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3章 王立学院編ー後編―
11<誤解と反省>
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「い、今の……そういう、こと、だよな……」
廊下で大胆にもウォルターを押し倒しているジェラルドの姿を目にした瞬間、
反射的にドアを閉めてしまった。
ジェラルドの顔は赤くて、なんだか息も荒かった。顔も異常に接近していたし、キスをする寸前だったとしか考えられない。
確かにアルファに変容し、俺のことが好きだと言っているがウォルターは正ヒロイン的な立ち位置のキャラクターである。ジェラルドだって告白してきた割りには休暇中は一度も会いに来なかったし連絡もなかった。
その瞬間、頭の中にある可能性が浮かぶ。
「もしかして、俺に告白した後に心変わりした、とか……?」
あり得なくはない。そもそも『アルティメット・ラバー』はぶっとんだ設定も魅力の作品だった。そんな世界なのだから、どんな事態が起きようとも不思議はない。
「しまった……! くっそ……なにを油断してたんだよ俺は」
ここから急展開でジェラルドとウォルターが相思相愛になるのかもしれない。そうしてウォルターはなにかしらの力でオメガになり、邪魔になった俺はとんでもない言いがかりをつけられて断罪&婚約破棄……なんてルートが待ち受けているの可能性もある。
(どうしよう……いや、どうにかするしかねえ!)
心臓が全速力で走った時のように高鳴り、冷や汗が噴き出してくる。俺はなんとか深呼吸を繰り返した後、新たな作戦を練るためにノートとペンを取り出した。
もはや好きだ嫌いだと言ってる場合ではない。恋愛なんて平和な環境と命があってこそできるものだ。今の俺にそんな余裕はない。
とにかく明日からしばらくはジェラルドとウォルターの様子を観察するようにしなければ。思いつくままにノートに作戦を書き連ねる。ひと段落ついた頃には、少しだけ心が落ち着いていた。
「でもあの2人……お似合いだったよなあ」
目を閉じると瞼の裏に先ほどのジェラルドとウォルターの姿が浮かんでくる。
ジェラルドはメインヒーローなだけあって、ビジュアルにもオーラにも華がある。一方のウォルターも、今はちょっと尖っているけれど本来はどちらかというと美少年系の顔立ちだ。
本来ならばカップルになるはずの2人だ。似合わないわけがない。それに比べて俺はどうだろうか。確かに容姿は悪くない方ではあるはずだ。
だがそれだけだ。2人のように強い意志や目的がしっかりとあるわけではない。すべての行動原理は己の破滅ルートの回避、それだけだ。
穏やかで平凡な環境の中、今度こそなんの心配もせずに長生きしたいという一心で動いてきた。だが自覚すればするほど、なんて自己中心的な人間なんだろうか。
「……ホント、クソ人間じゃん」
自嘲気味に笑った声は情けないほど頼りなく部屋に響く。俺は作戦を書いたページを魔力ですべて消した。破り捨てようかとも思ったけれど、それはノートへの八つ当たりのように思えた。
「……こんなんじゃダメだよな」
俺は勢いよく立ち上がると、静かに部屋の扉を開ける。まだいたらどうしようという不安が過ったが、ジェラルドたちの姿はすでに消えていた。
ほっと胸を撫でおろして、俺は階段を降りて寮を出た。
廊下で大胆にもウォルターを押し倒しているジェラルドの姿を目にした瞬間、
反射的にドアを閉めてしまった。
ジェラルドの顔は赤くて、なんだか息も荒かった。顔も異常に接近していたし、キスをする寸前だったとしか考えられない。
確かにアルファに変容し、俺のことが好きだと言っているがウォルターは正ヒロイン的な立ち位置のキャラクターである。ジェラルドだって告白してきた割りには休暇中は一度も会いに来なかったし連絡もなかった。
その瞬間、頭の中にある可能性が浮かぶ。
「もしかして、俺に告白した後に心変わりした、とか……?」
あり得なくはない。そもそも『アルティメット・ラバー』はぶっとんだ設定も魅力の作品だった。そんな世界なのだから、どんな事態が起きようとも不思議はない。
「しまった……! くっそ……なにを油断してたんだよ俺は」
ここから急展開でジェラルドとウォルターが相思相愛になるのかもしれない。そうしてウォルターはなにかしらの力でオメガになり、邪魔になった俺はとんでもない言いがかりをつけられて断罪&婚約破棄……なんてルートが待ち受けているの可能性もある。
(どうしよう……いや、どうにかするしかねえ!)
心臓が全速力で走った時のように高鳴り、冷や汗が噴き出してくる。俺はなんとか深呼吸を繰り返した後、新たな作戦を練るためにノートとペンを取り出した。
もはや好きだ嫌いだと言ってる場合ではない。恋愛なんて平和な環境と命があってこそできるものだ。今の俺にそんな余裕はない。
とにかく明日からしばらくはジェラルドとウォルターの様子を観察するようにしなければ。思いつくままにノートに作戦を書き連ねる。ひと段落ついた頃には、少しだけ心が落ち着いていた。
「でもあの2人……お似合いだったよなあ」
目を閉じると瞼の裏に先ほどのジェラルドとウォルターの姿が浮かんでくる。
ジェラルドはメインヒーローなだけあって、ビジュアルにもオーラにも華がある。一方のウォルターも、今はちょっと尖っているけれど本来はどちらかというと美少年系の顔立ちだ。
本来ならばカップルになるはずの2人だ。似合わないわけがない。それに比べて俺はどうだろうか。確かに容姿は悪くない方ではあるはずだ。
だがそれだけだ。2人のように強い意志や目的がしっかりとあるわけではない。すべての行動原理は己の破滅ルートの回避、それだけだ。
穏やかで平凡な環境の中、今度こそなんの心配もせずに長生きしたいという一心で動いてきた。だが自覚すればするほど、なんて自己中心的な人間なんだろうか。
「……ホント、クソ人間じゃん」
自嘲気味に笑った声は情けないほど頼りなく部屋に響く。俺は作戦を書いたページを魔力ですべて消した。破り捨てようかとも思ったけれど、それはノートへの八つ当たりのように思えた。
「……こんなんじゃダメだよな」
俺は勢いよく立ち上がると、静かに部屋の扉を開ける。まだいたらどうしようという不安が過ったが、ジェラルドたちの姿はすでに消えていた。
ほっと胸を撫でおろして、俺は階段を降りて寮を出た。
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