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久しぶりの実家は当たり前だが、誰もいなかった。父親は海外を飛び回っているので1年に1回でも帰ってくれば良い方だ。
とはいえお互いにSNSで連絡を取り合うことも少なくないのでコミュニケーションは割と取っている。
ただ物理ではもう2年以上会っていない。子どもの頃から家族の団らんや旅行には縁がなかったので、飛鳥にとってはこれが当たり前だ。だから寂しさも強がりでもなく、一切ない。
転生前の俺の家は、ごくごく一般的な中流家庭だったので家族との思い出は数えきれないほどある。ふいに親父や母さん、妹の顔が浮かび郷愁に駆られる。
ハウスキーパーが定期的に掃除してくれているだけあって、家は綺麗だった。
まずは久しぶりに自分の部屋へ入ってみる。
この部屋では12~13歳までしか生活していなかったから、あまり思い出もない。
グループに入る前も子役としてドラマなどに出ていたので、寝に帰るだけの日々も多かった。
いまの身体はまったく入りきらないベッドに腰掛け、1人考えを巡らす。
金成とあいつの死んだ母親の部屋には入ったことがない。
今更ながら、自分以外の人間の深部に踏み込むことに迷いを感じた。
でも、もしかそこに何かのヒントが隠されているかもしれない。
俺は立ち上がり、金成の部屋の前に立った。少し残る迷いを振り切ってドアを開ける。
「え…」
簡素なベッドと、作り付けのクローゼット以外に家具はない。とても子どもの部屋とは思えなかった。
あの頃、あいつはどんな思いでこの部屋で暮らしていたんだろう。そう思うだけで、胸が痛くなる。
すぐに部屋を出て、金成の母親が使っていた部屋に入ってみる。
金成の部屋とは比較にならないほど広く、豪奢な部屋に目を見開く。あの女とはお互いにいがみ合っていたようなもので、部屋になんて入ったことはない。
真紅と黒、そして金色で構成された下品なほどに華やかな部屋だった。もう何年も経っているというのに、まだあの女の気配が色濃く漂っている気がして、少し気分が悪くなった。
ベッドサイドのチェストにフォトフレームが飾ってある。よく見ようと歩み寄り、俺は驚きで固まった。
「…は?」
写真の中、金成の母親と恋人らしく寄り添う男。髪と目の色は違うけれど、見間違えるはずがない。
動揺で鼓動が高鳴り、冷や汗が背中を伝う。すぐに部屋の外へ出ると逃げるようにして家へ帰った。
自宅についても動揺はおさまらない。いったい、どういうことなんだろうか。
金成の母親の部屋で見た写真に写っていたのは、間違いなく俺の番だった。
とはいえお互いにSNSで連絡を取り合うことも少なくないのでコミュニケーションは割と取っている。
ただ物理ではもう2年以上会っていない。子どもの頃から家族の団らんや旅行には縁がなかったので、飛鳥にとってはこれが当たり前だ。だから寂しさも強がりでもなく、一切ない。
転生前の俺の家は、ごくごく一般的な中流家庭だったので家族との思い出は数えきれないほどある。ふいに親父や母さん、妹の顔が浮かび郷愁に駆られる。
ハウスキーパーが定期的に掃除してくれているだけあって、家は綺麗だった。
まずは久しぶりに自分の部屋へ入ってみる。
この部屋では12~13歳までしか生活していなかったから、あまり思い出もない。
グループに入る前も子役としてドラマなどに出ていたので、寝に帰るだけの日々も多かった。
いまの身体はまったく入りきらないベッドに腰掛け、1人考えを巡らす。
金成とあいつの死んだ母親の部屋には入ったことがない。
今更ながら、自分以外の人間の深部に踏み込むことに迷いを感じた。
でも、もしかそこに何かのヒントが隠されているかもしれない。
俺は立ち上がり、金成の部屋の前に立った。少し残る迷いを振り切ってドアを開ける。
「え…」
簡素なベッドと、作り付けのクローゼット以外に家具はない。とても子どもの部屋とは思えなかった。
あの頃、あいつはどんな思いでこの部屋で暮らしていたんだろう。そう思うだけで、胸が痛くなる。
すぐに部屋を出て、金成の母親が使っていた部屋に入ってみる。
金成の部屋とは比較にならないほど広く、豪奢な部屋に目を見開く。あの女とはお互いにいがみ合っていたようなもので、部屋になんて入ったことはない。
真紅と黒、そして金色で構成された下品なほどに華やかな部屋だった。もう何年も経っているというのに、まだあの女の気配が色濃く漂っている気がして、少し気分が悪くなった。
ベッドサイドのチェストにフォトフレームが飾ってある。よく見ようと歩み寄り、俺は驚きで固まった。
「…は?」
写真の中、金成の母親と恋人らしく寄り添う男。髪と目の色は違うけれど、見間違えるはずがない。
動揺で鼓動が高鳴り、冷や汗が背中を伝う。すぐに部屋の外へ出ると逃げるようにして家へ帰った。
自宅についても動揺はおさまらない。いったい、どういうことなんだろうか。
金成の母親の部屋で見た写真に写っていたのは、間違いなく俺の番だった。
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