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破・隷属の首輪+5でダンジョンクリア編
4.おかえりなさい★
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「毎度あり~」
ニコニコ顔のミックに見送られ、ゴズメルはしおしおと店を出た。
分割払いなので貯金がゴソッと消えるわけではない。
が、借金があるという感覚はプレッシャーだった。
(……ま、鐵刑の塔で力試しがてら素材集めでもすりゃいいさ。レベルも上がったことだし!)
魔物は、この世界のなりそこないのような存在だ。
草木や動物、金属と構成する基本要素は同じなのに、要素が欠けていたり組み合わせが狂ったりで魔物が生まれる――らしい。
そのあたりは専門の研究者のほうが詳しいが、ゴズメルたち冒険者にとって重要なのは、魔物は貴重な資源であるという点だった。
動植物は狩りつくせば絶滅してしまうが、魔物はダンジョンで無限に発生する。ドロップ素材を市場に卸せば、住民の生活は潤うし、冒険者たちもさらに強い武器をゲットできる。
鐵刑の塔で偏屈な魔道具屋を探す。その道中で、素材を大量入手する。
そうすれば、借金をサクッと返済できるし、リリィも助かる。一挙両得というわけだ。
ゴズメルは俄然やる気になった。
(とすると冒険の支度もしないといけないな。いっぺん冒険者協会に戻って、鐵刑の塔探索の紹介状を用意してもらって……新しい装備と食料と、そうだ、リリィに服とか歯ブラシも用意してやらなきゃ)
頭の中が一気に忙しくなる。だが、ゴズメルは満月が明けてすぐとは思えないほど元気だった。
男性器が生えたり引っ込んだりするたびに気分が悪くて仕方がなかったのだが、レベルが上がったせいか、今日はいくらでも動ける。
そういえばリリィが、魔力の巡りが良くないと言っていた。性欲=魔力ではないだろうが、そのあたりがなにか関係しているのかもしれない。
おかげで借金のある身の上だというのに、ついつい買い物しすぎてしまった。
ゴズメルがアイテムボックスにしまいきれない買い物を手にねぐらへ戻ったのは、もう日も傾きかけた頃だった。
(……なんかお花とか買ったほうが良かったかな? って、アホか。向こうは仕方なくあたしのとこにいるのに、なに浮かれてんだ。早く事情を説明して首輪を装備させてあげないと)
いつもは面倒がってかけない鍵も、今日はリリィが心配でかけてから出かけたのだ。
鍵を回してドアを開けたゴズメルは、鼻先に漂う薄桃色の鱗粉に息をのんだ。
(嘘だろ。部屋中に充満して、朝より濃くなってる……!)
催淫効果のある鱗粉だ。少しでも部屋から漏れたら大変なことになってしまう。
ゴズメルは慌てて部屋に入り、内側からしっかりと鍵をかけた。
密室を意識した瞬間、聴覚が鋭敏になる。ゴズメルの耳は、甘い吐息とかすれた喘ぎ声を聞き取っていた。
(リリィ……!)
リリィの翅が、暗い部屋の中でぼぅっと光っている。
「ん……あぁ、は……っ、はぁん……っ」
リリィはゴズメルの帰宅にも気づかず、自慰に没頭していた。
横に立てたゴズメルの枕に上から抱きついて、くいくいといやらしく腰を使っている。
角に押し当てた股から、ぬちゅっぬちゅっと重い水音が立っていた。
「あぁあ……ゴズメル、ごめんなさい、イク、またイクぅ……!」
びくびくと胸を反らし、絶頂に達する。さらけだされた乳首が、発情期の獣のように赤く腫れて目立っていた。
「はぁ……あぁ……っ」
乳首が痺れてつらいのだろう。リリィは美しいかたちがゆがむほど自分の胸を揉みしだいていた。
やがて、自分に降りかかる影が濃くなったことに気づいたようだ。
ぼんやりと顔を上げ、正面で所在なさげに立つゴズメルと目を合わせる。
リリィの顔が、暗闇でもわかるほど真っ赤になった。
「…………ッ! ご、ご、ごめんなさい、私、こんな……」
「あー、いや、ウン……」
ぬとっと糸を引いている枕に目をやると、リリィはそれを抱きしめたまま「弁償するわ!」と叫んだ。
「枕だけじゃないわよね。寝具一式、私が昨日からたくさん汚してしまったんだもの……本当はあなたが出かけてから、片づけたり洗濯しようとしたのよ……だけど、なんだか動けなくて……」
さすがに自分の鱗粉に耐性がついたのだろうか。完全に翅にのっとられているわけではないところが、かえって痛々しい。
「私、いつもはこんなふうじゃないの。本当よ。嫌わないでちょうだい、ゴズメル」
こんな健気なことを言いながらゴズメルの枕を抱きしめて、ぷるぷると震えている。
小さくて可愛い生き物を前にしたゴズメルは、手で口を押さえて立ち尽くした。
(わかってるって。これでも女同士なんだから、そう心配すんなよ!)
「ああもう、いっそ飼っちまいてぇなぁ……!!」
言おうと思った言葉と考えていることが逆になるほどの混乱ぶりだった。
口を押さえていたせいか、リリィにはうまく聞き取れなかったようだ。きょとんと目を丸くしている。
ニコニコ顔のミックに見送られ、ゴズメルはしおしおと店を出た。
分割払いなので貯金がゴソッと消えるわけではない。
が、借金があるという感覚はプレッシャーだった。
(……ま、鐵刑の塔で力試しがてら素材集めでもすりゃいいさ。レベルも上がったことだし!)
魔物は、この世界のなりそこないのような存在だ。
草木や動物、金属と構成する基本要素は同じなのに、要素が欠けていたり組み合わせが狂ったりで魔物が生まれる――らしい。
そのあたりは専門の研究者のほうが詳しいが、ゴズメルたち冒険者にとって重要なのは、魔物は貴重な資源であるという点だった。
動植物は狩りつくせば絶滅してしまうが、魔物はダンジョンで無限に発生する。ドロップ素材を市場に卸せば、住民の生活は潤うし、冒険者たちもさらに強い武器をゲットできる。
鐵刑の塔で偏屈な魔道具屋を探す。その道中で、素材を大量入手する。
そうすれば、借金をサクッと返済できるし、リリィも助かる。一挙両得というわけだ。
ゴズメルは俄然やる気になった。
(とすると冒険の支度もしないといけないな。いっぺん冒険者協会に戻って、鐵刑の塔探索の紹介状を用意してもらって……新しい装備と食料と、そうだ、リリィに服とか歯ブラシも用意してやらなきゃ)
頭の中が一気に忙しくなる。だが、ゴズメルは満月が明けてすぐとは思えないほど元気だった。
男性器が生えたり引っ込んだりするたびに気分が悪くて仕方がなかったのだが、レベルが上がったせいか、今日はいくらでも動ける。
そういえばリリィが、魔力の巡りが良くないと言っていた。性欲=魔力ではないだろうが、そのあたりがなにか関係しているのかもしれない。
おかげで借金のある身の上だというのに、ついつい買い物しすぎてしまった。
ゴズメルがアイテムボックスにしまいきれない買い物を手にねぐらへ戻ったのは、もう日も傾きかけた頃だった。
(……なんかお花とか買ったほうが良かったかな? って、アホか。向こうは仕方なくあたしのとこにいるのに、なに浮かれてんだ。早く事情を説明して首輪を装備させてあげないと)
いつもは面倒がってかけない鍵も、今日はリリィが心配でかけてから出かけたのだ。
鍵を回してドアを開けたゴズメルは、鼻先に漂う薄桃色の鱗粉に息をのんだ。
(嘘だろ。部屋中に充満して、朝より濃くなってる……!)
催淫効果のある鱗粉だ。少しでも部屋から漏れたら大変なことになってしまう。
ゴズメルは慌てて部屋に入り、内側からしっかりと鍵をかけた。
密室を意識した瞬間、聴覚が鋭敏になる。ゴズメルの耳は、甘い吐息とかすれた喘ぎ声を聞き取っていた。
(リリィ……!)
リリィの翅が、暗い部屋の中でぼぅっと光っている。
「ん……あぁ、は……っ、はぁん……っ」
リリィはゴズメルの帰宅にも気づかず、自慰に没頭していた。
横に立てたゴズメルの枕に上から抱きついて、くいくいといやらしく腰を使っている。
角に押し当てた股から、ぬちゅっぬちゅっと重い水音が立っていた。
「あぁあ……ゴズメル、ごめんなさい、イク、またイクぅ……!」
びくびくと胸を反らし、絶頂に達する。さらけだされた乳首が、発情期の獣のように赤く腫れて目立っていた。
「はぁ……あぁ……っ」
乳首が痺れてつらいのだろう。リリィは美しいかたちがゆがむほど自分の胸を揉みしだいていた。
やがて、自分に降りかかる影が濃くなったことに気づいたようだ。
ぼんやりと顔を上げ、正面で所在なさげに立つゴズメルと目を合わせる。
リリィの顔が、暗闇でもわかるほど真っ赤になった。
「…………ッ! ご、ご、ごめんなさい、私、こんな……」
「あー、いや、ウン……」
ぬとっと糸を引いている枕に目をやると、リリィはそれを抱きしめたまま「弁償するわ!」と叫んだ。
「枕だけじゃないわよね。寝具一式、私が昨日からたくさん汚してしまったんだもの……本当はあなたが出かけてから、片づけたり洗濯しようとしたのよ……だけど、なんだか動けなくて……」
さすがに自分の鱗粉に耐性がついたのだろうか。完全に翅にのっとられているわけではないところが、かえって痛々しい。
「私、いつもはこんなふうじゃないの。本当よ。嫌わないでちょうだい、ゴズメル」
こんな健気なことを言いながらゴズメルの枕を抱きしめて、ぷるぷると震えている。
小さくて可愛い生き物を前にしたゴズメルは、手で口を押さえて立ち尽くした。
(わかってるって。これでも女同士なんだから、そう心配すんなよ!)
「ああもう、いっそ飼っちまいてぇなぁ……!!」
言おうと思った言葉と考えていることが逆になるほどの混乱ぶりだった。
口を押さえていたせいか、リリィにはうまく聞き取れなかったようだ。きょとんと目を丸くしている。
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