83 / 85
第七章 真実の愛
<22>ヒートの始まり
しおりを挟む
「ヒート? なんで……?」
言いながら頭がぼうっとしてくる。今はとにかくレヴィの匂いを肺いっぱいに吸い込みたくてたまらない。
「エリス様が真実の愛に出会われた……ということなのだと思います」
「しんじつの、あい?」
(そっか。狼神がそんなこと言ってた気がするな)
初めて好きという感情を抱いた人がレヴィで、それが真実の愛の相手だなんて。
こんなに幸せなことはない。
ぼんやりする頭でそんなことを思っていると、レヴィの息がよりいっそう荒くなった。
「エリス、様……ッ! 匂いが、急にすごく強くなりました……ああ、だめです。もう我慢できそうにない……」
苦しそうに言葉を吐きながら、どんどん顔が近づいてくる。
鼻先がくっつきそうな距離まで近づいたとき、レヴィが掠れた声で呟いた。
「エリス様、あなたにキスをしてもいいでしょうか」
俺は無言でレヴィの首に腕を回して引き寄せた。
触れるだけのキスなのに信じられないほど気持ちいい。
「エリス様、エリス様……」
キスの合間にレヴィが熱のこもった声で何度も俺の名前を呼ぶ。耳元で囁かれると背筋がゾクゾクするほどの快感が全身に走った。
顔中にキスの雨が降り、その気持ちよさにうっとりしているとそっと顔が離された。
「やだ……離れるな」
離れたのが寂しくて、目じりに涙が滲む。こんなこと、いつのも俺なら絶対にありえないのに。
「エ、エリス様!?」
レヴィは真っ赤な顔であたふたしている。
「お願いだ、もっとキスしてほし……んっ」
言い終わらないうちにレヴィの舌が口の中に差しこまれた。
「ん、ん……んぅ」
熱い舌が少し強引に口内を舐め回す。そうかと思うと、強弱をつけて舌をしゃぶったり擦りあわせるようにしたり、甘噛みする。
反射的に胸を押そうと動いた両腕は、顔の横に磔にされてしまった。
口の端から零れる唾液を唇こと舐め取られると、全身が震えだす。
何もかも奪うような濃厚で激しいキスの連続に、頭の中がぼうっと霞んでいく。
やっと解放されると、レヴィが熱で浮かされたような瞳で俺を見下ろしていた。
「もう少し、触れてもよいでしょうか」
こんなときまで礼儀正しいのかと呆れる気持ちと、そんな生真面目なところを愛おしいという気持ちが混ざって笑ってしまう。
「うん、俺ももっと触れてほしい」
レヴィはごくりと喉を上下させ、ナイトガウンを結ぶ紐に手をかけた。
「あ」
しゅるりと小さな音を立てて紐が解かれると、上半身が露わになる。
レヴィは緊張した面持ちで、俺の胸元に手を伸ばした。
「はあ……っ」
ヒートのせいだろうか。軽く触れられているだけでも身体が反応してしまう。
レヴィはしばらく両手で優しく上半身を撫で回していたが、やがて両胸を下から上へ持ち上げるようにして揉みしだく。
「あ、ん……っ、レヴィ……っ」
レヴィの指先が乳首を捕らえる。親指と中指でつまんだ先端を人差し指の爪先でカリカリと引っ搔くように刺激された。
「ああっ!! ん、あ……っ、す、すご……っ」
快感で背中が反る。そのせいで自ら胸を突き出すような体勢になってしまう。
レヴィは左手はそのままに、右の先端を口に含んだ。
「ふぅんっ、あっあっ、あっ!」
右の乳首を舌先で転がすように舐められる。気持ちよすぎて足の指に力が入っていく。
「ああ……あんっ……っ、きもち、いぃ……」
レヴィは右胸から口を離すと静かに笑った。
「エリス様が気持ちよさそうで嬉しいです。もっともっと、気持ちよくして差し上げますね」
今でも身に受けるのが精一杯だというのに、これ以上の快感を受けたら俺はどうなってしまうのだろうか。
怖い。でも同時に知りたくてたまらない。
レヴィは今度は左胸を同じように口に含む
「くぅう……っ、ああ、あっあっあーーっ!!」
心なしか右よりも強く吸われて、軽く歯を立てられる。それがとてつもなく気持ちよくて、悲鳴のような嬌声が喉から漏れた。
同時に、触れてもいない雄芯から白い欲が吐き出される。
「え……う、うそ」
「ヒートは通常より快感に弱くなるのです。だからこれは自然なことです」
レヴィは小さなタオルで俺の腹部に飛び散ったそれらを拭きとってくれた。
「あ、ありがと……」
レヴィは手を止めて俺の目を見る。
「これから僕はあなたを抱きます。ですが……もし少しでも嫌なことがあればすぐに仰ってください。ヒートはきっと、これから定期的に起こります。今日じゃなくても――」
「い、いい。今日にしよう」
俺はゆっくりと上体を起こしてレヴィの手に触れた。
「エリス様?」
「次のヒートなんて、待ちたくない。俺は早くおまえと番になりたい。俺のことなんて気にしなくていいから、好きにしてほしい」
「……せっかく僕が自制しようとしているのに、そんなことをおっしゃらないでください。番になる行為はオメガであるエリス様に負担が――んむぅ!?」
小言を言いはじめたレヴィの頬を両手で挟むと、勢いよく唇を押し付けた。
「俺がいいって言ってんだよ、バカ」
次の瞬間、飛びかかるように覆いかぶさってきたレヴィによってシーツに沈められる。
乱れた銀糸の前髪の隙間から、ギラギラとした欲望に燃えたアクアマリンの瞳が俺を捉える。
「こんなに煽って……もう、止まれないですよ」
「ああ、俺のせいにしていい。望むところだ」
それが合図かのようにレヴィが再び顔を寄せてきて、俺は目を閉じた。
言いながら頭がぼうっとしてくる。今はとにかくレヴィの匂いを肺いっぱいに吸い込みたくてたまらない。
「エリス様が真実の愛に出会われた……ということなのだと思います」
「しんじつの、あい?」
(そっか。狼神がそんなこと言ってた気がするな)
初めて好きという感情を抱いた人がレヴィで、それが真実の愛の相手だなんて。
こんなに幸せなことはない。
ぼんやりする頭でそんなことを思っていると、レヴィの息がよりいっそう荒くなった。
「エリス、様……ッ! 匂いが、急にすごく強くなりました……ああ、だめです。もう我慢できそうにない……」
苦しそうに言葉を吐きながら、どんどん顔が近づいてくる。
鼻先がくっつきそうな距離まで近づいたとき、レヴィが掠れた声で呟いた。
「エリス様、あなたにキスをしてもいいでしょうか」
俺は無言でレヴィの首に腕を回して引き寄せた。
触れるだけのキスなのに信じられないほど気持ちいい。
「エリス様、エリス様……」
キスの合間にレヴィが熱のこもった声で何度も俺の名前を呼ぶ。耳元で囁かれると背筋がゾクゾクするほどの快感が全身に走った。
顔中にキスの雨が降り、その気持ちよさにうっとりしているとそっと顔が離された。
「やだ……離れるな」
離れたのが寂しくて、目じりに涙が滲む。こんなこと、いつのも俺なら絶対にありえないのに。
「エ、エリス様!?」
レヴィは真っ赤な顔であたふたしている。
「お願いだ、もっとキスしてほし……んっ」
言い終わらないうちにレヴィの舌が口の中に差しこまれた。
「ん、ん……んぅ」
熱い舌が少し強引に口内を舐め回す。そうかと思うと、強弱をつけて舌をしゃぶったり擦りあわせるようにしたり、甘噛みする。
反射的に胸を押そうと動いた両腕は、顔の横に磔にされてしまった。
口の端から零れる唾液を唇こと舐め取られると、全身が震えだす。
何もかも奪うような濃厚で激しいキスの連続に、頭の中がぼうっと霞んでいく。
やっと解放されると、レヴィが熱で浮かされたような瞳で俺を見下ろしていた。
「もう少し、触れてもよいでしょうか」
こんなときまで礼儀正しいのかと呆れる気持ちと、そんな生真面目なところを愛おしいという気持ちが混ざって笑ってしまう。
「うん、俺ももっと触れてほしい」
レヴィはごくりと喉を上下させ、ナイトガウンを結ぶ紐に手をかけた。
「あ」
しゅるりと小さな音を立てて紐が解かれると、上半身が露わになる。
レヴィは緊張した面持ちで、俺の胸元に手を伸ばした。
「はあ……っ」
ヒートのせいだろうか。軽く触れられているだけでも身体が反応してしまう。
レヴィはしばらく両手で優しく上半身を撫で回していたが、やがて両胸を下から上へ持ち上げるようにして揉みしだく。
「あ、ん……っ、レヴィ……っ」
レヴィの指先が乳首を捕らえる。親指と中指でつまんだ先端を人差し指の爪先でカリカリと引っ搔くように刺激された。
「ああっ!! ん、あ……っ、す、すご……っ」
快感で背中が反る。そのせいで自ら胸を突き出すような体勢になってしまう。
レヴィは左手はそのままに、右の先端を口に含んだ。
「ふぅんっ、あっあっ、あっ!」
右の乳首を舌先で転がすように舐められる。気持ちよすぎて足の指に力が入っていく。
「ああ……あんっ……っ、きもち、いぃ……」
レヴィは右胸から口を離すと静かに笑った。
「エリス様が気持ちよさそうで嬉しいです。もっともっと、気持ちよくして差し上げますね」
今でも身に受けるのが精一杯だというのに、これ以上の快感を受けたら俺はどうなってしまうのだろうか。
怖い。でも同時に知りたくてたまらない。
レヴィは今度は左胸を同じように口に含む
「くぅう……っ、ああ、あっあっあーーっ!!」
心なしか右よりも強く吸われて、軽く歯を立てられる。それがとてつもなく気持ちよくて、悲鳴のような嬌声が喉から漏れた。
同時に、触れてもいない雄芯から白い欲が吐き出される。
「え……う、うそ」
「ヒートは通常より快感に弱くなるのです。だからこれは自然なことです」
レヴィは小さなタオルで俺の腹部に飛び散ったそれらを拭きとってくれた。
「あ、ありがと……」
レヴィは手を止めて俺の目を見る。
「これから僕はあなたを抱きます。ですが……もし少しでも嫌なことがあればすぐに仰ってください。ヒートはきっと、これから定期的に起こります。今日じゃなくても――」
「い、いい。今日にしよう」
俺はゆっくりと上体を起こしてレヴィの手に触れた。
「エリス様?」
「次のヒートなんて、待ちたくない。俺は早くおまえと番になりたい。俺のことなんて気にしなくていいから、好きにしてほしい」
「……せっかく僕が自制しようとしているのに、そんなことをおっしゃらないでください。番になる行為はオメガであるエリス様に負担が――んむぅ!?」
小言を言いはじめたレヴィの頬を両手で挟むと、勢いよく唇を押し付けた。
「俺がいいって言ってんだよ、バカ」
次の瞬間、飛びかかるように覆いかぶさってきたレヴィによってシーツに沈められる。
乱れた銀糸の前髪の隙間から、ギラギラとした欲望に燃えたアクアマリンの瞳が俺を捉える。
「こんなに煽って……もう、止まれないですよ」
「ああ、俺のせいにしていい。望むところだ」
それが合図かのようにレヴィが再び顔を寄せてきて、俺は目を閉じた。
877
お気に入りに追加
3,560
あなたにおすすめの小説

アルファな俺が最推しを救う話〜どうして俺が受けなんだ?!〜
車不
BL
5歳の誕生日に階段から落ちて頭を打った主人公は、自身がオメガバースの世界を舞台にしたBLゲームに転生したことに気づく。「よりにもよってレオンハルトに転生なんて…悪役じゃねぇか!!待てよ、もしかしたらゲームで死んだ最推しの異母兄を助けられるかもしれない…」これは第二の性により人々の人生や生活が左右される世界に疑問を持った主人公が、最推しの死を阻止するために奮闘する物語である。
完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

モブなのに執着系ヤンデレ美形の友達にいつの間にか、なってしまっていた
マルン円
BL
執着系ヤンデレ美形×鈍感平凡主人公。全4話のサクッと読めるBL短編です(タイトルを変えました)。
主人公は妹がしていた乙女ゲームの世界に転生し、今はロニーとして地味な高校生活を送っている。内気なロニーが気軽に学校で話せる友達は同級生のエドだけで、ロニーとエドはいっしょにいることが多かった。
しかし、ロニーはある日、髪をばっさり切ってイメチェンしたエドを見て、エドがヒロインに執着しまくるメインキャラの一人だったことを思い出す。
平凡な生活を送りたいロニーは、これからヒロインのことを好きになるであろうエドとは距離を置こうと決意する。
タイトルを変えました。
前のタイトルは、「モブなのに、いつのまにかヒロインに執着しまくるキャラの友達になってしまっていた」です。
急に変えてしまい、すみません。

モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中
risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。
任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。
快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。
アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——?
24000字程度の短編です。
※BL(ボーイズラブ)作品です。
この作品は小説家になろうさんでも公開します。
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位
【完結】相談する相手を、間違えました
ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。
自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・
***
執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。
ただ、それだけです。
***
他サイトにも、掲載しています。
てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。
***
エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。
ありがとうございました。
***
閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。
ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*)
***
2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。

完結·助けた犬は騎士団長でした
禅
BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。
ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。
しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。
強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ……
※完結まで毎日投稿します

いつかコントローラーを投げ出して
せんぷう
BL
オメガバース。世界で男女以外に、アルファ・ベータ・オメガと性別が枝分かれした世界で新たにもう一つの性が発見された。
世界的にはレアなオメガ、アルファ以上の神に選別されたと言われる特異種。
バランサー。
アルファ、ベータ、オメガになるかを自らの意思で選択でき、バランサーの状態ならどのようなフェロモンですら影響を受けない、むしろ自身のフェロモンにより周囲を調伏できる最強の性別。
これは、バランサーであることを隠した少年の少し不運で不思議な出会いの物語。
裏社会のトップにして最強のアルファ攻め
×
最強種バランサーであることをそれとなく隠して生活する兄弟想いな受け
※オメガバース特殊設定、追加性別有り
.
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる