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【小話】~サイドストーリー
【小話⑧ー3真相~すれ違い】
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【小話⑧ー3】
そんな弟の言葉に国王の爆笑が廊下に響く。
「わははは、お前が小心者だとは笑わせる。 ああ、そういえばお前は隠れムッツリだからな。お前は昔からその鉄面皮で感情を隠すのが上手いが、リルディアにはそんな小細工は通じんぞ?
しかもお前は私がリルディアを甘やかしていると言うが、そう言うお前だって実のところはリルディアにかなり弱いくせにな。私には全てお見通しだ」
それを聞いてクラウスの表情が更に不機嫌な顔になる。
「………隠れムッツリとは心外ですね。私は陛下のようにむやみにリルディアを甘やかしたりは致しません。それに私はあの子に我が国の王女としてこの先も立派に成長を遂げる事を願っています。
ですからあの子の間違いを正す者がいないのであれば、私が叔父としてあの子の間違いを正し本来の道へ戻すのは私の役目であるとも思っています」
国王はそんなクラウスに含み笑いを浮かべながらクツクツと笑っている。
「ククッ、如何にもお前らしい馬鹿真面目な優等生の模範解答ではあるな。しかしそれではリルディアの心は掴めんぞ? 何の面白味もないつまらない人間になど私のように直ぐに飽きてしまう。
…………なあ? クラウス。ーーもし、リルディアが望むのであればセルリアの王太子などではなく、お前にリルディアをくれてやろうと思ったのに、そんな生半可な事では我が娘の相手になるには、まだまだ修行が足りないぞ?」
突然の国王の耳を疑うような発言にクラウスは目を見開き初めてその表情に驚きが浮かぶ。
「………それは何の冗談ですか。全く笑えません。ーー私はあの子の叔父なのですよ? しかも親子と言っても良いくらいです。そもそも『近親婚』などともはや人としての常識や道徳から外れているではありませんか。いくら冗談にしてもその様な不適切な言葉は安易に口にして良いものではありません」
あからさまに不機嫌な感情を隠せない口調で物申すクラウスに国王は面倒くさげに、わざとらしい大きなため息をつく。
「ーーはあぁ、お前は本当に岩石の如く岩頭の堅物人間だな。つまらんヤツだ。しかもこの私がそんな誰とも知れない人間が作った常識や道徳なんぞに囚われるとでも思うのか?
確かに我が国では親子、きょうだい、祖父母などとの近親の婚姻は#禁じてはいるがな。“叔父と姪”の組み合わせというのは婚姻は可能なのだぞ?
ーーまあ、他の国では禁じているところもあるとは聞くがな。しかもお前と私は異母兄弟であり、父系統でしか血が繋がってはいない。これが両方同親であればさすがに私も考える処ではあるがーー
まあ、その点、お前の場合は実の叔父とは言ってもリルディアとは血縁的には近くて遠い親戚みたいなものだろう? これが上のイルミナ達であればあまりに近しい近親であるので問題にはなるがな。
それに年齢の差など王家の人間にしてみれば大した問題でもない。実際我等が父王も自分の娘とも孫とも言っておかしくないお前の母親と婚姻して、お前が生まれたのだし、この私も然り、エルヴィラは長女のイルミナとは同い歳だからな。
そう考えてみれば我がブランノアの王家の男は代々そういう性質なのかもしれん。それにリルディアは今はまだ子供であってもあと数年で直ぐに大人になる。しかも母親同様に世の男共が放っておけないほどの世にも希少な『絶世の美女』になるのだ。
ーーそれなのに、今でさえ、こんなに美人で可憐な私の可愛いリルディアのどこに不満があるというのだ? しかもそんな若く美しい絶世の美女を労せずして娶れるというのだ。これほどの幸運な男は世界中のどこを探しても中々いるものではないのだぞ?」
もはや病的とも言えるほどに娘を溺愛し過ぎている父親の言葉とも思えずに、クラウスは相手が悪いだけにその対応に困り果てた様に思わず片手で額を押さえる。
「………不満はあります。勿論、リルディアにではなく貴方にですーー陛下。たとえ貴方と私が異母兄弟ではあっても私には先代のブランノアの国王の血が流れていて、兄である貴方の娘のリルディアにも同じ血が流れている事には変わりありません。
そして近かれ遠かれ同じ血が流れている以上、たとえ国で婚姻が許されているのだとしても私にとっては決して踏み外してはならない人としての『一線』なのです。ですから私はこれからもずっとリルディアの『叔父』です。それは生涯変わる事はありません」
それを聞いた国王は深いため息をつくとやれやれと言わんばかりに肩を竦めて首を横に振る。
「ーー本当にどうにもブランノアの血統は私も含めてだが思い通りにならん人間ばかりが多いな。ーーまあ、確かにお前なら絶対にそう言うと思ってはいたが、お前とルディアの結婚話というのは私の中では半分は『冗談』半分は『本気』でお前に振ってはみたが、お前がそう簡単に受け入れるわけもないしな。
しかもお前は昔から自分にも他人にも厳しい『高潔の王子』と呼ばれているくらい我が国でもっとも陥落するのが難しい男だ。お前がもう少し柔軟に考えられるヤツなら苦労はしないんだが、生まれ持った性分は変えられんし。
ーーうむむ、しかしこれではリルディアが可哀想ではないか。相手に勝負を挑む前から玉砕してしまっているのでは泣くに泣けんぞ? リルディアを不幸にする男は絶対に許せんが、それが自分の可愛がっている大事な弟である場合、どうすればよいというのだ。これでは私も身動きがとれんではないか!」
そう言いながらも大袈裟に頭を抱えて唸る国王に、クラウスも額を片手で押さえ首を振りつつ長い息を吐く。
「陛下ーーそのようにリルディアが私に惚れているかのような前提でものを言うのは止めて下さい。何度も言う様ですが、あの子はまだ子供です。しかもどうして私とリルディアをそこまでしてくっつけようとするのです?
そもそもリルディアが自ら選んだ相手はセルリアのユーリウス王太子です。彼は大変素晴らしい非の打ち所のない王子で、しかもリルディアをすごく大切にしているのは端から見ていてもよく分かります。彼なら間違いなくリルディアを幸せにしてくれる事でしょう」
その言葉に国王も弟と同じ様に片手で額を押さえながら頭を何度も横に振る。
「………お前は本当に男と女の事に関しては全くの無知だな。いくら歳は重ねてはいても恋愛感覚は子供並みであるとは、何とも情けない。同じ『男』としては呆れてものも言えんぞ?
それにーーいいか? 今のその言葉はリルディアの前では絶対に言うな。ーーいいな? 『絶対』にだ!! お前の口からそれを聞いたらそれこそリルディアが死んでしまいかねん」
「は? 死ぬなどと何を大袈裟なーーー」
そんな首を傾げているクラウスを国王はやや乱暴気味に自分の方へと引き寄せると、その頭を羽交い締めにする。
「うぐっ!! 陛下……何を!?」
「馬鹿者!! お前は何も分かってはいない! 女が失恋した上にその相手から『他の男に幸せにして貰え』などと言わてみろ!! 感受性の特に強いリルディアのような純真な娘には、その小さな心臓に大きな槍をグッサリと一突きにされたようなものだ。
それこそ世を儚んで衝動的に自ら命を絶たないと言い切れるか? あのリルディアだぞ? 何をするのかなんて誰にも予測などつけられんだろうが」
「ーーっつ、」
【⑧ー続】
そんな弟の言葉に国王の爆笑が廊下に響く。
「わははは、お前が小心者だとは笑わせる。 ああ、そういえばお前は隠れムッツリだからな。お前は昔からその鉄面皮で感情を隠すのが上手いが、リルディアにはそんな小細工は通じんぞ?
しかもお前は私がリルディアを甘やかしていると言うが、そう言うお前だって実のところはリルディアにかなり弱いくせにな。私には全てお見通しだ」
それを聞いてクラウスの表情が更に不機嫌な顔になる。
「………隠れムッツリとは心外ですね。私は陛下のようにむやみにリルディアを甘やかしたりは致しません。それに私はあの子に我が国の王女としてこの先も立派に成長を遂げる事を願っています。
ですからあの子の間違いを正す者がいないのであれば、私が叔父としてあの子の間違いを正し本来の道へ戻すのは私の役目であるとも思っています」
国王はそんなクラウスに含み笑いを浮かべながらクツクツと笑っている。
「ククッ、如何にもお前らしい馬鹿真面目な優等生の模範解答ではあるな。しかしそれではリルディアの心は掴めんぞ? 何の面白味もないつまらない人間になど私のように直ぐに飽きてしまう。
…………なあ? クラウス。ーーもし、リルディアが望むのであればセルリアの王太子などではなく、お前にリルディアをくれてやろうと思ったのに、そんな生半可な事では我が娘の相手になるには、まだまだ修行が足りないぞ?」
突然の国王の耳を疑うような発言にクラウスは目を見開き初めてその表情に驚きが浮かぶ。
「………それは何の冗談ですか。全く笑えません。ーー私はあの子の叔父なのですよ? しかも親子と言っても良いくらいです。そもそも『近親婚』などともはや人としての常識や道徳から外れているではありませんか。いくら冗談にしてもその様な不適切な言葉は安易に口にして良いものではありません」
あからさまに不機嫌な感情を隠せない口調で物申すクラウスに国王は面倒くさげに、わざとらしい大きなため息をつく。
「ーーはあぁ、お前は本当に岩石の如く岩頭の堅物人間だな。つまらんヤツだ。しかもこの私がそんな誰とも知れない人間が作った常識や道徳なんぞに囚われるとでも思うのか?
確かに我が国では親子、きょうだい、祖父母などとの近親の婚姻は#禁じてはいるがな。“叔父と姪”の組み合わせというのは婚姻は可能なのだぞ?
ーーまあ、他の国では禁じているところもあるとは聞くがな。しかもお前と私は異母兄弟であり、父系統でしか血が繋がってはいない。これが両方同親であればさすがに私も考える処ではあるがーー
まあ、その点、お前の場合は実の叔父とは言ってもリルディアとは血縁的には近くて遠い親戚みたいなものだろう? これが上のイルミナ達であればあまりに近しい近親であるので問題にはなるがな。
それに年齢の差など王家の人間にしてみれば大した問題でもない。実際我等が父王も自分の娘とも孫とも言っておかしくないお前の母親と婚姻して、お前が生まれたのだし、この私も然り、エルヴィラは長女のイルミナとは同い歳だからな。
そう考えてみれば我がブランノアの王家の男は代々そういう性質なのかもしれん。それにリルディアは今はまだ子供であってもあと数年で直ぐに大人になる。しかも母親同様に世の男共が放っておけないほどの世にも希少な『絶世の美女』になるのだ。
ーーそれなのに、今でさえ、こんなに美人で可憐な私の可愛いリルディアのどこに不満があるというのだ? しかもそんな若く美しい絶世の美女を労せずして娶れるというのだ。これほどの幸運な男は世界中のどこを探しても中々いるものではないのだぞ?」
もはや病的とも言えるほどに娘を溺愛し過ぎている父親の言葉とも思えずに、クラウスは相手が悪いだけにその対応に困り果てた様に思わず片手で額を押さえる。
「………不満はあります。勿論、リルディアにではなく貴方にですーー陛下。たとえ貴方と私が異母兄弟ではあっても私には先代のブランノアの国王の血が流れていて、兄である貴方の娘のリルディアにも同じ血が流れている事には変わりありません。
そして近かれ遠かれ同じ血が流れている以上、たとえ国で婚姻が許されているのだとしても私にとっては決して踏み外してはならない人としての『一線』なのです。ですから私はこれからもずっとリルディアの『叔父』です。それは生涯変わる事はありません」
それを聞いた国王は深いため息をつくとやれやれと言わんばかりに肩を竦めて首を横に振る。
「ーー本当にどうにもブランノアの血統は私も含めてだが思い通りにならん人間ばかりが多いな。ーーまあ、確かにお前なら絶対にそう言うと思ってはいたが、お前とルディアの結婚話というのは私の中では半分は『冗談』半分は『本気』でお前に振ってはみたが、お前がそう簡単に受け入れるわけもないしな。
しかもお前は昔から自分にも他人にも厳しい『高潔の王子』と呼ばれているくらい我が国でもっとも陥落するのが難しい男だ。お前がもう少し柔軟に考えられるヤツなら苦労はしないんだが、生まれ持った性分は変えられんし。
ーーうむむ、しかしこれではリルディアが可哀想ではないか。相手に勝負を挑む前から玉砕してしまっているのでは泣くに泣けんぞ? リルディアを不幸にする男は絶対に許せんが、それが自分の可愛がっている大事な弟である場合、どうすればよいというのだ。これでは私も身動きがとれんではないか!」
そう言いながらも大袈裟に頭を抱えて唸る国王に、クラウスも額を片手で押さえ首を振りつつ長い息を吐く。
「陛下ーーそのようにリルディアが私に惚れているかのような前提でものを言うのは止めて下さい。何度も言う様ですが、あの子はまだ子供です。しかもどうして私とリルディアをそこまでしてくっつけようとするのです?
そもそもリルディアが自ら選んだ相手はセルリアのユーリウス王太子です。彼は大変素晴らしい非の打ち所のない王子で、しかもリルディアをすごく大切にしているのは端から見ていてもよく分かります。彼なら間違いなくリルディアを幸せにしてくれる事でしょう」
その言葉に国王も弟と同じ様に片手で額を押さえながら頭を何度も横に振る。
「………お前は本当に男と女の事に関しては全くの無知だな。いくら歳は重ねてはいても恋愛感覚は子供並みであるとは、何とも情けない。同じ『男』としては呆れてものも言えんぞ?
それにーーいいか? 今のその言葉はリルディアの前では絶対に言うな。ーーいいな? 『絶対』にだ!! お前の口からそれを聞いたらそれこそリルディアが死んでしまいかねん」
「は? 死ぬなどと何を大袈裟なーーー」
そんな首を傾げているクラウスを国王はやや乱暴気味に自分の方へと引き寄せると、その頭を羽交い締めにする。
「うぐっ!! 陛下……何を!?」
「馬鹿者!! お前は何も分かってはいない! 女が失恋した上にその相手から『他の男に幸せにして貰え』などと言わてみろ!! 感受性の特に強いリルディアのような純真な娘には、その小さな心臓に大きな槍をグッサリと一突きにされたようなものだ。
それこそ世を儚んで衝動的に自ら命を絶たないと言い切れるか? あのリルディアだぞ? 何をするのかなんて誰にも予測などつけられんだろうが」
「ーーっつ、」
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