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カーテンを閉め忘れた窓から漏れる光にぼんやりと照らされた室内。
最強のアルファと至高のオメガが番になる、2人だけの儀式がついに始まってた。

「あっ、あ……っ、あぁっ……や、ぁ…っ」
「あすかっ……ねえ、気持ちいい……?」

「うっ、う、んっ、やば、きも、ちぃ、よぉっ……」
快感から潤んだ瞳で飛鳥は必死に応じた。

男の美しい顔が快感で歪む。
「あすかっ、あすかっ、僕もっ、さい、こっ……オマエのナカ、気持ちよすぎるっ……」

熱く長大な雄芯が、飛鳥の中を何度も何度も穿つ。濡れそぼった孔は歓喜でそれを迎え、出し入れされるたびにぐぽぐぽと淫靡な音を奏でた。

「あっ、ひっ……あん、いいっ……」
過ぎる快感を逃がそうと逆手で枕を掴み、喉を反らせる。

その白い喉笛に男が舌を這わせ、甘噛みしてくる。その気になれば嚙み殺すこともできる急所。

けれど今の飛鳥にはその恐怖すら心地いい。狂おしいほどまでに自分を求めてくれることが嬉しくてたまらなかった。

頑丈なキングサイズのベッドがギシギシと悲鳴を上げる。
「あっ、んっ、んっ……俺、もっ…む、りぃっ……」

むり、だめと泣きながら首を振る。
欲しい。奥にこの男の遺伝子が。

「っん、あすかっ……僕、もっイきそ……」
激しいグラインドを繰り返しながら、男が応じた。額からは透明な雫がしたたり落ち、ぽたぽたと飛鳥の身体に落ちる。

「ねっ……だし、てっ……ナカ、にっ……ほし、っからぁっ…」
男の首に手をかけ、胸に引き寄せるようにしながら訴える。

その瞬間、男がすべての動きを止めた。
何か怒らせてしまったのだろうか。怖くなって顔を覗き込む。

極限まで瞳孔が開いたアクアマリンはギラギラと獣のような欲望を湛えている。
怖いほど綺麗だ。そう思った瞬間、食らいつくような、激しいキスに襲われた。

飛鳥の全部が欲しいと、すべて自分のものだと訴えてくるような、激しいキス。
「んっ、んぅっ……んーーーっ! んんんーーーーっ!!!」

嬌声は全て口の中に飲み込まれていく。
それまで以上に容赦なく、奥深くを何度も激しく突かれ、つま先までピンと伸びてしまう。

「あすかっ、あすかっ……僕の、あすかっ……全部僕のものにしてやるっ……!
っく、うあっ……」

次の瞬間、ものすごい力で抱きしめられる。男の腰が、ビクビクと震えだす。
ナカに熱いものがドクドクと注がれているのがわかると、飛鳥の唇が弧を描いた。

「あっ、出てる……いっぱいっドクドク、てぇ……」
「はぁっ……予定より早くイっちゃった……飛鳥がえっちだか、らっ」

男はまだ射精の続く中心を一気に引き抜くと、飛鳥の身体をまたうつ伏せへとひっくり返した。

「ひゃっ……や、あっ……ふかいぃっ……」
うつ伏せになり、四つん這いになる。先ほどよりもさらに奥へ男の中心が入ってくる。

アルファのヒートの射精は長い。男は再び飛鳥のナカへ欲を注ぎながら、覆いかぶさってくる。

耳元で、甘く掠れた声が響く。
「ねえ……噛むよ、今から」

耳元で囁かれただけで、触れられてもいない飛鳥ソコからも白い液がぴゅっと噴き出した。

「ああっ、んっ、うんっ……噛んでっ……」
早く噛んでほしくて、アルファもものになりたくて、腰をゆらゆらと揺らしてしまう。

「クソっ……あすかっ、可愛すぎるよっ……」
男は低い声で呻くと、べろべろと野獣のように項を舐めまわした。

そして。
「ここ、ここだ……いくよ、あすかっ噛むよ…おまえを僕のものにするよっ……永遠にっ……!」

「ひっ、あっ、あぁッ、ひっ、ああああァァ…ッッ!」
「ぐぅッ……うっ……あすかっ…これでおまえは全部僕のものだっ…」

噛まれたところから波紋が広がるように身体中に広がる初めての感覚。まるで脱皮したような自分自身が細胞から生まれ変わるような感覚と多幸感。

はぁはぁと荒い息を吐きながら、2人はどちらからともなく感動の涙を流していた。

それから1週間は獣のようにお互いを貪り続けた。
最後の日も朝から激しく抱かれた飛鳥は、途中で気を失ってしまった……のだと思う。

起きたらすでに番の姿はなく、枕元にはメモ書きと飛鳥が一番好きなメーカーのミネラルウォーターのペットボトルが置かれていたのだった。

メモはいつも同じだ。

起きたら飲んで。
また3ヶ月後に。

あれからもう3年が経つ。けれど飛鳥は番のことをほとんど知らないままだ。
ヒートの期間はまともに話ができる状態ではないということもある。

けれどそれ以上に、男は何も語らなかった。
ひとつだけ知っているのは、男がまだ「不完全」だということだ。

何がどう不完全なのかは、飛鳥もはっきりとはわからない。
しかしヒートでこれほどまでに性交を繰り返しても、飛鳥は妊娠することがなかった。

一度、避妊のための薬を買ったことがあるのだが、見つけた男に捨てられ、こう言われた。
今の自分はまだ不完全だ。

今はまだ、どんなに飛鳥を抱いても、孕ませることができない、と。
さらに、一緒に住みたがる飛鳥をいつも窘めていた。

僕も早く一緒に住みたいと。
でも、それもまだ難しいのだと。

なぜかは、教えてくれない。
いつも「そのときになったらわかる」としか言ってくれないのだ。

理由がわからないまま番への愛を募らせた飛鳥は、家にもう一人のアルファーー金成がいるせいだと思い込むようになった。

そのため、それまで以上に金成への仕打ちはひどくなった。
お前さえいなければ。邪魔だ。早く死ね。

頭の中に、金成にひどい言葉を投げつけ、時に手をあげた記憶が確かにある。
子どもに当たり散らしたって、どうにもならないのに。

まるで恋愛依存症のメンヘラ女だな。
高速から見える早朝の風景を眺めながら、飛鳥は静かにため息を吐いた。
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