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【小話】~サイドストーリー
【小話⑧ー5真相~すれ違い】
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【小話⑧ー5】
「はあぁーー全く、お前もどこまでも強情な奴だな。 その様に幾重にも防衛線を引いて、よほど我が娘が怖いと見える。
ーーまあ、いい。まだ時間はあるんだ。 さすがに今はまだ子供のリルディアに対して『女』として見ろというのも到底、無理な話ではあるからな。
それにリルディアが16歳になるまでにはお前の気が変わるかもしれんからそれまで『保留』にしておいてやる。
まあ、なんにせよ、たとえリルディアがセルリアに嫁いだとしても私は娘を手放す気は全く無いが、お前と一緒になればリルディアが国を出て行く事もなく私の傍に一生置いておける。 お前だってリルディアが他所の国に行ってしまうのは嫌だろう?」
「ーーやはり、それが本音ですか。 しかも嫁いでも手放さないなどと、どれだけ常識外れなーーくっ」
そんな会話の途中、クラウスはその場に立ち止まると、太陽から差し込む強い日差しを肩からかけているマントで光を遮り両目を手の平で押さえる。
「クラウス!! 大丈夫か!? ーーああ、今日は特に日差しが強い。 なるべく外の景色は見るなよ?」
国王はそんな弟を陽光から守るように己の体とマントで壁を作って光の差し込まない方に弟の体を移動させた。
「ーーええ、もう大丈夫です。 ご心配をお掛けして申し訳ありません。 ーー少し失礼致します」
クラウスは上着のポケットから小さな瓶を取り出すと、その中の液体を目に差し入れ、そして暫くハンカチで目を押さえてからようやく顔を上げる。
「ーー全く、この二日前まで大雨続きだったというのに、どうして今日に限って雲一つない晴天なのだ! せめて曇ってさえいればよいものをーーー」
そんな自然界の現象にまで文句をつける国王を見て、クラウスはフッと笑う。
「祭典の当日に晴天であってよかったではないですか。 それに本日はリルディアの初の『祝福の聖乙女』のお披露目でもあるのですから、尚更天気が良くてよかった。
ーーそれに陛下も私の事は言えないですね。 国王がそのような“むくれた不機嫌な顔”をしていては祭りを楽しみにしている者達に失礼にあたるのではないですか?」
そんな弟の言葉に国王はふん、と鼻を鳴らす。
「ふん、お前という奴は“むくれた顔”と言ったのをまだ根に持っていたのか。 お前は大人しそうに見えて言う事は言う奴だからな」
「貴方の弟ですからね。 けれど根に持っているなどと心外です。 私は陛下から受けた言葉をそのまま、お返し差し上げただけですから」
「フッ、相変わらず口のへらない奴だ。 ーーそれで 目の具合はどうなんだ? かなり悪いのか?」
国王は砕けた雰囲気から一変し、弟を心配そうに見つめている。
「ーーそう……ですね。 正直に申し上げれば日増しに病状は進行しています。 今は薬で抑えているので日常の生活に支障はないのですが、やはりこのような強い日差しは、さすがに堪えますね。 本日の儀式が屋内であった事が幸いでした」
「ーーそうだな。………だが、それでも辛いようなら直ぐに言え。 無理はするなよ?」
「ありがとうございます。 けれど大丈夫です。 そこまで酷い状態ではないですから」
そう言って目を閉じたまま口許に僅かに笑みを作って見せる弟に国王が長い息をつく。
「ーーそれにしても、本当にそのフォルセナ特有の紺碧の瞳に発症する後天性の持病というのは、なんとも忌々しくも厄介なものだな。
数人に一人の確率で発症する後天性の疾患だけに、病の有無が発症するまで全く分からんとは。
しかもイレーナやイルミナは発症してはおらぬのにブランノアの血統でもあるお前が今頃になってその病が発症するなどと、どうなっているのだ!?」
「それは仕方がありません。 私の母上も発症しておりますので、これはもう“遺伝”なのでしょう」
「クラウスーー『奉納祭』が終われば直ぐにフォルセナに発つのだろう? 王家の男子の病は秘密事項として周囲に隠さねばならんが、やはりリルディアにだけは本当の事を話しておいた方が良いのではないか?
それでなくとも私はお前の結婚話の一件、これ以上リルディアに秘密を作る事は出来ないのだぞ。 もし、これがリルディアに知れたら私は今度こそ嫌われてしまうではないか」
「その時は私がリルディアに許してもらえるまで謝罪しますから、陛下、どうか今回だけは私に協力して下さい。 リルディアに要らぬ心配を掛けたくはないのです。それにもし本当の事を話せば、もしかしたら一緒について来てしまうかもしれません。
私は目の治療の為に長期に渡ってフォルセナに滞在しなくてはならないのに、リルディアがフォルセナに滞在してはさすがに色々と問題がありますし、しかもセルリアとの体面もあります。 陛下とてリルディアとは長い間離れる事など出来ないでしょう?」
「当たり前だ! 戦の遠征時は仕方ないがそんなに長くリルディアと離れられるわけがなかろう。 現時点では私やお前がいる手前、フォルセナがリルディアに何かをしてくるとは思わんが、それでも万が一リルディアを人質にでも捕られてしまえば私には手も足も何もだせん!」
「ええ、ですからリルディアには私が勉学の為に外国に長期で留学するという事で口裏を合わせておいて頂きたいのです。 勿論、目の治療と一緒に留学するのは本当の事ですから、リルディアに嘘をつく事にはならないので私の病の事だけを伏せて黙っていて下されば良いのです」
そんな弟の頼み事にも国王の顔は眉間に皺が幾つも寄ったまま、非常に渋い表情を浮かべて小さく唸る。
「むうぅぅ………こればっかりは、さすがに仕方のない事だからな。 確かにお前の病の事を話せばリルディアは絶対にお前について行くと言い出しかねないし、
そんなリルディアに「駄目だ」と言ったところで、泣かれでもしたら私にはもう止められん。 しかも外の世界はリルディアの身が危険に晒される可能性も高くなる。
ーーリルディアに隠さねばならないのは私としては大変気が進まないが、しかしここはお前の言う通りにせざるを得ないだろうな。
まあ、お前の病の事はごく一部の人間にしか知らぬ事だから口裏を合わせるのは容易いが、しかし全てが明るみになった時、リルディアが絶対に激昂する事は間違い無しだぞ?
そしてお前といえども嫌われて口もきいてもらえなくなるぞ? 本当にどうなっても私は知らないからな?」
国王は渋々了承はしたものの、それでもまだ面白くないといった表情を浮かべたままドスドスと強い足並みで、しかし差し込む日差しから弟を守るように己の体を壁にして前を歩いている。
クラウスはそんな国王を見て小さく頭を下げると、その大きな背中に声を掛ける。
【⑧ー続】
「はあぁーー全く、お前もどこまでも強情な奴だな。 その様に幾重にも防衛線を引いて、よほど我が娘が怖いと見える。
ーーまあ、いい。まだ時間はあるんだ。 さすがに今はまだ子供のリルディアに対して『女』として見ろというのも到底、無理な話ではあるからな。
それにリルディアが16歳になるまでにはお前の気が変わるかもしれんからそれまで『保留』にしておいてやる。
まあ、なんにせよ、たとえリルディアがセルリアに嫁いだとしても私は娘を手放す気は全く無いが、お前と一緒になればリルディアが国を出て行く事もなく私の傍に一生置いておける。 お前だってリルディアが他所の国に行ってしまうのは嫌だろう?」
「ーーやはり、それが本音ですか。 しかも嫁いでも手放さないなどと、どれだけ常識外れなーーくっ」
そんな会話の途中、クラウスはその場に立ち止まると、太陽から差し込む強い日差しを肩からかけているマントで光を遮り両目を手の平で押さえる。
「クラウス!! 大丈夫か!? ーーああ、今日は特に日差しが強い。 なるべく外の景色は見るなよ?」
国王はそんな弟を陽光から守るように己の体とマントで壁を作って光の差し込まない方に弟の体を移動させた。
「ーーええ、もう大丈夫です。 ご心配をお掛けして申し訳ありません。 ーー少し失礼致します」
クラウスは上着のポケットから小さな瓶を取り出すと、その中の液体を目に差し入れ、そして暫くハンカチで目を押さえてからようやく顔を上げる。
「ーー全く、この二日前まで大雨続きだったというのに、どうして今日に限って雲一つない晴天なのだ! せめて曇ってさえいればよいものをーーー」
そんな自然界の現象にまで文句をつける国王を見て、クラウスはフッと笑う。
「祭典の当日に晴天であってよかったではないですか。 それに本日はリルディアの初の『祝福の聖乙女』のお披露目でもあるのですから、尚更天気が良くてよかった。
ーーそれに陛下も私の事は言えないですね。 国王がそのような“むくれた不機嫌な顔”をしていては祭りを楽しみにしている者達に失礼にあたるのではないですか?」
そんな弟の言葉に国王はふん、と鼻を鳴らす。
「ふん、お前という奴は“むくれた顔”と言ったのをまだ根に持っていたのか。 お前は大人しそうに見えて言う事は言う奴だからな」
「貴方の弟ですからね。 けれど根に持っているなどと心外です。 私は陛下から受けた言葉をそのまま、お返し差し上げただけですから」
「フッ、相変わらず口のへらない奴だ。 ーーそれで 目の具合はどうなんだ? かなり悪いのか?」
国王は砕けた雰囲気から一変し、弟を心配そうに見つめている。
「ーーそう……ですね。 正直に申し上げれば日増しに病状は進行しています。 今は薬で抑えているので日常の生活に支障はないのですが、やはりこのような強い日差しは、さすがに堪えますね。 本日の儀式が屋内であった事が幸いでした」
「ーーそうだな。………だが、それでも辛いようなら直ぐに言え。 無理はするなよ?」
「ありがとうございます。 けれど大丈夫です。 そこまで酷い状態ではないですから」
そう言って目を閉じたまま口許に僅かに笑みを作って見せる弟に国王が長い息をつく。
「ーーそれにしても、本当にそのフォルセナ特有の紺碧の瞳に発症する後天性の持病というのは、なんとも忌々しくも厄介なものだな。
数人に一人の確率で発症する後天性の疾患だけに、病の有無が発症するまで全く分からんとは。
しかもイレーナやイルミナは発症してはおらぬのにブランノアの血統でもあるお前が今頃になってその病が発症するなどと、どうなっているのだ!?」
「それは仕方がありません。 私の母上も発症しておりますので、これはもう“遺伝”なのでしょう」
「クラウスーー『奉納祭』が終われば直ぐにフォルセナに発つのだろう? 王家の男子の病は秘密事項として周囲に隠さねばならんが、やはりリルディアにだけは本当の事を話しておいた方が良いのではないか?
それでなくとも私はお前の結婚話の一件、これ以上リルディアに秘密を作る事は出来ないのだぞ。 もし、これがリルディアに知れたら私は今度こそ嫌われてしまうではないか」
「その時は私がリルディアに許してもらえるまで謝罪しますから、陛下、どうか今回だけは私に協力して下さい。 リルディアに要らぬ心配を掛けたくはないのです。それにもし本当の事を話せば、もしかしたら一緒について来てしまうかもしれません。
私は目の治療の為に長期に渡ってフォルセナに滞在しなくてはならないのに、リルディアがフォルセナに滞在してはさすがに色々と問題がありますし、しかもセルリアとの体面もあります。 陛下とてリルディアとは長い間離れる事など出来ないでしょう?」
「当たり前だ! 戦の遠征時は仕方ないがそんなに長くリルディアと離れられるわけがなかろう。 現時点では私やお前がいる手前、フォルセナがリルディアに何かをしてくるとは思わんが、それでも万が一リルディアを人質にでも捕られてしまえば私には手も足も何もだせん!」
「ええ、ですからリルディアには私が勉学の為に外国に長期で留学するという事で口裏を合わせておいて頂きたいのです。 勿論、目の治療と一緒に留学するのは本当の事ですから、リルディアに嘘をつく事にはならないので私の病の事だけを伏せて黙っていて下されば良いのです」
そんな弟の頼み事にも国王の顔は眉間に皺が幾つも寄ったまま、非常に渋い表情を浮かべて小さく唸る。
「むうぅぅ………こればっかりは、さすがに仕方のない事だからな。 確かにお前の病の事を話せばリルディアは絶対にお前について行くと言い出しかねないし、
そんなリルディアに「駄目だ」と言ったところで、泣かれでもしたら私にはもう止められん。 しかも外の世界はリルディアの身が危険に晒される可能性も高くなる。
ーーリルディアに隠さねばならないのは私としては大変気が進まないが、しかしここはお前の言う通りにせざるを得ないだろうな。
まあ、お前の病の事はごく一部の人間にしか知らぬ事だから口裏を合わせるのは容易いが、しかし全てが明るみになった時、リルディアが絶対に激昂する事は間違い無しだぞ?
そしてお前といえども嫌われて口もきいてもらえなくなるぞ? 本当にどうなっても私は知らないからな?」
国王は渋々了承はしたものの、それでもまだ面白くないといった表情を浮かべたままドスドスと強い足並みで、しかし差し込む日差しから弟を守るように己の体を壁にして前を歩いている。
クラウスはそんな国王を見て小さく頭を下げると、その大きな背中に声を掛ける。
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