96 / 145
新章Ⅰ「忌み子と騎士のゆくところ」
2.耳を貸してはなりません。☆
しおりを挟む
商業都市ラウム。シュテマの冠。ルテニア王国すべての領地と接する、いびつな黄金の三角地帯。
腕に覚えのある職人たちはこぞってこの地を目指すという。税制上では優遇措置を設けられた商業特区であり、聖都シュテマとのつながりも深い。ラウムで選りすぐられた品々が聖都シュテマの貴族に愛好されることは多いからだ。
ルカはセイボリーとはがらりと違う街並みに目をみはった。道は固く舗装されていて、雨が降ってもぬかるむことがない。濡れて光る路面を行き来する人々は多かった。
(お金持ちそうなひとも、馬車を使わずに歩いている)
それがどうしてなのかはすぐにわかった。道幅が狭いからだ。ひとびとが肩をこすり合わせて歩くのと同じように、建物と建物の間隔も信じらないほど近い。高さを競うように石を積み重ねた街並み。必然的に空は狭かった。
(まるで植物が空に枝葉を伸ばすよう)
ルカはシュテマともイグナスとも違う街並みをそう感じた。建造物が枝葉なら根は地下道だ。「濡れずに済みますから」とアガタに地下へもぐる階段を示されて、ルカは立ちすくんだ。足元から生ぬるい風が上がってくる。どこかへ通じているのは確かなようだが。
思わずジェイルを振り向くと、彼は顎で背後の通りを示した。人波に交じって雄黄の騎士の姿が見えた。ここへ来る間にも巡回中の騎士を何人も見かけた。彼らの監視をかいくぐることは難しいだろう。
「手をお貸ししましょうか?」
暗いところから、アガタの面白がるような声が響いた。
「……いえ。見慣れないので驚いただけです」
街中に設置されているのだ、危険はないだろう。ルカはジェイルの手をギュッと握って、階段を下りた。
銀色の手すりも、壁を伝う怪しげな管も、見たことのない材質でできている。足を踏み入れると管が鈍く光った。離れれば暗くなり近づけば明るくなる。ルカは困惑した。おとぎ話の妖精に誘われているような気がする。
「いったい、どんな仕掛けで……」
「さあ。よくは知りませんが緑の民の遺物だそうですよ」
「えっ」
母の顔が頭に浮かんだ。立ち止まるルカを、アガタは振り向いた。
「かつてこの一帯には緑の民の集落があったそうです」
女騎士の声は、地下道でわんと不気味に響いた。
「ルテニア人を家畜として虐待した緑の民。天より現れ、神に等しい力を振るった彼らは、得体の知れない技術を持っていました。ラウムにはその痕跡が多く見られます。……というより、壊せずに今でも遺っているというべきでしょうか」
そう言って、手の甲で固い壁をコンコンと叩いてみせる。外の通りと違い、人気がないのも頷けた。こうした遺物は、ラウムにとって負の遺産なのだ。
黙り込むルカに、アガタは距離を詰めた。
「あなたの母は緑の民だそうですね。どうですか? 先祖の遺物を見て思うところは」
「そんな、私は……」
「ああ、だけどあなたはルテニア人の血をもひいておられる。それでは嫌悪するのかしら? 虫けらのように殺されていった父祖たちのために?」
息を飲んだルカを、ジェイルは自分のそばに引き戻した。アガタに向かって吐き捨てる。
「おまえに無駄話する余裕があるとは思わなかった」
「……うふふ!」
アガタはくるりと踵を返し、再び歩き出した。
「そういえばベルマイン様のお屋敷でも遺物を所有しているそうですよ。興味があるようでしたら、見せていただいては?」
「ルカ、この女の軽口に耳を貸す必要はない」
「落下月、というそうです」
ジェイルとアガタの声が左右の壁に同時に反響した。ルカは棒立ちになる。その名は母に聞いたことがあった。『わたしたちの、すばらしいふるさと』。
「……緑の民にとってはよほど重要なもののようで。ラウムが緑の民を一掃できたのも、何代か前の領主様がそれを押さえたからだと聞いています」
アガタの声が肌を上滑りしていくようだった。固まったルカの手を、ジェイルは強く引いた。
地下道の外は晴れていた。ルカは先ほどまでの通りより道幅が広くなっていることに気がついた。
(どこか聖都に似ているような……)
そう思ってみれば、軒を連ねる商店の看板はどれも有名な、高級店ばかりだ。富裕層向けの商業地に出たということだろう。アガタは高級衣料店の前で立ち止まった。
「ベルマイン様の失礼にならないよう、こちらでお召替えしていただきます」
「はっ?」
肩を怒らせるジェイルを、アガタは気にしなかった。
「お二人とも、あの方に気に入られたいのでしょう。打てる手はすべて打っておかなくては」
ガラス戸を押して店に入る。従業員たちはアガタを見て緊張した様子だった。
「騎士様、どういったご用件でしょう。うちはなにも後ろ暗い商売は……」
商業特区だ。法に則り、雄黄の騎士たちが監査を行うこともあるのだろう。アガタはこういった店での買い物に慣れているらしい。ルカとジェイルをにこやかに指し示した。
「こちらの方々にいくつか見繕っていただけますか。……お二人とも、なぜそんなに端に寄っているの?」
「冗談じゃない」ジェイルが苦々しげに言った。「おまえの指図で、それもこんな高い店で、服なんて買わされてたまるか」
「ふっ……!」
アガタが口を押さえて俯く。肩を震わせて笑っている。
「な、なるほど……ずいぶんと苦労なさったようですね、お気の毒に……!」
「やかましい!」
堂々と怒るジェイルに対し、ルカは赤面していた。修道士は清貧を旨としている。張る見栄などないけれど、そのせいでジェイルにまで苦労をかけているのかと思うといたたまれない。
「はぁ……庶民的ですね。私は好きですよ、そういうの」
アガタはやれやれと店の椅子に腰を下ろした。
「しかし私は私を救わなければならないのです。支払いはこちらで済ませますから着替えて来てくださいな」
「タダより高いものはないって知ってるか?」
「いいえ。聞いたこともない」
ジェイルが言い返すより先に、従業員が一抱えほども服を運んできた。ルカはジェイルの肘を握って言った。
「ジェイル様、ここはアガタ様のお世話になりましょう」
「……わからん。修道士は修道服を着るものなんじゃないのか」
「そうです。しかし服が祈るのではありません。私が祈るのです、ジェイル様」
背伸びして見上げると、ジェイルは苛立たしげに頭巾のまえがみを引っ張った。
「ったく……」
服の入ったカゴを預かり、二人は店の奥にある広い試着室へ一緒に入った。
背中合わせに着替えながらジェイルが言った。
「ルカ、逃げるなら今だぞ」
「え……?」
「この店には女しかいない。騎士たちも歩き回っちゃいるが、場所が場所だからか大人しく見える」
ルカは服の留め具を開けるのに苦戦していた。(あれっ? でもこれ……)裾に施された、いかにも手の混んだレース飾りを見て、ルカは戦慄した。(もしかして、女性ものなのでは……)
屈んだまま慌てふためくルカを、ジェイルが「おい、聞いてんのか」と振り向く。ジェイルはすでに着替え終えていたが、ルカはまだ修道服を半分脱いだところだった。
「…………」
ジェイルの瞳が揺れていた。その表情の幼さにルカは驚く。まるで初めて他人の肌を見たような顔をするのだ。ルカの裸など、彼はもう何度も見て、知り尽くしているはずなのに。
「おまえは、こんなに無防備で……」
かすれた呟きに返すことはできなかった。
両手が頬にかかる。ルカは口づけるために立ち上がらせられた。片手をついたのは大きな鏡だ。頭巾を被らない自分の顔がすぐ横に映っている。恍惚とした表情で覆いかぶさってくるジェイルの姿も。
「あ、だ、だめ……」
店の奥まったところとはいえ、カーテンの外にはひとがいる。ジェイルはルカの唇に唇を付けては離した。二度、三度と繰り返す口づけはまるで許しを請うかのようだ。ルカは吸い返さずにはいられない。舌を交わす水音が鼓膜に響くのが恐ろしかった。自分のいやらしさを思い知らされるようで。
「おまえをベルマインなんかに会わせたくない」
ジェイルはルカを掻き抱いて言った。
「行きたくないって言えよ……今なら、俺がどうにかしてやれるから」
本当に嫌なのだと、ルカには痛いほどわかった。それでもルカが行くと言うから騎士らしく従っているのだ。
「ジェイル様……」
彼の望むことをルカは言ってあげられなかった。無言で抱き返すと、拗ねた犬のように鼻を鳴らして「行くのか」と言う。ルカは力なく「はい……」とうなずいた。
ジェイルは深いため息をつき、ルカから体を離した。
「なら、これだけは言っておく。ルカ」
伏せられていた瞳がまっすぐにルカを見ていた。襟のついた服にタイを締め、正装したジェイルを見て、ルカは従業員の見立ては確かだったと惚けたように思った。顔をゆがめてさえ、彼は美しかった。
「ベルマインがどんな要求をしてきても、やつの言葉には決して従うな」
腕に覚えのある職人たちはこぞってこの地を目指すという。税制上では優遇措置を設けられた商業特区であり、聖都シュテマとのつながりも深い。ラウムで選りすぐられた品々が聖都シュテマの貴族に愛好されることは多いからだ。
ルカはセイボリーとはがらりと違う街並みに目をみはった。道は固く舗装されていて、雨が降ってもぬかるむことがない。濡れて光る路面を行き来する人々は多かった。
(お金持ちそうなひとも、馬車を使わずに歩いている)
それがどうしてなのかはすぐにわかった。道幅が狭いからだ。ひとびとが肩をこすり合わせて歩くのと同じように、建物と建物の間隔も信じらないほど近い。高さを競うように石を積み重ねた街並み。必然的に空は狭かった。
(まるで植物が空に枝葉を伸ばすよう)
ルカはシュテマともイグナスとも違う街並みをそう感じた。建造物が枝葉なら根は地下道だ。「濡れずに済みますから」とアガタに地下へもぐる階段を示されて、ルカは立ちすくんだ。足元から生ぬるい風が上がってくる。どこかへ通じているのは確かなようだが。
思わずジェイルを振り向くと、彼は顎で背後の通りを示した。人波に交じって雄黄の騎士の姿が見えた。ここへ来る間にも巡回中の騎士を何人も見かけた。彼らの監視をかいくぐることは難しいだろう。
「手をお貸ししましょうか?」
暗いところから、アガタの面白がるような声が響いた。
「……いえ。見慣れないので驚いただけです」
街中に設置されているのだ、危険はないだろう。ルカはジェイルの手をギュッと握って、階段を下りた。
銀色の手すりも、壁を伝う怪しげな管も、見たことのない材質でできている。足を踏み入れると管が鈍く光った。離れれば暗くなり近づけば明るくなる。ルカは困惑した。おとぎ話の妖精に誘われているような気がする。
「いったい、どんな仕掛けで……」
「さあ。よくは知りませんが緑の民の遺物だそうですよ」
「えっ」
母の顔が頭に浮かんだ。立ち止まるルカを、アガタは振り向いた。
「かつてこの一帯には緑の民の集落があったそうです」
女騎士の声は、地下道でわんと不気味に響いた。
「ルテニア人を家畜として虐待した緑の民。天より現れ、神に等しい力を振るった彼らは、得体の知れない技術を持っていました。ラウムにはその痕跡が多く見られます。……というより、壊せずに今でも遺っているというべきでしょうか」
そう言って、手の甲で固い壁をコンコンと叩いてみせる。外の通りと違い、人気がないのも頷けた。こうした遺物は、ラウムにとって負の遺産なのだ。
黙り込むルカに、アガタは距離を詰めた。
「あなたの母は緑の民だそうですね。どうですか? 先祖の遺物を見て思うところは」
「そんな、私は……」
「ああ、だけどあなたはルテニア人の血をもひいておられる。それでは嫌悪するのかしら? 虫けらのように殺されていった父祖たちのために?」
息を飲んだルカを、ジェイルは自分のそばに引き戻した。アガタに向かって吐き捨てる。
「おまえに無駄話する余裕があるとは思わなかった」
「……うふふ!」
アガタはくるりと踵を返し、再び歩き出した。
「そういえばベルマイン様のお屋敷でも遺物を所有しているそうですよ。興味があるようでしたら、見せていただいては?」
「ルカ、この女の軽口に耳を貸す必要はない」
「落下月、というそうです」
ジェイルとアガタの声が左右の壁に同時に反響した。ルカは棒立ちになる。その名は母に聞いたことがあった。『わたしたちの、すばらしいふるさと』。
「……緑の民にとってはよほど重要なもののようで。ラウムが緑の民を一掃できたのも、何代か前の領主様がそれを押さえたからだと聞いています」
アガタの声が肌を上滑りしていくようだった。固まったルカの手を、ジェイルは強く引いた。
地下道の外は晴れていた。ルカは先ほどまでの通りより道幅が広くなっていることに気がついた。
(どこか聖都に似ているような……)
そう思ってみれば、軒を連ねる商店の看板はどれも有名な、高級店ばかりだ。富裕層向けの商業地に出たということだろう。アガタは高級衣料店の前で立ち止まった。
「ベルマイン様の失礼にならないよう、こちらでお召替えしていただきます」
「はっ?」
肩を怒らせるジェイルを、アガタは気にしなかった。
「お二人とも、あの方に気に入られたいのでしょう。打てる手はすべて打っておかなくては」
ガラス戸を押して店に入る。従業員たちはアガタを見て緊張した様子だった。
「騎士様、どういったご用件でしょう。うちはなにも後ろ暗い商売は……」
商業特区だ。法に則り、雄黄の騎士たちが監査を行うこともあるのだろう。アガタはこういった店での買い物に慣れているらしい。ルカとジェイルをにこやかに指し示した。
「こちらの方々にいくつか見繕っていただけますか。……お二人とも、なぜそんなに端に寄っているの?」
「冗談じゃない」ジェイルが苦々しげに言った。「おまえの指図で、それもこんな高い店で、服なんて買わされてたまるか」
「ふっ……!」
アガタが口を押さえて俯く。肩を震わせて笑っている。
「な、なるほど……ずいぶんと苦労なさったようですね、お気の毒に……!」
「やかましい!」
堂々と怒るジェイルに対し、ルカは赤面していた。修道士は清貧を旨としている。張る見栄などないけれど、そのせいでジェイルにまで苦労をかけているのかと思うといたたまれない。
「はぁ……庶民的ですね。私は好きですよ、そういうの」
アガタはやれやれと店の椅子に腰を下ろした。
「しかし私は私を救わなければならないのです。支払いはこちらで済ませますから着替えて来てくださいな」
「タダより高いものはないって知ってるか?」
「いいえ。聞いたこともない」
ジェイルが言い返すより先に、従業員が一抱えほども服を運んできた。ルカはジェイルの肘を握って言った。
「ジェイル様、ここはアガタ様のお世話になりましょう」
「……わからん。修道士は修道服を着るものなんじゃないのか」
「そうです。しかし服が祈るのではありません。私が祈るのです、ジェイル様」
背伸びして見上げると、ジェイルは苛立たしげに頭巾のまえがみを引っ張った。
「ったく……」
服の入ったカゴを預かり、二人は店の奥にある広い試着室へ一緒に入った。
背中合わせに着替えながらジェイルが言った。
「ルカ、逃げるなら今だぞ」
「え……?」
「この店には女しかいない。騎士たちも歩き回っちゃいるが、場所が場所だからか大人しく見える」
ルカは服の留め具を開けるのに苦戦していた。(あれっ? でもこれ……)裾に施された、いかにも手の混んだレース飾りを見て、ルカは戦慄した。(もしかして、女性ものなのでは……)
屈んだまま慌てふためくルカを、ジェイルが「おい、聞いてんのか」と振り向く。ジェイルはすでに着替え終えていたが、ルカはまだ修道服を半分脱いだところだった。
「…………」
ジェイルの瞳が揺れていた。その表情の幼さにルカは驚く。まるで初めて他人の肌を見たような顔をするのだ。ルカの裸など、彼はもう何度も見て、知り尽くしているはずなのに。
「おまえは、こんなに無防備で……」
かすれた呟きに返すことはできなかった。
両手が頬にかかる。ルカは口づけるために立ち上がらせられた。片手をついたのは大きな鏡だ。頭巾を被らない自分の顔がすぐ横に映っている。恍惚とした表情で覆いかぶさってくるジェイルの姿も。
「あ、だ、だめ……」
店の奥まったところとはいえ、カーテンの外にはひとがいる。ジェイルはルカの唇に唇を付けては離した。二度、三度と繰り返す口づけはまるで許しを請うかのようだ。ルカは吸い返さずにはいられない。舌を交わす水音が鼓膜に響くのが恐ろしかった。自分のいやらしさを思い知らされるようで。
「おまえをベルマインなんかに会わせたくない」
ジェイルはルカを掻き抱いて言った。
「行きたくないって言えよ……今なら、俺がどうにかしてやれるから」
本当に嫌なのだと、ルカには痛いほどわかった。それでもルカが行くと言うから騎士らしく従っているのだ。
「ジェイル様……」
彼の望むことをルカは言ってあげられなかった。無言で抱き返すと、拗ねた犬のように鼻を鳴らして「行くのか」と言う。ルカは力なく「はい……」とうなずいた。
ジェイルは深いため息をつき、ルカから体を離した。
「なら、これだけは言っておく。ルカ」
伏せられていた瞳がまっすぐにルカを見ていた。襟のついた服にタイを締め、正装したジェイルを見て、ルカは従業員の見立ては確かだったと惚けたように思った。顔をゆがめてさえ、彼は美しかった。
「ベルマインがどんな要求をしてきても、やつの言葉には決して従うな」
55
お気に入りに追加
90
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる