【本編完結】至高のオメガに転生したのに、最強ヤンデレアルファの番に攻められまくっています

松原硝子

文字の大きさ
上 下
52 / 63

#51

しおりを挟む
驚いて反射的に離れようとしたが、肩に回された腕はびくともしない。そればかりか、さらに強く力が込められる。

「お、俺、そろそろ上がる……から」
「じゃ、俺も」
「おまえは今きたばっかだろ! もう少しゆっくり浸かれって」

なんとか腕を外して、風呂の縁に手をついて身体を持ち上げようと力を入れた瞬間、後ろから伸びできた腕に自由を奪われてしまった。

「なにすんだよ!」
金成は答えない。右腕は脇の下を通って胸へと回され、左腕はしっかりと腰に回されている。

「やめろって!」
なんとかして拘束を解こうと首を回して振り返った瞬間、唇に温かくしっとりしたものが押し当てられた。

しばらくはそうして唇を合わせているだけだったが、息苦しさを感じて小さく口を開けたその時、舌が入り込んできた。

「んぅ……!」
驚いて身体を動かそうとしたが、しっかりと抱きしめられているせいで手先をバタつかせるだけで終わってしまう。なんとも情けない。

顔を背けようとしても、金成の舌と顔はどこまでも追ってくる。その間中も舌を吸われたり口の中をかき回されたりしているうちに、頭の中がふわふわして、何も考えられなくなっていく。

上半身は外気にさらされているとはいえ、腰から下はまだ湯に浸かったままだ。俺はだんだんと意識が朦朧としてくるのを感じた。
やばい、のぼせた。そう思うと同時に、身体中から力が抜けていく。ぐったりとした俺に気づいた金成が焦ったように俺の名前を呼んだ。

「だい、じょぶ……けど、これ以上は……」
息も絶え絶えに懇願すると、金成はやっと解放してくれる。それと同時に崩れ落ちそうになる俺の身体を支えると、膝の裏と背中に手を回して抱きかかえた。

恥ずかしいから下ろしてくれと言いたかったが、のぼせ上った頭と身体では、それすら難しい。仕方なくされるがままになり、寝室へと運ばれるしかなかった。

「ごめん」
俺の身体をベッドに横たえると、金成は申し訳なさそうに呟いた。声を出すのがだるくて、俺は片手をシーツに這わせて脇に座る金成の手に触れた。

金成は少し驚いたようだったが、俺の手を握ってきた。しばらくそうしていると、ようやく身体が落ち着いてくる。

「もう、大丈夫……」
「まだダメだよ」
「じゃあお前もこっち来て」

金成は少し迷っていたようだったが、ゆっくりと俺の隣に身体を滑り込ませた。
肩と肩が触れると、金成の温かさが皮膚を通して伝わってくる。

「くっついてると安心するんだ」
「……俺も」

金成は優しい声で返してくれる。そして身体ごと俺の方へ向いた。俺もまだ少しフラつく身体を動かして、恋人の方を向く。

「ごめんね。俺のせいで」
ただのぼせただけなのに、とても悪いことをしたような申し訳ない顔をしている。そんな金成が可愛くて、俺は思わずその白い頬に手を伸ばした。

「いいって。ただのぼせただけだろ。謝るようなことじゃねえって」
それでも下がったままの眉毛をなんとかしたくて、少し上体を起こすと、恋人へそっと口づけた。

すぐに離そうと顔を引いたが、項を強く押さえこまれて動けない。
「んっんんっ」

触れるだけのそれはすぐに深いものへと変化していく。バスルームで交わしたような激しい口づけに、身体は再び熱を帯び始めた。

「んっ、んっんぅ……」
久しぶりのキスの快感に、声が止まらない。

いつの間にか体勢は反転し、金成は俺に覆いかぶさるようにして口づけを繰り返している。

口の端からは、飲みきれなかった透明な雫が顎を滑り落ちていった。
「あっ……!」

俺の顔を囲むようにしていた金成の手が、ついにTシャツの裾からそっと入り込んでくる。腰の当たりを軽く撫でられただけなのに、期待に震えてしまう。

手はゆっくりと上下しながら、次第に上へと上ってくる。爪の先が胸の突起を掠めると、電流のような快感が身体を走った。

金成はいったん手をとめ、額を合わせると息のかかる距離で小さく訊ねてくる。
「……身体、大丈夫?」
「うん」

俺が答えると同時に、再びゆっくりと手が動き出す。左胸の突起を少しだけ力を込めて抓られると、腰が跳ねた。

「ああっ!」
金成はもう片方の手であっという間にTシャツを捲り上げると右の胸へ吸いついた。

舌先で硬くなった薄紅色を転がすように舐めまわされたりつつかれたりすると、下半身が少しずつ濡れていくのが自分でもわかる。

しばらく両胸を責められ続けているうちに、その刺激だけでは物足りなくなってしまう。快感を逃すために両脚を擦り合わせているのに、金成は胸の愛撫に夢中になっていて気づく様子がない。

もっと欲しい。早く気づいてほしい。俺は、膝を少し立て、膝頭で張り詰めた下半身をぐりぐりと押してやった。金成は弾かれたように顔を上げ、自分の中心を押し込むように刺激する膝頭をじっと見る。それから俺に視線を移した。

「そこばっかり……しすぎ」
不満を滲ませた声色で訴えると、金成は少しだけ目を瞠った後、何かに耐えるように眉根を寄せる。

「だめ……そんなこと言われたら俺、制御できなくなる……」
つらそうな赤い顔で睨むように見つめられると、背筋が期待にゾクゾクと震えた。いつからこんなに淫らな人間になってしまったんだろうか。

俺は両腕を金成の首に回す。
「いい、制御しなくて。我慢、するなよ……」

金成は歯を食いしばり、獣のように低くうなると、首に回されていた俺の両手首を強く掴むと、シーツに磔にする。

血走ったギラギラと煌めく目が迫り、俺の唇を乱暴に塞いだ。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

【Amazonベストセラー入りしました】僕の処刑はいつですか?欲しがり義弟に王位を追われ身代わりの花嫁になったら溺愛王が待っていました。

美咲アリス
BL
「国王陛下!僕は偽者の花嫁です!どうぞ、どうぞ僕を、処刑してください!!」「とりあえず、落ち着こうか?(笑)」意地悪な義母の策略で義弟の代わりに辺境国へ嫁いだオメガ王子のフウル。正直な性格のせいで嘘をつくことができずに命を捨てる覚悟で夫となる国王に真実を告げる。だが美貌の国王リオ・ナバはなぜかにっこりと微笑んだ。そしてフウルを甘々にもてなしてくれる。「きっとこれは処刑前の罠?」不幸生活が身についたフウルはビクビクしながら城で暮らすが、実は国王にはある考えがあって⋯⋯?(Amazonベストセラー入りしました。1位。1/24,2024)

完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!

古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。 そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は? *カクヨム様で先行掲載しております

博愛主義の成れの果て

135
BL
子宮持ちで子供が産める侯爵家嫡男の俺の婚約者は、博愛主義者だ。 俺と同じように子宮持ちの令息にだって優しくしてしまう男。 そんな婚約を白紙にしたところ、元婚約者がおかしくなりはじめた……。

偽りの僕を愛したのは

ぽんた
BL
自分にはもったいないと思えるほどの人と恋人のレイ。 彼はこの国の騎士団長、しかも侯爵家の三男で。 対して自分は親がいない平民。そしてある事情があって彼に隠し事をしていた。 それがバレたら彼のそばには居られなくなってしまう。 隠し事をする自分が卑しくて憎くて仕方ないけれど、彼を愛したからそれを突き通さなければ。 騎士団長✕訳あり平民

君は番じゃ無かったと言われた王宮からの帰り道、本物の番に拾われました

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
ココはフラワーテイル王国と言います。確率は少ないけど、番に出会うと匂いで分かると言います。かく言う、私の両親は番だったみたいで、未だに甘い匂いがするって言って、ラブラブです。私もそんな両親みたいになりたいっ!と思っていたのに、私に番宣言した人からは、甘い匂いがしません。しかも、番じゃなかったなんて言い出しました。番婚約破棄?そんなの聞いた事無いわっ!! 打ちひしがれたライムは王宮からの帰り道、本物の番に出会えちゃいます。

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!

音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに! え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!! 調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。

処理中です...