【ふたなり百合】月イチ生える牛型巨女が魅了バフ持ち受付ヒーラーと協力してレベルアップ素材(童貞喪失精子)ゲットする【ゲーム系異世界】

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急・異種獣人同士で子づくり!?ノァズァークのヒミツ編

100.Blue Screen of Death

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 台地で、ミノタウロス族と冒険者協会は睨み合っていた。

 殺気立っている彼らを見て、カトーは「あらら……?」と首をかしげる。

「もしや降伏する気がない?」

「だから申し上げましたのに、会長」

 カトーの横でゆるやかに首を振ったのは、副会長のマリアだった。

「彼らは無知で野蛮ゆえ、人語を解すことができないのです」

「はぇ? ひょっとして言語系統もバグってるの? マジでぇ……?」

 カトーは「地下だもんなぁ……」と、ボサボサ頭を片手で掻きつつぼやいた。

「いちおう神殿は機能してるはずだけど……アジリニ経由のアップデートが止まってんのかな……? んもー、これだから過疎ってるエリアはダメだ……」

 マリアは無表情にカトーの言葉を聞き流していたが、彼が「よっしゃ」と剣に手をかけると、顎を引いた。

「クメミ山はいったん更地にしよう。そのほうが処理が楽だ」

 彼の手を中心に魔力マナが凝結し、風が巻き起こる。

 深紅のマントをはためかす威容に、周囲の冒険者たちは歓声を上げる。だがマリアは眉間に皺を寄せていた。

「……嫌だわ。賠償金の請求ができないじゃありませんの」

 その言葉に、カトーは爆笑した。

「プライド高いな! がそんなに堪えたか」

「……」

「それとも里心でもついたか? 人気者のようだ」

 上層に住むミノタウロス族の何人かは、マリアを見て「なぜ向こうがたにコウマチャンがおるちゃ」「ああ、コウマチャン……」などとざわついているのだった。

 マリアは眦を釣り上げて「前言撤回しますわ!」と叫んだ。

「とっととあの牛どもを焼肉にしてくださいなっ」

「オーケー、オーケー。だが……」

 カトーの目は横穴から飛び出してくる巨大な黒い影を捉えていた。

 日を遮り、台地に丸い影が落ちる。迫る影は冒険者たちの足元を溶かすかのように膨らんだ。

「怪物退治が先のようだぜ!」

 闇の中に稲光が走るようだった。

 グレンの踵落としを、カトーは剣を振りかざして耐える。やがて、振り下ろした。

「やるじゃねえか、ミノタウロス!」

 台地を割りながら、カトーは歯を剥き出しにして笑っていた。

「ここまで性能をぶっ壊すのに、いったい何世代かかった? 前任者からの申し送りは聞いてるぜ!」

 カトーが喋る合間にも、グレンは追撃の手を緩めなかった。

「システムに依存した豊かさよりも、アジリニとの対話を望んだんだろう? どうだっ? 強くなったらアジリニは答えてくれたか? 『なにゆえ神の見る夢が、悲鳴と呪詛と汚濁にまみれているのか』、『助けてくださいアジリニ様』ってか! いい加減、祈りには応えてもらえそうかよ!!」

「■■■!」

「ギャハハ、もはや伏字と化してんじゃねーか。素人がプロンプトの自己改悪なんてしやがって……あぁ? こうかァ? ■■■、■■■■、■■■!」

 カトーが吐いたミノタウロス語に、その場にいる全員が目を剥いた。

 だが、勇者と怪物の激しい打ち合いに、誰も手出しできない。カトーが横薙ぎにした剣をグレンは振り払う。

 上がる粉塵を盾で避けつつ、マリアは「カトー、困ったひとね……」とつぶやいた。

 冒険者のひとりが「加勢すべきでしょうか」と尋ねると、彼女は首を振った。

「あのひとの、いつもの悪い癖よ。強者とみると嬲り殺しにかかるのだから」

「は……」

「ふふ。押されているように見える?」

 傍目に、形勢はグレン優位に見えた。ミノタウロス族の種族値は他種族を圧倒する。加えて、クメミ山はグレンのフィールドだった。固い土を掴むよう発達した足がくりだす蹴りは、速度と強さのゆえに火焔さえ噴き上げている。

 マリアは言った。

「なぜあの男が冒険者協会の会長であり、大陸覇者なのか……見ればわかるはずよ」

 防戦一方のカトーが深いため息をつく。「あー、もう見飽きた。いいや」と、彼は言った。

 グレンは、瞬いた。

「……………?」

 膝がグレンの鳩尾に入る。それは、たかだか雑種の膝蹴りに過ぎず、ミノタウロス族の長である彼にとって、避ける必要さえない攻撃だった。なぜ打撃程度で自分の腹に穴が開き、血が大地に滴るのかと、グレンは混乱する。

 踏みとどまろうとした彼の首に、カトーの踵が落ちた。

 マリアは「この大陸でもっとも強いから。ただそれだけ」と言った。

 崩れ落ちるグレンに向かって、カトーは「アジリニに直接聞け」と、大剣を振りおろす。

 ゴズメルが台地にたどりついたのは、その時だった。

「……えっ?」

 ミノタウロス族の誰もが、目の前で起きていることを信じられなかった。最強の長であるグレンが、ぽっと出の、たった一人の雑種なんかに負けようとしているのだ。

「おとうつぁ」

 ゴズメルは仲間を押しのけて駆け出していた。ほかのことはなにも頭になかった。ゴズメルは、グレンとまだなにも話をしていない。母や妹のことを、本当のところどう思っていたのか聞かなくてはならない。兄二人に比べて劣っている、弱い娘のことはどう思っていたのだろうか。ふがいない、役立たずだと思っていただろうか。出て行った時は、少しは何か思ってくれたのか、それともそんなことは強い長の心になんの感慨も残さなかっただろうか。他種族の、いかにも弱そうな恋人を連れてきたことを、いったいどう思ってリリィと親しげに話し込んでいたのか、聞かないといけないのに。

 彼の首からほとばしる血は、炎のように赤かった。

 ゴズメルは、それにしがみついて泣き叫んだ。

「おとうつぁ、嫌だ! 嫌だ、いやだ、やんた、おとうつぁ、おとうつぁ!! このっバカクソ親父、起きろ! 起きて、起きてくれぇっ!」

 そうしているとゴズメルは、今の今まで忘れていたことをなぜか次々と思い出すのだった。子供の時、母に頼まれて、寝ている父を兄二人と共に部屋まで起こしに行ったことがあった。揺すぶって起こすのだが、父はたいへん寝起きが悪く、まずサゴンが毛布の奥へひきずりこまれ、ミギワも犠牲になり、とうとうゴズメルもワーキャー言いながら怪物の腕に捕まってしまった。母に起こされた時には、なぜか父の姿はもうそこになかった。

 だがグレンは今、血まみれになって横たわっている。

「ゴズメル、だめよ! そこから逃げてえっ」

 リリィの声がして、ゴズメルはビクッと肩を震わせる。父とゴズメルの前に、金髪のカトーが立っている。不気味に腰を屈めた彼は、ひどく興味深そうにゴズメルの顔を覗き込んだ。

「俺はおまえを見たことがあるぞ。あの船の中に入っただろう」

「え……っ」

「いい角してんなあ……ふうん、ミノタウロスのメスってのは、なかなか食いでのある体つきをしてるんだな」

「会長、遊びはそのあたりにしてくださる? この機に、まずは集落を制圧しませんと」

 とがった声を上げるマリアに、カトーは「なんだ、これがおまえのお気に入りか」と笑った。

「おもしれえ。なんかハンドルみたいな角だな」

「会長」

 カトーはゴズメルの左の角を掴んでいた。ゴズメルは、どういうわけか体が動かなかった。頭では、逃げなくてはならない、父を連れて行かなければと思うのだが、戦意が折れてしまって、震えることしかできない。

「ひとつくれよ」

 菓子をもらうかのように言って、カトーは手に力を込めた。

 それを境に、ゴズメルの意識は途絶える。
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