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第二章
14 ロキとダイアナ
しおりを挟む「それじゃあ…ん?仕事が入った。開始は十分後だ。5分ごとに送りつける。準備しておけ!」
リオンが自分勝手な言葉を残して転移した。
「……」
皆、少ない情報の中での早い展開に呆然としていた。
(これは…)
サイカはリオンが転移した後に何かの紙が落ちているのを見つけた。近づいて確認すると、それは指示がメモされた紙切れであった。
(『十分後』って、まさかコレやるってこと?)
「みんな、来てください!」
サイカはすぐに人を集めた。
メモのの内容は箇条書きで7つ書かれていた。
・5分ごとにモンスターを送る。旗を立ててある。
・送りつけるモンスターはお前らではやれない。罠に嵌めてアイテムで攻撃しろ
・家は安全
・周りは崖、落ちるな
・外付け倉庫に必要なものはだいたい入れてある
・トイレは玄関入って左に進め
・危なくなったら球を割れ
の以上である。
「旗?」
カイトが疑問に思って呟く。
「あそこだと思うよ」
リュートが答える。そこには、きの棒に白い布を括り付けただけの見窄らしい旗があった。
「アレか…」
「私はこっちの方が気になるのだけどアイテム?この魔道具のことかしら?」
サリアがリオンが残した武器を指して言った。
「ん、多分そう、しかも、機械タイプのお高いヤツ」
アヤメが答える。
「ちょっと!あなた達、そんなに集まったら他の人が見れなくなります!離れてください!」
サイカはギュウギュウに詰めてメモを見るリュート達を引き剥がした。
「そう言われてもな~、見ながら試したいし…」
カイトが名残惜しそうにメモを覗く。
「じゃあ、こうしよう!」
そこで、リュートがある提案をした。
ーーーーーーーー
「はーい、注目!」
『触媒魔法』で形成されたホワイトボード前でリュートが呼びかける。
「これから、メモの内容について話していこうと思います。リオンさんの話では十分後に訓練が始まるとのことです」
リュートは『闇魔法』で作られたチョークでメモの内容はをボードに書き連ねた。
「まず一つ目、見ての通りだね、シンプルだ。旗はあそこにある。トウカ先生の助言通りにラウド先生を嗾けよう」
説明を終えると文を射線で消した。
「二つ目、パワーレベリングです。今年は大変な年になりそうです」
リュートが線を引こうとした時、リョウカ質問をした。
「えっと、どう言うことなのです?」
申し訳なさそうに聞く。
「パワーレベリングの特徴は分かる?」
「それは分かるのです!」
この世界でのパワーレベリングとは遥か格上の相手を実力関係なしに倒す行為である。大量のマナを一気に吸収するため大幅な成長を可能にする。
しかし、一見やり得にも思えるパワーレベリングだが欠点がある。人が吸収できるマナの総量には限界があり、それは地道な訓練でしか増やすことが出来ない。
「そういう事だね」
「どう言う事です!?サイカっちは分かるのです?」
「…今は目の前のことを考えてください」
サイカが目を逸らして答える。
「何なのです!?意味わからなくて怖いです!」
「フフ…知らない方が良いものとは結構ございますよ」
ニナがリョウカの耳元で囁く。
「…ッ!いっそ教えるのです。覚悟できれば多少マシになるのです!」
(うぁー…)
サイカはニナの黒い本性を垣間見た。
「三つ目はそのままの意味だと思う。いないと思うけど戦いたく無い人は中に避難すればいい」
(?いないと思う?私、訓練で命掛けたく無いのです。皆んな分かってるのです?)
リョウカは一人理解できずに混乱する。
「アヤメーー!」
リュートが家の前に立つアヤメに声をかけた。
「ふんっ!」
アヤメが玄関の柱を殴る。
「この通り」
リュートが前を向く。
(どの通りなのです!?意味がわからないのです!意味がわからなすぎて…意味がわからないのです!)
リョウカの思考は混沌を極めた。
「四つ目、カリスに軽く調べてもらったところ、円形に出っぱった台地みたいになってる。安全装置みたいなの多分無いから」
リュートが線を引く。
(あっ、これは理解できたのです!)
「五つ目、倉庫はあそこ。魔道具のコアはおそらくそこにある」
「有ったわよー!」
サリアがコアを片手に手を振る。
(これも余裕なのです!)
リョウカに活力が戻る。
「六つ目はいいとして七つ目、球は使ってないサリアたちの班のを使えってことだと思う。ここで一つ問題がある。」
リュートが線を引き、真剣な表情で言う。
「何なのです?」
リョウカが声に出して聞く。
「時間がない、40秒で支度しろ!」
リュートが叫んだ。
(絶対終わらないのです!)
ーーーーーー
クラスメイト全員が魔道具を装備して旗を囲んでいる。
装備は多種多様であり大きく分けての近接、援護、遠距離の三種類がある。コアの構成は皆、機動と防御に特化させて攻撃を魔道具に頼る形となっている。
旗から近い順に近接部隊、援護部隊、遠距離部隊に分かれた。近接、援護の部隊は適当に、遠距離部隊はピクシーが担当した。
部隊の手前には申し訳程度の壁と家の前まで通じる塹壕が引かれている。
(ほ、本当に終わったのです。皆んな速いのです…)
皆が息を呑み標的を待つ。
5、4、3、2、1
旗の真上に丸々と太った齧歯動物が現れた。
(来たっ!)
リュート達はモンスターに一斉に襲い掛かる。
「え……」
カイトは呆気ない結果に思わず声を漏らした。
遠距離部隊の放った攻撃がモンスターの脳天を貫通したのである。
リオンが自分勝手な言葉を残して転移した。
「……」
皆、少ない情報の中での早い展開に呆然としていた。
(これは…)
サイカはリオンが転移した後に何かの紙が落ちているのを見つけた。近づいて確認すると、それは指示がメモされた紙切れであった。
(『十分後』って、まさかコレやるってこと?)
「みんな、来てください!」
サイカはすぐに人を集めた。
メモのの内容は箇条書きで7つ書かれていた。
・5分ごとにモンスターを送る。旗を立ててある。
・送りつけるモンスターはお前らではやれない。罠に嵌めてアイテムで攻撃しろ
・家は安全
・周りは崖、落ちるな
・外付け倉庫に必要なものはだいたい入れてある
・トイレは玄関入って左に進め
・危なくなったら球を割れ
の以上である。
「旗?」
カイトが疑問に思って呟く。
「あそこだと思うよ」
リュートが答える。そこには、きの棒に白い布を括り付けただけの見窄らしい旗があった。
「アレか…」
「私はこっちの方が気になるのだけどアイテム?この魔道具のことかしら?」
サリアがリオンが残した武器を指して言った。
「ん、多分そう、しかも、機械タイプのお高いヤツ」
アヤメが答える。
「ちょっと!あなた達、そんなに集まったら他の人が見れなくなります!離れてください!」
サイカはギュウギュウに詰めてメモを見るリュート達を引き剥がした。
「そう言われてもな~、見ながら試したいし…」
カイトが名残惜しそうにメモを覗く。
「じゃあ、こうしよう!」
そこで、リュートがある提案をした。
ーーーーーーーー
「はーい、注目!」
『触媒魔法』で形成されたホワイトボード前でリュートが呼びかける。
「これから、メモの内容について話していこうと思います。リオンさんの話では十分後に訓練が始まるとのことです」
リュートは『闇魔法』で作られたチョークでメモの内容はをボードに書き連ねた。
「まず一つ目、見ての通りだね、シンプルだ。旗はあそこにある。トウカ先生の助言通りにラウド先生を嗾けよう」
説明を終えると文を射線で消した。
「二つ目、パワーレベリングです。今年は大変な年になりそうです」
リュートが線を引こうとした時、リョウカ質問をした。
「えっと、どう言うことなのです?」
申し訳なさそうに聞く。
「パワーレベリングの特徴は分かる?」
「それは分かるのです!」
この世界でのパワーレベリングとは遥か格上の相手を実力関係なしに倒す行為である。大量のマナを一気に吸収するため大幅な成長を可能にする。
しかし、一見やり得にも思えるパワーレベリングだが欠点がある。人が吸収できるマナの総量には限界があり、それは地道な訓練でしか増やすことが出来ない。
「そういう事だね」
「どう言う事です!?サイカっちは分かるのです?」
「…今は目の前のことを考えてください」
サイカが目を逸らして答える。
「何なのです!?意味わからなくて怖いです!」
「フフ…知らない方が良いものとは結構ございますよ」
ニナがリョウカの耳元で囁く。
「…ッ!いっそ教えるのです。覚悟できれば多少マシになるのです!」
(うぁー…)
サイカはニナの黒い本性を垣間見た。
「三つ目はそのままの意味だと思う。いないと思うけど戦いたく無い人は中に避難すればいい」
(?いないと思う?私、訓練で命掛けたく無いのです。皆んな分かってるのです?)
リョウカは一人理解できずに混乱する。
「アヤメーー!」
リュートが家の前に立つアヤメに声をかけた。
「ふんっ!」
アヤメが玄関の柱を殴る。
「この通り」
リュートが前を向く。
(どの通りなのです!?意味がわからないのです!意味がわからなすぎて…意味がわからないのです!)
リョウカの思考は混沌を極めた。
「四つ目、カリスに軽く調べてもらったところ、円形に出っぱった台地みたいになってる。安全装置みたいなの多分無いから」
リュートが線を引く。
(あっ、これは理解できたのです!)
「五つ目、倉庫はあそこ。魔道具のコアはおそらくそこにある」
「有ったわよー!」
サリアがコアを片手に手を振る。
(これも余裕なのです!)
リョウカに活力が戻る。
「六つ目はいいとして七つ目、球は使ってないサリアたちの班のを使えってことだと思う。ここで一つ問題がある。」
リュートが線を引き、真剣な表情で言う。
「何なのです?」
リョウカが声に出して聞く。
「時間がない、40秒で支度しろ!」
リュートが叫んだ。
(絶対終わらないのです!)
ーーーーーー
クラスメイト全員が魔道具を装備して旗を囲んでいる。
装備は多種多様であり大きく分けての近接、援護、遠距離の三種類がある。コアの構成は皆、機動と防御に特化させて攻撃を魔道具に頼る形となっている。
旗から近い順に近接部隊、援護部隊、遠距離部隊に分かれた。近接、援護の部隊は適当に、遠距離部隊はピクシーが担当した。
部隊の手前には申し訳程度の壁と家の前まで通じる塹壕が引かれている。
(ほ、本当に終わったのです。皆んな速いのです…)
皆が息を呑み標的を待つ。
5、4、3、2、1
旗の真上に丸々と太った齧歯動物が現れた。
(来たっ!)
リュート達はモンスターに一斉に襲い掛かる。
「え……」
カイトは呆気ない結果に思わず声を漏らした。
遠距離部隊の放った攻撃がモンスターの脳天を貫通したのである。
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