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急・異種獣人同士で子づくり!?ノァズァークのヒミツ編

67.出会う前から★

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 他種族と関わりを持たないミノタウロス族は、先祖から代々、手工芸の技を受け継いでいる。

 土を焼き固めたレンガでかまどを作り、木の根を叩いて糸を撚る。

 部屋は暖かければいい、服は着られればいい、という大味な考えのもと原始的な生活を営んでいるが、その反面、工学にも精通していた。素朴な力仕事は自分たちでやるべきだが、面倒な細工は機械に任せるほうが確実!というわけだ。

 リリィとゴズメルのいる客間は、編んだ毛糸にビーズを付けた壁掛けや、織物のカーペットで飾られていたが、こういった手作り品は、本来ミノタウロス族からは敬遠されている。

 肉体の強さを大切にする彼らからしたら、繊細な手仕事に従事するより鍛錬に精を出すほうがよほど立派なことだからだ。

 だが、ゴズメルはリリィの白くてしなやかな指が好きだった。細かい作業に優れ、誰かを癒すことはあっても、殴ったりするはずもない手だ。

 自分の土の色を写したような手で彼女の手を撫でると、なんて細い指なのだろうかと思って、胸がきゅんとしてしまう。こんなに小さな手で、美しい花を育てたりおいしい料理を作ったりしているのだ。

「ん……んん……」

 ゴズメルはリリィの背中に覆いかぶさり、耳たぶにキスしながら手に手を重ねた。リリィの細い緑髪がこしょこしょと頬に触れる。

「……声、ガマンしてんの?」

「だって……」

「オズヌにペットだと思われそうだから?」

「んっ……そうよ……! ただでさえ言葉が違うのに、動物みたいに鳴いたらもっとおかしく思われてしまうわ……」

 ゴズメルの重さと熱に、リリィは肘と膝を突っ張っていられない。

 震えているリリィのつむじに、ゴズメルは笑って顎を乗せた。

「どっちかっていうと、あんたがあたしの飼い主なのにね。リリィ」

「そ、そうなの……?」

「違う? こうやってあたしの世話を焼いてくれるじゃないか……」

「あぁ、もうだめ」

 リリィはとうとうゴズメルの胸の重さでつぶれてしまった。

 相手を負かして嬉しくなるのは、ミノタウロス族の本能だろうか。ゴズメルはルンルン気分でリリィを自分の体の下側に丸め込んだ。宝物を土に埋める犬はこんな気分かもしれない。

「……疑牝台にも、こんなふうにするの?」

「しない。あんたにだけ」

「そうよね。疑牝台は私みたいに潰れたりしないものね……」

「ん? なんか張り合ってる?」

「そういうわけじゃ、ないけど……」

 拘束を緩めてやると、リリィは暑そうに寝返りを打った。服のボタンを緩めて脱ぐのを、ゴズメルはじっと待った。色が白いので、りんごの皮むきを見ているような気分になるのだ。

 下着姿になると、「寒くない?」と聞きながらゴズメルの衣類もくつろげてくれる。ゴズメルは、頭がぼーっとしていた。腕や腿の間からチラチラと見える下着が、ケーキを飾るクリームみたいに見える。

 リリィは甘い声で囁いた。

「……ずっと、疑牝台を使ってたの?」

「えーと……里を出るまではね。一般的なモンじゃないって知った時は焦ったよ」

「ずっと使いたかった? そんなにいいものなの? 私よりも?」

「……フフッ。ただの台だよ」

 リリィの言い方に、ゴズメルは苦笑した。

 リリィは疑牝台に嫉妬しているらしい。口をとがらせて言った。

「でも、台のほうがいいこともあるはずだわ。潰れないし、私みたいに余計な口を利かないもの」

「そうさ。それに、こんなに可愛い顔はついてなかった。もちろん服も脱がせてくれないし。ただの穴の空いた木馬だからね。そのぶん、めちゃくちゃ妄想したよ」

「妄想したの……?」

「した。まだ出会う前の、あんたのことを」

「ふ、ふうん……そうなの……」

 それは絶対に理屈としておかしいのだが、リリィは困ったように納得した。

 ゴズメルにとっても、そうとしか思えないことなのだ。生えたての男根を疑牝台になすりつけながら、リリィのことを――もしも記憶違いだったとしても限りなくリリィに似た相手を―ー妄想していたような気がする。

 リリィは手のひらをゴズメルの股にあてて「大きくなってきた?」と尋ねた。

「ん……」

 ゴズメルの男根は、月に一度クリトリスが変形することで発生する。普段は体の奥にしまわれている皮膚や筋肉が、尾根が盛り上がるように繰り出してくるのだ。

 同時に精嚢も下りてくるので、月が満ちてくると体の中では昼夜を問わず工事をしているような状態になる。

「横になって。お世話してあげる……」

 リリィに促され、ゴズメルは仰向けに寝た。顔は火照っているのに肩は寒い。局部はとても敏感になっていて、リリィの手に股を撫でられると、びくっと膝が跳ねた。

「……布越しに勃起しているのがわかるわ。下着もしっとりしている」

「あぁ……うん……」

「強すぎるかしら。もっとゆっくりする?」

「わかんな……あ、あ」

 添い寝したリリィが指を上下させると、ゴズメルの喉からは変な声が漏れた。指先で甘やかすように撫でられるのも、指の関節で強めに擦られるのも、効きすぎる。ゴズメルは毛布が落ちるほど膝を立ててしまった。

「……女性器に触ってもいい?」

「や……やだ……変なイき方するって……」

「触っていて気持ちよくなるのは、変ではないと思うけど……」

「やだ、やだ、まんこでイきたくない……っやだぁ……っ」

 そう言いながら下着越しにくちゅくちゅと濡れた音が立つのが、ゴズメルは恥ずかしかった。早く男性器を生やしたいのに、クリトリスが勃起するほど愛液がとめどなく垂れてきてしまう。

 リリィがベッドを汚さないようにとタオルで拭き取ってくれるのだが、それもくすぐったくて、気持ちよくて、赤ちゃんみたいで恥ずかしい。

「いいのよ。嫌なら触らないわ。でも、下は脱ぎましょう? ベッドを汚してしまうもの……」

「うあっ」

 ズボンごと下着をずり下ろされると、下半身に外気が当たる。がくがくと腰を震わせるゴズメルは、羞恥のあまり視界を両腕で覆っていた。恥ずかしい。恥ずかしいのに気持ちよくて、リリィの優しい指先に、気が狂いそうなほど感じていた。
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