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オスの三毛猫しらぬいの診療カルテ ⑦ 美樹の決断

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不知火の診察を終えた美樹はざくろといちごを呼んだ。

足元にスッと寄ってきた2匹の猫を抱き上げて処置台に乗せた。

美樹はゆっくりと椅子に腰を下ろし、姉弟猫と目線を合わせて言った。

「尿毒症と言って、本来はおしっことして外へ出すはずの体の毒素が身体に回っていて不知火君を弱らせ蝕んでいる状態になっている。尿道に管を入れておしっこの通り道を確保してやれば普通は毒素が出ていって回復していくのだけれど、この子の尿道は管がとおらないくらい傷ついてる。救命するには人工的に尿道を作るしかないと思う。それと、もう一つ不知火君には大きな決断が必要なの」

ざくろといちごはその決断を聞くために不知火の入院室へ行った。

「なう~にゃ~」

小さな三毛猫は静かに鳴いた。

「なんて?」

「ミキにすべて任せるって」

いちごからその答えを聞くと美樹は酷く辛そうな目をした。

※※※

「無事に終わったね、おねえちゃん」

「そうね。ずっと外で待っている瀬戸さまにお伝えして、私たちはマンションへ戻りましょう」

「分かったー」

 美樹の自宅となっている2階の床には手術室が見えるように隠し窓が切られている。

そこから中をうかがっていた2匹は、美樹がこちらを見て親指を一本立てたのを見て帰ることにした。

日中、ざくろは天の意思を聴くことはない。

だからざくろには不知火の悪い霧が晴れたのかそうでないのかはわからない。

でも、美樹のあの顔つきからしたら不知火は大丈夫だろう。
あとは青島と不知火の問題だ。この世の理の中で生を全うするのかそれとも違うのか、二人が決めることだ。


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