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★4.変な気分
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俺は、かなりヤバかった。
ここ数年は右手が恋人だったので、セックス自体が久しぶりだし。
なんだかんだ慣れてる女の子とばっかりしていたので、処女の手ほどきとか無理だし。
つーかまず、男を抱いたことがない。
白須はなんかうっとりしてくれているが、身を任されているこっちは冷や汗ものだ。
勢い任せに押し倒したはいいが、なんか今さら緊張してきた。
軽く処理落ちしている俺に、白須が猫みたいに額をすり寄せて来る。
唇の合わさるギリギリで目を閉じるので、キスを求められているとすぐわかった。
応えた次の瞬間、唇が濡れた。
上唇を舐められていた。びっくりしていると、次は下唇だ。
ちゅ、と平たい盃を吸う口の形で咥え、舌先で甘く舐る。
とっさに片手を頬に添えると、煽るだけ煽って逃げるみたいに舌は引っ込んでいった。
「……童貞のくせに、どこでこういうの覚えてくんだよ」
「覚えるとかじゃないでしょ。こんなの」
「はあ……?」
頬が大福みたいに柔らかい。この赤くなりかたは、中に苺でも仕込んでいるのだろうか。
なめらかすぎて指が埋まる。
唇に近い親指の先を、白須は挑発的に咥えた。
俺を見つめながら吸う。舌を絡める。はやく、はやく、と。
誘っている。
親指を引き抜くと、白須の唇がうすく開いたままになる。
「あ……ふぁ……」
中にたっぷり溜まった唾液を、啜るように飲めば、白須は許しを請うように自分から舌を差し出してきた。
口の外で、ぴちゃぴちゃと舌を音を立てて絡ませる。
舌ったらずな喋り方をする白須の舌は短い。
物足りなさに、俺はとうとう、この小生意気なガキの唇を奥まで貪った。
「ん……んむ、ん……」
つーか、口が小さい。舌を全部押し込んだら息ができなくなりそうだ。
そのくせ白須の方から誘い込もうとしてくる。
なんかそれだけで、こいつとセックスしたらめちゃくちゃ気持ちいいんだろうとわかってしまった。
いっぺん酸欠になるまで追い込んで、やっと顔を離せた。
咳き込むように息する白須に、俺は思わず尋ねてしまった。
「おまえ、ほんとに初めてか?」
「……ふざけてんですか?」
「いや、こっちのセリフなんだよ」
俺が知らないだけで、どっかのタイミングでキスとかセックスとか、ぜんぶ他のヤツに教え込まれているんじゃないかと思うと気が気じゃなかった。
心が妙にザラつく。
別に二十四時間一緒にいるわけでもなし、俺に束縛する権利なんてないのに。
畳に溜まった埃が隙間風で揺れ動く。白須は小さく唸って「俺はぁ」と、切り出した。
「ただ……よく考えてるだけです」
「何を」
「せ、先輩が、どうすればヤッてくれるのかって」
あらぬ疑いを受けて、白須は軽くパニックになっているらしい。
濡れた口を手の甲で押さえながら、とんでもないことを言い出した。
「すぐガキ扱いしてくるし、いっつも可愛い女の子とっかえひっかえしてるし、どーやったら、俺のことそういう目で見てくれるんだろう、どう振る舞えばヤらせてもらえるんだろうって、そんなことばっかり。だから」
俺が唾液をさんざん吸ったせいだろうか、白須の声は掠れていた。
急にぶるりと肩を震わせると、「ひきました?」と空笑いしてみせる。
「ひょっとして先輩は俺のこと、痴漢とかされてかわいそうなヤツって思ってるかもしんないですけど、先輩が会ったなかでダントツで変態なの、たぶん俺っすよ。一番の被害者って先輩なんじゃないですかね」
「……おまえさ、なんでそういうの早く言わねえの」
「はあ? 先輩って、なんでそんなにアタマ悪いんですか?」
調子がでてきたようだ。普段はこういうやつなのだ。
抱いてほしいとか言ったのと同じ口で、息をするように馬鹿にしてくる。
「ホントのこと言って嫌われるより、同情ひいてでも一緒にいてもらった方がいいって、なんでわかんないんですか」
でも、今回に限っては、もしかしたら本当に俺が鈍感だっただけなのかもしれないと思った。
「お、怒ってんなら帰れって言えばいいじゃないですか」
俺が黙っていると、白須は怖くなってしまうらしい。さらに逆ギレしてきた。
「俺、先輩が怒ればいっつもちゃんと言うこと聞いてますよね」
「別に怒ってはねえよ」
「ほらもう怒ってんじゃないですか。なんで、こんな、頑張っても振り向いてくんないんすか……なんで他の女の子はしてもらえるのに、俺だけ……」
涙目のくせに口だけは達者だ。どうしたらいいのかわらなくて。俺は聞えよがしな溜息をついた。
身をすくませた白須の股に、ぐりっと自分の股をこすりつける。
「コレ、欲しいか?」
勃っている。今にも泣きだしそうな後輩相手に、なぜか痛いくらいに勃起してしまっている。
それを知った白須の感じ方は、ズボン越しでもわかりやすかった。
男だから、ナニの状態で興奮しているのが一目瞭然なのはそうなのだが、息が。
鼻にかかるような甘い息が、苦し気に漏れてきている。
「はあ……あ……っ」
「ほらぁ。どうなんだよ」
問い詰めると、喉から絞り出すように「欲しぃ……っ」と、求める。
言葉と同時に触れている股がじゅんと熱を帯びるのがわかった。先走りだろう。
俺のか白須のかまでは、正直よくわからないが。
「全部わかったから。全部くれてやるから、もうそんな顔するなよ。変な気分になるだろ……」
暖房も入れていない部屋が、やたらと暑い。
シャツの胸をくつろげて、上を脱いで、沸騰していた頭がやっといくらか涼しくなった。
「して欲しいことあるなら、一個ずつ言え。ちゃんと受け止めてやるから」
ここ数年は右手が恋人だったので、セックス自体が久しぶりだし。
なんだかんだ慣れてる女の子とばっかりしていたので、処女の手ほどきとか無理だし。
つーかまず、男を抱いたことがない。
白須はなんかうっとりしてくれているが、身を任されているこっちは冷や汗ものだ。
勢い任せに押し倒したはいいが、なんか今さら緊張してきた。
軽く処理落ちしている俺に、白須が猫みたいに額をすり寄せて来る。
唇の合わさるギリギリで目を閉じるので、キスを求められているとすぐわかった。
応えた次の瞬間、唇が濡れた。
上唇を舐められていた。びっくりしていると、次は下唇だ。
ちゅ、と平たい盃を吸う口の形で咥え、舌先で甘く舐る。
とっさに片手を頬に添えると、煽るだけ煽って逃げるみたいに舌は引っ込んでいった。
「……童貞のくせに、どこでこういうの覚えてくんだよ」
「覚えるとかじゃないでしょ。こんなの」
「はあ……?」
頬が大福みたいに柔らかい。この赤くなりかたは、中に苺でも仕込んでいるのだろうか。
なめらかすぎて指が埋まる。
唇に近い親指の先を、白須は挑発的に咥えた。
俺を見つめながら吸う。舌を絡める。はやく、はやく、と。
誘っている。
親指を引き抜くと、白須の唇がうすく開いたままになる。
「あ……ふぁ……」
中にたっぷり溜まった唾液を、啜るように飲めば、白須は許しを請うように自分から舌を差し出してきた。
口の外で、ぴちゃぴちゃと舌を音を立てて絡ませる。
舌ったらずな喋り方をする白須の舌は短い。
物足りなさに、俺はとうとう、この小生意気なガキの唇を奥まで貪った。
「ん……んむ、ん……」
つーか、口が小さい。舌を全部押し込んだら息ができなくなりそうだ。
そのくせ白須の方から誘い込もうとしてくる。
なんかそれだけで、こいつとセックスしたらめちゃくちゃ気持ちいいんだろうとわかってしまった。
いっぺん酸欠になるまで追い込んで、やっと顔を離せた。
咳き込むように息する白須に、俺は思わず尋ねてしまった。
「おまえ、ほんとに初めてか?」
「……ふざけてんですか?」
「いや、こっちのセリフなんだよ」
俺が知らないだけで、どっかのタイミングでキスとかセックスとか、ぜんぶ他のヤツに教え込まれているんじゃないかと思うと気が気じゃなかった。
心が妙にザラつく。
別に二十四時間一緒にいるわけでもなし、俺に束縛する権利なんてないのに。
畳に溜まった埃が隙間風で揺れ動く。白須は小さく唸って「俺はぁ」と、切り出した。
「ただ……よく考えてるだけです」
「何を」
「せ、先輩が、どうすればヤッてくれるのかって」
あらぬ疑いを受けて、白須は軽くパニックになっているらしい。
濡れた口を手の甲で押さえながら、とんでもないことを言い出した。
「すぐガキ扱いしてくるし、いっつも可愛い女の子とっかえひっかえしてるし、どーやったら、俺のことそういう目で見てくれるんだろう、どう振る舞えばヤらせてもらえるんだろうって、そんなことばっかり。だから」
俺が唾液をさんざん吸ったせいだろうか、白須の声は掠れていた。
急にぶるりと肩を震わせると、「ひきました?」と空笑いしてみせる。
「ひょっとして先輩は俺のこと、痴漢とかされてかわいそうなヤツって思ってるかもしんないですけど、先輩が会ったなかでダントツで変態なの、たぶん俺っすよ。一番の被害者って先輩なんじゃないですかね」
「……おまえさ、なんでそういうの早く言わねえの」
「はあ? 先輩って、なんでそんなにアタマ悪いんですか?」
調子がでてきたようだ。普段はこういうやつなのだ。
抱いてほしいとか言ったのと同じ口で、息をするように馬鹿にしてくる。
「ホントのこと言って嫌われるより、同情ひいてでも一緒にいてもらった方がいいって、なんでわかんないんですか」
でも、今回に限っては、もしかしたら本当に俺が鈍感だっただけなのかもしれないと思った。
「お、怒ってんなら帰れって言えばいいじゃないですか」
俺が黙っていると、白須は怖くなってしまうらしい。さらに逆ギレしてきた。
「俺、先輩が怒ればいっつもちゃんと言うこと聞いてますよね」
「別に怒ってはねえよ」
「ほらもう怒ってんじゃないですか。なんで、こんな、頑張っても振り向いてくんないんすか……なんで他の女の子はしてもらえるのに、俺だけ……」
涙目のくせに口だけは達者だ。どうしたらいいのかわらなくて。俺は聞えよがしな溜息をついた。
身をすくませた白須の股に、ぐりっと自分の股をこすりつける。
「コレ、欲しいか?」
勃っている。今にも泣きだしそうな後輩相手に、なぜか痛いくらいに勃起してしまっている。
それを知った白須の感じ方は、ズボン越しでもわかりやすかった。
男だから、ナニの状態で興奮しているのが一目瞭然なのはそうなのだが、息が。
鼻にかかるような甘い息が、苦し気に漏れてきている。
「はあ……あ……っ」
「ほらぁ。どうなんだよ」
問い詰めると、喉から絞り出すように「欲しぃ……っ」と、求める。
言葉と同時に触れている股がじゅんと熱を帯びるのがわかった。先走りだろう。
俺のか白須のかまでは、正直よくわからないが。
「全部わかったから。全部くれてやるから、もうそんな顔するなよ。変な気分になるだろ……」
暖房も入れていない部屋が、やたらと暑い。
シャツの胸をくつろげて、上を脱いで、沸騰していた頭がやっといくらか涼しくなった。
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