【ふたなり百合】月イチ生える牛型巨女が魅了バフ持ち受付ヒーラーと協力してレベルアップ素材(童貞喪失精子)ゲットする【ゲーム系異世界】

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急・異種獣人同士で子づくり!?ノァズァークのヒミツ編

9.図書室へ・・・

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「うう、ん……」

 ゴズメルは何も言えなかった。どう考えても卵の件が関係しているに違いないのだが、ナナにこんなところでその話を聞かせるわけにもいかない。

 ナナはハッとした顔になって、「すみません……」と手元を書類の処理に戻した。

「ゴズメルさんだって、急に言われても困りますよね。気にしないでくださいね」

「いや、聞いたのはあたしのほうだよ。教えてくれてありがとう、ナナ」

「そう言ってもらえると安心します……」

 ふにゅう、とナナは鼻から息をついた。

「受付嬢はみんなリリィ先輩を心配しています。話せない悩みなら仕方ない、すこし仕事をセーブしてはどうかと言って、あれこれ工夫しているところでした……」

 休憩中、本来ならひとの少ない時間帯にリリィがひとりで窓口に立っていたのは、そのためだったらしい。

「でも難しいですね。リリィ先輩は人気者なので、どうしても窓口が混んでしまって」

「そういうことだったのか……」

 仕事にまで影響が出ているのかと思うと、ゴズメルは胸が痛んだ。

 ゴズメルが仕事に逃避しているあいだ、リリィはひとりで苦しんでいたに違いない。

 カウンターの奥に目をやっても、もう後の祭りだ。リリィはすでに休憩室へ引っ込んでしまっている。

(後で本人から事情を聞かなきゃだめだ。さっきだって、明らかに様子がおかしかったじゃないか。ああ、でも二人っきりになったって気安く触っちゃだめなんだ)

 さっきみたいに見つめられたら、ゴズメルは耐えられる気がしなかった。

 きっと抱きしめてキスして……もしかしたら、もっとひどいことをしてしまうかもしれない。それこそリリィが嫌がっても力で押さえつけてしまいそうだ。

 ゴズメルはぶんぶんと首を振って自分を叱咤した。

(浮かれポンチになってる場合じゃないぞ。リリィの命がかかってるんだから、あたしがしっかりしなきゃ)

 まずは妖精の生態について理解を深める必要がある。

 書類処理を終えたゴズメルはナナに許可証を発行してもらい、冒険者協会の図書室へ行くことにした。

 地図や図鑑、伝承資料など、冒険に必要な資料が一通り揃っている場所だ。

「おや、ゴズメルじゃないか。珍しいねえ」

 許可証を手に別棟に行くと、司書のイーユンが出迎えてくれる。

 イーユンは小柄な老女だ。丸い耳とピョコンと出た前歯は鼠族の特徴だが、長いしっぽは持っていない。上の世代には珍しく、彼女は雑種なのだった。

「こんにちは、イーユン。妖精族の資料が欲しいんだけどね……」

「おやまぁ! あんたもかい」

「あんたも……?」

「うん、今月入って妖精族の資料を欲しがったのは、これが二人目だ。……っと、こういう個人情報って最近は漏らしちゃいけないんだっけ。しまったしまった」

 イーユンは悪気なさそうに、チューチューと甲高く鳴いてみせた。ゴズメルは嘆息した。

 きっと資料を見に来たのはリリィだろう。妖精族の身内がいない彼女は、ゴズメルと同じように古い資料にあたるしか自分の性質を知るすべがないのだった。

「……じゃ、あたしにも同じ資料を見せてくれるかな」

「いいけど……」

 イーユンは丸い眼鏡ごしにゴズメルを見た。

「体の大きいゴズメルにはちょっと読みづらいかもしれないね。モニターのある個室を用意してあげよう」

「あはは、ありがとう」

 年寄りらしい気遣いに、ゴズメルは笑ってしまった。

 体の大きい種族向けの個室はモニターを置くため薄暗い仕様になっている。

 デスクと椅子はあるが、なんだか隠れ家のようだ。

 イーユンが機械台車で運んでくれた資料を、ゴズメルは次々とチェックした。

 妖精族の種類、歴史、伝説……やがてゴズメルは、種族値一覧の載った図鑑をパタンと閉じた。

(なんっ……も、わかんねえ!)

 日頃、本を読まないゴズメルには、資料から必要な情報だけを抜き出すなどという芸当はできない。

 愚直に頭から読むことになるのだが、古い資料は難解な言葉ばかり使う。本を読むのに辞書を引かなければならないという状態に、ゴズメルは早々に行き詰ってしまった。

(なんていうか、あたし、リリィのことをなんにも知らないんだな……)

 そもそも彼女が妖精族であると知ったのも二か月前だ。翅の力に魅了され、肉体に溺れ、必死に愛を求める姿に心を打たれた。付き合いだしてから今さらこんなことを調べはじめて、クズだ、考えなしだと言われても仕方ないのかもしれない。

 ゴズメルは、ハーッと嘆息した。モニターに表示された時刻を見ると、かなり時間が経っていた。

 今日はここまでにするか、と椅子から立ち上がったとき、後ろのドアが開いた。

「ああ、イーユン? ちょうどよかった、いま呼ぼうかと……」

「ゴズメル……」

 小さな声に、ゴズメルはビクッとした。

 慌ててドアに目をやる。そこに立っていたのは、イーユンではなく、リリィだった。
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