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金成が、突然成長して、会話もできるようになったという。
それ以外に身体の異常はない上に、シッターさんが11時近くまでいてくれるということだったので、とりあえず予定通りに仕事を追えて帰宅することした。
「ただいま」
ギリギリ日付が変わる前に玄関へ滑り込む。
ドタバタと大きな音に続き、リビングのドアが開いた。
「おかえり飛鳥!!」
ドンッと何かが抱き着いてくる。
「おまえ、金成!? まじか! まじで!?
「うん! 飛鳥のおかげでちょっと大きくなれたよ!」
そう言って少年は両手を広げて見せる。
朝までは小学1年生ぐらいだった身体は、5~6年生ぐらいまでに大きくなっていた。
ふっくらした頬にはほんの少しシャープさが加わり、「可愛い」から「可愛い+かっこいい」に進化している。
すげえ……なんだこれは。言葉を失ってしまう。
「飛鳥、なんで黙ってるの? うれしくない? やだ?」
弟は再び俺にしがみつくと、眉毛を下げて俺の顔を見上げてくる。
俺は慌ててしゃがんで視線を合わせた。
「そんなわけねーだろ! 大きくなって、話もできるようになってんじゃん! 兄ちゃん嬉しいよ!!」
「ほんと? よかったぁ」
ニコニコと笑う顔は、小さな頃のままだ。
「あ。てか洋服も買い直さなきゃだな。それ、俺のだろ」
「うん! 勝手に着ちゃった」
さすがに俺のTシャツはぶかぶかだ。まるでミニワンピースのようになっている。まっすぐ伸びた、カモシカのような脚が眩しい。
「いちおう聞くけど、それ下、履いてるよな?」
「もちろん、ホラ」
弟はTシャツをひらりと捲って見せる。
「あ、おいちょっと! なにしてんだよ」
別に男のパンツなんて、メンバーの着替えでも見慣れているはずなのに、ほんの少しだけ、ないけないものを見ている気分になってしまった。
「飛鳥、なに焦ってんの? 俺、男だよ!」
俺の陰キャな変態っぽい対応も冗談として流してくれる弟には感謝しかない。
「いやいや……おまえ、声まで可愛いかったんだな」
身長180を余裕で超える俺からしたら、金成はまだまだ小さい。
「明日、オフだから洋服買いに行くか……念のため、病院にも行くぞ」
「え~。俺、どこも悪くないよ?」
弟が顔を顰める。
「ちゃんと病院行ったら、金成の言うこと、1個だけなんでも聞いてやるのになあ」
「ほんとに! 行く行く!!」
金成は両手をあげて、俺の回りをぴょんぴょんとウサギのように飛び跳ねた。
「じゃあ今日は早く寝るぞー」
「はーい!」
「俺はシャワー浴びてくるから、先に寝てな」
「うん……あのさ、」
洗面所へ向おうとする俺の服の裾がぎゅっと握られる。
「ん? どうした?」
「あのさ……今日、一緒に寝てもいい?」
「おう。眠かったら先に寝てていんだからな」
「うん!」
弟は笑顔で寝室へと駆けていった。
その後ろ姿を見送って、洗面所に入る。脱いだ服を洗濯機に放り込むとガラスの引き戸を開けて中に入った。
飛鳥は洗濯ものはすべてクリーニングに出していたから、洗濯機はなかった。
そんな贅沢をしていたら、クリーニング代だけで驚くべき金額になる。
衝撃を受けた俺は洗濯機を買い、できるものはすべて自分で洗濯しているのだ。
「あぁ~~~」
シャワーブースにおっさんのような声が響く。気持ちいい。仕事終わりのシャワーや風呂は天国だ。
寝支度を整えて寝室のドアを開く。明かりはすでに最小限に絞られていて、ベッドの上からは寝息が聞こえている。
俺は音をたてないようにしてベッドまで近づくと、縁へ腰かけた。
眠る弟の頭をそっと撫でる。
「飛鳥……」
「ごめん、起こしちまったか?」
「んーん」
「寝てただろ?」
「早くこっち」
弟に引っ張られるようにしてベッドに入る。
腕を広げると、押しやられた。
「なんだよー……もうくっついて寝ないのか?」
ちょっとだけ寂しい。すると、身体を反対向きにされる。
「違う! 今日はこっち」
背中側から抱きしめるようにくっつかれる。背中から伝わってくる熱は、まだまだ子ども体温だ。シャワーを浴びたばかりの俺よりもあったかい。
「おやすみなさい、飛鳥……」
もごもごと眠そうな声で呟くと、金成はそれきり何も発しなくなった。
また眠ってしまったようだ。
つられて眠気が襲ってくる。俺も目を閉じた。
それ以外に身体の異常はない上に、シッターさんが11時近くまでいてくれるということだったので、とりあえず予定通りに仕事を追えて帰宅することした。
「ただいま」
ギリギリ日付が変わる前に玄関へ滑り込む。
ドタバタと大きな音に続き、リビングのドアが開いた。
「おかえり飛鳥!!」
ドンッと何かが抱き着いてくる。
「おまえ、金成!? まじか! まじで!?
「うん! 飛鳥のおかげでちょっと大きくなれたよ!」
そう言って少年は両手を広げて見せる。
朝までは小学1年生ぐらいだった身体は、5~6年生ぐらいまでに大きくなっていた。
ふっくらした頬にはほんの少しシャープさが加わり、「可愛い」から「可愛い+かっこいい」に進化している。
すげえ……なんだこれは。言葉を失ってしまう。
「飛鳥、なんで黙ってるの? うれしくない? やだ?」
弟は再び俺にしがみつくと、眉毛を下げて俺の顔を見上げてくる。
俺は慌ててしゃがんで視線を合わせた。
「そんなわけねーだろ! 大きくなって、話もできるようになってんじゃん! 兄ちゃん嬉しいよ!!」
「ほんと? よかったぁ」
ニコニコと笑う顔は、小さな頃のままだ。
「あ。てか洋服も買い直さなきゃだな。それ、俺のだろ」
「うん! 勝手に着ちゃった」
さすがに俺のTシャツはぶかぶかだ。まるでミニワンピースのようになっている。まっすぐ伸びた、カモシカのような脚が眩しい。
「いちおう聞くけど、それ下、履いてるよな?」
「もちろん、ホラ」
弟はTシャツをひらりと捲って見せる。
「あ、おいちょっと! なにしてんだよ」
別に男のパンツなんて、メンバーの着替えでも見慣れているはずなのに、ほんの少しだけ、ないけないものを見ている気分になってしまった。
「飛鳥、なに焦ってんの? 俺、男だよ!」
俺の陰キャな変態っぽい対応も冗談として流してくれる弟には感謝しかない。
「いやいや……おまえ、声まで可愛いかったんだな」
身長180を余裕で超える俺からしたら、金成はまだまだ小さい。
「明日、オフだから洋服買いに行くか……念のため、病院にも行くぞ」
「え~。俺、どこも悪くないよ?」
弟が顔を顰める。
「ちゃんと病院行ったら、金成の言うこと、1個だけなんでも聞いてやるのになあ」
「ほんとに! 行く行く!!」
金成は両手をあげて、俺の回りをぴょんぴょんとウサギのように飛び跳ねた。
「じゃあ今日は早く寝るぞー」
「はーい!」
「俺はシャワー浴びてくるから、先に寝てな」
「うん……あのさ、」
洗面所へ向おうとする俺の服の裾がぎゅっと握られる。
「ん? どうした?」
「あのさ……今日、一緒に寝てもいい?」
「おう。眠かったら先に寝てていんだからな」
「うん!」
弟は笑顔で寝室へと駆けていった。
その後ろ姿を見送って、洗面所に入る。脱いだ服を洗濯機に放り込むとガラスの引き戸を開けて中に入った。
飛鳥は洗濯ものはすべてクリーニングに出していたから、洗濯機はなかった。
そんな贅沢をしていたら、クリーニング代だけで驚くべき金額になる。
衝撃を受けた俺は洗濯機を買い、できるものはすべて自分で洗濯しているのだ。
「あぁ~~~」
シャワーブースにおっさんのような声が響く。気持ちいい。仕事終わりのシャワーや風呂は天国だ。
寝支度を整えて寝室のドアを開く。明かりはすでに最小限に絞られていて、ベッドの上からは寝息が聞こえている。
俺は音をたてないようにしてベッドまで近づくと、縁へ腰かけた。
眠る弟の頭をそっと撫でる。
「飛鳥……」
「ごめん、起こしちまったか?」
「んーん」
「寝てただろ?」
「早くこっち」
弟に引っ張られるようにしてベッドに入る。
腕を広げると、押しやられた。
「なんだよー……もうくっついて寝ないのか?」
ちょっとだけ寂しい。すると、身体を反対向きにされる。
「違う! 今日はこっち」
背中側から抱きしめるようにくっつかれる。背中から伝わってくる熱は、まだまだ子ども体温だ。シャワーを浴びたばかりの俺よりもあったかい。
「おやすみなさい、飛鳥……」
もごもごと眠そうな声で呟くと、金成はそれきり何も発しなくなった。
また眠ってしまったようだ。
つられて眠気が襲ってくる。俺も目を閉じた。
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