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破・隷属の首輪+5でダンジョンクリア編
7.トロバスにて★(痴漢っぽい描写あり)
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翌日、ゴズメルとリリィはトロバスに乗ってアルティカ東部へ向かった。
トロバスは、魔力を含んだ鉱石で動く乗り物だ。数十人の乗客を一度に目的地まで運ぶことができる。
機械仕掛けなだけあって運賃は安価、スピードも出るのだが、それらの利点を損なってあまりあるほど乗り心地が悪い。
これはトロバスの動力を生み出す魔力変換炉の問題だった。
魔力の含有量が多い鉱石は体積が大きく、必然的に炉も大型になる。これが場所をとるうえ、鉱石は一つ使い切らないと次の補充ができない。つまりは安定した出力を維持できない代物なのだった。
当然、座席スペースなど確保できるはずもない。乗客は狭い車内で吊り革を命綱に、急加速と急停止を繰り返すとんでもない運転に耐えなければならないのだった。
年寄りと病人には死の危険さえあると言われるこの恐ろしい乗り物を、なぜゴズメルは選んだのか。
答えは簡単で、一刻も早く鐵刑の塔に乗り込んで、隷属の首輪から解放されたかったからだ。
「……ッ、……ん、ふぅ……ッ」
リリィは今、運転席側の角に、ゴズメルに背を向けるようにして立っている。
小刻みに震えているのは、両手で吊り革を掴むためにつま先立ちになっているからだ。
それもこれもゴズメルがトロバスに乗り込む前、うかつにも『危ないから、降りるまでは吊り革から手を離すんじゃないよ』と、命令してしまったせいだった。
そう、命令である。
隷属の首輪は、管理者のちょっとした言葉ひとつに反応してしまうのだった。それが証拠に、まだ午前中だというのにゴズメルはすでに両手の指の数で収まらないほどの命令を下してしまっている。
昨夜、首輪を装備した時も大変だった。
首輪をはめられたとたん、催眠術にでもかかったように目をトロンとさせたリリィが、ゴズメルは心配だった。
「大丈夫かい? それ、重くない? 息はできてる?」
「……ええ、はい。重いけれど嫌な感じではなくて、むしろ……締め付けが、ちょうどいいです」
ほんとかよ、とゴズメルは思った。見るからに痛々しい首輪なのだ。
「リリィ。あんた、あたしに気を遣ってんじゃないだろうね。いいかい、痛いとか苦しいとか、いつもとちょっとでも違う感じがするんだったら、ちゃんと正直に言うんだ。わかった?」
リリィの瞳孔が、きゅんと収縮するのをゴズメルは見た。
唇をわななかせ、頬を羞恥に赤らめながらリリィは命令に服従した。
「はい、ご主人様。どっ、奴隷のくせに、正直でなくてごめんなさい……。ちょうどいいどころじゃありません。嬉しいです。ご主人様に手ずから首輪をはめていただけて、リリィはとても幸せです……!」
「あばばばば」
一事が万事、この調子なのである。
混雑した車内で小さなリリィの背を守るようにして立っていたゴズメルは、申し訳なくて仕方なかった。
脳と口が直結していて、思ったことはなんでも口にしてしまうゴズメルとこの首輪は、あまりにも相性が悪い。
なんとか翅を封印できたのは良かったが、結果的に今もリリィに無理を強いてしまっているのだ。
「……リリィ、あー……ちょっと、いいかい」
ぷるぷる震えながら背伸びしているリリィを、ゴズメルはもう見ていられなかった。
「座りな」
「ひゃ……っ」
囁きかけながら、ぐっと背後から股の間に片膝を入れると、リリィの腰がビクビクッと跳ねた。
一度発した命令は取り消すことができない。
腕は下ろせないまでも、腰を下ろせれば少しは楽になるかと思ったのだが、なかなか高さの調整が難しい。
もうちょっと前か、後ろか、いや上か、とゴズメルはリリィの座った膝をずりずりと行き来させる。
「ひぅ……う、うぅ……」
「ほら、辛いんだろ。もっと寄りかかっていいから」
ギリギリまで引こうとするリリィの腰をゴズメルは捕まえた。
下腹を押さえるようにしてしっかりと膝に乗せる。
「あぁあんっ……」
ゴズメルは、慌ててリリィの口を手でふさいだ。
なんて声だ。そう思った次の瞬間、ゴズメルは自分がリリィに大変な痴漢行為を働いていることに気がついた。
股に差し込んだ膝が、じわっと熱くなってきている。リリィは腕が辛くて苦しんでいるのではない、股に膝をぐりぐり押し付けられて感じてしまっているのだ。
そのタイミングで、トロバスの急停止が来た。
吊革を離してしまっていたゴズメルは、リリィに抱きつくほかない。なんとか壁に手をついて、一斉に体重をかけてくる乗客たちの圧から彼女を守ったが、大きすぎる胸ですっかりリリィを圧迫してしまっていた。
「……リリィ、無事?」
「ごじゅ……」
リリィは、おそらく名前を呼ぼうとしたのだろう。首を振って「ごしゅじんさま、」と、小さな声で囁く。
「無事です……ほら、ちゃんと吊革を掴んでいるし、こうしてお膝に座っていますから……」
肩で息をしながら、アピールするようにゴズメルの腿にギューッと腰を押し付けてくる。
そのリリィの顔が車窓にぼんやり映っているのを見た時、ゴズメルは危うく意識を飛ばしそうになった。
急停止でもみくちゃにされたせいか、ほつれた髪を食ってしまっている。眉尻は悩ましく下がり、小さな鼻からはふっ、ふっ、と間隔が短くて甘ったるい呼吸を繰り返していた。
食いたい、とゴズメルは率直に思った。どうしてもその考えを振り払うことができない。
「んんん……リリィ……」
とうとうほかに乗客もいる車内だというのに、リリィのとがった耳たぶに唇を寄せてしまう。
「っとにもう……あんたって、なんでそんなに可愛いんだ……」
「ッ……!」
契約書によると、管理者は命令に従順な着用者にご褒美を与えることが推奨されている。信頼関係を築くことで、より高度な命令に従いやすくなるためだ。
態度や容姿を褒めることも、もちろんご褒美にあたる。着用者の望みを、叶えてやることも。
ゴズメルは腰に回した手を、すーっと腹から胸へ登らせた。
一生懸命に吊革を掴むあまり突き出した胸は、ローブ越しにぽっちりと乳首が浮き上がってしまっている。
トロバスは、魔力を含んだ鉱石で動く乗り物だ。数十人の乗客を一度に目的地まで運ぶことができる。
機械仕掛けなだけあって運賃は安価、スピードも出るのだが、それらの利点を損なってあまりあるほど乗り心地が悪い。
これはトロバスの動力を生み出す魔力変換炉の問題だった。
魔力の含有量が多い鉱石は体積が大きく、必然的に炉も大型になる。これが場所をとるうえ、鉱石は一つ使い切らないと次の補充ができない。つまりは安定した出力を維持できない代物なのだった。
当然、座席スペースなど確保できるはずもない。乗客は狭い車内で吊り革を命綱に、急加速と急停止を繰り返すとんでもない運転に耐えなければならないのだった。
年寄りと病人には死の危険さえあると言われるこの恐ろしい乗り物を、なぜゴズメルは選んだのか。
答えは簡単で、一刻も早く鐵刑の塔に乗り込んで、隷属の首輪から解放されたかったからだ。
「……ッ、……ん、ふぅ……ッ」
リリィは今、運転席側の角に、ゴズメルに背を向けるようにして立っている。
小刻みに震えているのは、両手で吊り革を掴むためにつま先立ちになっているからだ。
それもこれもゴズメルがトロバスに乗り込む前、うかつにも『危ないから、降りるまでは吊り革から手を離すんじゃないよ』と、命令してしまったせいだった。
そう、命令である。
隷属の首輪は、管理者のちょっとした言葉ひとつに反応してしまうのだった。それが証拠に、まだ午前中だというのにゴズメルはすでに両手の指の数で収まらないほどの命令を下してしまっている。
昨夜、首輪を装備した時も大変だった。
首輪をはめられたとたん、催眠術にでもかかったように目をトロンとさせたリリィが、ゴズメルは心配だった。
「大丈夫かい? それ、重くない? 息はできてる?」
「……ええ、はい。重いけれど嫌な感じではなくて、むしろ……締め付けが、ちょうどいいです」
ほんとかよ、とゴズメルは思った。見るからに痛々しい首輪なのだ。
「リリィ。あんた、あたしに気を遣ってんじゃないだろうね。いいかい、痛いとか苦しいとか、いつもとちょっとでも違う感じがするんだったら、ちゃんと正直に言うんだ。わかった?」
リリィの瞳孔が、きゅんと収縮するのをゴズメルは見た。
唇をわななかせ、頬を羞恥に赤らめながらリリィは命令に服従した。
「はい、ご主人様。どっ、奴隷のくせに、正直でなくてごめんなさい……。ちょうどいいどころじゃありません。嬉しいです。ご主人様に手ずから首輪をはめていただけて、リリィはとても幸せです……!」
「あばばばば」
一事が万事、この調子なのである。
混雑した車内で小さなリリィの背を守るようにして立っていたゴズメルは、申し訳なくて仕方なかった。
脳と口が直結していて、思ったことはなんでも口にしてしまうゴズメルとこの首輪は、あまりにも相性が悪い。
なんとか翅を封印できたのは良かったが、結果的に今もリリィに無理を強いてしまっているのだ。
「……リリィ、あー……ちょっと、いいかい」
ぷるぷる震えながら背伸びしているリリィを、ゴズメルはもう見ていられなかった。
「座りな」
「ひゃ……っ」
囁きかけながら、ぐっと背後から股の間に片膝を入れると、リリィの腰がビクビクッと跳ねた。
一度発した命令は取り消すことができない。
腕は下ろせないまでも、腰を下ろせれば少しは楽になるかと思ったのだが、なかなか高さの調整が難しい。
もうちょっと前か、後ろか、いや上か、とゴズメルはリリィの座った膝をずりずりと行き来させる。
「ひぅ……う、うぅ……」
「ほら、辛いんだろ。もっと寄りかかっていいから」
ギリギリまで引こうとするリリィの腰をゴズメルは捕まえた。
下腹を押さえるようにしてしっかりと膝に乗せる。
「あぁあんっ……」
ゴズメルは、慌ててリリィの口を手でふさいだ。
なんて声だ。そう思った次の瞬間、ゴズメルは自分がリリィに大変な痴漢行為を働いていることに気がついた。
股に差し込んだ膝が、じわっと熱くなってきている。リリィは腕が辛くて苦しんでいるのではない、股に膝をぐりぐり押し付けられて感じてしまっているのだ。
そのタイミングで、トロバスの急停止が来た。
吊革を離してしまっていたゴズメルは、リリィに抱きつくほかない。なんとか壁に手をついて、一斉に体重をかけてくる乗客たちの圧から彼女を守ったが、大きすぎる胸ですっかりリリィを圧迫してしまっていた。
「……リリィ、無事?」
「ごじゅ……」
リリィは、おそらく名前を呼ぼうとしたのだろう。首を振って「ごしゅじんさま、」と、小さな声で囁く。
「無事です……ほら、ちゃんと吊革を掴んでいるし、こうしてお膝に座っていますから……」
肩で息をしながら、アピールするようにゴズメルの腿にギューッと腰を押し付けてくる。
そのリリィの顔が車窓にぼんやり映っているのを見た時、ゴズメルは危うく意識を飛ばしそうになった。
急停止でもみくちゃにされたせいか、ほつれた髪を食ってしまっている。眉尻は悩ましく下がり、小さな鼻からはふっ、ふっ、と間隔が短くて甘ったるい呼吸を繰り返していた。
食いたい、とゴズメルは率直に思った。どうしてもその考えを振り払うことができない。
「んんん……リリィ……」
とうとうほかに乗客もいる車内だというのに、リリィのとがった耳たぶに唇を寄せてしまう。
「っとにもう……あんたって、なんでそんなに可愛いんだ……」
「ッ……!」
契約書によると、管理者は命令に従順な着用者にご褒美を与えることが推奨されている。信頼関係を築くことで、より高度な命令に従いやすくなるためだ。
態度や容姿を褒めることも、もちろんご褒美にあたる。着用者の望みを、叶えてやることも。
ゴズメルは腰に回した手を、すーっと腹から胸へ登らせた。
一生懸命に吊革を掴むあまり突き出した胸は、ローブ越しにぽっちりと乳首が浮き上がってしまっている。
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