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学園編
夏休みのある1日(4)
しおりを挟むセリシアside
レイラが私をサマーフェスティバルにさそってくれた。ほんとにほんとに嬉しい。大切な友人が誘ってくれたのだから。なんとあの2人の約束を断って。だけど今は少し気持ちが沈んでいる。レイラが私と2人がいいと言ったのは私と行きたいというわけではなく、何か別の理由があると気づいてしまったからだ。さっきからお店を回りながらちらちら辺りを見回してる。せめてその理由を教えてほしい。だけど私は聞けない。お昼になり、
「セリシア!そういえば私、あっちのお店で美味しいスープが売っているとお母様に聞いていたから見てきていいかしら?先にベンチの方に行って食べていて」
「え。待って私もい…」
「美味しそうだったら2人分買ってくるから待ってて!」
そういって彼女は小走りでお店の方に向かっていった。そう、彼女はいつもこうだ。私を落ちてくる花瓶から守ってくれた時、本当にいい子だと思った。そして仲良くなりたいと思って今は仲良くなれたと思う。だけど今回私とここに来た理由は、私はレイラが怪しい行動をしていても口出ししてこないと思ったからだろう。ちょっと鈍い子だと思われている。少し悲しいがそういう子を演じているのは私だから仕方ない。私はレイラのやることには口出ししないし、なんでも応援しようと決めていて今まで何も言わなかった。この前の階段から落ちそうだった女子生徒を助けて、手首を捻った時もそうだ。私は心配はしたが怒っていない。怒らないのではなく怒らないのだ。友達になれたのに嫌われるのが怖くて意見できない。結局自分のことしか考えていない。最低ね…。そんなことを考えているとレイラが走って戻ってくる。
「セリシア、またせて…ごめん…なさい!」
走ってきていたので言葉が途切れ途切れになっているようだ。色々考えすぎて時間を見ていなかったが、そういえばレイラがいってから1時間くらい経ったのかしら?私は心配になり聞いた。
「レイラ、何かあったの?大丈夫?」
怒っていないことにホッとしたのかレイラの表情が和らぐ。
「大丈夫よ。実はあのあとお店を見に行こうとしてる途中怪しい人を見つけて、女の子が危なかったから助けようとしてて遅くなってしまったの」
「え!レイラが?!怪我はないの?!」
「心配してくれてありがとう。結局ルーカスとノアが来てくれたから大丈夫だったわ」
思わずため息をついてしまう。怪我がなくてよかった…。
そのあとまたぶらぶら2人でお店回りある程度お店も回れたので帰ることになった。
「セリシア今日はありがとう。」
「こちらこそ今日は楽しかったわ」
楽しかったといいながらもレイラが私を誘った理由や今日もまた彼女のために怒らなかったことを思い出して笑い方がぎこちなくなる。レイラに気づかれそうな気がしたので、すぐに後ろを向いて歩き出し馬車の方に向かう。
今日また危ないことをしたと聞いて私は後悔していた。あの時何かあったか聞かなかったこと、何がなんでもついていかなかったこと、怒らなかったことを。このことにより気づいてしまったレイラが傷つくのは嫌われるより何百倍も嫌だということを。よし、決めた!もういい子ぶるのをやめる。レイラが危ないことをしようとしていたら止めるし危ないことをしたら怒るし喧嘩もする。それによって嫌われてもいい。というかよく考えればそんなことで嫌うような心の狭い子じゃない。そんなことにも気づかないなんて私はどうかしていたわ。心なしか気持ちが軽くなったような気がしたのだった。
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