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第二部 1章
<9話>
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「ブレイディ伯爵令嬢のしたことを、僕はやっぱり許せない」
「……はい」
「そんな顔しないで」
アシュリーは微笑みながら俺の頬を優しく撫でる。
「許せないのは本当。でもね、僕が一番大切にしたいのはルイスの気持ちだ。だから今夜きみと話をして、それでもルイスが嫌だというなら、今回のことを父上にたちに報告するのはやめるようと思っていたんだよ」
「ありがとうございます!! でも、ごめんなさい……せっかく心配してくださったのに、ワガママを言って」
アシュリーはいたずらっぽく笑って、人差し指で俺の鼻を優しくツンと突く。
「そうだよ。こんなにワガママな弟の兄さまが務まるのは、僕だけ……じゃない、と、ジェシー兄上ぐらいなんだからね」
「……ふぁい」
可愛すぎる動作とセリフに推しへの愛が爆発して倒れそうになる。俺はなんとか正気を保ったまま、デレデレした顔で気持ちの悪い返事をした。
「さて。話も一段落したことだし、僕は部屋に戻ろうかな」
そう言って立ち上がった推しのナイトガウンをとっさに掴んでしまう。
「ルイス? どうしたの?」
推しが首を少し傾げる。
「あ、その……いや。い、今からお部屋に戻られるのは危ないのではないでしょうか。ま、真夜中はお化けが出るかもしれませんし、それにこんなに暗い中をお戻りになるのは。危ないです!」
「ありがとう、心配してくれて。でも転移魔法があるから大丈夫だよ。ここに来たときも、ルイスの部屋の前までは魔法でとんできたし」
「あ、そうか……そう、ですよね。ごめんなさい、変なことを言って」
よく考えたらその通りだ。離れがたくて、バカなことを口走ってしまったことが恥ずかしい。
アシュリーは俺の顔をじっと見た後、髪を優しく撫でた。
「ねえルイス。もしかして僕に帰ってほしくないの?」
「……っ、は、い……」
「わかった。じゃあ今日は久しぶりに一緒に休もうか」
「いいのですか!?」
「うん。今日は特別だよ?」
「は、はいっ! やったあ! 嬉しいです! 兄さま!!」
俺たちは一緒にベッドに潜り込んだ。寄宿舎はたくさんの人がいるし、屋敷に帰ってきても両親やユーリ、たまにジェシーもいる。
皆と過ごすのはもちろん大好きだけれど、たまには昔みたいに二人きりで話がしたい。
(だって俺、もうすぐ兄離れもしなきゃいけないし。今だけ、推しを独り占めしてもいいよな)
すぐに眠るつもりなんてなかったのに、精神年齢と違って体はまだまだ13歳だ。横になるとすぐに瞼が重くなる。
「アシュリー兄さま、ごめ、なさい……もっとおしゃべり、した、のに……」
口もうまく回らない。なんとか思いを吐き出すと、優しい声が聞こえた。
「いいんだよ、今日は疲れただろ。ゆっくりおやすみ」
それを最後に、俺は意識を失うように眠ってしまった。
「……はい」
「そんな顔しないで」
アシュリーは微笑みながら俺の頬を優しく撫でる。
「許せないのは本当。でもね、僕が一番大切にしたいのはルイスの気持ちだ。だから今夜きみと話をして、それでもルイスが嫌だというなら、今回のことを父上にたちに報告するのはやめるようと思っていたんだよ」
「ありがとうございます!! でも、ごめんなさい……せっかく心配してくださったのに、ワガママを言って」
アシュリーはいたずらっぽく笑って、人差し指で俺の鼻を優しくツンと突く。
「そうだよ。こんなにワガママな弟の兄さまが務まるのは、僕だけ……じゃない、と、ジェシー兄上ぐらいなんだからね」
「……ふぁい」
可愛すぎる動作とセリフに推しへの愛が爆発して倒れそうになる。俺はなんとか正気を保ったまま、デレデレした顔で気持ちの悪い返事をした。
「さて。話も一段落したことだし、僕は部屋に戻ろうかな」
そう言って立ち上がった推しのナイトガウンをとっさに掴んでしまう。
「ルイス? どうしたの?」
推しが首を少し傾げる。
「あ、その……いや。い、今からお部屋に戻られるのは危ないのではないでしょうか。ま、真夜中はお化けが出るかもしれませんし、それにこんなに暗い中をお戻りになるのは。危ないです!」
「ありがとう、心配してくれて。でも転移魔法があるから大丈夫だよ。ここに来たときも、ルイスの部屋の前までは魔法でとんできたし」
「あ、そうか……そう、ですよね。ごめんなさい、変なことを言って」
よく考えたらその通りだ。離れがたくて、バカなことを口走ってしまったことが恥ずかしい。
アシュリーは俺の顔をじっと見た後、髪を優しく撫でた。
「ねえルイス。もしかして僕に帰ってほしくないの?」
「……っ、は、い……」
「わかった。じゃあ今日は久しぶりに一緒に休もうか」
「いいのですか!?」
「うん。今日は特別だよ?」
「は、はいっ! やったあ! 嬉しいです! 兄さま!!」
俺たちは一緒にベッドに潜り込んだ。寄宿舎はたくさんの人がいるし、屋敷に帰ってきても両親やユーリ、たまにジェシーもいる。
皆と過ごすのはもちろん大好きだけれど、たまには昔みたいに二人きりで話がしたい。
(だって俺、もうすぐ兄離れもしなきゃいけないし。今だけ、推しを独り占めしてもいいよな)
すぐに眠るつもりなんてなかったのに、精神年齢と違って体はまだまだ13歳だ。横になるとすぐに瞼が重くなる。
「アシュリー兄さま、ごめ、なさい……もっとおしゃべり、した、のに……」
口もうまく回らない。なんとか思いを吐き出すと、優しい声が聞こえた。
「いいんだよ、今日は疲れただろ。ゆっくりおやすみ」
それを最後に、俺は意識を失うように眠ってしまった。
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