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4章 社会人編

<12>不穏なランチ会1

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徹夜して作った改正の草案はすぐに通過させることができた。養護院の院長は俺たちの組織が選んだ者を派遣する、月に1度は抜き打ちで視察に行くことなどの新しい項目が盛り込まれたおかげで、養護院の運営は順調にいっている。

もう二度と子どもたちにあんなつらい思いはさせたくない。その思いからより仕事に打ち込んでいた俺に、ジェラルドから手紙とともにとてつもなく大きなプレゼントボックスが届いた。
『ユージンへ
最近、お互い忙しくて会えていないが元気だろうか。
再来週の週末、一緒にランチをしたい。
それまでに一緒に送った箱を確認してくれると嬉しい。
俺たちの結婚パーティで着る衣装のサンプルだ。どれが気に入ったか、聞かせてほしい。楽しみにしている
ジェラルドより』

流麗な文字で書かれているが、内容についてはなんとも言えない。
「ランチはともかく、結婚パーティって……どんだけ先の話してるんだよ」

文句を言いつつ部屋に運び込まれた箱を開ける。
「うわっ!! なんだこれ!!」

中には純白のスーツがぎっしりと詰め込まれている。数えてみると素材やデザインが異なる白いスーツが50着も入っていた。

「なんだんだよ急に……」
何を考えているのかよくわからないジェラルドの行動に困惑する。部屋を埋め尽くす衣装のサンプルを眺めて途方に暮れた。


そうして2週間後。俺はランチをするために、エディとウォルターを連れて王宮へやってきた。

到着するとすぐに庭園へ案内される。庭園といっても王宮の奥にある、国王一家のための小さな庭園だ。

もちろん小さいというのは王宮レベルでの話であり、俺からしたら全く小さくはない。

真っ白いテーブルと椅子が日当たりの良い場所に置かれている。ジェラルドはすでに席についており、俺たちの姿を目に留めて満面の笑みを浮かべた。

「よく来たね。さあ座って」
「は、はい」

俺も笑顔を返す。だが座ることができない。なぜなら椅子が一つしかないからだ。

「どうしたの? 早く座って」
ジェラルドは相変わらず美しい微笑みを浮かべている。
「いやあの、椅子が――」
「椅子が足りねえだろうがよ、あと2つ」

俺の言葉に被せるように、ウォルターが不機嫌に応える。するとジェラルドは初めて俺から両脇に視線を移した。

「ああ、ごめんごめん! 君たち二人も来ていたんだね。俺はユージンしか目に入っていなくて。すぐ準備させよう」
ジェラルドが手を挙げると使用人たちが近づいてくる。

「テーブルと椅子を2つずつ持ってきてくれ」
使用人たちが準備している間、ウォルターとエディは呆れた顔でジェラルドを見ていた。

(今日のランチも平和に終わる気がしない……)
俺は小さくため息を吐いた。

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