【ふたなり百合】月イチ生える牛型巨女が魅了バフ持ち受付ヒーラーと協力してレベルアップ素材(童貞喪失精子)ゲットする【ゲーム系異世界】

春Q

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急・異種獣人同士で子づくり!?ノァズァークのヒミツ編

32.妖精の卵ピックアップガチャ30連

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 ジーニョは言った。

「お嬢さんのことが大事なら、自分にできるだけのことはした方がいい。恥ずかしいだの勇気がないだのとモタモタしているうちに、もう二度と会えなくなってしまうことだってあるのだから」

 ゴズメルは戸惑った。説教臭いのはいつもと変わらないが、かなり実感がこもっているように感じる。

 頭のはげあがった皺だらけのジーニョじいさんにも若い頃があり、つらい別れを経験してきたのかもしれなかった。

「……わかった」

 大人しく起き上がったゴズメルに、ジーニョは「うむ」とうなずいて水晶玉を示した。

 とはいえ、30連を回すのはなかなかの苦難だった。先ほどの10連がとんでもない神引きだったことをゴズメルは思い知ることになる。

 卵、とそれだけ思い浮かべようとすると、どうしても食べ物の卵のほうが先に来る。形も一回見たきりだ。わけのわからない3Dデータをこしらえながら、ゴズメルは必死に思い描いた。

 リリィの翅の模様に似ていた、魚卵に近かった、光っていた。そんなふうに具体的に思い出そうとすればするほど、本物から遠ざかっていくように感じられるのは皮肉だった。

 それをジーニョは「物欲センサーだ」と言った。

「イメージより欲望が先行すると、まったく絵が浮かばなくなる。ちょっと余裕があるくらいじゃないと想像力は働かないということだな」

 錬成用のビーカーにコーヒーを淹れてくれたジーニョは、なにやら楽しそうだった。

 ゴズメルは首をひねった。

(なんかミックも失敗談を嬉々として語ってたけど、魔道具を扱う連中ってみんなこんなんか)

 だが、思い返してみれば、残業して伝言を伝えようとしたナナも眠たげなのに嬉しそうだった気がする。

 もしかして仕事って楽しいのかな、とゴズメルはちょっと思った。

 ゴズメルは冒険者だが、生活の延長として素材の採取や魔物バグの討伐をしている。依頼人に喜ばれるのは確かに嬉しいが一番の目当ては報酬だし、仕事として楽しんでいるかというとちょっと違う気もする。

(上手くいけばもちろん嬉しいけど、苦労しても楽しんでる感じがするな。うーん……)

 ガチャを引くのもタダではない。水晶玉と石板の起動に著しくエネルギーを消耗するので、ゴズメルは三十連を回すつど、ダンジョンを周回しなければならなかった。回路となる小さな魔物バグは追っかけるのが大変だし、エネルギー源である玉石はフロアボスからしかドロップしないのである。

 ジーニョはゴズメルが引いた何十枚もの卵の絵をもとに総合的な姿をスケッチした。さらに樹脂でサンプルをいくつか作り感触を確かめさせる。

 へこたれそうになるたび、ゴズメルは最初に引いたリリィの3Dデータを確認した。こうしている今も、リリィが偽卵の到着を待っているのだ。諦めるわけにはいかない。

 だが、とうとうその時は来た。

「30連の確定演出だ!衝撃に備えろ!」

 ジーニョが叫んだのと同時に水晶玉が発光し、工房にひしめく魔物バグが一斉に共鳴を始める。

 ゴズメルは水晶玉から伝わってくる熱に驚いた。激しい振動は、今にも中から魔物バグが飛び出してくるのではないかと思うほどだ。

 水晶玉の真上を、ひゅんっと矢のごとく虹がひらめいた。

 ジーニョが石板を高く掲げる。そこには、夢にまで見た妖精の卵の3Dデータが完成していた。

「近日中にサンプルを仕上げる。お嬢さんにチェックしてもらって修正を加えたら納品だ」

 疲れて倒れているゴズメルをよそに、ジーニョは紙にあれこれと必要素材を書き出し、工程を整理した。

「なかなか精巧な元絵だが、使うのはお嬢さんだからな。サイズや色みに変更を加える必要があるかもしれん。修正は三回までなら料金内で受けることにしとるが、それでいいか」
 
「なんでもいいから早く仕上げとくれ」

 ゴズメルの蚊の鳴くような訴えを、ジーニョは「バカを言え」と鼻息でしりぞけた。

「この俺にハンパなものを仕上げろと言うのか」

「……リリィに確認させるったって、どうする気だい。風船つけて飛ばすわけいかないだろ」

「うん。おまえがここまで取りに来い」

「オイふざけんなよ!」

 ゴズメルは勢いよく起き上がった。

「あたしだって予定つけてここまで来てんだ。せめて冒険者協会に預けるとかしてくれよ。塔出てすぐそこにいるんだから」

 冒険者協会では各支部で物資のやりとりが行われている。塔の入り口に控えている協会員に預ければ、アルティカ支部に届けてくれるはずだ。

 ところが、ジーニョは両手を広げて首を振った。

「やれやれ、わかってないようだ。俺はここから動くわけにいかんというのに」

「だからなんでだよッ、このひきこもりジジイ!」

「ひきこもっているのではない、ノァズアークを守っているのだ」

「ハッ! 世界ときたか。規模のでかい自宅警備員がいたもんだな!」

 ジーニョは禿げ頭をつるつると撫でていたが、やがてため息をついて「ついてこい、迷宮の愛し子ミノタウロス」と言った。
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