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スマホだけでは調べられることに限界がある。俺は自宅に帰るとパソコンを開く。シュプリームオメガだけがアクセスできる、国が運営するサイトに何年かぶりにアクセスする。
マイナンバーのようなシュプリームオメガだけに割り振られた個人番号とパスワード、そして生体認証がないとアクセスすることができないこのサイトには、俺たちの番となるアルティメットアルファについても詳しく書かれている。
18で番ができた飛鳥は、あの男にしか興味がないからアルティメットやアルファそのものについて調べたりすることにはまったく興味がなかった。
そのせいか、サイトで触れる情報は、ほとんどが知らないことばかりだった。
まず、アルティメットアルファには一目でわかる身体的特徴がある。
一つは髪の色。金髪が多いが、銀髪と桃色の髪の者もいる。ただし、スタンダードやインフェリアにはこの3色の髪色は存在しないのだ。
とはいえ、髪を染めたりカラコンを入れたりしている者も多いので見た目だけならアルファでもベータでも金髪で青い目になることはできる。
ただ、生まれつきその色を持つのは、アルティメットアルファのみなのだ。さらに目の色と髪の色には組み合わせがあるという。
金髪は青い目、桃色の髪は紫の目、そして銀髪は、赤い目だ。
「どういうことだ…」
飛鳥は金髪で青い目を持っているが、インフェリアと診断されいる。もしかしたらノーマルかもしれないが、アルティメットの最大の特徴である異能を顕現していないし、アルティメットでないことは間違いない。
それに、あの番の男。あいつは銀髪だが目の色は赤ではないかった。この資料に書かれていることが全てであるとしたら、あの男はアルティメットの特徴には当てはまっていない。
でも、とても強い異能の力を持っていることは確かだ。それに金成の主治医は、今まで金成がインフェリアだという前提のもとに診断していた。医者がアルティメットの特徴を知らないはずはない。
一体、どういうことなのだろう。
「もしかして、俺の知らないことがまだまだあるのか……!?」
親父たちや、金成の両親のことを調べたら何かわかるかもしれない。スマホでスケジュールを確認すると、ちょうど1週間後に丸1日のオフがあった。その時に一度、実家戻ってみよう。
「あ、やべー。忘れてた……」
オフの確認ととともに、スケジュールに自動で入れているヒートの予定が目に入る。オフの2週間後はヒート期間だった。
「はー。またかよ。だりぃ……」
俺はスマホをデスクに置いて、思わず上を向いた。ヒートの前後は自分の身体が自分の意思とは無関係に敏感になってしまう。
ヒートだって同じだ。自分の意思とは無関係に発情してしまう。
その期間は理性もほとんど働かないし、俺に至っては初日以外の記憶がいつもほとんどない。飛鳥はあの男に惚れていたというか、依存していたからそれでも満足していたが、俺は違う。
「くそ……」
今回のヒートで、絶対にあの男の秘密を掴んでやる。そのためにも快感に流されずに、少しでも話をしたり何か相手の情報を聞き出す時間を作らなければ。
どうしたら、少しでも自分を保つことができるんだろう。目を閉じて考えていると、スマホが振動した。
「あ」
新着メッセージは金成からだった。
『そろそろ寝ます。
飛鳥もゆっくり休んでよ』
秒で返信をすると、既読がついて眠っている可愛らしい動物のスタンプが送られてきた。
ふと顔を上げると、真っ暗なパソコンのモニターにニヤけ顔の自分が写る。
「うわー俺、きっも……」
きもいけど、幸せそうな自分の顔は嫌いじゃない。とりあえず調べ物は1週間後のオフまで待つことにして、ベッドに潜り込んだ。
マイナンバーのようなシュプリームオメガだけに割り振られた個人番号とパスワード、そして生体認証がないとアクセスすることができないこのサイトには、俺たちの番となるアルティメットアルファについても詳しく書かれている。
18で番ができた飛鳥は、あの男にしか興味がないからアルティメットやアルファそのものについて調べたりすることにはまったく興味がなかった。
そのせいか、サイトで触れる情報は、ほとんどが知らないことばかりだった。
まず、アルティメットアルファには一目でわかる身体的特徴がある。
一つは髪の色。金髪が多いが、銀髪と桃色の髪の者もいる。ただし、スタンダードやインフェリアにはこの3色の髪色は存在しないのだ。
とはいえ、髪を染めたりカラコンを入れたりしている者も多いので見た目だけならアルファでもベータでも金髪で青い目になることはできる。
ただ、生まれつきその色を持つのは、アルティメットアルファのみなのだ。さらに目の色と髪の色には組み合わせがあるという。
金髪は青い目、桃色の髪は紫の目、そして銀髪は、赤い目だ。
「どういうことだ…」
飛鳥は金髪で青い目を持っているが、インフェリアと診断されいる。もしかしたらノーマルかもしれないが、アルティメットの最大の特徴である異能を顕現していないし、アルティメットでないことは間違いない。
それに、あの番の男。あいつは銀髪だが目の色は赤ではないかった。この資料に書かれていることが全てであるとしたら、あの男はアルティメットの特徴には当てはまっていない。
でも、とても強い異能の力を持っていることは確かだ。それに金成の主治医は、今まで金成がインフェリアだという前提のもとに診断していた。医者がアルティメットの特徴を知らないはずはない。
一体、どういうことなのだろう。
「もしかして、俺の知らないことがまだまだあるのか……!?」
親父たちや、金成の両親のことを調べたら何かわかるかもしれない。スマホでスケジュールを確認すると、ちょうど1週間後に丸1日のオフがあった。その時に一度、実家戻ってみよう。
「あ、やべー。忘れてた……」
オフの確認ととともに、スケジュールに自動で入れているヒートの予定が目に入る。オフの2週間後はヒート期間だった。
「はー。またかよ。だりぃ……」
俺はスマホをデスクに置いて、思わず上を向いた。ヒートの前後は自分の身体が自分の意思とは無関係に敏感になってしまう。
ヒートだって同じだ。自分の意思とは無関係に発情してしまう。
その期間は理性もほとんど働かないし、俺に至っては初日以外の記憶がいつもほとんどない。飛鳥はあの男に惚れていたというか、依存していたからそれでも満足していたが、俺は違う。
「くそ……」
今回のヒートで、絶対にあの男の秘密を掴んでやる。そのためにも快感に流されずに、少しでも話をしたり何か相手の情報を聞き出す時間を作らなければ。
どうしたら、少しでも自分を保つことができるんだろう。目を閉じて考えていると、スマホが振動した。
「あ」
新着メッセージは金成からだった。
『そろそろ寝ます。
飛鳥もゆっくり休んでよ』
秒で返信をすると、既読がついて眠っている可愛らしい動物のスタンプが送られてきた。
ふと顔を上げると、真っ暗なパソコンのモニターにニヤけ顔の自分が写る。
「うわー俺、きっも……」
きもいけど、幸せそうな自分の顔は嫌いじゃない。とりあえず調べ物は1週間後のオフまで待つことにして、ベッドに潜り込んだ。
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