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第5章

情報集め…からの調査

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 治療を終えた次の日。とりあえず呪いの情報が欲しいので、冒険者ギルドへと向かうことにした。

「マリーナ様。具体的には、どういった情報が必要なのです?」

 道中サーニャさんがそう聞いてくる。正直に言うと……分からない。

「わ、分からない?」

「ええ。そもそもその情報がありませんから」

 だからなんでも怪しそうな情報を集めるしかない。

「が、頑張ります…」

 責任からなのか、サーニャさんの言動が固い。そんな様子に思わず苦笑する。

「そこまで気負わなくていいですよ。とにかくなんでも集めましょう」

「はいっ!」

 いい返事を聞いたところで、冒険者ギルドの中へと入る。
 一瞬だけ中の人の視線が集まったけれど、すぐに興味を失って視線を戻した。これはビクッてするね……。
 とりあえず依頼ボードへと向かう。あらゆる情報が張り出されているからだ。
 ……そう言えば最近依頼受けてないな。大丈夫なんだろうか?

『冒険者の規則通りならば、Cランク以下は1ヶ月の間に依頼をひとつでも達成していなければ、冒険者ギルドから除名されます』

 となると……私はBランクだから受けなくても除名されない?

『はい』

 なら、安心。正直レシピ登録だけでかなりのお金貰えてるからね……受けなくても問題は無い。

 さてと。情報は…………うん。見つけた。一瞬だったわ……。

「サーニャさん」

「はい?」

「……見つけたので行きましょう」

「え、もうですか?どれです?」

 わたしは1番上の方。しかも情報の紙ではなく、依頼の紙を指さした。

「…森の調査、ですか」

 そう。しかもこれ、Bランクからの依頼。環境調査がそこまで高い難易度な理由が知りたくて、続きを読んだんだけど……

「…木々の立ち枯れ。地面の変色の調査」

 そう。この言葉でピンと来たのは……聖域だ。呪詛に侵されていた時の聖域。
 木々の立ち枯れに地面の変色。それがピッタリと当てはまる。

「…受けますか?」

「………」

 解決できるかは不明だけど、解決できるのはおそらく私だけだろうしなぁ。
 ……どちらにしろ、やらなきゃいけないね。

「…いえ。受けないでおこうと思います」

 その森の変化の原因。それが報告できるものかどうか限らないからだ。
 ……解決前、もしく後にこの依頼を受けた人がいた場合、無駄足になるだろうけど、仕方ない。

「じゃあいきましょうか」

「はい」

 冒険者ギルドを後にして、依頼書に書かれていた森がある方向の門へと向かう。


「次!……ん?今日はここから出るのか?」

 門番をしていたのは、なんとザーズさんだった。凄い偶然。だって門番として働いてる人って、結構いるからね。

「はい。これギルドカードです」

「おう。大丈夫だな……にしても、ちっさい方がマリーナだったのか」

「そうですよ?逆だと思ってました?」

「そら冒険者ランクBだしな…普通思わんだろ」

 まぁ、ねぇ……

「おっと。すまねぇな。もう話す時間は無さそうだ」

「いえ。それでは」

 後ろに人が並び始めたので、話をやめて門の外へと出る。

「森は…こっちですね」

「じゃあいきましょうか」

 急いだ方がいいんだけど、日が昇ってからだいぶ時間が経っていて、道に人が多いんだよね。なので流石に走るのは自重する。


「そう言えば、呪いはどうやって広がったのでしょう?」

 確かにそれは疑問。だけど、呪いの原因が森にあるのなら、少しだけ心当たりがある。
 それは……冒険者だ。

「冒険者、ですか?」

「はい」

 それならば全て説明が着く。
 スーさんのお母さんが呪いを受けたのは、あの宿の食堂にきた冒険者からだと思うんだ。街の人も同様。
 治療院には冒険者の数は少なかったけれど、それはおそらく、冒険者が戦うことを生業にするからだと思う。
 だから街の人とかより呪いに抵抗でき、治療院にはほとんどいなかった。

「なるほど……あ。ならスーさん達は大丈夫なんですか…?」

「一応軽く神力を当てておきましたが……そう長く効果はないでしょうね」

 だから早く元凶を潰さないといけない。このタイプの呪いは、元凶さえ潰せば、そこから広まった呪いも消えるはずだから。

「…っ!魔物です」

 いきなり索敵に魔物が引っかかった。

「えっ!」

 サーニャさんを背後に庇うようにして立ち、無限収納庫インベントリから刀を取り出す。

「…きた」

 森から魔物が現れた。その魔物は以前も私が倒した魔物。ビックボア。
 ……でも、

「な、なんですかこれ…」

 疑問に思うのも無理はない。何故なら……体が真っ黒に染まっていたからだ。いや、正確に言うなら…黒いモヤに覆われている。眼は真っ赤。明らかに様子がおかしい。

 ブモォォォォ!!

 雄叫びを上げて突っ込もうとしてくる。

「させないっ!」

 私はビックボアが駆け出す前に側へと近付き、その首をはね飛ばした。
 不死の存在になってるとかそんなことは無く、血飛沫をあげてビックボアが倒れる。それと同時に覆っていた黒いモヤが霧散する。
 霧散して現れたのは、見覚えのあるいつものビックボアの姿。

「……なんなんですか、これは」

「……ビックボアに、呪いがかかったものです」

 これは不味いな……魔物にまで呪いの影響がでているとなると、さらに呪いがばらまかれてしまう。

「一刻を争います。急ぎましょう」

「はいっ!」

 念の為サーニャさんに強固な結界を張っておく。
 ビックボアの亡骸を無限収納庫インベントリにしまい、私たちは森へと足を踏み入れた。






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