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第5章
宿のお手伝い
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とりあえず治療を終え、スーさんのお母さんの部屋を後にした。すると直ぐに下の階に誰かが駆け込んでくる音が聞こえた。
「あっ!やっぱりここにいたか!」
下の階からそう叫んでいたのは、1人の男性だった。白いエプロンを付けていることから、おそらくこの宿の料理人だろう。となると、スーさんのお父さんにあたるのかな?
「どうしたの?」
「どうしたのじゃない!もう昼食の時間だぞ、急いでくれ!」
「えっ!?わ、分かったわ!」
スーさんがそう焦りながら上から返事をすると、男性は足早に去っていった。
ていうか集中してたからどれくらい経ってたのかわかんなかったけど、そんなに時間かかってたのね……。
「ごめんなさい、ドタバタしちゃって」
「いえ。でも大丈夫ですか?」
あれだけ疲れていたし、ましてお母さんの治療に立ち会ったこともあり休憩もろくに取れていないはずだ。
「大丈夫…だと思う」
歯切れの悪い返事をするスーさん。
「……お手伝い、しましょうか?」
思わず私はそう声をかけていた。だって……このままだったらスーさんまで倒れてしまう。そうなれば宿は回らなくなり、売り上げに影響してしまうだろう。
それはスーさんのお母さんの本望ではないだろうし……まぁ、第一として、私がほっとけないだけだったりするんだけどね。
「……何ができる?」
「一応料理はできますよ」
「……それならマリーナちゃんは料理を手伝って貰えるかな。サーニャ…ちゃん?さん?」
スーさんがサーニャさんの呼び方に迷った。まぁエルフだから、歳上かもしれないって思ったんだろうね。
……一応サーニャさんが歳上。
「どちらでもいいですよ」
「そう。ならサーニャちゃんでいい?」
「はい」
いいのか、サーニャさん……。
「サーニャちゃんは配膳を手伝って貰える?」
「任せて下さい!」
ドン!と自信ありげに胸を叩く。でもなぁ……心配だなぁ…
「な、なんですかその目は!?私だってちゃんとできますっ!………(多分)」
私が心配そうな目で見ていたからなのか、サーニャさんが心外だとでも言いたげな表情をして叫んだ。うーん…そこまで言うなら信じよう。
……最後にぼそっと言った言葉は聞かなかったことにする。
《ねね。私はー?》
「え、プレナも?」
正直言ってプレナが出来るような仕事ないと思うけど……あ。
「ならプレナはサーニャさんといて」
「え?」
《手伝えばいいの?》
「そうそう。何かあったらよろしく」
《はーい》
「何かってなんですかっ!?」
サーニャさんが不服そうな顔をして詰め寄ってきたけど……うん。やっぱり心配なんだもん。
「保険ですよ。何か起きなければいいんですよ」
「うぅー!」
なんかこうして駄々こねるサーニャさん可愛いかも……。
「ほら早く行くわよ」
「はい」
「………はい」
とりあえず3人(と一匹)で厨房へ。
厨房の造りは[宿り木亭]と余り変わらなくて、そこで慌ただしくあの男性が動き回っていた。
「お父さん!手伝ってくれる人連れてきたよ!料理手伝えるって!」
「あぁ?とりあえず早く運んでくれ!」
こちらを見ることなく返事をする男性。やっぱりお父さんだったね。
「じゃあサーニャちゃん。料理の置かれてる下に番号が書かれた紙があるから、その番号と同じ番号が書かれたテーブルに持って行って」
「分かりました!」
「マリーナちゃんはお父さんに聞いて」
「はい」
ちゃっちゃと説明を終えると、スーさんは料理を持って厨房を出て行き、それにサーニャさんが続いて出ていった。
「さてと」
見ると未だ慌ただしくスーさんのお父さんが動いていた。ひとまずタイミングをみて声を掛けてみる。
「すいません!料理の手伝いにきました!」
厨房の音がうるさいので、声を上げて言う。するとスーさんのお父さんがこちらを向いた。
「なんだぁ?できんのか?」
「はい。一応基本は」
「そうか。ならあそこに注文のメモが並んでる。その中でできるもんあったら取って作ってくれ。作ったあとの料理はあそこだ」
指さしたのは湯気がたつ出来たての料理が並んだカウンター。さっきスーさんがサーニャさんに説明していたところだ。
「紙はその料理の下ですか?」
「ああ、そうだ。簡単な料理でもいいからやってくれ」
「はい」
それだけ言うとスーさんのお父さんはまた調理に戻って行った。もうちょっと文句とかやらせないとか言われるかと思ったんだけど……まぁ、実際言われたら面倒だし、言われないならそれに越したことはないかな。
とりあえず注文のメモをみる。
「……大体いけるかな?」
ひとまず簡単なステーキから処理していくことに。
「ソースは私が登録したやつか」
リナさんがいつの間にか勝手に私名義で登録してたんだよね……まぁ時間無かったし、いいんだけど。
踏み台を用意して、いざ調理!って言っても、ソース作って焼くだけなんだけどね。
お肉はオーク肉。元からスライスしてあったので、それに切れ込みをいれてフライパンで焼く。その間に和風ソースを作っていく。醤油もこの厨房にちゃんとあったので、流通は上手くいっているらしい。
ソースをかけて仕上げの焼きをしてから、皿に盛り付ける。そしてそれをカウンターへ。紙を下に敷いてっと……次っ!
「あっ!やっぱりここにいたか!」
下の階からそう叫んでいたのは、1人の男性だった。白いエプロンを付けていることから、おそらくこの宿の料理人だろう。となると、スーさんのお父さんにあたるのかな?
「どうしたの?」
「どうしたのじゃない!もう昼食の時間だぞ、急いでくれ!」
「えっ!?わ、分かったわ!」
スーさんがそう焦りながら上から返事をすると、男性は足早に去っていった。
ていうか集中してたからどれくらい経ってたのかわかんなかったけど、そんなに時間かかってたのね……。
「ごめんなさい、ドタバタしちゃって」
「いえ。でも大丈夫ですか?」
あれだけ疲れていたし、ましてお母さんの治療に立ち会ったこともあり休憩もろくに取れていないはずだ。
「大丈夫…だと思う」
歯切れの悪い返事をするスーさん。
「……お手伝い、しましょうか?」
思わず私はそう声をかけていた。だって……このままだったらスーさんまで倒れてしまう。そうなれば宿は回らなくなり、売り上げに影響してしまうだろう。
それはスーさんのお母さんの本望ではないだろうし……まぁ、第一として、私がほっとけないだけだったりするんだけどね。
「……何ができる?」
「一応料理はできますよ」
「……それならマリーナちゃんは料理を手伝って貰えるかな。サーニャ…ちゃん?さん?」
スーさんがサーニャさんの呼び方に迷った。まぁエルフだから、歳上かもしれないって思ったんだろうね。
……一応サーニャさんが歳上。
「どちらでもいいですよ」
「そう。ならサーニャちゃんでいい?」
「はい」
いいのか、サーニャさん……。
「サーニャちゃんは配膳を手伝って貰える?」
「任せて下さい!」
ドン!と自信ありげに胸を叩く。でもなぁ……心配だなぁ…
「な、なんですかその目は!?私だってちゃんとできますっ!………(多分)」
私が心配そうな目で見ていたからなのか、サーニャさんが心外だとでも言いたげな表情をして叫んだ。うーん…そこまで言うなら信じよう。
……最後にぼそっと言った言葉は聞かなかったことにする。
《ねね。私はー?》
「え、プレナも?」
正直言ってプレナが出来るような仕事ないと思うけど……あ。
「ならプレナはサーニャさんといて」
「え?」
《手伝えばいいの?》
「そうそう。何かあったらよろしく」
《はーい》
「何かってなんですかっ!?」
サーニャさんが不服そうな顔をして詰め寄ってきたけど……うん。やっぱり心配なんだもん。
「保険ですよ。何か起きなければいいんですよ」
「うぅー!」
なんかこうして駄々こねるサーニャさん可愛いかも……。
「ほら早く行くわよ」
「はい」
「………はい」
とりあえず3人(と一匹)で厨房へ。
厨房の造りは[宿り木亭]と余り変わらなくて、そこで慌ただしくあの男性が動き回っていた。
「お父さん!手伝ってくれる人連れてきたよ!料理手伝えるって!」
「あぁ?とりあえず早く運んでくれ!」
こちらを見ることなく返事をする男性。やっぱりお父さんだったね。
「じゃあサーニャちゃん。料理の置かれてる下に番号が書かれた紙があるから、その番号と同じ番号が書かれたテーブルに持って行って」
「分かりました!」
「マリーナちゃんはお父さんに聞いて」
「はい」
ちゃっちゃと説明を終えると、スーさんは料理を持って厨房を出て行き、それにサーニャさんが続いて出ていった。
「さてと」
見ると未だ慌ただしくスーさんのお父さんが動いていた。ひとまずタイミングをみて声を掛けてみる。
「すいません!料理の手伝いにきました!」
厨房の音がうるさいので、声を上げて言う。するとスーさんのお父さんがこちらを向いた。
「なんだぁ?できんのか?」
「はい。一応基本は」
「そうか。ならあそこに注文のメモが並んでる。その中でできるもんあったら取って作ってくれ。作ったあとの料理はあそこだ」
指さしたのは湯気がたつ出来たての料理が並んだカウンター。さっきスーさんがサーニャさんに説明していたところだ。
「紙はその料理の下ですか?」
「ああ、そうだ。簡単な料理でもいいからやってくれ」
「はい」
それだけ言うとスーさんのお父さんはまた調理に戻って行った。もうちょっと文句とかやらせないとか言われるかと思ったんだけど……まぁ、実際言われたら面倒だし、言われないならそれに越したことはないかな。
とりあえず注文のメモをみる。
「……大体いけるかな?」
ひとまず簡単なステーキから処理していくことに。
「ソースは私が登録したやつか」
リナさんがいつの間にか勝手に私名義で登録してたんだよね……まぁ時間無かったし、いいんだけど。
踏み台を用意して、いざ調理!って言っても、ソース作って焼くだけなんだけどね。
お肉はオーク肉。元からスライスしてあったので、それに切れ込みをいれてフライパンで焼く。その間に和風ソースを作っていく。醤油もこの厨房にちゃんとあったので、流通は上手くいっているらしい。
ソースをかけて仕上げの焼きをしてから、皿に盛り付ける。そしてそれをカウンターへ。紙を下に敷いてっと……次っ!
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