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急・異種獣人同士で子づくり!?ノァズァークのヒミツ編
56.褥に沈める★
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リリィの震えを、ゴズメルは胸に感じた。
そのまま五秒待った。十秒待った。
ゴズメルは大きく深呼吸をした。この沈黙がどういう意味を持つのか、すでに察していた。
「あたしのことは、別にそういうんじゃないか」
リリィがびくっと肩を震わせた。かわいそうに、どう答えたらいいのかわからなくて、怖がっているのだ。
「心配すんな。さっきはああ言ったけど、別に結婚する気ないからってどうこうしようってんじゃないよ……ただ、そう思っちまうくらい、あたしは、あんたのことが……」
「どうしてそんなこと言うの?」
「アッ?」
なんでフラれたうえに責められなくてはならないのだ。
ムッとしたゴズメルの腕の中で、リリィは「あなたっていつもそうよ」と絞り出した。
「私にムラムラするなって言っておきながら『綺麗だね』なんて、ナナを使って褒めてきたりして……抱いてもらえないのにあんなことされて、私がどんなに……」
「あ、あのことは今関係ないだろっ」
「できないとわかっているのに、どうして結婚してほしいなんて言うの……?」
ゴズメルは瞬いた。まだフラれたわけではないのかもしれない。
「リリィ、こっち向きなよ」
「だめ……嫌よ……」
「いいから顔見せろってば!」
紙切れに唇の痕を残した時も、こんな表情を浮かべていたのだろうか。
耳まで朱に染めて、悩ましげに眉を寄せている。
伏せたまつ毛がじっとりと重く濡れているのは、涙か、それとも汗のせいだろうか。
ゴズメルに顎を掴まれたまま、眼差しを揺らした。
「嫌ぁ……」
拒否の言葉を紡ぐ唇が、妖しく濡れていた。誘っているようにしか見えない。
ゴズメルの強引な口づけに、リリィは喉奥で喘いだ。
「ん……っ、んふぅっ、あぁ……やん……やぁんん……」
頑なに顔を隠そうとするリリィの両手を、ゴズメルは押さえつけた。
本当に嫌なら噛みついてくればいい。リリィときたら、恥ずかしそうに喘ぐだけだ。
そのうえ、きゅっとゴズメルの指に指を絡めてくる。まるで離してほしくないみたいに。
唇を離すと「あ……」と漏れる声と一緒に、舌が出る。
ゴズメルは詰問した。
「どうして結婚できないと思う」
「だって、種族も違うし……」
「だからなんだってんだよ。新天地のことか? あんた死後の心配なんかしてんの?」
「あ、あなただって、もうわかっているはずよ。妖精族の私は周りのひとを厄介ごとに巻き込むの。結婚なんてしたら、どんなことになるか……っ」
「それこそ今さらだよ! 死ぬまで平穏無事に済んだって、あんたなしの人生なんて考えたくもないね!」
「でも、だって……!」
リリィは吸い込んだ息をゆっくりと吐きだした。
「私なんかのところに生まれてきたら、赤ちゃんがかわいそうだわ……!」
「かわいそうなもんか!」
きっとリリィが胸の奥で温めてきたのであろう言葉を、ゴズメルは即座に否定した。
「あんたは思いやりがあって真面目で、料理も上手い! そのうえ仕事ができてべっぴんときてる! こんな夢みたいな母親がいたら、あたしなら泣いて喜ぶね!」
「ふ、ふざけないで、ゴズメル……」
「ふざけてんのはそっちだ! あたしと結婚すんのがそんなに嫌ならハッキリ断ったらどうなんだ!」
「嫌なわけないじゃない! ゴズメルのバカッ!」
リリィは真っ赤になって叫んだ。
甲高い罵声が胸に沁みる。数秒おいて、ゴズメルは照れくさくなった。
「ふ、ふーん。嫌じゃないんだ。……へー、そっか……」
嬉しい。
絡めた指に力がこもる。リリィはギュッと痛いくらい強く握りかえしてきた。
目と目があって、リリィが息だけで「ごずめる」と呼ぶ。ゴズメルは招かれるままキスした。
軽く触れただけで、リリィはポップコーンが弾けるみたいに飛びついて来た。
「もう……もう!」
勢いがよすぎて、唇どころか鼻や額までぶつかってくる。
「ゴズメル、あなたときたら、どうして……!」
油断していたゴズメルは、あっという間にからだに乗っかられてしまった。
だが、リリィが顔中に降らせるキスの雨を受けるのは、いい気分だった。
小さくて柔らかいものが一生懸命に自分を愛しているのを感じるからだ。
感じやすい背中を、翅ごと腕の中に抱きしめる。ひと撫でしただけでリリィはよがった。
「あぁ、あんっ」
軽く爪を立てると、もう腰をへこつかせている。ぬとっと濡れた股がゴズメルの腹を濡らした。
ゴズメルはぴしゃっとリリィの尻を叩いた。
「あっ!」
「ひとりで勝手に気持ちよくなってんじゃないよ。あたしに返事もしないで」
「あう……」
「あたしのお嫁さんになるんだね? リリィ」
ゴズメルは自分がこれから何をしようとしているか、自分で確認するかのように、一言一言区切るように言った。
「あんたはね、ミノタウロス族のあたしに種付けされて、溶けない卵を産まされるんだよ。あんたのお祖母ちゃんはちゃんとしたひとみたいだから、『なんて相手を選ぶんだ!』って怒るだろうよ。それに、あたしと結婚したら妖精族の血は途絶えちまうんだ。綺麗な翅が永遠にこの世から失われる。それどころか、生まれてくる赤ちゃんには、牛みたいに不細工な角と尻尾が生えてるかもしれない。それでもいいんだね?」
リリィは想像したようだった。ゴズメルの角をじっと見つめて、息を震わせている。
「いいわ……」
「本気で言ってる? リリィ、子どもを持つって大変なんだよ。からだだってずいぶん変わるし、同じ気持ちがずっと続くとも限らない。おまけに今のあたしときたら、冒険者パスを取られて無職なんだ……!」
ゴズメルは言っていて、こんなんで選ばれるわけがないと思った。この状況でプロポーズする自分は当然、受け入れたとしたらリリィのほうも気がどうかしている。
だが、リリィは目を潤ませて喜んでいた。
「うん、うん、嬉しい、嬉しいの……っ」
ゴズメルの肩や首にたくさんキスして、全身をすり寄せてくる。
「お嫁さんにして、ゴズメル。あなたの卵を生みたいの、いっぱい、ああっほしいっ、ちょうだい、ゴズメル、ゴズメル!」
「言ったな、この、どすけべな妖精め! もっとこっちに来るんだっ」
「きゃあっ」
「大人しくしな! 卵の穴をきれいにしてやる!」
「いやあああっ」
ゴズメルはリリィの腰をぐいっと抱き寄せた。
顔をまたがせ、無防備に蜜を撒き散らす雌穴にキスをする。
リリィはどこかの誰かと違い、ゴズメルの顔を尻に敷くのをとても恥ずかしがった。
「やんっ、やらっ、ふーふーしないれぇ……!」
そのまま五秒待った。十秒待った。
ゴズメルは大きく深呼吸をした。この沈黙がどういう意味を持つのか、すでに察していた。
「あたしのことは、別にそういうんじゃないか」
リリィがびくっと肩を震わせた。かわいそうに、どう答えたらいいのかわからなくて、怖がっているのだ。
「心配すんな。さっきはああ言ったけど、別に結婚する気ないからってどうこうしようってんじゃないよ……ただ、そう思っちまうくらい、あたしは、あんたのことが……」
「どうしてそんなこと言うの?」
「アッ?」
なんでフラれたうえに責められなくてはならないのだ。
ムッとしたゴズメルの腕の中で、リリィは「あなたっていつもそうよ」と絞り出した。
「私にムラムラするなって言っておきながら『綺麗だね』なんて、ナナを使って褒めてきたりして……抱いてもらえないのにあんなことされて、私がどんなに……」
「あ、あのことは今関係ないだろっ」
「できないとわかっているのに、どうして結婚してほしいなんて言うの……?」
ゴズメルは瞬いた。まだフラれたわけではないのかもしれない。
「リリィ、こっち向きなよ」
「だめ……嫌よ……」
「いいから顔見せろってば!」
紙切れに唇の痕を残した時も、こんな表情を浮かべていたのだろうか。
耳まで朱に染めて、悩ましげに眉を寄せている。
伏せたまつ毛がじっとりと重く濡れているのは、涙か、それとも汗のせいだろうか。
ゴズメルに顎を掴まれたまま、眼差しを揺らした。
「嫌ぁ……」
拒否の言葉を紡ぐ唇が、妖しく濡れていた。誘っているようにしか見えない。
ゴズメルの強引な口づけに、リリィは喉奥で喘いだ。
「ん……っ、んふぅっ、あぁ……やん……やぁんん……」
頑なに顔を隠そうとするリリィの両手を、ゴズメルは押さえつけた。
本当に嫌なら噛みついてくればいい。リリィときたら、恥ずかしそうに喘ぐだけだ。
そのうえ、きゅっとゴズメルの指に指を絡めてくる。まるで離してほしくないみたいに。
唇を離すと「あ……」と漏れる声と一緒に、舌が出る。
ゴズメルは詰問した。
「どうして結婚できないと思う」
「だって、種族も違うし……」
「だからなんだってんだよ。新天地のことか? あんた死後の心配なんかしてんの?」
「あ、あなただって、もうわかっているはずよ。妖精族の私は周りのひとを厄介ごとに巻き込むの。結婚なんてしたら、どんなことになるか……っ」
「それこそ今さらだよ! 死ぬまで平穏無事に済んだって、あんたなしの人生なんて考えたくもないね!」
「でも、だって……!」
リリィは吸い込んだ息をゆっくりと吐きだした。
「私なんかのところに生まれてきたら、赤ちゃんがかわいそうだわ……!」
「かわいそうなもんか!」
きっとリリィが胸の奥で温めてきたのであろう言葉を、ゴズメルは即座に否定した。
「あんたは思いやりがあって真面目で、料理も上手い! そのうえ仕事ができてべっぴんときてる! こんな夢みたいな母親がいたら、あたしなら泣いて喜ぶね!」
「ふ、ふざけないで、ゴズメル……」
「ふざけてんのはそっちだ! あたしと結婚すんのがそんなに嫌ならハッキリ断ったらどうなんだ!」
「嫌なわけないじゃない! ゴズメルのバカッ!」
リリィは真っ赤になって叫んだ。
甲高い罵声が胸に沁みる。数秒おいて、ゴズメルは照れくさくなった。
「ふ、ふーん。嫌じゃないんだ。……へー、そっか……」
嬉しい。
絡めた指に力がこもる。リリィはギュッと痛いくらい強く握りかえしてきた。
目と目があって、リリィが息だけで「ごずめる」と呼ぶ。ゴズメルは招かれるままキスした。
軽く触れただけで、リリィはポップコーンが弾けるみたいに飛びついて来た。
「もう……もう!」
勢いがよすぎて、唇どころか鼻や額までぶつかってくる。
「ゴズメル、あなたときたら、どうして……!」
油断していたゴズメルは、あっという間にからだに乗っかられてしまった。
だが、リリィが顔中に降らせるキスの雨を受けるのは、いい気分だった。
小さくて柔らかいものが一生懸命に自分を愛しているのを感じるからだ。
感じやすい背中を、翅ごと腕の中に抱きしめる。ひと撫でしただけでリリィはよがった。
「あぁ、あんっ」
軽く爪を立てると、もう腰をへこつかせている。ぬとっと濡れた股がゴズメルの腹を濡らした。
ゴズメルはぴしゃっとリリィの尻を叩いた。
「あっ!」
「ひとりで勝手に気持ちよくなってんじゃないよ。あたしに返事もしないで」
「あう……」
「あたしのお嫁さんになるんだね? リリィ」
ゴズメルは自分がこれから何をしようとしているか、自分で確認するかのように、一言一言区切るように言った。
「あんたはね、ミノタウロス族のあたしに種付けされて、溶けない卵を産まされるんだよ。あんたのお祖母ちゃんはちゃんとしたひとみたいだから、『なんて相手を選ぶんだ!』って怒るだろうよ。それに、あたしと結婚したら妖精族の血は途絶えちまうんだ。綺麗な翅が永遠にこの世から失われる。それどころか、生まれてくる赤ちゃんには、牛みたいに不細工な角と尻尾が生えてるかもしれない。それでもいいんだね?」
リリィは想像したようだった。ゴズメルの角をじっと見つめて、息を震わせている。
「いいわ……」
「本気で言ってる? リリィ、子どもを持つって大変なんだよ。からだだってずいぶん変わるし、同じ気持ちがずっと続くとも限らない。おまけに今のあたしときたら、冒険者パスを取られて無職なんだ……!」
ゴズメルは言っていて、こんなんで選ばれるわけがないと思った。この状況でプロポーズする自分は当然、受け入れたとしたらリリィのほうも気がどうかしている。
だが、リリィは目を潤ませて喜んでいた。
「うん、うん、嬉しい、嬉しいの……っ」
ゴズメルの肩や首にたくさんキスして、全身をすり寄せてくる。
「お嫁さんにして、ゴズメル。あなたの卵を生みたいの、いっぱい、ああっほしいっ、ちょうだい、ゴズメル、ゴズメル!」
「言ったな、この、どすけべな妖精め! もっとこっちに来るんだっ」
「きゃあっ」
「大人しくしな! 卵の穴をきれいにしてやる!」
「いやあああっ」
ゴズメルはリリィの腰をぐいっと抱き寄せた。
顔をまたがせ、無防備に蜜を撒き散らす雌穴にキスをする。
リリィはどこかの誰かと違い、ゴズメルの顔を尻に敷くのをとても恥ずかしがった。
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