントは爽くんのこと、お兄ちゃんなんて思ったことないの。……嘘つきは嫌いになる?」
可愛い。上目遣いあざと可愛い。
「ホントは紗雪を一度だって妹みたいとか思ったことないよ。嘘つきな俺のこと嫌いになった?」
「ならない!爽くん、爽くん。好き。大好き。」
「俺も紗雪が好きだよ。」
一生自分に嘘をつきながら生きていくんだと思ってた。でも、どうやらもう嘘をつかなくていいらしい。
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