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王都編

第13話 人の業って深いね

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第三王子の護衛として専属使用人、侍従としての3年の契約は意外にもあっさり過ぎた
そりゃそうだ
なぜなら敵対派閥であった第一王子はいなくなったからだ
それでも他国からの留学生もいる学園内では護衛が必要とのことで、僕はある貴族の養子としてしっかりとした身分を得て、無事明日卒業を迎える
ありがたいことにこの王立の学園を卒業すると手に卒業の証として刻印が刻まれる
それは貴族や商家を追放となった者などがここを卒業した証として
「自分にはある程度の教養がある」
ことを示すことができるらしい
ここを卒業したものが路頭に迷わない為の措置だそうだ


「ねぇ、シズキ?
最後のお願いを聞いてくれるかい?
明日で君との契約が終わっちゃうからさ」


「お願いですか?
殿下の方が立場が上なんですから命令すりゃいいのに」


「んー、内容が内容だからね
で、どうなんだい?」


「さすがに内容によりますね
今まで紛争を一人で終わらせたり魔物の集団狂化スタンピートを止めたり、挙句の果てに国防のためだとか言って暴虐の魔法使いを国公認したり……
僕その通り名嫌いなんですよ?
ですので最後くらい拒否する権利くらいはあると思うんですよ」


「それは悪かったと思ってるよ?」


「そんなキラキラな笑顔で仰られても」


「それじゃあ最後のお願いだ」


「どうか死なないでおくれ」
苦虫を噛み潰したような顔とはまさにこういうのを言うのだろう


「ま、頑張ってはみますよ
というかそれを僕に伝えるなんて契約違反じゃないの?」


「大丈夫だよ?
僕はただ君に死なないでくれって言っただけさ
それ以上でもそれ以下でもないよ
それにさ、自分の親がしでかしたことなんだ
ちょっとくらい責任感持ってもいいだろ?」


「いいんですよ殿下
殿下が話し合いで僕のことずっと庇おうとしてくれてたのは知ってますし
それに仮にも僕は人造といっても魔王らしいですからね
簡単には死にませんよ
ですから早く僕にその転移剣、刺しちゃってください」


殿下は袖に隠していた細剣、剣と言えるか怪しいくらい細いものを僕に突き刺した


「それでは、殿下の進む道に幸あらんことを
化け物は化け物らしく闘ってきますよ
……
そういえば殿下、僕の本当の名前たすくって言うんですよ
もし次会うことがあったら一度だけそっちで呼んでくださいね
正直嫌いなんですけどねその名前」


シズキの姿は一瞬にして消え去った


----------------


そこは聖囯ジャンヌ・ダルク
聖女の名を冠する国の裁定の間
そこに集うは聖囯最強の十勇士達


そしてそれらに囲まれ現れたのは黒髪の少年だった


「よく来たね、第九人造魔王くん」


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