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2章 王立学院編ー前編―

27<お仕置きと躾②>

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「どうしてっ!」
「内側の布地の色も確認しないといけないだろう。外側と内側が違うこともある。今回は大丈夫だったようだが」

俺の大切な部分を守っていた布は、はらりとはかなげにシーツの海へ落ちた。おかげで俺は今、下半身を丸出しにして四つん這いの姿勢になっているのだ。

「も、もう確認できましたよね? お許しいただけるのでは」
「ダメだ。何度言わせる気だ。仕置きと躾だと言っただろう。主導権も選択権も俺にしかない」
「そんな……」
「抵抗なんかするからこうなるんだと分からせてやる」

ジェラルドは言葉の酷さとは不釣り合いなほど優しい手つきで再び尻を揉みしだき始めた。

「んっ、あっ」
最初はただ触れられているという感覚だけだったのに、次第に快感に変わっていく。

「相変わらず可愛い声だな。その声が聞きたかった」
背後でジェラルドが嬉しそうに呟く。

「んあっ、あっああっ!」
尻に触れていた手が、ゆっくりと下がっていく。鼠径部や太腿の内側を撫でられると膝がガクガクと震えた。

やがて一回り大きな体が背後から覆いかぶさってくる。ジェラルドは両脇の下から腕を通すと、後方へ俺の体を引っ張った。
「うわっ!」

気づくとこの前のように、ベッドに座って背後から抱きしめられている状態になる。四肢は憎らしいほど長い脚に絡め取られて大きく開かれる。

制止する間も間もなく不埒な両手がシャツのボタンを器用に外していく。そうして次に袖を腕から抜かれた。俺の身体を守ってくれていた最後の布はジェラルドによって遠くに放り投げられてしまう。

あっという間に一糸纏わぬ姿にされたことがたまらなく悔しいのに、胸の奥で何かを期待してしまっている自覚もある。

ジェラルドは肩口に顎を乗せて後ろから覗き込むようにして俺の体をじっと見ていたが、やがてはぁと息を吐いた。耳の後ろや首筋に息がかかり、肩がびくりと跳ねてしまう。

「可愛い……可愛すぎる……」
熱に浮かされたように呟きながら、ジェラルドが胸や腹を撫でまわす。だがなかなか肝心のところには触れてくれない。あと少しというところで、向きを変えてしまったり、スレスレのところで止まってしまう。

(ダメだ俺、落ち着け。理性を保て)
心の中で落ち着けと繰り返してみる。だがそんな意思とは裏腹に、触れられてもいない先端は勝手に何かを期待してピンと勃ち上がってしまった。

もちろんジェラルドがそれを見逃すわけはない。
「いやらしい身体だな」
小さく笑うと、また寸止めを繰り返して俺を虐める。最初はなんとか精神統一を図っていたのだが、やがて俺はおかしくなっていった。

触れてほしい。摘まんだり捏ねたり、引っ掻いたりと様々な刺激を与えてほしい。気持ちよくなりたい。頭の中がその思いだけでいっぱいになる。

「あっ。はぁっ。も、やぁ……」
目からは生理的な涙が流れ出している。もう無理だ。緩い快感だけで決定的なものが長時間与えられない事が、こんなにも辛いだなんて。まるで地獄だ。無意識に自分の手を先端へと伸ばすと、跳ね除けられた。

「ダメだ。ここに触れていいのは俺だけだ」
「ひど……っ、触れてくれないくせにっ……」

もう限界だ。首だけで振り返って子どもようにみっともなく泣きじゃくりながら喚くと、熱い舌でべろりと頬を舐められる。

「ああ……泣き顔も可愛すぎる。堪らない。もっともっと泣かせたくなる」
「い、やあっ、ひどいっ……」
「じゃあ自分で言ってみろ。俺にどうしてほしいのか」

「やだぁ……んんっ」
「そうか。ではずっとこのままだな」
ジェラルドはそっけなく言うと、再び俺の頬を伝う涙を舐めたり目尻に唇をつけてちゅうと吸ったりし始める。

「やだあ、おねがい……」
「だったら自分で言え。おまえは俺に何をしてほしい」

自分で言うなんて恥ずかしすぎる。だがこのままでは地獄のような緩い快感のからジェラルドが満足するまで解放されることはない。

絶望にも似た気持ちで涙を長しているうちに、俺はあることに気づいた。
(ていういか、これ夢なんだよな。だったら別によくないか? 俺の夢なんだから、何が起きても誰にも――ジェラルドにすら知られることはないんだ)

そうして俺は快感を貪ること以外は考えることをやめた。胸を這いまわる手に自分の手を重ねると、泣き叫ぶように思いを口にした。

「ジェラルドさまっ……! 俺の乳首に、触れて、ください……」
「……っ!」
俺の言葉にジェラルドの動きが一瞬にして止まった。
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