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「でも、どうして殿下がカナンの地を焼き払ったんですか?」
「そうねぇ。貴方たち、焦土戦術って聞いたことはあるかしら?」
焦土戦術、と言われてもいまいちピンとこない。内地で蝶よ華よと育てられたセシリア達にとって、争いごとはあまり馴染みの無いものなのだ。
「当時、アルビオンはカナンの地をアルセーヌに占拠されかけていたの。カナンの街は国境付近ということもあり、他より武器も食料も沢山あった。だから、資材ごとその地を奪われるわけにはいかなかったのよ。」
「確かに、敵の手に渡ったら大変なことになりますね。」
そう言ったテティスに、夫人は満足そうに促す。
(いつから戦術の授業になったっけ?)
セシリアたちは、先程までは優雅にお茶会をしていたはずである。勿論、セシリアの手元にはケラモス製の美しい茶器に注がれた紅茶がある。
アルセーヌの話はセシリアにとって他人事では無いので、真剣に耳を傾けるが。
「だから、皇女殿下はカナンの街を焼き払った。カナンの神殿もろともね。」
確かに、奪われるくらいなら焼いてしまおうという思考回路も一理あると考えられる。しかし、それを実行できるだけの精神力を持ち合わせた人間はそうそういない。自国の街や文化財を焼き払うのだ。そこまでやって失敗に終われば、非難の的となるのは想像に易い。最悪の場合戦犯扱いだ。
「もしかして、アストライアの神殿ごとですか?」
「その通りよ。だから、教会の聖職者たちは未だに怒り続けているらしいわね。本人は全く意に介していないけれど。」
それに、と夫人方は言葉を続ける。
「その戦争で攻め込んできた挙句、拠点も食料も確保できずに命を落としたアルセーヌ兵は少なくないわ。その後、彼女は進軍してきたアルセーヌ兵の生き残りの首を1人残らず跳ねたのよ。」
カナンでの敗北が決定的となり、アルセーヌは敗走したそうだ。カナンでかなりの数の兵が皆殺しにされた事により、アルセーヌ兵の間にも恐怖の感情が蔓延したことも大きいのだろう。
その戦功で、スカーレットは星将軍の座を手に入れたそうだ。つまり、シシィが死んだ後に彼女がその座を継いだことになる。
「流石に神殿まで焼かれたらノルトライン公爵も敵わないわよねぇ。」
「そうそう。彼が死んだときは、誰もが繰り上がりで天秤の席に就くと疑ってなかったのに。」
神殿を焼き払うという罰当たりな行為を躊躇なく実行し、敵兵の首を1人残らずすっぱねた彼女は「カナンの悪魔」と呼ばれるようになったそうだ。
「何故夫人方はそんなにお詳しいのですか?」
彼女らは、無邪気な笑みを浮かべて赤い紅で彩られた口を開いた。
「だって、天秤の神殿を焼き払った皇女が天秤の座につくなんて、とっても皮肉で面白いでしょう?」
*
「なんだか、もの凄い話を聞いてしまったわね。」
「もうあれはお茶会じゃなくて授業だよ。」
お茶会と形容して良いのかどうかも謎だが、筒がなく終了し解散した。慌ただしい王宮の側に近寄る気にもなれず、美しい小宮殿の庭園をテティスと散策していた。
「さすが皇女殿下と云うべきか、、。神殿まで焼いちゃうなんて恐れ知らずね。」
「あの人なら普通にやりそう。寧ろそこに神殿を建てる方が悪いくらいまで言いそう。」
「貴方も結構言うわね、、。」
だって皇太子殿下とのやりとりを見る限り、なかなか良い性格をしているのだ。それに、何となく彼女の性格には既視感がある。
「だったら、やっぱり今回の戦争も御出陣なさるのかしら?」
「確かに、5年前の実績があるからね。、、物凄く恨まれていそう。」
「、、でしょうね。」
得手不得手にもよるが、大体星将軍の担当地は決まっている。アルセーヌ付近の東方国境の場合は天秤座の将軍が防衛を担う場合が多い。アストライアの神殿があるからだ。
まあ、当人が焼き払ってしまったのだが。
アルセーヌは国境付近の領地であるリースタルと大量の兵を失い、アルビオンにおけるトラウマを押し付けられたた。それ以来、アルセーヌと戦争沙汰になることは無かったのだ。
だが今回、5年ぶりに開戦の火蓋は切られた。それも、アルセーヌ側からの攻撃だ。アルセーヌには勝算があるのだろうか?
「だったら今回、皇女殿下は参戦なさるのかしら?」
「天秤の星将軍だから、多分そうだよね、、。」
あの皇女が負けるとは思えないが、何となく気になる。
「テティスはこの後どうするの?」
「私はこのまま家に帰るつもりよ。ちょっとした晩餐会の予定があるの。」
「午前はお茶会、夜は晩餐会ねぇ。優雅な1日だね。」
「流石に食べ過ぎかしら、、。」
「テティスはスタイル良いから気にする必要ないよ。」
友人とこうしてたわいない会話ができるのも、国内が豊かで平和なお陰だ。子供が外で走り回り、若い令嬢達が談笑しながら買い物に勤しむ。
悪魔だの碌でなしだの言われていようが、星将軍達が国防に果たす役割は絶大なものだ。
テティスと別れた後、セシリアは王宮の人通りの少ない通路を歩いていた。一応セシリアは皇太子妃であるため、よっぽどのことが無ければ何処を出歩いても咎められる事はない。
会議室や軍議室などがあるエリアとは離れているため、人は殆どいない。寧ろ、人手がそちらに割かれているぶん普段以上に少ない。
しんと静まりかえった王宮を歩きながら、何だか不思議な気分になる。自分の足音が、星空をモチーフに金箔で装飾された壁に反響する。こんな時でも、天井に描かれている星座の神々は優雅に微笑んでいる。
「こんなところで何をしている?」
何となく天井を見上げていたセシリアの背中に、ここ最近で聞き慣れた声が投げかけられる。
「皇女殿下!貴方こそ、こんなところでどうしたんですか?」
「セシリア嬢を探していたんだ。」
「丁度良かった!、、じゃなくて、私に何か御用ですか?」
「念の為に忠告しにきた。とっくに知っているとは思うが、よりにもよってアルセーヌと戦争になった。お陰でシリウスの件も少しずつ露見し始めている。」
次代の星将軍が殺されて間もない頃に、5年前の次期星将軍と内通していたとされているアルセーヌが攻めてきたのだ。この状態で5年前の件を完全に隠蔽する事は不可能だ。
「重ね重ね言うが、絶対に何も話すな。」
「わかりました。でも、わざわざそれを言いにこんなところまで?」
「用事のついでだ。それよりも私に何か用か?」
「その、殿下も戦争に行かれるのですか?」
「面倒臭いことにな。」
「絶対、無事に帰ってきてくださいね。無理せず安全第一でお願いします。」
その言葉に、スカーレットは僅かながら虚を突かれたような表情になる。
(あれ?不味かったかな?)
よくよく考えてみれば、無理しないでなどと、まるでスカーレットの勝利を疑っているかのような言い草だ。
「わざわざそんなことを言うために私を探していたのか?大丈夫だ。そこまで深読みはしない。」
恐らく顔に出ていたのだろうセシリアに、呆れたようにスカーレットが言う。その言葉にほっと胸を撫で下ろす。
「えっと、その、殿下が負けると疑ってるわけじゃないんです。あと、今度は不毛の地を作るなんて事は、出来れば、、。私の父もそろそろ不毛の地になりそうで、居た堪れないんです。」
セシリアは、父が最近後頭部を気にしていることを知っている。
そして、目の前の彼女が、今度は悪魔などと呼ばれるような手段を取る必要が無いことを祈っている。
セシリアの言わんとする事が伝わったようで、廊下にスカーレットの笑い声が響き渡った。
人のいない通路であるから余計によく響く。
彼女の空を閉じ込めた様な碧眼がセシリアに向けられる。何となく、その空に映っているのは、セシリアではない誰かであるように感じられた。
「そうねぇ。貴方たち、焦土戦術って聞いたことはあるかしら?」
焦土戦術、と言われてもいまいちピンとこない。内地で蝶よ華よと育てられたセシリア達にとって、争いごとはあまり馴染みの無いものなのだ。
「当時、アルビオンはカナンの地をアルセーヌに占拠されかけていたの。カナンの街は国境付近ということもあり、他より武器も食料も沢山あった。だから、資材ごとその地を奪われるわけにはいかなかったのよ。」
「確かに、敵の手に渡ったら大変なことになりますね。」
そう言ったテティスに、夫人は満足そうに促す。
(いつから戦術の授業になったっけ?)
セシリアたちは、先程までは優雅にお茶会をしていたはずである。勿論、セシリアの手元にはケラモス製の美しい茶器に注がれた紅茶がある。
アルセーヌの話はセシリアにとって他人事では無いので、真剣に耳を傾けるが。
「だから、皇女殿下はカナンの街を焼き払った。カナンの神殿もろともね。」
確かに、奪われるくらいなら焼いてしまおうという思考回路も一理あると考えられる。しかし、それを実行できるだけの精神力を持ち合わせた人間はそうそういない。自国の街や文化財を焼き払うのだ。そこまでやって失敗に終われば、非難の的となるのは想像に易い。最悪の場合戦犯扱いだ。
「もしかして、アストライアの神殿ごとですか?」
「その通りよ。だから、教会の聖職者たちは未だに怒り続けているらしいわね。本人は全く意に介していないけれど。」
それに、と夫人方は言葉を続ける。
「その戦争で攻め込んできた挙句、拠点も食料も確保できずに命を落としたアルセーヌ兵は少なくないわ。その後、彼女は進軍してきたアルセーヌ兵の生き残りの首を1人残らず跳ねたのよ。」
カナンでの敗北が決定的となり、アルセーヌは敗走したそうだ。カナンでかなりの数の兵が皆殺しにされた事により、アルセーヌ兵の間にも恐怖の感情が蔓延したことも大きいのだろう。
その戦功で、スカーレットは星将軍の座を手に入れたそうだ。つまり、シシィが死んだ後に彼女がその座を継いだことになる。
「流石に神殿まで焼かれたらノルトライン公爵も敵わないわよねぇ。」
「そうそう。彼が死んだときは、誰もが繰り上がりで天秤の席に就くと疑ってなかったのに。」
神殿を焼き払うという罰当たりな行為を躊躇なく実行し、敵兵の首を1人残らずすっぱねた彼女は「カナンの悪魔」と呼ばれるようになったそうだ。
「何故夫人方はそんなにお詳しいのですか?」
彼女らは、無邪気な笑みを浮かべて赤い紅で彩られた口を開いた。
「だって、天秤の神殿を焼き払った皇女が天秤の座につくなんて、とっても皮肉で面白いでしょう?」
*
「なんだか、もの凄い話を聞いてしまったわね。」
「もうあれはお茶会じゃなくて授業だよ。」
お茶会と形容して良いのかどうかも謎だが、筒がなく終了し解散した。慌ただしい王宮の側に近寄る気にもなれず、美しい小宮殿の庭園をテティスと散策していた。
「さすが皇女殿下と云うべきか、、。神殿まで焼いちゃうなんて恐れ知らずね。」
「あの人なら普通にやりそう。寧ろそこに神殿を建てる方が悪いくらいまで言いそう。」
「貴方も結構言うわね、、。」
だって皇太子殿下とのやりとりを見る限り、なかなか良い性格をしているのだ。それに、何となく彼女の性格には既視感がある。
「だったら、やっぱり今回の戦争も御出陣なさるのかしら?」
「確かに、5年前の実績があるからね。、、物凄く恨まれていそう。」
「、、でしょうね。」
得手不得手にもよるが、大体星将軍の担当地は決まっている。アルセーヌ付近の東方国境の場合は天秤座の将軍が防衛を担う場合が多い。アストライアの神殿があるからだ。
まあ、当人が焼き払ってしまったのだが。
アルセーヌは国境付近の領地であるリースタルと大量の兵を失い、アルビオンにおけるトラウマを押し付けられたた。それ以来、アルセーヌと戦争沙汰になることは無かったのだ。
だが今回、5年ぶりに開戦の火蓋は切られた。それも、アルセーヌ側からの攻撃だ。アルセーヌには勝算があるのだろうか?
「だったら今回、皇女殿下は参戦なさるのかしら?」
「天秤の星将軍だから、多分そうだよね、、。」
あの皇女が負けるとは思えないが、何となく気になる。
「テティスはこの後どうするの?」
「私はこのまま家に帰るつもりよ。ちょっとした晩餐会の予定があるの。」
「午前はお茶会、夜は晩餐会ねぇ。優雅な1日だね。」
「流石に食べ過ぎかしら、、。」
「テティスはスタイル良いから気にする必要ないよ。」
友人とこうしてたわいない会話ができるのも、国内が豊かで平和なお陰だ。子供が外で走り回り、若い令嬢達が談笑しながら買い物に勤しむ。
悪魔だの碌でなしだの言われていようが、星将軍達が国防に果たす役割は絶大なものだ。
テティスと別れた後、セシリアは王宮の人通りの少ない通路を歩いていた。一応セシリアは皇太子妃であるため、よっぽどのことが無ければ何処を出歩いても咎められる事はない。
会議室や軍議室などがあるエリアとは離れているため、人は殆どいない。寧ろ、人手がそちらに割かれているぶん普段以上に少ない。
しんと静まりかえった王宮を歩きながら、何だか不思議な気分になる。自分の足音が、星空をモチーフに金箔で装飾された壁に反響する。こんな時でも、天井に描かれている星座の神々は優雅に微笑んでいる。
「こんなところで何をしている?」
何となく天井を見上げていたセシリアの背中に、ここ最近で聞き慣れた声が投げかけられる。
「皇女殿下!貴方こそ、こんなところでどうしたんですか?」
「セシリア嬢を探していたんだ。」
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「念の為に忠告しにきた。とっくに知っているとは思うが、よりにもよってアルセーヌと戦争になった。お陰でシリウスの件も少しずつ露見し始めている。」
次代の星将軍が殺されて間もない頃に、5年前の次期星将軍と内通していたとされているアルセーヌが攻めてきたのだ。この状態で5年前の件を完全に隠蔽する事は不可能だ。
「重ね重ね言うが、絶対に何も話すな。」
「わかりました。でも、わざわざそれを言いにこんなところまで?」
「用事のついでだ。それよりも私に何か用か?」
「その、殿下も戦争に行かれるのですか?」
「面倒臭いことにな。」
「絶対、無事に帰ってきてくださいね。無理せず安全第一でお願いします。」
その言葉に、スカーレットは僅かながら虚を突かれたような表情になる。
(あれ?不味かったかな?)
よくよく考えてみれば、無理しないでなどと、まるでスカーレットの勝利を疑っているかのような言い草だ。
「わざわざそんなことを言うために私を探していたのか?大丈夫だ。そこまで深読みはしない。」
恐らく顔に出ていたのだろうセシリアに、呆れたようにスカーレットが言う。その言葉にほっと胸を撫で下ろす。
「えっと、その、殿下が負けると疑ってるわけじゃないんです。あと、今度は不毛の地を作るなんて事は、出来れば、、。私の父もそろそろ不毛の地になりそうで、居た堪れないんです。」
セシリアは、父が最近後頭部を気にしていることを知っている。
そして、目の前の彼女が、今度は悪魔などと呼ばれるような手段を取る必要が無いことを祈っている。
セシリアの言わんとする事が伝わったようで、廊下にスカーレットの笑い声が響き渡った。
人のいない通路であるから余計によく響く。
彼女の空を閉じ込めた様な碧眼がセシリアに向けられる。何となく、その空に映っているのは、セシリアではない誰かであるように感じられた。
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