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1章 異世界転生編
5<婚約者様、襲来>
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エドワードとの和解作戦の第一歩のため、それから部屋のカーテンを開け、部屋の中も魔法で綺麗で明るい色合いに変えた。
明るい光の中で見るエドワードは天使のように可愛らしい。鳶色の髪にはちみつ色の瞳。ただ少し瘦せすぎで肌つやもあまりよくないのが気になった。
これもユージンから受けたいじめによるストレスのせいかもしれない。これからは思う存分可愛がってやりたい。もちろん第一の目的は俺の平穏な人生のためだ。だが、エドワードを見ているとそのためだけでなくとも、可愛がり、守りたくなった。
そんなわけで翌日、驚きすぎてぽかんとしているニックを引きつれて朝食のためダイニングに向った。
使用人たちはもちろん、昨晩遅くに帰宅したという両親も目を丸くしている。
「おかえりなさいませ、父上、母上。おはようエドワード」
両親はハッとした表情を見せた後、笑顔でおはようと返してくれた。エドワードも声は小さかったが挨拶をしてくれる。
よし。今のところ計画の進捗は悪くない。それにしてもセレブ貴族の朝食ってどんなに豪華なんだろう。期待に胸を膨らませていると、まずは父と母の前に
大きなガラスボウルが置かれる。
見るからに新鮮な葉野菜と、よく熟れたトマトや、それにパプリカのような黄色の野菜を彩りよく混ぜたサラダだ。
テーブルに並ぶ美しいガラスボトルには何種類ものドレッシングが並べられている。フレッシュなミルク、オレンジジュース、ベーコンや卵料理など前世のホテルの朝食のような華やかさに心が躍る。
だが俺の前にはその中のひつも運ばれてこない。不審に思っていると、銀色のクローシュを手にした使用人がついに俺の前にやってきた。なにか特別美味いものなのだろうかとワクワクしながら待つ。
美しい刺繍のテーブルクロスの上に厳かにクローシュが置かれた。朝からターキーとか? もしくは何かとんでもなく珍しいフルーツだったりして。
いよいよクローシュの蓋が開かれた瞬間、俺は呆然とした。
「……は」
金縁の施された真っ白な皿の上に上品に並んでいたのは、数粒のグミのようなものだった。その瞬間、ユージンはまったく食に興味がなく、食べることを面倒がっていたことを思い出した。
時間は不規則で、グミやお菓子を少し、自室で摘まむ。それが1日ユージンの食事のほぼすべてだった。だからこんなにガリガリで肌も少し荒れているのかもしれない。
悔しい。明日から俺も、絶対にあのセレブ朝食を食べてやる! 腹立ち紛れに一気にグミを口にすると、明日からは皆と同じものを食べることを両親に宣言した。
朝食の後は、義弟を誘って庭の果樹園を見に行く。両親は相変わらず仲がいいと嬉しそうだ。果樹園へと続く庭園を歩きながら会話を試みる。
「エドワード、今日からエディって呼んでもいいか」
「エディ……?」
「うん。エドワードってちょっと長いし、エディのほうが弟って感じがするだろ」
「おとうと」
「うん。俺はお前の兄さんで、お前は俺の弟なんだから。他人行儀はやめよう」
若干、気圧された感はあったが義弟は愛称で呼ぶことを了承してくれた。なんだか心の距離も縮まったみたいで嬉しい。
俺がエディ、エディと呼ぶのをニックはなんだか恐ろしいものを見るような目で見ていたが、そんなの気にならないくらいエディは可愛かった。
こんな可愛い弟に殺される未来なんて絶対に嫌だ。仲良くしていかなければと俺は決意を新たにしたのだった。
そうして俺は毎日エディを誘い屋敷の中を探検したり果樹園や庭で遊んだり、庭園を流れる川で魚釣りをして楽しんだ。
ちなみにジェニングス家の庭園はバカでかくてなんと小さいが川が流れている。釣り好きだったひいおじい様がいつでもできるようにと庭に川を作ってしまったのだという。
この川ではブラウントラウトやニジマスがよく釣れる。魚釣りは前世でも大好きだったので、俺は義弟に釣りを教えてやった。エディはすぐに上達し毎日の食卓には俺たちが釣った魚が出るようにもなっている。
そうして遊ぶうちにメンヘラ兄貴と根暗弟の根暗ブラザーズはすっかり肌や髪のつやもよくなり、病的なガリガリから健康体へと変貌していった。俺はすっかり他の攻略対象のことも忘れかけ、毎日楽しく遊び暮らしていた――のだが。
いつも通り、川沿いに腰掛けて魚釣りをしていたある日。ニックが血相を変え、全速力で駆けてきた。
「どうした? 真っ青だぞ」
両手を膝につき、肩で息をするニックは絞りだすような声で告げた。
「ジェ……ジェラルド王子が、お見えに……」
「は?」
手に持っていた釣り竿を取り落としそうになる。
「ジェラルド王子って兄さまの婚約者の? 何しにきたんだろ」
エディが眉を顰めた。最近は兄さま大好きと慕ってくれて本当に可愛い。体も元気になり、声も大きくはきはきと自分の意見をしゃべるようになってくれた。
最後に王子に会ったのは、転生のきっかけになった自殺未遂99回目の自殺未遂の数日前だ。もう数ヶ月は会っていない事になる。
「一度、屋敷の方へ戻るようにと旦那様が仰っております」
「わかった」
せっかく釣り竿に餌をつけたところだったのに。俺はうねうねと動く餌のゴカイを外すと川へ投げ込んだ。竿を置いておくわけにはいかないので、持ったまま屋敷の方へ戻った。
靴が泥だらけになっていたので、入口で泥を落としていると、強い視線を感じる。目を凝らすと玄関の正面から続く階段の上から釣り竿片手に靴の泥を落とす俺を驚愕の目で見つめるジェラルド王子だった。
「げ」
やばい。ジェラルドはほんの一瞬だけ鋭い眼差しを見せたが、すぐにいつもの柔和な笑顔を顔に張り付けた。
王子はそのまま優雅に階段を降りてくると、俺の目の前で立ち止まる。
「こんにちは、ユージン。外に出ているなんて珍しいね」
出た。営業用王子スマイル。このキラキラの笑顔の下で、婚約者の事を面倒くさがっているのを俺は知ってんだからな!
心の中で毒づきながら、俺も負けじと笑顔を作る。
「はい。弟と遊んでいたんです。今から釣りをするところだったのですが」
俺の返答にジェラルドは大きく口を開け、ぽかんとした表情になる。いつも隙のない王子のこんな間抜け面、初めて見たな。
笑いを噛み殺していると、王子がやっと気を取り直す。
「そうなんだ。エドワードときみが遊ぶなんて珍しいね。しかも外で」
「最近はずっとこうです。毎日、庭や果樹園で遊んでいるんですよ」
「ということは、もうケガのほうはすっかりよくなったんだね」
その言葉でジェラルドの訪問の目的を理解する。そうだった、ユージンはジェラルドの気を引くために自殺未遂をしたんだった。
もうこんなバカな行為はしないと宣言する、いい機会かもしれない。
「はい、もう元気すぎるくらい元気です! それにあの程度のケガなら魔力ですぐ治せます。今回、頭を打って目が覚めました。ジェラルド様、今まで追いかけ回してすぐに死ぬなんて大騒ぎばかりして。本当に申し訳ありませんでした」
一度、そこで言葉を切って深々と頭を下げる。
「これからは二度と、そんなことしません。それに、これだけご迷惑をおかけしたのだから、婚約もいつ破棄していただいても構いません。ジェラルド様に想う人がいらっしゃるのであれば、どうかその方と幸せになってください」
やった。言いたいことを一気に言えた! これで俺の死亡率もかなり低くなったはず。というか、これも勝利確定では?
王子は黙ったまま、なんとも言えない表情で俺の顔をじっと見ている。そこにいつもの笑顔はない。俺の真意を探るような瞳でじっと考え込んでいるようだった。
俺としてはもう話はほとんど終わったようなものなのだが、王子をこのまま玄関先で帰すのも失礼なことである。仕方なく自室まで案内して、寝室と間続きの小さめの客間――といっても前世の俺のワンルームマンションぐらいの広さはある――でお茶を飲む。
部屋に入ったジェラルドはまたしても驚きでしばらくフリーズしていた。
「部屋も本当に変わったね。今日は驚いてばかりだ」
「今までがおかしかったんですよ。よくあんな部屋に住めていたなと思ってます」
正直に答えただけなのに、王子はなぜか紅茶を吹き出しそうになっている。
「それにしてもきみたち、本当にずっと一緒にいるんだね」
ジェラルドの視線は俺の隣、ぴったりとくっつくようにして座っているエディに向けられた。
「ええ。兄様と僕は本当に仲がいいのです。側にいてはいけませんか?」
エディは天使のように微笑んだ。本当に可愛い。家族の欲目でなくても可愛すぎると思う。
だが王子はうちの弟の可愛さには興味がないようだ。口角は上がっているが冷めきった目でエディを眺めている。
「兄弟仲がいいのは素晴らしいことだと思うよ。だがユージンと二人きりで少し話したいんだ。外してもらってもいいかな?」
エディは露骨に嫌そうな顔をすると俺に視線をよこす。人払いをするほどの話なら、かなり大事な内容に違いない。もしかすると婚約破棄のスケジュール相談だろうか。だとしたらこの機を逃す手はない。
「ごめんな。ニックと自分の部屋に戻っててくれるか。後でまた迎えにいくから、今日はチェスでもして遊ぼう」
「わかりました……兄様、早く迎えにきてくださいね。ではジェラルド王子、失礼いたします」
二人が部屋を出ていくとジェラルドは大きなため息を吐き、テーブルにセットされた水差しから自分でゴブレットに水を注いで一気に飲み干す。そうしてドンッと音を立ててそれをテーブルに置いた。
明るい光の中で見るエドワードは天使のように可愛らしい。鳶色の髪にはちみつ色の瞳。ただ少し瘦せすぎで肌つやもあまりよくないのが気になった。
これもユージンから受けたいじめによるストレスのせいかもしれない。これからは思う存分可愛がってやりたい。もちろん第一の目的は俺の平穏な人生のためだ。だが、エドワードを見ているとそのためだけでなくとも、可愛がり、守りたくなった。
そんなわけで翌日、驚きすぎてぽかんとしているニックを引きつれて朝食のためダイニングに向った。
使用人たちはもちろん、昨晩遅くに帰宅したという両親も目を丸くしている。
「おかえりなさいませ、父上、母上。おはようエドワード」
両親はハッとした表情を見せた後、笑顔でおはようと返してくれた。エドワードも声は小さかったが挨拶をしてくれる。
よし。今のところ計画の進捗は悪くない。それにしてもセレブ貴族の朝食ってどんなに豪華なんだろう。期待に胸を膨らませていると、まずは父と母の前に
大きなガラスボウルが置かれる。
見るからに新鮮な葉野菜と、よく熟れたトマトや、それにパプリカのような黄色の野菜を彩りよく混ぜたサラダだ。
テーブルに並ぶ美しいガラスボトルには何種類ものドレッシングが並べられている。フレッシュなミルク、オレンジジュース、ベーコンや卵料理など前世のホテルの朝食のような華やかさに心が躍る。
だが俺の前にはその中のひつも運ばれてこない。不審に思っていると、銀色のクローシュを手にした使用人がついに俺の前にやってきた。なにか特別美味いものなのだろうかとワクワクしながら待つ。
美しい刺繍のテーブルクロスの上に厳かにクローシュが置かれた。朝からターキーとか? もしくは何かとんでもなく珍しいフルーツだったりして。
いよいよクローシュの蓋が開かれた瞬間、俺は呆然とした。
「……は」
金縁の施された真っ白な皿の上に上品に並んでいたのは、数粒のグミのようなものだった。その瞬間、ユージンはまったく食に興味がなく、食べることを面倒がっていたことを思い出した。
時間は不規則で、グミやお菓子を少し、自室で摘まむ。それが1日ユージンの食事のほぼすべてだった。だからこんなにガリガリで肌も少し荒れているのかもしれない。
悔しい。明日から俺も、絶対にあのセレブ朝食を食べてやる! 腹立ち紛れに一気にグミを口にすると、明日からは皆と同じものを食べることを両親に宣言した。
朝食の後は、義弟を誘って庭の果樹園を見に行く。両親は相変わらず仲がいいと嬉しそうだ。果樹園へと続く庭園を歩きながら会話を試みる。
「エドワード、今日からエディって呼んでもいいか」
「エディ……?」
「うん。エドワードってちょっと長いし、エディのほうが弟って感じがするだろ」
「おとうと」
「うん。俺はお前の兄さんで、お前は俺の弟なんだから。他人行儀はやめよう」
若干、気圧された感はあったが義弟は愛称で呼ぶことを了承してくれた。なんだか心の距離も縮まったみたいで嬉しい。
俺がエディ、エディと呼ぶのをニックはなんだか恐ろしいものを見るような目で見ていたが、そんなの気にならないくらいエディは可愛かった。
こんな可愛い弟に殺される未来なんて絶対に嫌だ。仲良くしていかなければと俺は決意を新たにしたのだった。
そうして俺は毎日エディを誘い屋敷の中を探検したり果樹園や庭で遊んだり、庭園を流れる川で魚釣りをして楽しんだ。
ちなみにジェニングス家の庭園はバカでかくてなんと小さいが川が流れている。釣り好きだったひいおじい様がいつでもできるようにと庭に川を作ってしまったのだという。
この川ではブラウントラウトやニジマスがよく釣れる。魚釣りは前世でも大好きだったので、俺は義弟に釣りを教えてやった。エディはすぐに上達し毎日の食卓には俺たちが釣った魚が出るようにもなっている。
そうして遊ぶうちにメンヘラ兄貴と根暗弟の根暗ブラザーズはすっかり肌や髪のつやもよくなり、病的なガリガリから健康体へと変貌していった。俺はすっかり他の攻略対象のことも忘れかけ、毎日楽しく遊び暮らしていた――のだが。
いつも通り、川沿いに腰掛けて魚釣りをしていたある日。ニックが血相を変え、全速力で駆けてきた。
「どうした? 真っ青だぞ」
両手を膝につき、肩で息をするニックは絞りだすような声で告げた。
「ジェ……ジェラルド王子が、お見えに……」
「は?」
手に持っていた釣り竿を取り落としそうになる。
「ジェラルド王子って兄さまの婚約者の? 何しにきたんだろ」
エディが眉を顰めた。最近は兄さま大好きと慕ってくれて本当に可愛い。体も元気になり、声も大きくはきはきと自分の意見をしゃべるようになってくれた。
最後に王子に会ったのは、転生のきっかけになった自殺未遂99回目の自殺未遂の数日前だ。もう数ヶ月は会っていない事になる。
「一度、屋敷の方へ戻るようにと旦那様が仰っております」
「わかった」
せっかく釣り竿に餌をつけたところだったのに。俺はうねうねと動く餌のゴカイを外すと川へ投げ込んだ。竿を置いておくわけにはいかないので、持ったまま屋敷の方へ戻った。
靴が泥だらけになっていたので、入口で泥を落としていると、強い視線を感じる。目を凝らすと玄関の正面から続く階段の上から釣り竿片手に靴の泥を落とす俺を驚愕の目で見つめるジェラルド王子だった。
「げ」
やばい。ジェラルドはほんの一瞬だけ鋭い眼差しを見せたが、すぐにいつもの柔和な笑顔を顔に張り付けた。
王子はそのまま優雅に階段を降りてくると、俺の目の前で立ち止まる。
「こんにちは、ユージン。外に出ているなんて珍しいね」
出た。営業用王子スマイル。このキラキラの笑顔の下で、婚約者の事を面倒くさがっているのを俺は知ってんだからな!
心の中で毒づきながら、俺も負けじと笑顔を作る。
「はい。弟と遊んでいたんです。今から釣りをするところだったのですが」
俺の返答にジェラルドは大きく口を開け、ぽかんとした表情になる。いつも隙のない王子のこんな間抜け面、初めて見たな。
笑いを噛み殺していると、王子がやっと気を取り直す。
「そうなんだ。エドワードときみが遊ぶなんて珍しいね。しかも外で」
「最近はずっとこうです。毎日、庭や果樹園で遊んでいるんですよ」
「ということは、もうケガのほうはすっかりよくなったんだね」
その言葉でジェラルドの訪問の目的を理解する。そうだった、ユージンはジェラルドの気を引くために自殺未遂をしたんだった。
もうこんなバカな行為はしないと宣言する、いい機会かもしれない。
「はい、もう元気すぎるくらい元気です! それにあの程度のケガなら魔力ですぐ治せます。今回、頭を打って目が覚めました。ジェラルド様、今まで追いかけ回してすぐに死ぬなんて大騒ぎばかりして。本当に申し訳ありませんでした」
一度、そこで言葉を切って深々と頭を下げる。
「これからは二度と、そんなことしません。それに、これだけご迷惑をおかけしたのだから、婚約もいつ破棄していただいても構いません。ジェラルド様に想う人がいらっしゃるのであれば、どうかその方と幸せになってください」
やった。言いたいことを一気に言えた! これで俺の死亡率もかなり低くなったはず。というか、これも勝利確定では?
王子は黙ったまま、なんとも言えない表情で俺の顔をじっと見ている。そこにいつもの笑顔はない。俺の真意を探るような瞳でじっと考え込んでいるようだった。
俺としてはもう話はほとんど終わったようなものなのだが、王子をこのまま玄関先で帰すのも失礼なことである。仕方なく自室まで案内して、寝室と間続きの小さめの客間――といっても前世の俺のワンルームマンションぐらいの広さはある――でお茶を飲む。
部屋に入ったジェラルドはまたしても驚きでしばらくフリーズしていた。
「部屋も本当に変わったね。今日は驚いてばかりだ」
「今までがおかしかったんですよ。よくあんな部屋に住めていたなと思ってます」
正直に答えただけなのに、王子はなぜか紅茶を吹き出しそうになっている。
「それにしてもきみたち、本当にずっと一緒にいるんだね」
ジェラルドの視線は俺の隣、ぴったりとくっつくようにして座っているエディに向けられた。
「ええ。兄様と僕は本当に仲がいいのです。側にいてはいけませんか?」
エディは天使のように微笑んだ。本当に可愛い。家族の欲目でなくても可愛すぎると思う。
だが王子はうちの弟の可愛さには興味がないようだ。口角は上がっているが冷めきった目でエディを眺めている。
「兄弟仲がいいのは素晴らしいことだと思うよ。だがユージンと二人きりで少し話したいんだ。外してもらってもいいかな?」
エディは露骨に嫌そうな顔をすると俺に視線をよこす。人払いをするほどの話なら、かなり大事な内容に違いない。もしかすると婚約破棄のスケジュール相談だろうか。だとしたらこの機を逃す手はない。
「ごめんな。ニックと自分の部屋に戻っててくれるか。後でまた迎えにいくから、今日はチェスでもして遊ぼう」
「わかりました……兄様、早く迎えにきてくださいね。ではジェラルド王子、失礼いたします」
二人が部屋を出ていくとジェラルドは大きなため息を吐き、テーブルにセットされた水差しから自分でゴブレットに水を注いで一気に飲み干す。そうしてドンッと音を立ててそれをテーブルに置いた。
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