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第20話 ルビン会長side2

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 私の名前はベン・ルビン。一応ルビン商会の以下略。

 私は今貿易都市オルファネスに来ている。 ルークス様は土地と商店が必要なことをおっしゃっていたが。

 養鶏場とそれに付随する鶏料理を出しているレストランをそのまま買収した。というか倒産寸前とまではいかないが、かなり業績が悪化していた状態だったためすぐに買えた。元の業者にとっては不幸だろうが我々にとっては幸運だ。

「ルークス様これは何です?」

 養鶏場とレストランを買収し、料理人を雇うなどの仕事をしていたら。ある日ルークス様が来られた。

「鶏の唐揚げだ」

「これは?」

「オムレツだ」

 ルークス様が料理をしている。しかもかなり手際がいい。いや、私が詳しく知らない料理だから本当に手際がいいかはわからないが、見ている限りは手際がいいように見える。

 それに『鶏の唐揚げ』と『オムレツ』はかなり美味しい。

「ルークス様、この『鶏の唐揚げ』として『オムレツ』はこのレストランで提供しても?」

 ルークス様の性格からして十中八九レストランのメニューに加えるために実践したのだろうが、確認のために聞いておく。

「ああ、問題ない。というかこちらからも頼む」

「では今まで通り売上の3割で?」

「ああ、それなんだが3割ではなく2割にしようか?」

「えっ?……商会としてはありがたいのですがよろしいのですか?」

「利益の3割ならともかく売上の3割だと赤字経営の店舗も特許料金を負担する必要があるからな」

「しかし、利益で計算させたらわざと赤字経営にしたり、単一の商品だけを扱っているわけではないので特許がかかっている商品だけの利益を計算するのは難しいかと」

「わかっている。だから今後は売上の2割にするつもりだ。とはいえ今すぐじゃない。少なくとも養鶏場とレストランの買収にかかった費用は回収したい。だから……そうだな、1年後に2割にしようか?」

「確かに手続きの問題もあるので今すぐには変更できませんが……」

「鐙《あぶみ》が生産開始からそろそろ半年だろう?まぁまだ大丈夫だとは思うが……後半年もすれば諸外国にも噂ぐらいには上るだろう。特許があるとはいえ秘密裏に生産する人物はいる可能性が高い」

 確かに世の中には聖人君子だけがいるわけではない。特に鐙は軍事関係でもある外国政府が自国の軍に生産させる可能性もある。特許があるので輸出まではしないだろうが国内ではどうか考えれば。

「噂になっても現物を見なければコピーも難しいとは思う。だからコピーされるのは半年後ぐらいだと予想している。その時に特許料金を引き下げて値引きをすればと考えている」

「確かにコピーするにしても職人に現物を見せてある程度試行錯誤しなければ生産できないでしょうが」

「職人に給金を払うのと、我々から仕入れるのと、どちらが安くすむと思う?」

「あっ」

「まぁよほどのぼったくり価格なら別だが。と言いつつも国内でも領地以外は2倍、諸外国には5倍の値段をつけるけどな」

「ゴルゴダルラ国にも?」

「敵国には売りたくない……が、さすがにどこかの軍事衝突で鹵穫されるだろう。となれば秘密もなにもない。利益のために10倍の値段でもつけるか」

「さすがに10倍の値段をつけたら関税を考えても他国から買った方が早いのでは?」

「まぁ全く売らないというと変な軋轢が生まれる可能性があるからな」

「既に戦争中なのに軋轢もなにも……」

「それはそうなんだが、兵士にでもならない限り一般人には関係ないからな」
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