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ラブラブハッピー番外編
ゴズメル×リリィで催眠もの④★
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月明りに裸身をさらすリリィは、悔しそうにうつむいていた。両手で前を隠しているが、白い肌が暗闇にぼうっと浮かび上がるさまはとても幻想的だ。ここに妖精族の翅が加わればさぞかし絵になる光景なのだろうが、呪い石の効果を打ち消されるのは困る。ゴズメルは抜け目なく魔封じのアミュレットを付けさせたままでいた。
「いい恰好だね、リリィ」
「……こんな悪趣味な真似をして、ただで済むと思わないで」
キッと睨まれると背筋がぞくぞくする。ゴズメルはもうオーガストを謗ることなどできない。好き勝手にふるまえる悪者になるのは愉しかった。新雪を汚すように、リリィが美しければ美しいほど、その尊厳を踏みにじってやりたくなるのだ。
「いい度胸だね。それでこそお仕置きのしがいがあるってものだ」
「なんですって!? このうえまだ私を辱めようというの」
庭に裸で立たされるのがお仕置きだと思ったらしい。ゴズメルは鼻で笑った。玄関から拝借した靴べらで自分の肩をトントンと叩く。
「こんなのお仕置きのうちに入らないよ。あんたにはシッカリ反省してもらわなきゃいけないんだから」
「くっ……」
「さあ、四つん這いにおなり」
立ちすくむリリィに、ゴズメルは余裕たっぷりに追い打ちをかけた。
「この素敵な庭を犬みたいに散歩させてあげよう。首輪なんていらないよね、あんたはド変態だが、いちおうは人間なんだから」
「そ、そんな、こと……っ」
だがリリィはヘナヘナと地べたに膝をついていた。小柄なリリィがますます小さくなるのを見下ろし、ゴズメルはにんまり笑った。自分も腰を屈め、顔の前に右手を突き出す。
「お手」
「……っ」
リリィは怒りにわなわなと震えながらゴズメルの手のひらに自分の手を乗せた。さらに「おかわり」と要求すると、もう片手で応える。
ゴズメルは「チンチン」と命令した。
「……!?」
「チンチンだよ。もの知らずのリリィちゃんにはチンチンって難しいかな?」
「あ、ああぁあ……」
呪いの力に従って、リリィの体は勝手に動き出した。人間の自覚があれば誰しもとりたくないポーズだろう。自然と開こうとする股に、グーの形になろうとする手に、リリィは必死に抵抗した。
「やだっ、こんなことしたくないのに! お願い、やめて……!」
しかしリリィは、躾けられた犬のようにチンチンのポーズをとった。胸も陰部もさらけ出し、両手を顔の横に持ち上げる。無様極まりない体勢で、悔し涙が白い肌に伝う。リリィは高い声を上げて泣いた。
「あぁあ! いやぁあ! やめて、もう許して!」
こんな愉しい遊びをやめる気にはなれなかった。靴べらの先で乳首や性器をつついてやると、リリィの泣き声に甘さが混じる。ゴズメルは自分がこんな意地悪な性格だなんて知らなかった。良心はちっとも痛まないし、むしろ胸の奥で誰かが(今まで苦しめられたぶん、もっといじめてやれ)と、囁くのだ。
これまでの命令の間に、呪い石の重みは増していた。屈んだ状態から身を起こすのにも、ゴズメルは膝に力を入れなければならない。おまけに頭に霧がかかったようにうまくものを考えられなかった。とにかくリリィをもっと辱めなければ。だが、なぜ。なんのために?
理由などなかった。ただゴズメルはリリィより偉いので、そうすることが許されているのだ。靴べらの先で、陰部をなぞる。膝を震わせて泣くリリィに、ゴズメルは残酷に命令した。
「さあ、散歩の時間だ」
四つ足のリリィの歩みは遅かった。彼女が「もう無理、こんなことできない」と泣き言を言うたびに、ゴズメルは靴べらで尻を叩いた。ごく軽い力でも、丸出しの尻に当たると響くようだ。もっちりとした乳房を揺らして歩きだす。
そう広い庭ではない。丁寧に世話しているのだろう花壇も庭木も、今は暗闇に沈んでいる。もしも植物に心があったら、打たれながらよたよた四つん這いで歩かされる主人を見て穏やかではいられなかっただろう。
半周する頃、ゴズメルは猫撫で声で言った。
「リリィ、そろそろオシッコしたくなっただろう」
「やめて! お願い、変なこと言わないで」
言われると尿意が沸くのだった。リリィはもはやゴズメルの傀儡も同然だ。白い背中をびくびくと震わせ、腿を擦り合わせている。ゴズメルは尻をピシッと打った。
「あうーっ!」
「オシッコさせてやろうって優しさがわからないのか」
「あぁん、ごめんなさい、ごめんなさいっ」
ここにきてリリィは初めて謝った。ゴズメルは胸がすっとする。知らなかった。裸の恋人に縋りついて懇願されると、こんなにいい気分になるのだ。
「お願いです、トイレに行かせてください。オシッコしたいです。もうガマンできないです」
「うふふ、リリィ。うふふふ……」
ゴズメルは愛犬にするように、リリィの髪と頬を撫でてやった。安堵した表情を浮かべる恋人に笑顔で「トイレなんてあんたには勿体ないよ」と教えてやる。ひとの心が砕ける瞬間を、ゴズメルは初めて見た。
塀の外に、青々とした茂みがある。ゴズメルは街灯に照らされたそこを指さして命令した。
「そこで片足上げて、犬みたいにオシッコするがいい。あんたの恥ずかしいところを、ちゃんと見ておいてあげよう」
「そんな……そんなひどいこと……」
道に出ることになる。誰かが通りがかるかもしれない。ゴズメルは(大事な庭を汚さずに済むんだから、あたしって優しい)と思った。それからふと(でも、ここまでする必要あるんだろうか?)と疑問が沸いた。石の力で何もかもなかったことにできるとしても、二人のことに第三者を巻き込むのは良くない気がした。
その段になって、ゴズメルはようやく自分が自分の言動をコントロールできなくなっていることに、気がついた。「早くしな、マゾ犬」と、リリィの尻を打っているのは、もはやゴズメルではない。口が、体が勝手に動く。呪い石はリリィだけでなく、使用者のゴズメルをも操っているのだ!
(ま、待てっ、ダメだっ、そんなひどいことをしたら!)
そう思うのとは裏腹に、塀の外の茂みにまでリリィを歩かせる。かわいそうなリリィは泣きながら従った。
街灯が彼女の裸身をことさら輝かせる。
「うっ、うっ……」
柔らかな肌が、硬い茂みに擦れて血が滲んでいる。リリィはギュッと唇を噛みしめ、固く目を閉じた。これが現実ではないと信じたいのだろう。涙を流しながら、犬のように片足を上げて放尿する。
(うっうわーっ!!!)
茂みがショロショロと濡れる。名もなき野草は重たげにこうべを垂れてリリィの排泄行為を受け止めた。白いばかりだったリリィの肌が、まばゆい光のもとで朱に染まってゆく。
「あぁあ……はぁあん……」
リリィは吐息ともつかない喘ぎを漏らしていた。膝をあげているために、陰部のひくつきもはっきりと見てとれる。
「フン、これであんたが犬以下の変態マゾってことがハッキリしたね」
石に乗っ取られたゴズメルは、靴べらでリリィの乳首を掬いとった。熟れた果実のように勃起している。
「あぁん、あ、あ、」
感じやすい部位を雑に擦られて、リリィは目に見えて感じていた。声がひどく甘ったるい。ゴズメルが意地悪く遠ざけようとすると、靴べらに自分から乳首を擦り付けている。
「やれやれ、しごでき受付嬢のリリィが実はこんなド変態だって知ったら、みんなびっくりするだろうよ。ちゃんと自己紹介できる?」
「あぁっ、やっ、やらっ、あぁんっ」
「ヤダじゃない。自己紹介しろって言ってんだよ」
ゴズメルの舌打ちは、リリィによく効いた。このひどい仕打ちにすっかり心を折られてしまっているのだ。必死に頭を振って「できますっ、自己紹介しますっ」とか細い声を張り上げる。
「うぁ、あ……リリィは……道ばたで、全裸で、おシッコして感じる変態女ですっ。犬以下の変態マゾのくせに、今までみんなのことを騙していてごめんなさい! あぁん、あん!」
本物の犬のような鳴き声だった。ゴズメルが「これからはどうするんだ?」と続きを促すと震えている。
「こっ、これからはぁっ、もっと……ヘンタイのマゾらしく、いい子になります……っ、自分より偉いひとに逆らわないようにわきまえます……」
完全敗北。リリィは悔し涙を流しながら屈した。すさまじい光景を目の当たりにして、ゴズメルの精神は肉体から完全に分離してしまった。偉そうに仁王立ちしている自分自身を肩の後ろあたりから見ている感覚だ。
(こ、こんなひどいことが、許されていいのか……)
ゴズメルは自分自身の暴走を見ていることしかできなかった。リリィの髪を掴み、「口でならいくらでも言えるよなあ」などと顔面に股間を押し付ける。リリィは悲痛な泣き声を漏らした。それでも、逆らえないのだろう。かたちのよい唇をズボンの留め具に触れさせて、口での奉仕をしようとする。明らかにやりすぎだ。
ここは田舎の公道である。こんな場面を見られたら、変な噂が出回ってろくに仕事ができなくなってしまう。
(くっ、クソッ、早くからだを取り戻さないと……!)
とはいえ、精神には実体というものがない。下半身を露出して悦に浸っている自分を殴ろうにも、拳はスカッスカッと虚しく空を打つばかりだ。万事休すのゴズメル(精神体)をよそに、ゴズメル(肉体)はリリィの奉仕に気持ちよさそうなうめきを漏らしている。
「う、んぉ……っ、そうだ、もっと……舌を使いな……掃除が得意なんだろ、あんたは……」
「はいっ、ふぁいっ……んむっ……うン……っ」
リリィはゴズメルの腰にまといつき、濡れた体液を啜り上げていた。ゴズメル(肉体)が髪を撫でると心なしか安らいだように目を細める。
「ゴズメル……ごめんなさい……」
こんなに美しいひとを、ゴズメルは見たことがなかった。理不尽に虐げられ、踏みにじられてなお、リリィはゴズメルのために泣いているのだ。
「私はこんなにひどいことをされるくらい、あなたのことを傷つけてしまったのね……どうか、許して……」
真珠のような涙だった。ゴズメルの全身が総毛立つ。
奮起していた。
「ウオアアアアアア!」
ゴズメルは全地が揺れんばかりの雄叫びを上げ、ほんの一瞬、自分の体の支配権を取り戻した。間をおかず、ボスゴリラのごときドラミングで自分の胸を、呪い石を打ち叩く。
リリィが呆気にとられたような顔でゴズメルを見上げていた。こんなにも辱められてなおリリィは綺麗だった。初めての恋人だ。このひとはゴズメルの汚したトイレさえ掃除してくれた。そんな彼女をいじめて愉悦に浸っていたゴズメルは、間違いなく品性下劣な最低な人間である。おまけに独占欲が強い。たとえそれが自分自身だったとしても愛するひとを虐げるなんて、許せない。
「オラオラオラオラオラオラァーッ!!」
何十回、何百回、自分の胸を拳で打っただろうか。呪い石にビシッと亀裂が走った。破片が茂みに向かって落ちていく。
その瞬間、リリィは糸が切れたかのように気を失った。ゴズメルは口から血を吐き、地べたに跪いた。馬鹿げた泥仕合だ。胸の脂肪が厚くなかったら死んでいただろう。いや、死んだほうがよかったのかもしれない。
意識を失って横たわるリリィは、あまりにいたいけだった。ゴズメルは美しい恋人を掻き抱いた。石に操られていたとはいえ、なんてひどいことをしてしまったのだろう。
「リリィ、ごめん……ごめん……!」
謝罪の言葉は、自然と口をついて出てきた。これほど簡単な言葉を、どうしてずっと言えずにいたのか。自分でも呆れかえるばかりだった。
「いい恰好だね、リリィ」
「……こんな悪趣味な真似をして、ただで済むと思わないで」
キッと睨まれると背筋がぞくぞくする。ゴズメルはもうオーガストを謗ることなどできない。好き勝手にふるまえる悪者になるのは愉しかった。新雪を汚すように、リリィが美しければ美しいほど、その尊厳を踏みにじってやりたくなるのだ。
「いい度胸だね。それでこそお仕置きのしがいがあるってものだ」
「なんですって!? このうえまだ私を辱めようというの」
庭に裸で立たされるのがお仕置きだと思ったらしい。ゴズメルは鼻で笑った。玄関から拝借した靴べらで自分の肩をトントンと叩く。
「こんなのお仕置きのうちに入らないよ。あんたにはシッカリ反省してもらわなきゃいけないんだから」
「くっ……」
「さあ、四つん這いにおなり」
立ちすくむリリィに、ゴズメルは余裕たっぷりに追い打ちをかけた。
「この素敵な庭を犬みたいに散歩させてあげよう。首輪なんていらないよね、あんたはド変態だが、いちおうは人間なんだから」
「そ、そんな、こと……っ」
だがリリィはヘナヘナと地べたに膝をついていた。小柄なリリィがますます小さくなるのを見下ろし、ゴズメルはにんまり笑った。自分も腰を屈め、顔の前に右手を突き出す。
「お手」
「……っ」
リリィは怒りにわなわなと震えながらゴズメルの手のひらに自分の手を乗せた。さらに「おかわり」と要求すると、もう片手で応える。
ゴズメルは「チンチン」と命令した。
「……!?」
「チンチンだよ。もの知らずのリリィちゃんにはチンチンって難しいかな?」
「あ、ああぁあ……」
呪いの力に従って、リリィの体は勝手に動き出した。人間の自覚があれば誰しもとりたくないポーズだろう。自然と開こうとする股に、グーの形になろうとする手に、リリィは必死に抵抗した。
「やだっ、こんなことしたくないのに! お願い、やめて……!」
しかしリリィは、躾けられた犬のようにチンチンのポーズをとった。胸も陰部もさらけ出し、両手を顔の横に持ち上げる。無様極まりない体勢で、悔し涙が白い肌に伝う。リリィは高い声を上げて泣いた。
「あぁあ! いやぁあ! やめて、もう許して!」
こんな愉しい遊びをやめる気にはなれなかった。靴べらの先で乳首や性器をつついてやると、リリィの泣き声に甘さが混じる。ゴズメルは自分がこんな意地悪な性格だなんて知らなかった。良心はちっとも痛まないし、むしろ胸の奥で誰かが(今まで苦しめられたぶん、もっといじめてやれ)と、囁くのだ。
これまでの命令の間に、呪い石の重みは増していた。屈んだ状態から身を起こすのにも、ゴズメルは膝に力を入れなければならない。おまけに頭に霧がかかったようにうまくものを考えられなかった。とにかくリリィをもっと辱めなければ。だが、なぜ。なんのために?
理由などなかった。ただゴズメルはリリィより偉いので、そうすることが許されているのだ。靴べらの先で、陰部をなぞる。膝を震わせて泣くリリィに、ゴズメルは残酷に命令した。
「さあ、散歩の時間だ」
四つ足のリリィの歩みは遅かった。彼女が「もう無理、こんなことできない」と泣き言を言うたびに、ゴズメルは靴べらで尻を叩いた。ごく軽い力でも、丸出しの尻に当たると響くようだ。もっちりとした乳房を揺らして歩きだす。
そう広い庭ではない。丁寧に世話しているのだろう花壇も庭木も、今は暗闇に沈んでいる。もしも植物に心があったら、打たれながらよたよた四つん這いで歩かされる主人を見て穏やかではいられなかっただろう。
半周する頃、ゴズメルは猫撫で声で言った。
「リリィ、そろそろオシッコしたくなっただろう」
「やめて! お願い、変なこと言わないで」
言われると尿意が沸くのだった。リリィはもはやゴズメルの傀儡も同然だ。白い背中をびくびくと震わせ、腿を擦り合わせている。ゴズメルは尻をピシッと打った。
「あうーっ!」
「オシッコさせてやろうって優しさがわからないのか」
「あぁん、ごめんなさい、ごめんなさいっ」
ここにきてリリィは初めて謝った。ゴズメルは胸がすっとする。知らなかった。裸の恋人に縋りついて懇願されると、こんなにいい気分になるのだ。
「お願いです、トイレに行かせてください。オシッコしたいです。もうガマンできないです」
「うふふ、リリィ。うふふふ……」
ゴズメルは愛犬にするように、リリィの髪と頬を撫でてやった。安堵した表情を浮かべる恋人に笑顔で「トイレなんてあんたには勿体ないよ」と教えてやる。ひとの心が砕ける瞬間を、ゴズメルは初めて見た。
塀の外に、青々とした茂みがある。ゴズメルは街灯に照らされたそこを指さして命令した。
「そこで片足上げて、犬みたいにオシッコするがいい。あんたの恥ずかしいところを、ちゃんと見ておいてあげよう」
「そんな……そんなひどいこと……」
道に出ることになる。誰かが通りがかるかもしれない。ゴズメルは(大事な庭を汚さずに済むんだから、あたしって優しい)と思った。それからふと(でも、ここまでする必要あるんだろうか?)と疑問が沸いた。石の力で何もかもなかったことにできるとしても、二人のことに第三者を巻き込むのは良くない気がした。
その段になって、ゴズメルはようやく自分が自分の言動をコントロールできなくなっていることに、気がついた。「早くしな、マゾ犬」と、リリィの尻を打っているのは、もはやゴズメルではない。口が、体が勝手に動く。呪い石はリリィだけでなく、使用者のゴズメルをも操っているのだ!
(ま、待てっ、ダメだっ、そんなひどいことをしたら!)
そう思うのとは裏腹に、塀の外の茂みにまでリリィを歩かせる。かわいそうなリリィは泣きながら従った。
街灯が彼女の裸身をことさら輝かせる。
「うっ、うっ……」
柔らかな肌が、硬い茂みに擦れて血が滲んでいる。リリィはギュッと唇を噛みしめ、固く目を閉じた。これが現実ではないと信じたいのだろう。涙を流しながら、犬のように片足を上げて放尿する。
(うっうわーっ!!!)
茂みがショロショロと濡れる。名もなき野草は重たげにこうべを垂れてリリィの排泄行為を受け止めた。白いばかりだったリリィの肌が、まばゆい光のもとで朱に染まってゆく。
「あぁあ……はぁあん……」
リリィは吐息ともつかない喘ぎを漏らしていた。膝をあげているために、陰部のひくつきもはっきりと見てとれる。
「フン、これであんたが犬以下の変態マゾってことがハッキリしたね」
石に乗っ取られたゴズメルは、靴べらでリリィの乳首を掬いとった。熟れた果実のように勃起している。
「あぁん、あ、あ、」
感じやすい部位を雑に擦られて、リリィは目に見えて感じていた。声がひどく甘ったるい。ゴズメルが意地悪く遠ざけようとすると、靴べらに自分から乳首を擦り付けている。
「やれやれ、しごでき受付嬢のリリィが実はこんなド変態だって知ったら、みんなびっくりするだろうよ。ちゃんと自己紹介できる?」
「あぁっ、やっ、やらっ、あぁんっ」
「ヤダじゃない。自己紹介しろって言ってんだよ」
ゴズメルの舌打ちは、リリィによく効いた。このひどい仕打ちにすっかり心を折られてしまっているのだ。必死に頭を振って「できますっ、自己紹介しますっ」とか細い声を張り上げる。
「うぁ、あ……リリィは……道ばたで、全裸で、おシッコして感じる変態女ですっ。犬以下の変態マゾのくせに、今までみんなのことを騙していてごめんなさい! あぁん、あん!」
本物の犬のような鳴き声だった。ゴズメルが「これからはどうするんだ?」と続きを促すと震えている。
「こっ、これからはぁっ、もっと……ヘンタイのマゾらしく、いい子になります……っ、自分より偉いひとに逆らわないようにわきまえます……」
完全敗北。リリィは悔し涙を流しながら屈した。すさまじい光景を目の当たりにして、ゴズメルの精神は肉体から完全に分離してしまった。偉そうに仁王立ちしている自分自身を肩の後ろあたりから見ている感覚だ。
(こ、こんなひどいことが、許されていいのか……)
ゴズメルは自分自身の暴走を見ていることしかできなかった。リリィの髪を掴み、「口でならいくらでも言えるよなあ」などと顔面に股間を押し付ける。リリィは悲痛な泣き声を漏らした。それでも、逆らえないのだろう。かたちのよい唇をズボンの留め具に触れさせて、口での奉仕をしようとする。明らかにやりすぎだ。
ここは田舎の公道である。こんな場面を見られたら、変な噂が出回ってろくに仕事ができなくなってしまう。
(くっ、クソッ、早くからだを取り戻さないと……!)
とはいえ、精神には実体というものがない。下半身を露出して悦に浸っている自分を殴ろうにも、拳はスカッスカッと虚しく空を打つばかりだ。万事休すのゴズメル(精神体)をよそに、ゴズメル(肉体)はリリィの奉仕に気持ちよさそうなうめきを漏らしている。
「う、んぉ……っ、そうだ、もっと……舌を使いな……掃除が得意なんだろ、あんたは……」
「はいっ、ふぁいっ……んむっ……うン……っ」
リリィはゴズメルの腰にまといつき、濡れた体液を啜り上げていた。ゴズメル(肉体)が髪を撫でると心なしか安らいだように目を細める。
「ゴズメル……ごめんなさい……」
こんなに美しいひとを、ゴズメルは見たことがなかった。理不尽に虐げられ、踏みにじられてなお、リリィはゴズメルのために泣いているのだ。
「私はこんなにひどいことをされるくらい、あなたのことを傷つけてしまったのね……どうか、許して……」
真珠のような涙だった。ゴズメルの全身が総毛立つ。
奮起していた。
「ウオアアアアアア!」
ゴズメルは全地が揺れんばかりの雄叫びを上げ、ほんの一瞬、自分の体の支配権を取り戻した。間をおかず、ボスゴリラのごときドラミングで自分の胸を、呪い石を打ち叩く。
リリィが呆気にとられたような顔でゴズメルを見上げていた。こんなにも辱められてなおリリィは綺麗だった。初めての恋人だ。このひとはゴズメルの汚したトイレさえ掃除してくれた。そんな彼女をいじめて愉悦に浸っていたゴズメルは、間違いなく品性下劣な最低な人間である。おまけに独占欲が強い。たとえそれが自分自身だったとしても愛するひとを虐げるなんて、許せない。
「オラオラオラオラオラオラァーッ!!」
何十回、何百回、自分の胸を拳で打っただろうか。呪い石にビシッと亀裂が走った。破片が茂みに向かって落ちていく。
その瞬間、リリィは糸が切れたかのように気を失った。ゴズメルは口から血を吐き、地べたに跪いた。馬鹿げた泥仕合だ。胸の脂肪が厚くなかったら死んでいただろう。いや、死んだほうがよかったのかもしれない。
意識を失って横たわるリリィは、あまりにいたいけだった。ゴズメルは美しい恋人を掻き抱いた。石に操られていたとはいえ、なんてひどいことをしてしまったのだろう。
「リリィ、ごめん……ごめん……!」
謝罪の言葉は、自然と口をついて出てきた。これほど簡単な言葉を、どうしてずっと言えずにいたのか。自分でも呆れかえるばかりだった。
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