上 下
53 / 63

#52

しおりを挟む
必死でキスを受けている間に、身に着けていたものは下着以外、あっという間に取り払われてしまった。

「ここ……染みができてる」
「言うなって! そういうことっ……」

上半身を起き上がらせた金成は、下着の上から押し上げているそこを軽く撫でた。その手つきはどんどんいやらしいものになっていく。

「脱がすよ」
今までは、何でも俺に聞いてくれていたのに、こんなふうに断言されたのは初めてな気がする。いつもより少し強引な様子に、余裕のなさを感じた。

うなずくと、ゴムの部分に手をかけられる。あっという間に足から下着を抜くと、目は俺を見据えたまま、それを床に投げ捨てた。

穏やかな恋人がの雄の顔に胸が高鳴る。俺はドMでもなんでもないのに、目の前のアルファにめちゃくちゃにして欲しくて堪らなくなる。

金成は俺の両脚を大きく開きその間に跪くと、すでに立ち上がって期待の雫をこぼし続けている俺自身をぎゅっと握った。

「ああっ、ちょっ……」
痛みはないが、突然の強い刺激に腰が跳ねる。思わず上半身を起こしかけると、肩を突き飛ばされてしまった。

俺がバランスを崩してシーツに倒れ込むと、金成は再び顔を伏せる。
「あっ、待っ……! ああああっ!」
先端を熱い舌でひと舐めされただけで、堪らなくなって大きな声を上げてしまう。そのまま熱い口腔内に深くまで吞み込まれ、唇と舌で激しく愛される。自分の股で上下する恋人の姿は、視覚からも快感と刺激を与える。

「あっああ……もうっ、だめっ……!」
逆手でシーツを握りしめて叫ぶと、与えられる刺激はさらに強さを増す。その瞬間、自分の欲が放たれたのがわかった。

金成はゆっくりと上体を起こすと、手の甲で口元を拭いながら俺を見た。
「……早く、吐き出して」
声をかけると、金成は首を横に振る。

「飲まなくていいからっ……」
そう言っているのに、金成は目を細めて真っ赤な舌を出して口の中を見せてくる。

「ダメ。もう飲んだ」
「そんなこと……あっ」

後ろの孔を撫でられると、身体から力が抜けていく。何度かそこを往復するように撫でられた後、グチュグチュと水音を立てて指が沈められた。

金成は険しい表情で俺の方を見る。
「なんでこんなに柔らかいの」
「え……あっ」

昨晩は大量の資料を読み終えたせいか身体が昂ってしまい、自分で自分を慰めたことを思い出す。

「……誰に触らせたの」
眉間に皺をよせ、低い声で唸るように問い詰められる。いつも優しい恋人の狂暴な態度に動揺して、舌がもつれて上手く話せない。

「言えないような相手ってこと?」
「あ、ちが……っああああ!」
金成は不機嫌を隠すこともなく、舌打ちをする。見たこともない態度に衝撃を受けて呆然としていると、埋められた指が激しく中をかき乱し始めた。

「俺には、飛鳥だけなのにっ!」
金成は怒ったように叫ぶと、激しく指を動かしたまま、上半身を前に倒す。

「んっ、あっ、、まっ……てっ……あっあっ、きもちぃ、よぉ……っ」
金成は左の胸の頂を口に含むと、尖らせた舌先で円を描くように舐め始める。時折、先端を強く吸い上げられてると、快感で声がとまらない。無意識に腰も揺らしてしまう。

「エロすぎ……こうやっていろんな奴のこと誘ってんの」
嘲笑が耳を打ち、俺は怒りで顔が熱くなるのを感じた。一人で勝手に勘違いしてキレてんじゃねえ! そう言ってやりたいのに、口から出るのは意味をなさない喘ぎ声ばかりだ。

なんとかして誤解を解かなければ。必死に言葉を紡ごうとしたその時、指とは比較にならない圧迫感が下半身を襲った。

「ああああッ! ああ、ひっ、ぐ、うっ……!」
「今日は全部入れる、からっ!」

どいうことだ? と頭の中で疑問が沸く。俺たちが初めて気持ちを確かめ合った時、最後まで
行ったはずだった。金成のモノは俺の番と同じくらい大きいと思ったのを覚えている。

「や、あ、うそっ! あ、あああっ」
どうやらあれが全てではなかったらしい。その証拠に、今までに感じたことがないほどの圧迫感と、内臓が押し上げられるような感覚を味わわされている。

苦しい。痛い。でも気持ちいい。両の太腿を肩に担がれ、奥の奥までガンガンと穿たれて、視界も上下する。それなのに今日の金成は、まだ先へと進もうとしてる。

「あっ、あーッ、あっ、やっ、だめ……ぇ……」
怖くなって担がれた脚をバタつかせると、右胸の飾りをぎゅっと強く摘ままれた。

「ひっ、いたっ……やめっ」
痛みの中に潜む快感を身体が拾ってしまい、俺の動きが止まる。その瞬間を金成が見逃すはずもなく、脱力したと同時にぐっとさらに奥深く、誰にも許したところがない深くまで押し入られてしまう。

最奥を突かれた時、身体中を今まで感じたことのないような快感が走った。
「……やっ、あっ、あっ、ぁああっ、あああー……っっ!!」

全身が痙攣し、心臓がはち切れそうなほど鼓動が早くなる。そしてーー。
次の瞬間、襲ってきたのは高熱に冒されたような熱さと、脳が焼き切れるほどの快感と衝撃。

この感覚を俺は知っている。
でも、まさか、そんな。

「っ飛鳥!? この匂いって…」
金成は目を見開いて俺を見た。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】虐げられオメガ聖女なので辺境に逃げたら溺愛系イケメン辺境伯が待ち構えていました(異世界恋愛オメガバース)

美咲アリス
BL
虐待を受けていたオメガ聖女のアレクシアは必死で辺境の地に逃げた。そこで出会ったのは逞しくてイケメンのアルファ辺境伯。「身バレしたら大変だ」と思ったアレクシアは芝居小屋で見た『悪役令息キャラ』の真似をしてみるが、どうやらそれが辺境伯の心を掴んでしまったようで、ものすごい溺愛がスタートしてしまう。けれども実は、辺境伯にはある考えがあるらしくて⋯⋯? オメガ聖女とアルファ辺境伯のキュンキュン異世界恋愛です、よろしくお願いします^_^ 本編完結しました、特別編を連載中です!

転生令息は冒険者を目指す!?

葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。  救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。  再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。  異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!  とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

隠れヤンデレは自制しながら、鈍感幼なじみを溺愛する

知世
BL
大輝は悩んでいた。 完璧な幼なじみ―聖にとって、自分の存在は負担なんじゃないか。 自分に優しい…むしろ甘い聖は、俺のせいで、色んなことを我慢しているのでは? 自分は聖の邪魔なのでは? ネガティブな思考に陥った大輝は、ある日、決断する。 幼なじみ離れをしよう、と。 一方で、聖もまた、悩んでいた。 彼は狂おしいまでの愛情を抑え込み、大輝の隣にいる。 自制しがたい恋情を、暴走してしまいそうな心身を、理性でひたすら耐えていた。 心から愛する人を、大切にしたい、慈しみたい、その一心で。 大輝が望むなら、ずっと親友でいるよ。頼りになって、甘えられる、そんな幼なじみのままでいい。 だから、せめて、隣にいたい。一生。死ぬまで共にいよう、大輝。 それが叶わないなら、俺は…。俺は、大輝の望む、幼なじみで親友の聖、ではいられなくなるかもしれない。 小説未満、小ネタ以上、な短編です(スランプの時、思い付いたので書きました) 受けと攻め、交互に視点が変わります。 受けは現在、攻めは過去から現在の話です。 拙い文章ですが、少しでも楽しんで頂けたら幸いです。 宜しくお願い致します。

謎の死を遂げる予定の我儘悪役令息ですが、義兄が離してくれません

柴傘
BL
ミーシャ・ルリアン、4歳。 父が連れてきた僕の義兄になる人を見た瞬間、突然前世の記憶を思い出した。 あれ、僕ってばBL小説の悪役令息じゃない? 前世での愛読書だったBL小説の悪役令息であるミーシャは、義兄である主人公を出会った頃から蛇蝎のように嫌いイジメを繰り返し最終的には謎の死を遂げる。 そんなの絶対に嫌だ!そう思ったけれど、なぜか僕は理性が非常によわよわで直ぐにキレてしまう困った体質だった。 「おまえもクビ!おまえもだ!あしたから顔をみせるなー!」 今日も今日とて理不尽な理由で使用人を解雇しまくり。けれどそんな僕を見ても、主人公はずっとニコニコしている。 「おはようミーシャ、今日も元気だね」 あまつさえ僕を抱き上げ頬擦りして、可愛い可愛いと連呼する。あれれ?お兄様、全然キャラ違くない? 義弟が色々な意味で可愛くて仕方ない溺愛執着攻め×怒りの沸点ド底辺理性よわよわショタ受け 9/2以降不定期更新

無能の騎士~退職させられたいので典型的な無能で最低最悪な騎士を演じます~

紫鶴
BL
早く退職させられたい!! 俺は労働が嫌いだ。玉の輿で稼ぎの良い婚約者をゲットできたのに、家族に俺には勿体なさ過ぎる!というので騎士団に入団させられて働いている。くそう、ヴィがいるから楽できると思ったのになんでだよ!!でも家族の圧力が怖いから自主退職できない! はっ!そうだ!退職させた方が良いと思わせればいいんだ!! なので俺は無能で最悪最低な悪徳貴族(騎士)を演じることにした。 「ベルちゃん、大好き」 「まっ!準備してないから!!ちょっとヴィ!服脱がせないでよ!!」 でろでろに主人公を溺愛している婚約者と早く退職させられたい主人公のらぶあまな話。 ーーー ムーンライトノベルズでも連載中。

周りが幼馴染をヤンデレという(どこが?)

ヨミ
BL
幼馴染 隙杉 天利 (すきすぎ あまり)はヤンデレだが主人公 花畑 水華(はなばた すいか)は全く気づかない所か溺愛されていることにも気付かずに ただ友達だとしか思われていないと思い込んで悩んでいる超天然鈍感男子 天利に恋愛として好きになって欲しいと頑張るが全然効いていないと思っている。 可愛い(綺麗?)系男子でモテるが天利が男女問わず牽制してるためモテない所か自分が普通以下の顔だと思っている 天利は時折アピールする水華に対して好きすぎて理性の糸が切れそうになるが、なんとか保ち普段から好きすぎで悶え苦しんでいる。 水華はアピールしてるつもりでも普段の天然の部分でそれ以上のことをしているので何しても天然故の行動だと思われてる。 イケメンで物凄くモテるが水華に初めては全て捧げると内心勝手に誓っているが水華としかやりたいと思わないので、どんなに迫られようと見向きもしない、少し女嫌いで女子や興味、どうでもいい人物に対してはすごく冷たい、水華命の水華LOVEで水華のお願いなら何でも叶えようとする 好きになって貰えるよう努力すると同時に好き好きアピールしているが気づかれず何年も続けている内に気づくとヤンデレとかしていた 自分でもヤンデレだと気づいているが治すつもりは微塵も無い そんな2人の両片思い、もう付き合ってんじゃないのと思うような、じれ焦れイチャラブな恋物語

【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる

路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか? いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ? ※エロあり。モブレなし。

【完結】白い塔の、小さな世界。〜監禁から自由になったら、溺愛されるなんて聞いてません〜

N2O
BL
溺愛が止まらない騎士団長(虎獣人)×浄化ができる黒髪少年(人間) ハーレム要素あります。 苦手な方はご注意ください。 ※タイトルの ◎ は視点が変わります ※ヒト→獣人、人→人間、で表記してます ※ご都合主義です、あしからず

処理中です...