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#12
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もぞもぞと何かが胸元で動く気配で目を覚ます。
「ああ、おはよ……」
「今日はオフなんだよ。せっかくだしどっか行くか?」
弟の柔らかい髪の毛を梳くように撫でながら話しかけた。
2人一緒に起き上がると、手をつないでリビングへ向う。
「こうやってゆっくりするの、久しぶりだな」
コクコクと頷く様子が可愛らしい。
「朝ごはん、何食いたい?」
メモ帳にホットケーキと目玉焼きの絵を描いてみる。
弟はホットケーキの方を指さした。
「了解! ちょっと待っててな」
ソファに座らせて、テレビの電源を入れる。
冷蔵庫の扉を開けると、ヨーグルトとバター、牛乳と卵を取り出した。
戸棚から小麦粉、ベーキングパウダー、塩、砂糖。
前世で何度も作ってきた、ハワイの某パンケーキ屋の再現レシピだ。
焼き終わったら全速力で生クリームを泡立てる。
ハンドミキサーを使えばもっと早い。だが、手を動かした方が愛情が籠っている気がする。完全に自己満だが、弟にはこの方がいいと思った。
前世の俺と違って若いうえにしっかりと鍛えられた飛鳥は、あっという間にちょうどいい感じのクリームを作り上げる。
大きめの皿にパンケーキを数枚並べ、粉砂糖を振りかける。
中央に、山のように生クリームを載せると、ブルーベリーとラズベリーを散らした。
「金成~! できたぞ! テーブル準備頼む~」
弟はソファから飛び降りると、トコトコとキッチン方へ駆けてくる。
カトラリーやランチョンマットをしまっている引き出しを開け、必要なものを取り出した。
今日のランチョンマットは、色とりどりの車がが描かれた賑やかなものだった。中央に描かれた赤いスポーツカーには、クマとウサギが乗っている。
白い大理石のテーブルには似合わない、子どもっぽい柄。
でも、ど庶民の俺にはおしゃれ高級テーブルは落ち着かないし、これ位の方がいい。
「センスいいじゃん、ありがとな」
俺は弟と自分のマットの上に、皿を置く。飲み物はほどよく冷やしたアールグレイのアイスティー。
「いただきま~す!」
声は一人分だが、向かに座る子どもは俺と同じように両手を胸の前で合わせている。
いつの間にか、俺の仕草を真似るようになったのだ。
言葉もないし、表情もそこまで変化はないが、ここ数ヶ月で弟はかなり変化したと思う。
俺が転生する前の金成は、食パンとお菓子、そして水で生活していた。お菓子は、飛鳥が差し入れとしてもらったものだ。
取材などでもらった差し入れを弟の部屋の前に、ゴミ捨て場にゴミを捨てるように置いていく。
兄の気配がなくなったあと、金成はそっと扉を開けてそれらを部屋に運んでいた。姿を見せると怒鳴られ、もっとひどいときには蹴られたり殴られたりもするからだ。
金成はとにかく静かに、息をひそめて生活することを強いられていた。
あの頃のような美しいけれど生気のない、ただ呼吸するだけの人形のような姿にはもう、戻ってほしくない。
リスのように頬袋をパンパンにしてパンケーキを食べる姿を見つめながら、弟が一人前になるまでしっかり愛情を注いで育てていくぞと決意した。
食べ終わると歯を磨いて身支度を整える。
俺たちは海浜公園までドライブに行くことにした。
助手席に弟を座らせると、しっかりとシートベルトを着けてやる。
窓を全開にして、風を浴びながら海へと向った。
「ああ、おはよ……」
「今日はオフなんだよ。せっかくだしどっか行くか?」
弟の柔らかい髪の毛を梳くように撫でながら話しかけた。
2人一緒に起き上がると、手をつないでリビングへ向う。
「こうやってゆっくりするの、久しぶりだな」
コクコクと頷く様子が可愛らしい。
「朝ごはん、何食いたい?」
メモ帳にホットケーキと目玉焼きの絵を描いてみる。
弟はホットケーキの方を指さした。
「了解! ちょっと待っててな」
ソファに座らせて、テレビの電源を入れる。
冷蔵庫の扉を開けると、ヨーグルトとバター、牛乳と卵を取り出した。
戸棚から小麦粉、ベーキングパウダー、塩、砂糖。
前世で何度も作ってきた、ハワイの某パンケーキ屋の再現レシピだ。
焼き終わったら全速力で生クリームを泡立てる。
ハンドミキサーを使えばもっと早い。だが、手を動かした方が愛情が籠っている気がする。完全に自己満だが、弟にはこの方がいいと思った。
前世の俺と違って若いうえにしっかりと鍛えられた飛鳥は、あっという間にちょうどいい感じのクリームを作り上げる。
大きめの皿にパンケーキを数枚並べ、粉砂糖を振りかける。
中央に、山のように生クリームを載せると、ブルーベリーとラズベリーを散らした。
「金成~! できたぞ! テーブル準備頼む~」
弟はソファから飛び降りると、トコトコとキッチン方へ駆けてくる。
カトラリーやランチョンマットをしまっている引き出しを開け、必要なものを取り出した。
今日のランチョンマットは、色とりどりの車がが描かれた賑やかなものだった。中央に描かれた赤いスポーツカーには、クマとウサギが乗っている。
白い大理石のテーブルには似合わない、子どもっぽい柄。
でも、ど庶民の俺にはおしゃれ高級テーブルは落ち着かないし、これ位の方がいい。
「センスいいじゃん、ありがとな」
俺は弟と自分のマットの上に、皿を置く。飲み物はほどよく冷やしたアールグレイのアイスティー。
「いただきま~す!」
声は一人分だが、向かに座る子どもは俺と同じように両手を胸の前で合わせている。
いつの間にか、俺の仕草を真似るようになったのだ。
言葉もないし、表情もそこまで変化はないが、ここ数ヶ月で弟はかなり変化したと思う。
俺が転生する前の金成は、食パンとお菓子、そして水で生活していた。お菓子は、飛鳥が差し入れとしてもらったものだ。
取材などでもらった差し入れを弟の部屋の前に、ゴミ捨て場にゴミを捨てるように置いていく。
兄の気配がなくなったあと、金成はそっと扉を開けてそれらを部屋に運んでいた。姿を見せると怒鳴られ、もっとひどいときには蹴られたり殴られたりもするからだ。
金成はとにかく静かに、息をひそめて生活することを強いられていた。
あの頃のような美しいけれど生気のない、ただ呼吸するだけの人形のような姿にはもう、戻ってほしくない。
リスのように頬袋をパンパンにしてパンケーキを食べる姿を見つめながら、弟が一人前になるまでしっかり愛情を注いで育てていくぞと決意した。
食べ終わると歯を磨いて身支度を整える。
俺たちは海浜公園までドライブに行くことにした。
助手席に弟を座らせると、しっかりとシートベルトを着けてやる。
窓を全開にして、風を浴びながら海へと向った。
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