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某子供英会話教室のしつこい勧誘との壮絶な戦いッ!!〜ペッピーキッズクラブとの死闘
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あれは夏の暑い日のことだった。
チャイムが鳴ったのは昼過ぎだっただろうか。ドアスコープを覗いた私はドアの外に立つ人物をひと目見て、居留守を決め込むのが最良であると判断した。
その人物は若い男性で、白いカッターシャツと黒いパンツを身につけ背筋をシャンとして立っている。それだけでもセールス臭がプンプンするのだが、さらに彼の左手には数個の風船が揺れているではないか。キッズ関係の習い事の勧誘に間違いなかった。
すぐさま子どもらに静かにするよう言い聞かせ、その場をやり過ごした。しばらくして再び外を窺うと誰もいない。私はほっと胸を撫で下ろした。
──数時間後。
私と長男と次男は家路を急いでいた。近所の草むらでショウリョウバッタ採りに夢中になっていたせいで、すっかり遅くなってしまったのである。
急いで夕食を作らなければ、次男は腹が減ったと泣き喚き台所は阿鼻叫喚の地獄の様相を呈するであろう。
やっとアパートの部屋へ到着した時──
「やっと帰ってこられましたねェェ~~~ッ!!」
満面の笑みでドアへ駆け寄ってきたのは、昼過ぎに来訪した風船男である。
「さっきそこで虫捕りされてましたよねェェ~~ッ? 待ってたんですよォォォ~~~!!」
私は耳を疑った。監視されていた──!!
汚らしい普段着を着て虫取り網をかつぎ虫カゴを二つもひっ下げ、「そっちだッ!」とか「大きい! メスだッ! 絶対に捕獲するッ!!」だとかの雄叫びを上げながら草むらを縦横無尽に走り回り、その後子どもらを急かしながらヒィヒィと家路を急いでいた一部始終を、マルっと監視されていたッッ──!!
「ちょっとお時間よろしいですかァ? 僕、○○○○キッズクラブって英会話教室の者なんですがァ!」
困惑顔の私を尻目に、男性は息子たちへ風船を差し出している。
「風船いる? 何色がいいかな~ァッ!!」
「みどりがいい~」
「ぼくピンク!」
息子らは母の心中を全く知らない無邪気さでもって嬉々として風船を受け取っている。まるで、警戒心ゼロの野良猫が容易に餌付けされる様を見ているようだ。私はその様子をただ半笑いで見守るしかなかった。
餌付けが終わった男性は鞄からタブレットらしき物を取り出しながら言う。
「ちょっと玄関先をお借りしてもよろしいでしょうかァ??」
その強引さに私は「は、あ……」と返答するので精一杯だった。元々がコミュニケーション能力皆無な上、疲労困憊していてうまく断るセリフが出てこないのである。
とりあえず息子らと共に靴を脱ぎ部屋に上がった腑抜けな私を、自分自身で殴り倒したい気持ちに駆られた。
昼過ぎにマークした家に、何がなんでも突撃してやる……そして契約とってやる……!! ここまでたった十数秒間の出来事だが、彼の漲る気概を感じ取るのに充分な時間であった。
考えてみれば我が家の玄関前には折り畳んだベビーカーや子ども用の傘、石にボンドでドングリを何個も何個も付着させた奇妙な物体など、子ども関連物が所狭しと並んでいるのである。「うちには幼子がいますよいますよォォォ~! そりゃあもう大いにいますよォォォ~~!!!」と声を大にして叫んでいるのも同じなのである。
どうりで○ッ○○キッズクラブの勧誘をおびき寄せ、待ち伏せまでさせてしまうわけだ。
「せ、狭いんですけどいいですかね?」
私が気の利かないセリフを言い終えた頃には、彼はタブレットを猫の額ほどの玄関の床に立て、戦闘準備完了とばかりにこちらを見上げて営業的微笑みを浮かべていた。
彼はまず息子らの方を向き、
「ワチャネィ~~ム?」
と流暢な発音で問うた。長男も次男もほとんど英語に触れたことがない。当然キョトンとしている。
が、もし仮に英語を理解できたとしても、いきなり訪問してきた知らん人に「ワチャネィ~~ム?」と満面の笑みで尋ねられたら大人の私だって困惑する自信がある。
「4歳と6歳ですね」
代わりに私は答えた。
答えた瞬間、「ワチャネィム?」は名前を問うているのだと気づく。しまった馬鹿がバレる!!
急いで「名前は何? って聞いてるよ!」と誤魔化したが、この一連の流れで子どもらの保護者に英語能力が無く、また子どもらも英語の基礎を知らない、イコール英語教室の恰好のカモである! と彼に勘づかれてしまった可能性がある。一生の不覚である。
それから彼は英語教室の場所や特徴の説明をし、教室が大変人気であり今まで入会が不可能だったが、やっと空きが出たので近辺を回って体験入会の案内をしている旨を立て板に水とばかりに喋りまくった。
次にタブレットをオンにしてカレンダーのようなページを開け、何かの予定がごちゃごちゃと書き込んであるのを私に見せつけた。
「ほら、そこの団地も回ったんですけど、こんなに体験レッスンにご応募いただいたんですよォ!」
彼のドヤ顔は私がこれまでに見たどんなドヤ顔よりも輝いていた。
内心、「やっと空きが出たレベルなのにそんなに入会させちまったら教室が子どもでパンクしちまうんじゃねぇの???!!!」と脳内が疑問符と疑惑でいっぱいいっぱいになったが面倒なので黙っていた。
彼は今度はこちらの個人情報の収集に取り掛かった。通っている園や学校、その学校の英語教育の熱心さ、などを矢継ぎ早に質問され、私はその全てに答えた。完全に彼の独壇場であった。
中には「お母さまは英語の成績どうでしたか?」なんていう質問もあった。
この問いは一体どういった意味を持つのだろうか? 私は社会に出て約二十年が経つが、他人に学生時代の成績を尋ねたことなど一度もない。何故ならば曲がりなりにも(自称)れっきとした社会人だからだ。あなたは数分前に会ったばかりの人にそんな失礼なこと聞けますか? いや、聞けるはずがない!!!
見栄もあり「イヤ普通に良かったですけど」と答えると彼は「そうですか」とだけ言った。
邪推だが、もしも「悪かったよーん」とでも答えた場合、失礼な彼ならば「子どもの頭脳は母親からの遺伝だそうですよォッ! あなたが馬鹿だとこのままではお子さん詰んじゃうので、一刻でも早くうちのペッ○○キッズクラブに入った方がいいですよ!!!」とでも言いかねなかった。それくらい彼の勢いは凄まじかったのである。
が、その線からの勧誘に失敗したからか、男性の熱視線は息子らに向かうこととなった。「お友だちが英語を習ってるとこ見せてあげよっかァ~!」
子どもというものはタブレットが大好きである。長男も次男も男性のそばに来て画面に見入っている。
私も覗くと複数の幼子たちが、なんか知らんが英語を話している場面だった。ちなみにサッパリ聞き取れなかった!
彼は再びドヤ顔をこちらに向けた。
「うちに来ていただくとこんな感じで話せるようになります」
今回のドヤ顔は先ほどと比べ、より一層の輝きを見せていた。お天道様もびっくりである。
「どうでしょう!? ペ○○ーキッズクラブでは体験レッスンをご用意しておりまして、五百円払っていただけますとご自宅に講師が伺ってレッスンさせていただけますがァ!」
じ、……自宅?!!
あり得ない、と私は思った。こんな狭い自宅に知らん人を呼んで、一時間以上ももてなさなければならないのか? ワンコインと言えど、お金を払って何の罰ゲームだろうか?!
そうして彼は追い討ちをかけるかける!! ヨッ! 営業マンの鑑!!
「どうでしょう、お母さまとしては、お子さんがやりたいとおっしゃったら応援してあげたいですか?」
彼の圧は止まるところを知らない。
「はぁ、まぁ、そうですね……」と答えるしか道はない。
「君たち、英語習いたいィ?? ナンチャラカンチャラ(聞き取れん英語)! 習いたい人ォォォ~~手を挙げて!!」
顔いっぱいのスマイルと共に「手を挙げて!!」とか言われたら、雰囲気に飲まれてほとんどの子どもは挙手するのではなかろうか?
……ほら挙げちゃったよ二人共!! ヤバいって二人共!! ほら営業の顔、さらに輝いちゃったよ!!! まるでデッカい恒星みたいね。
もうこの時点で、彼の中では契約完了らしかった。
「お日にちはいつがよろしいでしょうかァ?」
タブレットの予定表らしきものを再び開きつつ、当然のように聞いてくる。
──負けてはいけない! 私は思った。
負けてはいけない! もしここで体験レッスンを受けてしまったら、それに向けてお金を払い、部屋の掃除をし、知らん人を自宅に招き、流れで入会させられてしまう!! お金ないのに教材とか買わされ、さらに貧乏一直線やァ~~~!!!
ここでキッパリと断らなければ確実に、超面倒臭い未来が私を待っている!
「イヤでも、自宅っていうのがですね~抵抗が……最近忙しいし、あと少し大きくなってからでいいかなって……最近忙しくて自宅狭いし、また今度大きくなってからでいいですし、自宅狭いし忙しいし、最近忙しくてですねぇ~もうちょっと育ってからで英語は~~ハハハハ!」
キッパリ断ると決意してもなお、私の言葉は空回りするのである。
しかし意味不明の拒否のセリフの甲斐あってか、彼の顔からは急速に光が消え失せた。タブレットを鞄にしまい、「そうですか……それでは」とこちらに背を向けたのである!!
勝った……!! なんか知らんけど勧誘に打ち勝った!!
が、彼はただでは帰らなかったのである。ドアを閉める直前、こう言い放ったのである。
「大きくなってからで良いとおっしゃいましたが、あんまり大きくなってしまうと、英語に対する抵抗が出てきてしまいますので、ね……」
男性は不敵な笑みを浮かべ、やっと狭い玄関を辞したのであった──
こんなわけで、もうペッ○ーキッズクラブなんてたくさんだ……!
ペッピーキッズクラブなんて懲り懲りだよ全く……!!!
チャイムが鳴ったのは昼過ぎだっただろうか。ドアスコープを覗いた私はドアの外に立つ人物をひと目見て、居留守を決め込むのが最良であると判断した。
その人物は若い男性で、白いカッターシャツと黒いパンツを身につけ背筋をシャンとして立っている。それだけでもセールス臭がプンプンするのだが、さらに彼の左手には数個の風船が揺れているではないか。キッズ関係の習い事の勧誘に間違いなかった。
すぐさま子どもらに静かにするよう言い聞かせ、その場をやり過ごした。しばらくして再び外を窺うと誰もいない。私はほっと胸を撫で下ろした。
──数時間後。
私と長男と次男は家路を急いでいた。近所の草むらでショウリョウバッタ採りに夢中になっていたせいで、すっかり遅くなってしまったのである。
急いで夕食を作らなければ、次男は腹が減ったと泣き喚き台所は阿鼻叫喚の地獄の様相を呈するであろう。
やっとアパートの部屋へ到着した時──
「やっと帰ってこられましたねェェ~~~ッ!!」
満面の笑みでドアへ駆け寄ってきたのは、昼過ぎに来訪した風船男である。
「さっきそこで虫捕りされてましたよねェェ~~ッ? 待ってたんですよォォォ~~~!!」
私は耳を疑った。監視されていた──!!
汚らしい普段着を着て虫取り網をかつぎ虫カゴを二つもひっ下げ、「そっちだッ!」とか「大きい! メスだッ! 絶対に捕獲するッ!!」だとかの雄叫びを上げながら草むらを縦横無尽に走り回り、その後子どもらを急かしながらヒィヒィと家路を急いでいた一部始終を、マルっと監視されていたッッ──!!
「ちょっとお時間よろしいですかァ? 僕、○○○○キッズクラブって英会話教室の者なんですがァ!」
困惑顔の私を尻目に、男性は息子たちへ風船を差し出している。
「風船いる? 何色がいいかな~ァッ!!」
「みどりがいい~」
「ぼくピンク!」
息子らは母の心中を全く知らない無邪気さでもって嬉々として風船を受け取っている。まるで、警戒心ゼロの野良猫が容易に餌付けされる様を見ているようだ。私はその様子をただ半笑いで見守るしかなかった。
餌付けが終わった男性は鞄からタブレットらしき物を取り出しながら言う。
「ちょっと玄関先をお借りしてもよろしいでしょうかァ??」
その強引さに私は「は、あ……」と返答するので精一杯だった。元々がコミュニケーション能力皆無な上、疲労困憊していてうまく断るセリフが出てこないのである。
とりあえず息子らと共に靴を脱ぎ部屋に上がった腑抜けな私を、自分自身で殴り倒したい気持ちに駆られた。
昼過ぎにマークした家に、何がなんでも突撃してやる……そして契約とってやる……!! ここまでたった十数秒間の出来事だが、彼の漲る気概を感じ取るのに充分な時間であった。
考えてみれば我が家の玄関前には折り畳んだベビーカーや子ども用の傘、石にボンドでドングリを何個も何個も付着させた奇妙な物体など、子ども関連物が所狭しと並んでいるのである。「うちには幼子がいますよいますよォォォ~! そりゃあもう大いにいますよォォォ~~!!!」と声を大にして叫んでいるのも同じなのである。
どうりで○ッ○○キッズクラブの勧誘をおびき寄せ、待ち伏せまでさせてしまうわけだ。
「せ、狭いんですけどいいですかね?」
私が気の利かないセリフを言い終えた頃には、彼はタブレットを猫の額ほどの玄関の床に立て、戦闘準備完了とばかりにこちらを見上げて営業的微笑みを浮かべていた。
彼はまず息子らの方を向き、
「ワチャネィ~~ム?」
と流暢な発音で問うた。長男も次男もほとんど英語に触れたことがない。当然キョトンとしている。
が、もし仮に英語を理解できたとしても、いきなり訪問してきた知らん人に「ワチャネィ~~ム?」と満面の笑みで尋ねられたら大人の私だって困惑する自信がある。
「4歳と6歳ですね」
代わりに私は答えた。
答えた瞬間、「ワチャネィム?」は名前を問うているのだと気づく。しまった馬鹿がバレる!!
急いで「名前は何? って聞いてるよ!」と誤魔化したが、この一連の流れで子どもらの保護者に英語能力が無く、また子どもらも英語の基礎を知らない、イコール英語教室の恰好のカモである! と彼に勘づかれてしまった可能性がある。一生の不覚である。
それから彼は英語教室の場所や特徴の説明をし、教室が大変人気であり今まで入会が不可能だったが、やっと空きが出たので近辺を回って体験入会の案内をしている旨を立て板に水とばかりに喋りまくった。
次にタブレットをオンにしてカレンダーのようなページを開け、何かの予定がごちゃごちゃと書き込んであるのを私に見せつけた。
「ほら、そこの団地も回ったんですけど、こんなに体験レッスンにご応募いただいたんですよォ!」
彼のドヤ顔は私がこれまでに見たどんなドヤ顔よりも輝いていた。
内心、「やっと空きが出たレベルなのにそんなに入会させちまったら教室が子どもでパンクしちまうんじゃねぇの???!!!」と脳内が疑問符と疑惑でいっぱいいっぱいになったが面倒なので黙っていた。
彼は今度はこちらの個人情報の収集に取り掛かった。通っている園や学校、その学校の英語教育の熱心さ、などを矢継ぎ早に質問され、私はその全てに答えた。完全に彼の独壇場であった。
中には「お母さまは英語の成績どうでしたか?」なんていう質問もあった。
この問いは一体どういった意味を持つのだろうか? 私は社会に出て約二十年が経つが、他人に学生時代の成績を尋ねたことなど一度もない。何故ならば曲がりなりにも(自称)れっきとした社会人だからだ。あなたは数分前に会ったばかりの人にそんな失礼なこと聞けますか? いや、聞けるはずがない!!!
見栄もあり「イヤ普通に良かったですけど」と答えると彼は「そうですか」とだけ言った。
邪推だが、もしも「悪かったよーん」とでも答えた場合、失礼な彼ならば「子どもの頭脳は母親からの遺伝だそうですよォッ! あなたが馬鹿だとこのままではお子さん詰んじゃうので、一刻でも早くうちのペッ○○キッズクラブに入った方がいいですよ!!!」とでも言いかねなかった。それくらい彼の勢いは凄まじかったのである。
が、その線からの勧誘に失敗したからか、男性の熱視線は息子らに向かうこととなった。「お友だちが英語を習ってるとこ見せてあげよっかァ~!」
子どもというものはタブレットが大好きである。長男も次男も男性のそばに来て画面に見入っている。
私も覗くと複数の幼子たちが、なんか知らんが英語を話している場面だった。ちなみにサッパリ聞き取れなかった!
彼は再びドヤ顔をこちらに向けた。
「うちに来ていただくとこんな感じで話せるようになります」
今回のドヤ顔は先ほどと比べ、より一層の輝きを見せていた。お天道様もびっくりである。
「どうでしょう!? ペ○○ーキッズクラブでは体験レッスンをご用意しておりまして、五百円払っていただけますとご自宅に講師が伺ってレッスンさせていただけますがァ!」
じ、……自宅?!!
あり得ない、と私は思った。こんな狭い自宅に知らん人を呼んで、一時間以上ももてなさなければならないのか? ワンコインと言えど、お金を払って何の罰ゲームだろうか?!
そうして彼は追い討ちをかけるかける!! ヨッ! 営業マンの鑑!!
「どうでしょう、お母さまとしては、お子さんがやりたいとおっしゃったら応援してあげたいですか?」
彼の圧は止まるところを知らない。
「はぁ、まぁ、そうですね……」と答えるしか道はない。
「君たち、英語習いたいィ?? ナンチャラカンチャラ(聞き取れん英語)! 習いたい人ォォォ~~手を挙げて!!」
顔いっぱいのスマイルと共に「手を挙げて!!」とか言われたら、雰囲気に飲まれてほとんどの子どもは挙手するのではなかろうか?
……ほら挙げちゃったよ二人共!! ヤバいって二人共!! ほら営業の顔、さらに輝いちゃったよ!!! まるでデッカい恒星みたいね。
もうこの時点で、彼の中では契約完了らしかった。
「お日にちはいつがよろしいでしょうかァ?」
タブレットの予定表らしきものを再び開きつつ、当然のように聞いてくる。
──負けてはいけない! 私は思った。
負けてはいけない! もしここで体験レッスンを受けてしまったら、それに向けてお金を払い、部屋の掃除をし、知らん人を自宅に招き、流れで入会させられてしまう!! お金ないのに教材とか買わされ、さらに貧乏一直線やァ~~~!!!
ここでキッパリと断らなければ確実に、超面倒臭い未来が私を待っている!
「イヤでも、自宅っていうのがですね~抵抗が……最近忙しいし、あと少し大きくなってからでいいかなって……最近忙しくて自宅狭いし、また今度大きくなってからでいいですし、自宅狭いし忙しいし、最近忙しくてですねぇ~もうちょっと育ってからで英語は~~ハハハハ!」
キッパリ断ると決意してもなお、私の言葉は空回りするのである。
しかし意味不明の拒否のセリフの甲斐あってか、彼の顔からは急速に光が消え失せた。タブレットを鞄にしまい、「そうですか……それでは」とこちらに背を向けたのである!!
勝った……!! なんか知らんけど勧誘に打ち勝った!!
が、彼はただでは帰らなかったのである。ドアを閉める直前、こう言い放ったのである。
「大きくなってからで良いとおっしゃいましたが、あんまり大きくなってしまうと、英語に対する抵抗が出てきてしまいますので、ね……」
男性は不敵な笑みを浮かべ、やっと狭い玄関を辞したのであった──
こんなわけで、もうペッ○ーキッズクラブなんてたくさんだ……!
ペッピーキッズクラブなんて懲り懲りだよ全く……!!!
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