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「アリア・カナデール!お前のような女が未来の国母に相応しくないのは明らか!私の権限のもと婚約破棄を宣言する!」
突然の大声に外を見れば第三王子と、見た目しか取り柄のない女子生徒&取り巻き男子共。
政略結婚をどうこう出来る権限とかお前に無いし、どんな権限もお前みたいな性格破綻者に持たせたらろくなことにならないから持たせる訳ないだろ。身の程を知れっての。もしくは死ねばいいのに。
昼食真っ只中のこの時間、ここからは見えないが食堂辺りに居る生徒達が面白イベントを良く見ようと集まっているのは容易く思い浮かぶ。
どう考えても見世物にしかならないような場所でやらかすとか、真実の愛(笑)を知らしめたかったの?今更知らしめなくてもお前の浮気なんて学園で知らないヤツなんていないから。
なんでどっか空いてる個室とかでやらないの?バカなの?バカだったわ。死ねばいいのに。死ねばいいのに。ここ大事。
突っ込み不在のため、お前未来の国王レースからとっくにリタイアさせられてますよという突っ込みのないままイベントは進む。
「惚けるな!お前の悪行を私が知らないとでも思っているのか!」
対峙する学園のマドンナ高嶺の花子さんこと第三王子の婚約者の声は聴こえてこないが何かしら言ったようだ。
人格者として皆に知られている彼女が嫌がらせ等するわけないというのがほとんどの意見だけど、極一部は、彼女もしくは彼女の取り巻きが女子生徒に嫌がらせをしていると頑なに信じている。
普段の凛とした彼女の姿が過る。
完全なる冤罪にアリア嬢は内心悲しんでいるのか、これでもうバカに振り回されることもなくなると安堵しているのかどっちだろう?ひどく悪趣味なのは分かってるけど、ちょっとした好奇心から彼女の心を聴きたくなった。
(バレてる?ううん、そんなわけないわ)
え、まさかの冤罪じゃないパターン?
(殿下が脱いだ靴下を盗んだ後は同じ品を補充し、脱いだ下着を盗んだ後もちゃんと同じ品を補充したもの)
学園にマニアックな盗人が居るのですが。
「素直に認めるならまだ可愛げがあるというのに、どこまでもシラを切り通す気か!」
(ハァッ!?バッカじゃないの!認めたら警備が厳しくなるじゃない!そんなことも分からないから皆からバカだって陰口言われるのよ!)
そこじゃない。そこじゃないよアリア嬢。バカだと思われてるのはそんな理由じゃない。
(私はいつでもどこでも殿下の靴下を手軽に嗅いだり、脱いだ下着の股を吸ったり舐めたりしたいの!一回使った物はもう殿下味じゃなくなるから何度も盗まなきゃダメなの!)
アリア嬢の変態レベルが思いの外高い件。
どんな顔してるのか見たくなって位置をズレる。
「アリアさん。あたしはアリアさんが謝ってくれたらそれでいいんです。今までされた酷いことも水に流しますから。」
「リルルはなんて優しいんだ。それに比べお前という女は!」
「アンタは恥ってもんを知った方がいい。」
「さっさと謝れよ性悪。」
「優しい優しいリルルが妥協してあげてんの分かれよ。ほら、早く這いつくばって謝罪しろよ。」
「アリアさん。あたし悲しいです。」
「ああ、リルル。悲しまないでくれ。君が悲しいと私たちも悲しい。」
「清らかなリルルを平気で悲しませるお前は醜悪な罪人だ!」
(愛しているから・・・殿下の切った爪や垢を集めたわ。愛しているから・・・殿下か机や椅子の見えないところに付けた鼻くそをこっそり食べたわ。美味しゅうございました。愛しているから・・・殿下が風邪をひくように、バレないように真冬に氷水を何度もぶっかけてひかせ、念のため起きないように暗部に睡眠系を使わせてから鼻水を直吸いしたわ。大変美味しゅうございました。愛しているから・・・愛しているから・・・人を愛することが罪だと言うのなら、確かに私は罪人ね・・・)
もうどこから突っ込めばいいか分からない。アイツ何やってんの?鼻くそ付ける癖まだなおってなかったのか。
それにしても儚げな美しい微苦笑と紡がれる胸のうちの隔たりが酷い。
こんなにも萌えないギャップがあろうとは。
「アリアさんはそんなにあたしが嫌いですか?あたしが平民だからですか?だからあたしに何をしてもいいってことですか?あたっ、あたしはっ、アリアさんと、ひっく、仲、仲良くしたくてぇ、グスッ、頑張ったのに平民というだけで否定するんですね。ううっ・・・」
(この女、さっきからちょいちょい会話に交ざってきてウザいんですけど。なんで無関係のくせに泣いてるの?全く意味が分からない──ハッ!これは殿下の汚れ物を私に先を越され盗めなかった悔し涙ってやつね!何人たりとも殿下の汚れ物は渡さない!全て私の物!ふふっ、ざまぁ!)
いや・・・うん・・・誰も欲しがらないから全部貴女の物です。
こんなにも心踊らないざまぁがあっただろうか。いやない。
アリア嬢の中では変態行為を責められていることで確定している模様。
端から見たら、無実の罪で責めてくる相手にも慈愛の心を向ける、優しい微笑みの令嬢にしか見えないのがなんか腹立つ。
「心の美しいリルルを泣かせる非道な行い!絶対に許さない!」
あ、ヤバいかな。さすがに人目がある場所で暴力沙汰まではいかないと思うけど──いかないよね?いくらバカでもそこまでしないよね?人目がある場所で。多分、きっと。
これ以上醜態をさらす前に、そろそろお開きにしてもらうため、めんどくさいけど腰をあげた。
学園の中庭にある噴水側のベンチで一人、読書をする女子生徒がいる。
「あ、カナデール様だ。相変わらず美しい。」
「第三王子たちが学園を去って、傷つけられた彼女の心も少しは安らいでいるといいな。」
お騒がせ集団はもう居ない。
いろいろやらかしまくっていた迷惑第三王子は、今回の件で陸の孤島の修道院で一生を終わることになり、騒動の発端を含むお騒がせ集団も退学後、大なり小なりの処罰を受けた。
というのが世間一般が知ること。
(早く逢いたいわ)
修道院への道すがら、アリア嬢の暗部が盗賊に扮して第三王子を殺したように見せ、拐っていったことを極一部の者だけが知っている。
修道院まで送る護衛は少数におさえたうえ全部僕の手の者にしたし、日程も耳に入るように流してあげた。
安上がりに中立派を僕の派閥に出来たから、第三王子様様だね。
************
娘に激甘な両親はアリアが切々と愛を訴えた結果、第三王子だけは許すことにしました。
突然の大声に外を見れば第三王子と、見た目しか取り柄のない女子生徒&取り巻き男子共。
政略結婚をどうこう出来る権限とかお前に無いし、どんな権限もお前みたいな性格破綻者に持たせたらろくなことにならないから持たせる訳ないだろ。身の程を知れっての。もしくは死ねばいいのに。
昼食真っ只中のこの時間、ここからは見えないが食堂辺りに居る生徒達が面白イベントを良く見ようと集まっているのは容易く思い浮かぶ。
どう考えても見世物にしかならないような場所でやらかすとか、真実の愛(笑)を知らしめたかったの?今更知らしめなくてもお前の浮気なんて学園で知らないヤツなんていないから。
なんでどっか空いてる個室とかでやらないの?バカなの?バカだったわ。死ねばいいのに。死ねばいいのに。ここ大事。
突っ込み不在のため、お前未来の国王レースからとっくにリタイアさせられてますよという突っ込みのないままイベントは進む。
「惚けるな!お前の悪行を私が知らないとでも思っているのか!」
対峙する学園のマドンナ高嶺の花子さんこと第三王子の婚約者の声は聴こえてこないが何かしら言ったようだ。
人格者として皆に知られている彼女が嫌がらせ等するわけないというのがほとんどの意見だけど、極一部は、彼女もしくは彼女の取り巻きが女子生徒に嫌がらせをしていると頑なに信じている。
普段の凛とした彼女の姿が過る。
完全なる冤罪にアリア嬢は内心悲しんでいるのか、これでもうバカに振り回されることもなくなると安堵しているのかどっちだろう?ひどく悪趣味なのは分かってるけど、ちょっとした好奇心から彼女の心を聴きたくなった。
(バレてる?ううん、そんなわけないわ)
え、まさかの冤罪じゃないパターン?
(殿下が脱いだ靴下を盗んだ後は同じ品を補充し、脱いだ下着を盗んだ後もちゃんと同じ品を補充したもの)
学園にマニアックな盗人が居るのですが。
「素直に認めるならまだ可愛げがあるというのに、どこまでもシラを切り通す気か!」
(ハァッ!?バッカじゃないの!認めたら警備が厳しくなるじゃない!そんなことも分からないから皆からバカだって陰口言われるのよ!)
そこじゃない。そこじゃないよアリア嬢。バカだと思われてるのはそんな理由じゃない。
(私はいつでもどこでも殿下の靴下を手軽に嗅いだり、脱いだ下着の股を吸ったり舐めたりしたいの!一回使った物はもう殿下味じゃなくなるから何度も盗まなきゃダメなの!)
アリア嬢の変態レベルが思いの外高い件。
どんな顔してるのか見たくなって位置をズレる。
「アリアさん。あたしはアリアさんが謝ってくれたらそれでいいんです。今までされた酷いことも水に流しますから。」
「リルルはなんて優しいんだ。それに比べお前という女は!」
「アンタは恥ってもんを知った方がいい。」
「さっさと謝れよ性悪。」
「優しい優しいリルルが妥協してあげてんの分かれよ。ほら、早く這いつくばって謝罪しろよ。」
「アリアさん。あたし悲しいです。」
「ああ、リルル。悲しまないでくれ。君が悲しいと私たちも悲しい。」
「清らかなリルルを平気で悲しませるお前は醜悪な罪人だ!」
(愛しているから・・・殿下の切った爪や垢を集めたわ。愛しているから・・・殿下か机や椅子の見えないところに付けた鼻くそをこっそり食べたわ。美味しゅうございました。愛しているから・・・殿下が風邪をひくように、バレないように真冬に氷水を何度もぶっかけてひかせ、念のため起きないように暗部に睡眠系を使わせてから鼻水を直吸いしたわ。大変美味しゅうございました。愛しているから・・・愛しているから・・・人を愛することが罪だと言うのなら、確かに私は罪人ね・・・)
もうどこから突っ込めばいいか分からない。アイツ何やってんの?鼻くそ付ける癖まだなおってなかったのか。
それにしても儚げな美しい微苦笑と紡がれる胸のうちの隔たりが酷い。
こんなにも萌えないギャップがあろうとは。
「アリアさんはそんなにあたしが嫌いですか?あたしが平民だからですか?だからあたしに何をしてもいいってことですか?あたっ、あたしはっ、アリアさんと、ひっく、仲、仲良くしたくてぇ、グスッ、頑張ったのに平民というだけで否定するんですね。ううっ・・・」
(この女、さっきからちょいちょい会話に交ざってきてウザいんですけど。なんで無関係のくせに泣いてるの?全く意味が分からない──ハッ!これは殿下の汚れ物を私に先を越され盗めなかった悔し涙ってやつね!何人たりとも殿下の汚れ物は渡さない!全て私の物!ふふっ、ざまぁ!)
いや・・・うん・・・誰も欲しがらないから全部貴女の物です。
こんなにも心踊らないざまぁがあっただろうか。いやない。
アリア嬢の中では変態行為を責められていることで確定している模様。
端から見たら、無実の罪で責めてくる相手にも慈愛の心を向ける、優しい微笑みの令嬢にしか見えないのがなんか腹立つ。
「心の美しいリルルを泣かせる非道な行い!絶対に許さない!」
あ、ヤバいかな。さすがに人目がある場所で暴力沙汰まではいかないと思うけど──いかないよね?いくらバカでもそこまでしないよね?人目がある場所で。多分、きっと。
これ以上醜態をさらす前に、そろそろお開きにしてもらうため、めんどくさいけど腰をあげた。
学園の中庭にある噴水側のベンチで一人、読書をする女子生徒がいる。
「あ、カナデール様だ。相変わらず美しい。」
「第三王子たちが学園を去って、傷つけられた彼女の心も少しは安らいでいるといいな。」
お騒がせ集団はもう居ない。
いろいろやらかしまくっていた迷惑第三王子は、今回の件で陸の孤島の修道院で一生を終わることになり、騒動の発端を含むお騒がせ集団も退学後、大なり小なりの処罰を受けた。
というのが世間一般が知ること。
(早く逢いたいわ)
修道院への道すがら、アリア嬢の暗部が盗賊に扮して第三王子を殺したように見せ、拐っていったことを極一部の者だけが知っている。
修道院まで送る護衛は少数におさえたうえ全部僕の手の者にしたし、日程も耳に入るように流してあげた。
安上がりに中立派を僕の派閥に出来たから、第三王子様様だね。
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娘に激甘な両親はアリアが切々と愛を訴えた結果、第三王子だけは許すことにしました。
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