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第二章 三年前
『悪友』と『私』【3】
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【19】
「………あの、リルディア様。やはりお気に召しませんか?」
私の暫しの沈黙にローズロッテが心配そうに伺いを立ててくる。そんな私は周囲をぐるりと見回しながら、その光景に呆気に取られるばかりだ。
「………ローズ。」
「は、はい?」
私がぼそりと彼女の名前を呼ぶと、ローズロッテは私の反応を伺うべく恐る恐る返事をする。私はそんな彼女の顔をジッと見つめると両手の平を合わせてパンと一回打ち鳴らした。その音にローズロッテは驚いて一歩後ずさるも、私は自分の手を握りしめたまま辺りをキョロキョロと見回す。そしてーーー
「すっご~い!! 何これ!? やだ、超楽しい!!」
それは私の冒険心を大いに煽った為、気分は一気に再浮上し、まるで子供のようにはしゃぎまくる。(いや、だってまだ子供だから)
彼女が私の為に用意したという その庭はとても不思議で異様な雰囲気に包まれていた。そしてそんな私の反応にホッとしたのかローズロッテは胸を撫で下ろすかのように小さく息を吐くと、ニコニコと笑いながら私の腕に自分の腕を回してくる。
「ーーはあ、よかったですわ。お気に召して頂けましたのね? 実は少しだけ不安でしたの。リルディア様が急に沈黙なさるものですから。今回は本当に自信作ですのよ? それもリルディア様がお部屋に籠られていらした時から少しずつ準備をしていたのですわ。ご気分の優れないリルディア様に少しでも楽しんで頂こうと思いまして」
それを聞いて私はユーリウス王子のサプライズを思い出す。
「ーーねえ、それってもしかして、母様も協力してる?」
こんな立て続けのサプライズなどとは、もしやまた母様が? とも思ったが、どうやら違うようだ。
「母様? ああ、リルディア様のお母上の事ですわね? いいえ、違いますわ。実は我が父上のご提案でしたの。リルディア様が早くお元気になられるように、いつもとは違うお庭での茶会をしては? と仰っしゃったのですわ。ですから私の協力者は父上ですの。
我が父上も本当にリルディア様の事を大変心配しておりましたのよ? ですが中々ご面会が叶いませんでしたので、この度、リルディア様を我が屋敷にお招きしようと計画致したのですわ。ですから本来ならば我が父上もリルディア様にご挨拶申し上げる予定ではあったのですが、本日は生憎と仕事で家を留守にしておりまして、本当に申し訳ありませんわ」
それを聞いてなるほど、と納得する。どうやら侯爵はユーリウス王子の今回のサプライズをどこからか聞きつけて、早速私のご機嫌取りに動いたのだろう。でなければこんな常識外れの奇特な格好や異様な庭を作る事など、大貴族である侯爵がいくら愛娘のお願いでも許可などするわけがない。しかもこのような大掛かりな庭を作るのだから、かなりのお金と人手がかかっているのは目に見えて明らかだ。
「ローズロッテ。私の為に本当にありがとう。このお庭も大変気に入ったわ。しかもこんなに楽しいお庭は初めてよ。貴女のお父上には今度お会いした時に改めてお礼申し上げるけれど、私がそのお気遣いに大変感謝していたとお父上に申し上げておいて貰えないかしら?」
私の言葉にローズロッテは満面の笑みで頷く。
「ええ、リルディア様に喜んで頂けて父上もきっとお喜びになりますわ! リルディア様がお元気になられて本当によかった」
…………分からない。
私はこんなローズロッテを見ていて思う事がある。ローズロッテは何故かいつも私にだけ こうして人懐っこく腕を回してくっついてきたり、私をお人形のように着飾らせてみたり、他のご令嬢とは出来ないような遊びを誘ってきたりと、このように私を自分の屋敷にもよく招待してくる。
それは私が父王に溺愛されている王女で、自分の父親である侯爵が懇意にしている利用価値のある人間だから、私を『特別視』しているのは分かってはいるが、そんな貴族の“利”とは別に、彼女から特に親しみを持たれている気がする。それは彼女の他の令嬢達と私への扱いが違うせいもあるが、彼女はそんな私の事を『親しい友人』だとも言っている。
私にしてみればお互い“利”で繋がっているだけでローズロッテの事は趣味も性格も合わないし本当の『友人』とも思ってはいない。敢えて言うなれば『悪友』である。
事実、私が自分の気に入らない人間を苛める時には、彼女が私側にいて一緒に参戦してきたり、時には私の知らない所で私をよく思わない令嬢達に意地悪をしていたりと、貴族の間ではデコルデ侯爵令嬢は第四王女の腰巾着と言われているが、私はそんな彼女に苛めを依頼した事などは一度も無い。全ては彼女が勝手に動いているだけなのだが、周囲は私とローズロッテが『親友』だと思っている。
でも確かに私も貴族のご令嬢達の中で一番親しくしているのはこのローズロッテだけで、彼女を信用していないからこそ素で付き合える、そんな私達はある意味性格の良くない者同士、親友に類似した『類友』なのかもしれない。
「それにしても、これ本当にすごいわね。まるで物話に出てくる『魔女の森』みたい」
私が感嘆すると、ローズロッテは小さく拍手をする。
「さすがはリルディア様。まさにお庭の題目は『魔女の森』ですの。しかも不気味さと可愛さを兼ね備えてみましたわ。うふふ、まるで物語のお話の中にいるみたいでしょう?」
そんな彼女が披露する侯爵家の大きな広い庭はあり得ないほどに様相が変わっていた。
それは迷路の如く樹木が生い茂るように設置され、更に劇場のお芝居で使うような細部まで丁寧に描かれた情景画がの大きな板が幾つも綺麗に並べられており、近くの噴水では薄赤色の水が吹き出していて、そこから葡萄の良い香りが漂っている。
そして何とも奇怪なのは、生い茂る草木の中のあらゆる所に勿論、作り物ではあるが、鳥の羽が生えた黒い鹿や玉のようにまん丸に膨らんだ栗鼠。長い睫毛がやけに印象的なつぶらな目の灰色兎など到底、現実には存在し得ない動物達が置かれていて、更に人の形をした石膏像までも無造作に並べられておりコンセプトのまるで分からない光景だ。
「ーー確かに この格好じゃないと、お庭の雰囲気には合わないわね。ーーうん、納得した」
私は頷きつつもローズロッテと共に設置してあるテーブルまで歩きながら辺りを観察する。
「だけど貴女がこんなに想像力の豊かな発想を持っている人だったなんて知らなかった。貴女のサプライズは私のお父様以上よ? 侯爵令嬢の意外な一面を見たわ」
そんな感嘆する私の隣でローズロッテがクスクスと笑う。
「ふふっ、残念ですけれど、これは私の発想ではありませんの。私の愛読書で双子の魔女が出てくるお話に因んでいるのですわ」
それを聞いた私はその“双子の魔女”という言葉に大いに心当たりがある。
「………それって、まさか今、市井で出回っている『規制本』じゃないわよね?」
そんな私の言葉にローズロッテの瞳が忽ちキラキラと輝いた。
「まあ! リルディア様もご存じでいらしたのね? そうですわ。今、市井で大変人気のある あの『本』ですわ! ふふっ、でもまさかリルディア様もあの『本』の愛読者だなんて私達は本当に気が合いますわね?」
ーーいや、愛読者違うから。
そしてやっぱりか!
私は慌てて首を横に振る。
「ち、違うわ。私は『本』自体を読んだ事は一度も無いわ。ただ内容を何となく聞いていたから知っているだけよ。それにその『本』は大人にしか購入できない『規制本』でしょう? 内容だって、ローズのような上流貴族の深窓のご令嬢が愛読するようなものでは無いはずよ?」
するとローズロッテは意地悪っぽい笑みを浮かべながら小首を傾げる仕草をする。
「私は市井の流行にも寛大だと申し上げましたでしょう? 世の中の情報は幅広く知識を持っていて損はありませんことよ? それに私などよりも全ての上流貴族の頂点であらせられる“深窓の王女様”がお読みになっていらっしゃるのですもの。そのような些細な事など宜しいではありませんか」
「だから読んではいないんだってば。本当に内容を少しだけ聞き及んでいただけなのよ。だって無礼でしょう? あの『本』は私達王家の人間を題材にしているのよ? 私と母様が双子の性悪魔女だなんて、否定できないだけに面白くないわ。しかもあの主人公だって胸糞悪いったらないわよ。全く何なのよアレはーーー」
母の話を思い出して不機嫌そうな表情を浮かべる私とは対照的に、ローズロッテの方は声を抑えながらも笑いが止まらないようだ。
「ぷ、くくっ ーーリルディア様。本当になんてお可愛らしいのかしら? 確かに信じられないような主人公ですものね。あれではどちらが悪者なのか分かりませんもの。ですがどちらかと言うとリルディア様のーーいえ、双子の魔女の妹の展開が面白くなってきていますでしょう? 私、今から楽しみで仕方ないのですわ。リルディア様ーーいえ、魔女の妹がどちらの殿方を選ばれるのか。
私と致しましては美しい王子様も良いのですけれど、強引で積極的な王太子様の方をお薦め致しますわ。私個人の好みの男性のタイプはそういう殿方が好みなんですの。ふふっ、それに略奪愛なんて憧れますわ。素敵ですわよね~」
まるで夢見る乙女のように うっとりと遠くを見つめるローズロッテを見ながら、私は小さく肩を竦める。
「………ローズ。現実はそんなに甘くないと聞くわ。物語と言うのはあくまで主人公が主役でしょう? 所詮、魔女なんてものは主人公の存在を引き立たせる為の脇役にしか過ぎないのよ? 確かに私もあの展開は気になるところだけれど、それでもやっぱり最後には主人公がお決まりのそれ見たことか!と言わんばかりの展開になるんじゃない?
しかも貴女が良いと言う王太子だって、あの第一王女のイルミナ姉様を参考にしているのよ? 私が妹魔女なら絶対死んでもイルミナ姉様は無いわ。毎日姉様にいたぶられて喜ぶ自虐趣味なんて持ち合わせてなどいないわよ。それに強引で積極的な男なんて面倒くさいだけじゃない。それなら大人しくて優しい方が懐柔しやすいと、貴族のご婦人達も話していたわ」
私の言葉に今度はローズロッテが小さく肩を竦める。
「リルディア様? それはそれ、これはこれですわよ? 夫と恋人は違いますわ。勿論、夫にするならば大人しい方が何より理想的ですもの。ですが、恋人にするならば積極的な方が恋愛は刺激的で面白いですわ。特に私達のような貴族社会ではそんな使い分けも当たり前ですもの。リルディア様も今は分からずともいずれ自然とお分かりになられますわ」
私はその言葉に首を傾げる。
「それはどうかしら? 私には夫と恋人が別だなんて考えられないわ。私は一人だけで十分よ。人間関係も面倒くさいし、多方面に心を分けるほどの器用さなんて持ってはいないもの」
そんな私の反応にローズロッテはふわりと優しげな笑顔を向ける。
「ーーリルディア様に愛される殿方はきっと誰よりも幸福者ですわね。………本当にリルディア様はご自分に正直で真っ直ぐで貴族社会に全くそぐわない綺麗な御方。それはまるでいつまでも変わらない穢れさえも知らない美しい『お人形』のよう。………私とは大違いですのね。
ですが、綺麗であればあるほど一度汚れてしまえば忽ち真っ黒に染まってしまうのですわ。だからこそ汚してしまいたくなる………そうですわね、例えば真っ白な新しいシーツを泥で真っ黒にするとかーーー」
意味深な視線で、それでも優しい笑顔を向けてくるローズロッテに思わず身を引いてしまう。
「ち、ちょっと、ローズ? その笑顔、なんか怖いから。それに物言いも何だか物騒に聞こえるわよ? しかも私が綺麗? 外見ではなく中身での意味なら世間で我儘王女と呼ばれているのにそれはあり得ないでしょ。私の意地悪だって貴族内からも定評されているのは貴女も一緒にやっているのだから知っているじゃないの。
それと、そのシーツの例え、私、既に実証しているわ。だから貴女のその気持ちは分かるわよ? そうね、あの時はすごく退屈で面白くなくて、たまたま日干ししてあった真っ白なシーツを見たら何だか無性に汚したくなって、泥では無かったけれど墨汁で絵を描いてやったのよね。後でお父様から何故かすごく誉められたわ。なんでもその似顔絵が独創的で大変面白かったのですって」
******
そう、思い起こせばーーあの時は、城から脱出して一人で城下に行った罰で暫く城の外には一切出して貰えず毎日が退屈で面白くなかったので、仕方なく城内をぶらぶらと散策していた時に、洗場のある庭に日干ししてあった沢山の真っ白なシーツが目に入って、それらが風でヒラヒラしているのを見たら何となくイラっとして、部屋に墨汁と筆を取りに戻ると誰もいない隙をついて、その真っ白なシーツに父、母、騎士団隊長達など知っている限りの人物の似顔絵を描いた。
その内、洗い場の侍女達が戻って来たので見つからないように急いで部屋に戻ったのだが、何故だろうか? 私の仕業を誰にも見られてはいない筈なのに直ぐに父や母に私がシーツを汚した犯人だと気付かれてしまい、母には叱られたが、父からは私には“絵の才能”があると言われ『あんな独創的な似顔絵を描けるのはお前しかいない』ーーと、大いに誉められ、しかもその私の力作?のシーツの絵を城の皆を集めて披露までされた。そしてそのシーツを見た者達は皆、何故か大いにうけて大笑いの渦が起こり、特にヴァンデル第一騎士団隊長などは自分が描かれた似顔絵を複雑そうな表情で見つめながら
「………これが俺か? 陛下の絵よりも人間の姿すらしていないぞ? しかも目玉も飛び出しているし、そこから稲妻が出ている………これが俺なのか?これが………俺?」
いつもの強面が驚きを隠せない表情で言葉を失うヴァンデル隊長に父が大声で爆笑する。
「うははははっつ、グレッグ。この絵はお前の“特徴”をよく捉えているではないか。お前は目も大きいし、その目で睨まれたらまるで稲妻が出ているようだと周りから聞いた事があるぞ? 我が娘ながらなんと絵心のある素晴らしい出来ではないか! おお、そうだ! この絵をこの大広間に飾ってはどうだろう? その辺のつまらない絵画よりも ずっと面白くて素晴らしいだろう?」
それを聞いたヴァンデル隊長はげんなりとした様子で口を開く。
「………それだけはやめてくれ。貴方には面白いかもしれんが、俺は『これ』を見る度に確実に戦意を喪失する………」
「なんだ? これは我が娘の傑作なのだぞ? 失礼なヤツだな。はははははっ」
大笑いの父とは正反対に額を押さえて その大きな背を丸めてガックリと肩を落とすヴァンデル隊長の姿が その時はやけに印象に残った。
あのヴァンデル隊長の似顔絵は描いている内に次第に面白くなってきて、その場のノリと勢いで描いたのだが、あの時のヴァンデル隊長の様子を思い出すと、やはりせめて人の形で描くべきであったと、今更ではあるけれど思ってしまう。
ーー結局、その私の傑作?の絵を大広間に飾るという父の案はヴァンデル隊長は勿論、母や周囲からも猛反対にあったので却下されたのだがーーー
【19ー終】
「………あの、リルディア様。やはりお気に召しませんか?」
私の暫しの沈黙にローズロッテが心配そうに伺いを立ててくる。そんな私は周囲をぐるりと見回しながら、その光景に呆気に取られるばかりだ。
「………ローズ。」
「は、はい?」
私がぼそりと彼女の名前を呼ぶと、ローズロッテは私の反応を伺うべく恐る恐る返事をする。私はそんな彼女の顔をジッと見つめると両手の平を合わせてパンと一回打ち鳴らした。その音にローズロッテは驚いて一歩後ずさるも、私は自分の手を握りしめたまま辺りをキョロキョロと見回す。そしてーーー
「すっご~い!! 何これ!? やだ、超楽しい!!」
それは私の冒険心を大いに煽った為、気分は一気に再浮上し、まるで子供のようにはしゃぎまくる。(いや、だってまだ子供だから)
彼女が私の為に用意したという その庭はとても不思議で異様な雰囲気に包まれていた。そしてそんな私の反応にホッとしたのかローズロッテは胸を撫で下ろすかのように小さく息を吐くと、ニコニコと笑いながら私の腕に自分の腕を回してくる。
「ーーはあ、よかったですわ。お気に召して頂けましたのね? 実は少しだけ不安でしたの。リルディア様が急に沈黙なさるものですから。今回は本当に自信作ですのよ? それもリルディア様がお部屋に籠られていらした時から少しずつ準備をしていたのですわ。ご気分の優れないリルディア様に少しでも楽しんで頂こうと思いまして」
それを聞いて私はユーリウス王子のサプライズを思い出す。
「ーーねえ、それってもしかして、母様も協力してる?」
こんな立て続けのサプライズなどとは、もしやまた母様が? とも思ったが、どうやら違うようだ。
「母様? ああ、リルディア様のお母上の事ですわね? いいえ、違いますわ。実は我が父上のご提案でしたの。リルディア様が早くお元気になられるように、いつもとは違うお庭での茶会をしては? と仰っしゃったのですわ。ですから私の協力者は父上ですの。
我が父上も本当にリルディア様の事を大変心配しておりましたのよ? ですが中々ご面会が叶いませんでしたので、この度、リルディア様を我が屋敷にお招きしようと計画致したのですわ。ですから本来ならば我が父上もリルディア様にご挨拶申し上げる予定ではあったのですが、本日は生憎と仕事で家を留守にしておりまして、本当に申し訳ありませんわ」
それを聞いてなるほど、と納得する。どうやら侯爵はユーリウス王子の今回のサプライズをどこからか聞きつけて、早速私のご機嫌取りに動いたのだろう。でなければこんな常識外れの奇特な格好や異様な庭を作る事など、大貴族である侯爵がいくら愛娘のお願いでも許可などするわけがない。しかもこのような大掛かりな庭を作るのだから、かなりのお金と人手がかかっているのは目に見えて明らかだ。
「ローズロッテ。私の為に本当にありがとう。このお庭も大変気に入ったわ。しかもこんなに楽しいお庭は初めてよ。貴女のお父上には今度お会いした時に改めてお礼申し上げるけれど、私がそのお気遣いに大変感謝していたとお父上に申し上げておいて貰えないかしら?」
私の言葉にローズロッテは満面の笑みで頷く。
「ええ、リルディア様に喜んで頂けて父上もきっとお喜びになりますわ! リルディア様がお元気になられて本当によかった」
…………分からない。
私はこんなローズロッテを見ていて思う事がある。ローズロッテは何故かいつも私にだけ こうして人懐っこく腕を回してくっついてきたり、私をお人形のように着飾らせてみたり、他のご令嬢とは出来ないような遊びを誘ってきたりと、このように私を自分の屋敷にもよく招待してくる。
それは私が父王に溺愛されている王女で、自分の父親である侯爵が懇意にしている利用価値のある人間だから、私を『特別視』しているのは分かってはいるが、そんな貴族の“利”とは別に、彼女から特に親しみを持たれている気がする。それは彼女の他の令嬢達と私への扱いが違うせいもあるが、彼女はそんな私の事を『親しい友人』だとも言っている。
私にしてみればお互い“利”で繋がっているだけでローズロッテの事は趣味も性格も合わないし本当の『友人』とも思ってはいない。敢えて言うなれば『悪友』である。
事実、私が自分の気に入らない人間を苛める時には、彼女が私側にいて一緒に参戦してきたり、時には私の知らない所で私をよく思わない令嬢達に意地悪をしていたりと、貴族の間ではデコルデ侯爵令嬢は第四王女の腰巾着と言われているが、私はそんな彼女に苛めを依頼した事などは一度も無い。全ては彼女が勝手に動いているだけなのだが、周囲は私とローズロッテが『親友』だと思っている。
でも確かに私も貴族のご令嬢達の中で一番親しくしているのはこのローズロッテだけで、彼女を信用していないからこそ素で付き合える、そんな私達はある意味性格の良くない者同士、親友に類似した『類友』なのかもしれない。
「それにしても、これ本当にすごいわね。まるで物話に出てくる『魔女の森』みたい」
私が感嘆すると、ローズロッテは小さく拍手をする。
「さすがはリルディア様。まさにお庭の題目は『魔女の森』ですの。しかも不気味さと可愛さを兼ね備えてみましたわ。うふふ、まるで物語のお話の中にいるみたいでしょう?」
そんな彼女が披露する侯爵家の大きな広い庭はあり得ないほどに様相が変わっていた。
それは迷路の如く樹木が生い茂るように設置され、更に劇場のお芝居で使うような細部まで丁寧に描かれた情景画がの大きな板が幾つも綺麗に並べられており、近くの噴水では薄赤色の水が吹き出していて、そこから葡萄の良い香りが漂っている。
そして何とも奇怪なのは、生い茂る草木の中のあらゆる所に勿論、作り物ではあるが、鳥の羽が生えた黒い鹿や玉のようにまん丸に膨らんだ栗鼠。長い睫毛がやけに印象的なつぶらな目の灰色兎など到底、現実には存在し得ない動物達が置かれていて、更に人の形をした石膏像までも無造作に並べられておりコンセプトのまるで分からない光景だ。
「ーー確かに この格好じゃないと、お庭の雰囲気には合わないわね。ーーうん、納得した」
私は頷きつつもローズロッテと共に設置してあるテーブルまで歩きながら辺りを観察する。
「だけど貴女がこんなに想像力の豊かな発想を持っている人だったなんて知らなかった。貴女のサプライズは私のお父様以上よ? 侯爵令嬢の意外な一面を見たわ」
そんな感嘆する私の隣でローズロッテがクスクスと笑う。
「ふふっ、残念ですけれど、これは私の発想ではありませんの。私の愛読書で双子の魔女が出てくるお話に因んでいるのですわ」
それを聞いた私はその“双子の魔女”という言葉に大いに心当たりがある。
「………それって、まさか今、市井で出回っている『規制本』じゃないわよね?」
そんな私の言葉にローズロッテの瞳が忽ちキラキラと輝いた。
「まあ! リルディア様もご存じでいらしたのね? そうですわ。今、市井で大変人気のある あの『本』ですわ! ふふっ、でもまさかリルディア様もあの『本』の愛読者だなんて私達は本当に気が合いますわね?」
ーーいや、愛読者違うから。
そしてやっぱりか!
私は慌てて首を横に振る。
「ち、違うわ。私は『本』自体を読んだ事は一度も無いわ。ただ内容を何となく聞いていたから知っているだけよ。それにその『本』は大人にしか購入できない『規制本』でしょう? 内容だって、ローズのような上流貴族の深窓のご令嬢が愛読するようなものでは無いはずよ?」
するとローズロッテは意地悪っぽい笑みを浮かべながら小首を傾げる仕草をする。
「私は市井の流行にも寛大だと申し上げましたでしょう? 世の中の情報は幅広く知識を持っていて損はありませんことよ? それに私などよりも全ての上流貴族の頂点であらせられる“深窓の王女様”がお読みになっていらっしゃるのですもの。そのような些細な事など宜しいではありませんか」
「だから読んではいないんだってば。本当に内容を少しだけ聞き及んでいただけなのよ。だって無礼でしょう? あの『本』は私達王家の人間を題材にしているのよ? 私と母様が双子の性悪魔女だなんて、否定できないだけに面白くないわ。しかもあの主人公だって胸糞悪いったらないわよ。全く何なのよアレはーーー」
母の話を思い出して不機嫌そうな表情を浮かべる私とは対照的に、ローズロッテの方は声を抑えながらも笑いが止まらないようだ。
「ぷ、くくっ ーーリルディア様。本当になんてお可愛らしいのかしら? 確かに信じられないような主人公ですものね。あれではどちらが悪者なのか分かりませんもの。ですがどちらかと言うとリルディア様のーーいえ、双子の魔女の妹の展開が面白くなってきていますでしょう? 私、今から楽しみで仕方ないのですわ。リルディア様ーーいえ、魔女の妹がどちらの殿方を選ばれるのか。
私と致しましては美しい王子様も良いのですけれど、強引で積極的な王太子様の方をお薦め致しますわ。私個人の好みの男性のタイプはそういう殿方が好みなんですの。ふふっ、それに略奪愛なんて憧れますわ。素敵ですわよね~」
まるで夢見る乙女のように うっとりと遠くを見つめるローズロッテを見ながら、私は小さく肩を竦める。
「………ローズ。現実はそんなに甘くないと聞くわ。物語と言うのはあくまで主人公が主役でしょう? 所詮、魔女なんてものは主人公の存在を引き立たせる為の脇役にしか過ぎないのよ? 確かに私もあの展開は気になるところだけれど、それでもやっぱり最後には主人公がお決まりのそれ見たことか!と言わんばかりの展開になるんじゃない?
しかも貴女が良いと言う王太子だって、あの第一王女のイルミナ姉様を参考にしているのよ? 私が妹魔女なら絶対死んでもイルミナ姉様は無いわ。毎日姉様にいたぶられて喜ぶ自虐趣味なんて持ち合わせてなどいないわよ。それに強引で積極的な男なんて面倒くさいだけじゃない。それなら大人しくて優しい方が懐柔しやすいと、貴族のご婦人達も話していたわ」
私の言葉に今度はローズロッテが小さく肩を竦める。
「リルディア様? それはそれ、これはこれですわよ? 夫と恋人は違いますわ。勿論、夫にするならば大人しい方が何より理想的ですもの。ですが、恋人にするならば積極的な方が恋愛は刺激的で面白いですわ。特に私達のような貴族社会ではそんな使い分けも当たり前ですもの。リルディア様も今は分からずともいずれ自然とお分かりになられますわ」
私はその言葉に首を傾げる。
「それはどうかしら? 私には夫と恋人が別だなんて考えられないわ。私は一人だけで十分よ。人間関係も面倒くさいし、多方面に心を分けるほどの器用さなんて持ってはいないもの」
そんな私の反応にローズロッテはふわりと優しげな笑顔を向ける。
「ーーリルディア様に愛される殿方はきっと誰よりも幸福者ですわね。………本当にリルディア様はご自分に正直で真っ直ぐで貴族社会に全くそぐわない綺麗な御方。それはまるでいつまでも変わらない穢れさえも知らない美しい『お人形』のよう。………私とは大違いですのね。
ですが、綺麗であればあるほど一度汚れてしまえば忽ち真っ黒に染まってしまうのですわ。だからこそ汚してしまいたくなる………そうですわね、例えば真っ白な新しいシーツを泥で真っ黒にするとかーーー」
意味深な視線で、それでも優しい笑顔を向けてくるローズロッテに思わず身を引いてしまう。
「ち、ちょっと、ローズ? その笑顔、なんか怖いから。それに物言いも何だか物騒に聞こえるわよ? しかも私が綺麗? 外見ではなく中身での意味なら世間で我儘王女と呼ばれているのにそれはあり得ないでしょ。私の意地悪だって貴族内からも定評されているのは貴女も一緒にやっているのだから知っているじゃないの。
それと、そのシーツの例え、私、既に実証しているわ。だから貴女のその気持ちは分かるわよ? そうね、あの時はすごく退屈で面白くなくて、たまたま日干ししてあった真っ白なシーツを見たら何だか無性に汚したくなって、泥では無かったけれど墨汁で絵を描いてやったのよね。後でお父様から何故かすごく誉められたわ。なんでもその似顔絵が独創的で大変面白かったのですって」
******
そう、思い起こせばーーあの時は、城から脱出して一人で城下に行った罰で暫く城の外には一切出して貰えず毎日が退屈で面白くなかったので、仕方なく城内をぶらぶらと散策していた時に、洗場のある庭に日干ししてあった沢山の真っ白なシーツが目に入って、それらが風でヒラヒラしているのを見たら何となくイラっとして、部屋に墨汁と筆を取りに戻ると誰もいない隙をついて、その真っ白なシーツに父、母、騎士団隊長達など知っている限りの人物の似顔絵を描いた。
その内、洗い場の侍女達が戻って来たので見つからないように急いで部屋に戻ったのだが、何故だろうか? 私の仕業を誰にも見られてはいない筈なのに直ぐに父や母に私がシーツを汚した犯人だと気付かれてしまい、母には叱られたが、父からは私には“絵の才能”があると言われ『あんな独創的な似顔絵を描けるのはお前しかいない』ーーと、大いに誉められ、しかもその私の力作?のシーツの絵を城の皆を集めて披露までされた。そしてそのシーツを見た者達は皆、何故か大いにうけて大笑いの渦が起こり、特にヴァンデル第一騎士団隊長などは自分が描かれた似顔絵を複雑そうな表情で見つめながら
「………これが俺か? 陛下の絵よりも人間の姿すらしていないぞ? しかも目玉も飛び出しているし、そこから稲妻が出ている………これが俺なのか?これが………俺?」
いつもの強面が驚きを隠せない表情で言葉を失うヴァンデル隊長に父が大声で爆笑する。
「うははははっつ、グレッグ。この絵はお前の“特徴”をよく捉えているではないか。お前は目も大きいし、その目で睨まれたらまるで稲妻が出ているようだと周りから聞いた事があるぞ? 我が娘ながらなんと絵心のある素晴らしい出来ではないか! おお、そうだ! この絵をこの大広間に飾ってはどうだろう? その辺のつまらない絵画よりも ずっと面白くて素晴らしいだろう?」
それを聞いたヴァンデル隊長はげんなりとした様子で口を開く。
「………それだけはやめてくれ。貴方には面白いかもしれんが、俺は『これ』を見る度に確実に戦意を喪失する………」
「なんだ? これは我が娘の傑作なのだぞ? 失礼なヤツだな。はははははっ」
大笑いの父とは正反対に額を押さえて その大きな背を丸めてガックリと肩を落とすヴァンデル隊長の姿が その時はやけに印象に残った。
あのヴァンデル隊長の似顔絵は描いている内に次第に面白くなってきて、その場のノリと勢いで描いたのだが、あの時のヴァンデル隊長の様子を思い出すと、やはりせめて人の形で描くべきであったと、今更ではあるけれど思ってしまう。
ーー結局、その私の傑作?の絵を大広間に飾るという父の案はヴァンデル隊長は勿論、母や周囲からも猛反対にあったので却下されたのだがーーー
【19ー終】
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「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
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