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#22

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「う、ん……」
暫くして、金成が寝返りを打って体の向きを変えた。

テレビ側に向いていた頭が俺の体の方へ向けられる。初めのうちは特に気にもしていなかったが、次第に居心地の悪さを感じて目線を下に向けた。

金成がもぞもぞと動いて、俺の下腹部にぴったりとくっついてきている。
「……んっ」

ちょっとやばいかもしれない。ヒートの前後は体が敏感なこともあり、自分が意図しないタイミングで体が反応してしまうことがある。

「んっ……ぁ……」
敏感な場所に鼻を埋めるようにされ、尻がもぞもぞと動いてしまう。ダメだ、これじゃ金成が起きてしまう。俺は体に力を入れて全身を硬く緊張させた。

けれどそんな俺の忍耐を知らない金成は、俺の股間で天使のような寝顔で寝息を立てている。

「んぁ、ぐ、ぅっ……」
歯を噛み締めて声を殺す。片手の甲を唇に押し付けて、声が漏れないよう出来る限りの努力をしてみた。

しばらくはそれでなんとか耐えていたが、少しずつボトムスが押し上げられていく。これはもう、努力でどうにかなる域を超えている。もう無理、限界だ。

「おーい、起きろー」
肩を何度か譲ると、金成は寝ぼけ眼でむくりと起き上がった。

「おれ、寝てた…?」
「うん……ごめんな起こして。俺ちょっとトイレ行きたくて」

なんでもない風を装って立ち上がると、トイレまでダッシュする。扉を閉めて鍵をかけると、便座に座り、勢いよくボトムスと下着を一気に下げた。

すでに先走りが溢れるそこは、ローションなんかなくても大丈夫なぐらいに濡れそぼっている。

「っ……はぁっ……」
右手で強く扱き上げながら、口でトップスを引っ張る。露わになった右胸の先端を、空いている手で強めに引っ掻いた。

「あん……あっあっ…はっ、ふぅっ……」
なにも考えられないほど気持ちいい。目を閉じ、快感を感じることだけに集中する。

「はっあ、、……うっ……やばっ……い……くぅっ……!」吐き出した白い欲が床に散る。呼吸が収まるのを待って、冷静になった頭と心で自身の後処理に勤しんだ。

仕上げにトイレ用のウェットティッシュで床や便座を綺麗に掃除し、トイレを出る。

「うおっ!  え?! なんでいんの? あ、もしかしてトイレ?」
トイレから出ると、金成が立っていた。動揺した俺は不必要な大声で話しかけてしまった。

「飛鳥、なんか変だったから……それにトイレの中から苦しそうな声したよ? 大丈夫?」

心配そうな瞳に、罪悪感を抱く。でも、仕方ない、これは大人の男の性だから。

「ちょっと便秘気味でさ。下剤飲んだんだけど、ちょうど効いてきたみたいなんだよ。でももう大丈夫だから! 心配かけてごめんな」

「……そうなんだ。飛鳥いつも忙しいから、具合悪くなったら我慢しないでちゃんと言ってほしいな」

ぎゅっと俺の両手を握り、真剣な目で見つめてくる。

「ありがとな。その時はもちろんおまえのこと頼る。でも今はマジで大丈夫! それより手、洗おうぜ。俺まだ手洗ってねえぞ」

「うわー! きたねー!!」
金成と俺は大騒ぎしながら洗面所へ向かった。

ヒート休暇が終わり、俺はまた忙しくなった。次のドラマの打ち合わせや、来年発売する写真集とカレンダーの撮影に年末のライブの打ち合わせ。

金成が話せるようになってからも、俺が多忙な時期の置き手紙交換は続いている。今ではこれを書いたり読んだりするのが毎日の大事な日課になっていた。

やっと2日連続の休みが取れたのは、ヒートから1ヶ月後のことだった。

いつものように2人で遊びに出かけ、夜は久しぶりに一緒にベッドに入る。

俺の胸に飛び込んでくる金成は風呂上がりのいい香りに包まれている。よしよしと頭を撫でると、胸に頬をくっつけてきた。

「飛鳥の心臓の音、聞こえる」
胸板に両手と耳をぴったり密着させて真剣に聞いている様子が可愛い。

「俺の心臓、大丈夫かな? 変な音してない?」
「うん! 大丈夫」

顔を上げて、にこにこと笑う。
「飛鳥はあったかくておっきくて、くっついてると気持ちいい」

金成は脚もぴったりと俺にくっつけてくる。
「さすがにこれは寝にくくね?」
「ヤダ! これがいい!」

片手を俺の背に回して、さらにぎゅっとくっついた。そのまま静かにうごかなくなったので、照明を落として目を閉じる。意識を手放しそうになったその時、俺は下腹部に当たる違和感に気づいた。

「……ん? なんだ?」
何かが当たっている。この硬さは心当たりがなくもない。が、これは俺のではない。俺は目を開けると、金成の肩に手を置いて少しだけ体を離した。

「あ……」
薄暗がりの中、金成と目が合う。心なしか息が荒い。

「どうした? 大丈夫か」
「ん……おれ、最近ちょっとへん、なの」

言いながら、俺の下腹部に自身を押し付けるようにしてくる。これは、まさか。
俺はハッとした。可愛い可愛いと思っていたが、見た目の年齢的に今の金成は10~12歳。精通を迎える平均的な年齢だ。

そういうことか。俺も前世で初めて精通を迎えたのは、たしかこのくらいの年齢だった気がする。

知識だけはネットなどでそれなりにあったし、こういうもんかと思ったのを覚えている。ただどういうわけか、飛鳥の精通の記憶は思い出すことができない。

それより問題は、金成が急成長してしまったことで性に関する知識が全くないということだ。

となると、俺が実演するしかないんじゃないだろうか。え、まじか。ひとりで悶々としていると、呼びかけられて現実に引き戻される。

「飛鳥……おれのここ最近ね、ときどき固くなるの。なんかむずむずしてあっついし。俺……病気なのかもしれない」
「大丈夫だ金成。これは病気じゃない」

俺はしっかり目を合わせてゆっくりと噛んで含めるように言う。

「ほんと……? 病院、行かなくてへいき?」
「もちろん。男はみんなこうなんだ。こういう生き物なんだよ」

優しく髪を撫でててやると、ほっとしたように笑った。

「金成、ちょっと起きれる?」
「うん…っ」

俺は上掛けを退けると、ベッドの上に金成と向き合うようにして座る。

「朝起きた時とか、こうなってることあるだろ?」
「うんっ……!」

「そういう時、どうするか今から教えるからな。けど、これは1人で部屋でにいる時とか、トイレでやらなきゃダメだ。誰かのいる前では絶対にやっちゃダメだ。わかったか」

金成は無言で頷いた。
「じゃあ、今から俺と同じことするんだぞ」

俺は静かにボトムスを脱いで、下着姿になる。すでに薄い布地は内側から押し上げられていた。
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