我儘王女は目下逃亡中につき

春賀 天(はるか てん)

文字の大きさ
76 / 98
【小話】~サイドストーリー

【小話⑥ー2ミレニアとアニエス】

しおりを挟む
【小話⑥ー2】



「ーー本当に困った子ね。可愛いアニエス。貴女あなたがユーリウス王子を好いているのは昔から知ってはいるけれど、先ほども言った通りあの王子は決して貴女のものにはならないわ。

たとえリルディアと王太子が婚約解消になって貴女がセルリアの王太子妃になれたとしても、それは本当に“政略結婚”という名ばかりの妻であり貴女が不幸になるだけよ?

あの王子が愛しているのはリルディアなのです。だから貴女の想いは決して王子には届かない。夫に愛されず見向きすらされない王妃がどれだけ不幸であるかは貴女もよく分かりますでしょう?

アニエス、わたくしは夫を持った事で気付かされたのです。女は望まれて愛されてこそ幸せになれますのよ? 望まれもしない、愛されてもいない体裁だけを整えた形だけの夫婦などただの赤の他人。

互いに生物的には体を重ねられてもそれは愛情などではなく娼館の女の扱いと同じ。違うのは子孫を残す為だけの義務的な行為という事だけ。貴女にはそういう生き方をして欲しくはないの。

王族として政略結婚に異を唱える事は許されませんが、出来る事ならば貴女を心から愛してくれる者が夫となる事を姉として望んでいますわ。だからこそ貴女の為を思って言うのですよ? 

セルリアの王太子の事は忘れなさい? そしてリルディアに関わってはなりません。あの子リルディアは色々な意味で『災いの種』なのです。得たいの知れぬ災いはけて遠ざけるのが賢い回避法というもの。

イルミナ姉上はあの通り大変お強い方なので心配は無用なのですけれど、貴女も姉上同様に自分から向かっていく気性でもあるので、これでも心配しておりますのよ?」


そんな姉の心配にもアニエスは視線を外してそっぽを向くとふくれっつらで面白くなさげに口を開く。


「ミレニア姉上は昔とは違ってお変わりになられたわ? 昔の姉上ならばリルディアなど所詮しょせんは娼腹の子供であり、わたくし達とは雲泥の差で存在価値が違うのだと、同じ血が半分流れているだけでもくつじょく的で汚らわしいと嫌悪されておりましたのに、今では何も仰られませんのね? 

母上でさえも今の姉上と同じくあいしょう親子の事は「あの者達が何をしていようと関わらず捨て置け」と仰るだけ。

イルミナ姉上も違う意味で変わられてしまわれたけれど、一体どういう心境の変化ですの? まさか母上も姉上もあの愛妾親子に屈しておしまいになられましたの?」


姉の腕をギュッとつかんで見つめるアニエスにミレニアはゆっくりと首を左右に振る。


「いいえ、屈したとかそういう事ではありません。母上も母上なりにお考えのあっての事でしょうし、わたくしもいつまでも子供のままではいられませんわ。この貴族社会という『戦場』の中心に立たねばならないのですから。

いずれ貴女にも理解する時がくるでしょうけれど、貴女は他の貴族の令嬢達と同じとはいかないのです。時には自分の感情を殺してでも賢く立ち回れる様に事を選択せねばなりません。

母上が貴女に何も仰られないのは貴女が大人になりきれてはいないからよ。そして貴女には出来ればデコルデ嬢と仲良くなって、こちらに引き入れてもらえれば良いのだけれど、

あの令嬢は父親同様に賢く頭が切れる上、侯爵自体が個人的にフォルセナ側の人間を嫌っているので、こればっかりは難しい事ね」


それを聞いたアニエスは姉の腕を離すとまくし立てる。


「あの生意気なローズロッテと仲良くですって!? 全く冗談ではありませんわ! あの娘ほど無礼な女は他におりませんわよ! しかも王女であるわたくしに敬意すらも払わずにいつも無礼な口答えの数々を並べ立てるのです。

そして二言目には“デコルデ家を敵に回すと大変な事になる”と事もあろうに自分達の主君でもある王女に向かって脅し発言まで。

たかが一貴族の令嬢の分際ぶんさいであまりにぼうじゃくじんが過ぎますでしょう? それなのに母上に申し上げても全く取り合っても下さらないし、逆に姉上のように“機嫌をとって仲良くなさい”とまで仰るのよ?

なぜこのわたくしが格下の者の機嫌を取らねばなりませんのよ? 不愉快極まりませんわ。本来ならばあの者からわたくしの機嫌を取るのが常識でありましょうに。しかもデコルデ侯爵は父上の家臣でありわたくし達にとっても家来であるはずなのに親子そろってわたくし達王族をじょくしておりますわ!

わたくしは貴族の令嬢達の中でもローズロッテは大嫌いです! あの女が今までの数々の無礼を床にひざまづいて泣いてびる事でもない限り、絶対に仲良くなど出来ませんわ!」


一気に捲し立てて息の荒いアニエスをなだめる様に紅茶を口にするよう勧める。

困った子ねーーこのプライドの高さは母上譲りでもあるから仕方のない事なのだけれど、このように高飛車で傲慢ごうまんになってしまっては、周りから嫌われ孤立してしまう。母上が乳母を立てずに直接ご自分でアニエスを育てたのが全てあだとなってしまわれたわね。

アニエスは確かに性格は悪いけど、それでも姉の体を気遣う優しい一面も持っているのに、母上からすり込まれた『自尊心』がここまでアニエスの性格に影響してしまうなんて、本当に可哀想で不憫な子ーーー


ミレニアは口に出す事はない同情の言葉を妹に向けながらもゆっくりと首を振る。


「アニエス、落ち着いて? 貴女が侯爵令嬢を嫌っているのはよく分かりましたから仲良くしろなどとはもう言いませんわ。

けれどデコルデ侯爵家を敵に回せないのは『事実』なのです。あの家の影響力はそれほどに大きく侯爵家一族だけで一国を新たに建立する事も可能なほどに大きいのだと言えば理解出来るでしょう?

それでもデコルデ嬢はとても賢い方なので貴女とのけんくらいで私情に走るほど愚かではないでしょうからわたくし達と表立って敵対する事はないとは思いますが、リルディアとその母親の扱いにだけはくれぐれも行き過ぎない様に気を付けるのですよ?

あの親子に対してのわたくしたちの言葉や態度には父上はかんされてはおりますが、その父上の忠告を無視して危害に及ぶようであれば、たとえ血を分けた肉親であろうと容赦ようしゃなく王家から排斥はいせきされる事でしょう」


そんなミレニアの言葉にアニエスは不満げな表情で反論する。


「排斥ですって!? そんな事が出来るはずがありませんでしょう? わたくし達は父上の実子であり、しかもフォルセナ王家の血縁ですのよ? 

わたくし達こそがこの世で最も高貴な血族の人間であり、人々から敬われなければなりませんのに何故なぜあのようないやしい血を引く者達の方が大切に扱われなければなりませんのよ!

それにリルディアなど本当に父上の子供であるのか疑わしいところですわ。あの娘は父上の面影すらも見当たらないくらい全く似てはおりませんし、

母親が酒場の娘ですもの。母親のあれだけ男を誘う容姿があれば今まで沢山の男達を囲っていたにまっておりますわよ! ですからリルディアの本当の父親はきっとその中の一人でーーー」


パッチンーーー


部屋の中には雷鳴の音ではなく軽い平手打ちの音が短く響く。

そして突然ミレニアに両頬を軽く叩かれたアニエスと控えていた侍女達がぜんとしてその場に固まり、ミレニアはそんなアニエスの頬に両手を当てたままけわしい表情で見つめる。


「アニエス、今の言葉は聞かなかった事にしますわ。勿論もちろん、この部屋での会話はわたくし達の侍女達にも決して他言しない様、きつく厳命致します」


「ミレニア姉上!??」


「アニエス、貴女はまだまだ子供ね。何でも感情のままに口に出すのは子供の所作です。リルディアは間違いなく父上の血を引く子供です。それは国王である父上がご自分の実子としてはっきりと認知されています。

貴女の今の発言は国王に対する最上級の『侮辱罪』であり、それは『不敬罪』などよりも、より重い罪になるのですよ? もし今の発言を国王や臣下達の前で申したならば貴女は間違いなく王族から除籍されるばかりではなく、この国にもいられなくなるでしょう。もしくは最悪、罪人として幽閉されてもおかしくはありません。

そうなったとしても母上も伯父上でもあるフォルセナの国王でさえも、そんな貴女をようする事が難しくなります。ですから国王の言葉を疑う発言は絶対に口に出してはなりません。

アニエス、大人になりなさい。そして自分を守る為の知識を身に付けるのです。たとえ王族であっても周りの人間が必ずしも我らの味方とは限らない。すきを見せればいつ足元をすくわれるかも分からないーー貴族社会とはそうい世界なのです。

そしてわたくし達は国王の子ではあっても国王にとっては『戦略の駒』にしか過ぎません。利用価値がなければ簡単に切り捨__す__#てられます。わたくし達の父親はそれが出来る人間なのですよ?」


するとアニエスは姉の手を振り払う様に首を振る。


「ミレニア姉上はいつもお考え過ぎなのですわ! それにわたくしだって王室の人間として、そのくらいは十分に理解しております。ですから父上はリルディアも同じくご自分の『戦略の駒』としてセルリア王家に嫁がせるおつもりなのでしょう? それこそが貴族の常識ですもの。

ならばセルリアに嫁ぐのはリルディアでなくとも良いはずです。しかもユーリウス王子があの子を“愛している”などと、それは姉上の大きな勘違いですわ! あの子とユーリウス王子が対面したのは国の行事がある時くらいで数えるほどしかありませんのに、その様な感情が動くわけがありません。しかも数で言えばわたくしの方が王子との対面数はずっと多いのですよ?

それに7歳も歳の差があるあの子は王子にとっては幼い子供過ぎて恋愛対象にすらなりませんもの。今はユーリウス王子もあの子の我儘に振り回されているだけですわ。

リルディアのきまぐれは今に始まった事ではないのですもの。好奇心旺盛おうせいな子供が目新しいがんを欲しがっていたというだけ。手に入ってさえしまえば直ぐにきる。

ですからあの子はきっと王子の事などもう何とも思ってはおりませんわよ。あの子の態度を見れば分かりますでしょう? それこそセルリア王家に対する侮辱でもあり、我が国も面目が立ちませんわ。

だからこそ一刻も早く『婚約解消』をさせた方が良いのです。そうでなければ婚姻の適齢期にあるユーリウス王子がお気の毒です。セルリア王家にしても唯一の世継ぎの王太子だけに、王子の婚期の遅れは国にとっても大きな問題ですものね。

やはりここは母上にお願いして、あの子の『婚約解消』を父上に働きかけて頂きますわ。ーーいえ、一番手っ取り早いのはクラウス叔父上ですわね。叔父上からの言葉であればあの子も素直に言うことを聞くでしょう?」


そんな妹の私情を含む言葉にミレニアは小さくため息をつきながら首を横に振る。


「ーーはあ、今の貴女には何を言っても無理な様ですわね。まだ歳若い娘ですから仕方のない事ではあるのでしょうけれど、リルディアはあの通り大人の貴族社会に身を置いているせいか、外見は元より#中身も早熟なのですわ。何より精神年齢は実年齢よりもかなり高い。

あの子は子供であって子供にあらずーー十分恋愛対象にもなりえてよ? 己を卑下ひげするつもりはありませんけれど『女』としてあの子の美貌や魅力に太刀打ち出来る者など、まずいないでしょう。

そしてユーリウス王子はあの子にすでに魅せられてしまっているので、王子のあの子を見る瞳は“恋をする”者の瞳です。たとえ婚約解消となったとしても王子の瞳は決して貴女には向けられない。ですから諦めなさいと言ったのです。貴女が不幸になるだけです。

ーーやはり貴女の為にもそろそろ結婚相手を探した方が良いのかもしれませんわね。父上に勝手都合合で選ばれるよりも、フォルセナの国王にお願いした方が、きっと貴女にお似合いの素晴らしい殿方を引き合わせて下さる事でしょう。

わたくしは貴女にこの国には縛られず外の国で最良の夫君得て幸せに暮らす事を貴女の姉として望んでいますわ」


そんなしんに見つめるミレニアの視線から逃れる様にアニエスは顔をらして腰掛けていたソファーから急に立ち上がった。


「嫌です! わたくしはミレニア姉上のように臆病ではありませんわ! 他人の言いなりになどなりません! わたくしが婚姻を結ぶ相手にしても自分で選びます。

それにわたくしはまだ若く結婚を急くような年齢ではありませんもの。己の一生に関わる事にきょうなど致しませんわ。しかも同じ王女であるのにあの子には出来て、このわたくしに出来ないなどと、そのような事があるはずがありませんでしょう? 

わたくしは諦めたりなど致しませんわ! 雑種のリルディアなどに純血の王族であるこのわたくしが何においても敗北するなどありえません!

………ミレニア姉上、長々とお邪魔致しましたわ。雷も遠くに行ってしまった様ですし、そろそろ部屋に戻ります。姉上もご懐妊され体調を崩されやすいのですから書きき物などに熱中なさらずにお休み下さいませ。また母上にしかられてしまいましてよ?」


「ふふっ、ええ、そうですわね。その様に皆に心配を掛けてしまうので体調には気を付けますわ。けれど貴女の方はもう大丈夫ですの? もう少しここに残っていても良いのよ?」


そんなアニエスの切り替えの早さにミレニアは笑みを浮かべながら#引き留めるとアニエスは取り澄ませた表情を見せる。


「大丈夫ですわ! 本当は雷など少しも怖くなどないのです。大きな雷鳴の音に驚いただけなのですもの。王女であるわたくしに怖いものなどありはしませんわ」


そうは言いながらもアニエスが雨風が窓硝子をガタガタと叩きつける音を気にしているのが分かる。


「ふふ、アニエス、またいつでもいらっしゃい? わたくしに気兼ねなどいらなくてよ? 貴女はわたくしの可愛い妹ですもの」


そしてミレニアが見送りに立とうとすると、アニエスは「そのままでいらして」と言って手で姉の動きを制止させる動作を取ると、自分の侍女を連れ静かに部屋を退出して行った。




【⑥ー続】





































しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

追放された王女は、冷徹公爵に甘く囲われる

vllam40591
恋愛
第三王女エリシアは、魔力も才覚もない「出来損ない」として、 婚約破棄と同時に国外追放を言い渡された。 王家に不要とされ、すべてを失った彼女を保護したのは、 王家と距離を置く冷徹無比の公爵――ルシアン・ヴァルグレイヴ。 「返すつもりだった。最初は」 そう告げられながら、公爵邸で始まったのは 優しいが自由のない、“保護”という名の生活だった。 外出は許可制。 面会も制限され、 夜ごと注がれるのは、触れない視線と逃げ場のない距離。 一方、エリシアを追放した王家は、 彼女の価値に気づき始め、奪い返そうと動き出す。 ――出来損ないだったはずの王女を、 誰よりも手放せなくなったのは、冷徹公爵だった。 これは、捨てられた王女が 檻ごと選ばれ、甘く囲われていく物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

氷の宰相補佐と押しつけられた厄災の花嫁

瑞原唯子
恋愛
王命により、アイザックはまだ十歳の少女を妻として娶ることになった。 彼女は生後まもなく始末されたはずの『厄災の姫』である。最近になって生存が判明したが、いまさら王家に迎え入れることも始末することもできない——悩んだ末、国王は序列一位のシェフィールド公爵家に押しつけたのだ。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

おばさんは、ひっそり暮らしたい

蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

橘若頭と怖がり姫

真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。 その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。 高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。

処理中です...